2013/2/17
関西ではおでんを関東煮(かんとだき)と呼ぶ謎
関東風と思いきや…関東煮は関東風ではない味付け
由来は5説もある 有力は江戸末期・関東由来説か?
関東大震災・関東由来説ははっきりとした矛盾あり
関東じゃなくて広東(カントン)で中国人由来説やタコの煮物説も登場
「関東煮」という漢字も不思議…「関東炊き」表記も
●関西ではおでんを関東煮(かんとだき)と呼ぶ謎
2013/2/17:日経新聞の関西版の記事は毎度おもしろいです。今回はおでんの話で、
関西ではなぜおでんを「関東煮」と呼ぶのか? 関東とタネや味付け違うのに(2013/2/2 6:30 大阪経済部 山田和馬 [日本経済新聞大阪夕刊いまドキ関西2013年1月30日)という記事でした。
記事によると、関西では「関東煮(かんとだき)」の呼び方がなじみ深いそうです。しかし、おでんダネや味付けは関東のそれとはちょっと違うとのこと。関東風ではないんですね。では、なぜ関東煮と呼ぶのかルーツを探り、おでんにみる食文化の違いを調べてみた…というもの。
北海道生まれの私はそもそも「関東煮(かんとだき)」という呼び名を初めて聞きました。
●関東風と思いきや…関東煮は関東風ではない味付け
おでんが関東そのままの形で伝わったというのならまだわかります。しかし、前述の通り、まずそこが違うというのですから。確かに不思議です。
関東のおでんとの違いは、まず味付け。関東が濃い口しょうゆによるやや塩辛い味付けなのに対し、関東煮は薄口しょうゆがベースで少し甘め。大阪や京都の料理人が上方料理の技法を持ち込み、関西人が好む味付けにしたとされる。
鯨食が盛んだった土地柄を反映し、クジラの舌「さえずり」や皮の「コロ」をおでんダネに使うのも関東煮ならでは。いい味が出るとされるクジラと練り物を組み合わせ、独特の複雑な味わいのダシを生み出した。一般におでんはダシを沸騰させないが、うまみのしみ出たダシを次の日も使う関東煮は泡立つほどぐつぐつ煮る。
牛すじやタコも関東煮の主役。ダシにさっとくぐらせて食べるワカメや春菊、近年は下ごしらえしたトマトなどの変わり種も鍋に入る。逆に関東では人気のあるちくわぶ、はんぺんはあまり見かけない。
●由来は3説もある 有力は江戸末期・関東由来説か?
さて、名前の話です。あとで2つ出てくるのですけど、「関東煮(かんとだき)」という名前の起源は3説もあるようです。ただ、最初の江戸末期・関東由来説が最有力な感じでした。
<1>江戸末期・関東由来説
調理師専門学校(大阪市)の日本料理研究室長、杉浦孝王さんによると、煮たり焼いたりした具にみそを塗る「みそ田楽」がおでんの始まり。今のようなしょうゆで煮込むおでんになったのは、野田や銚子など関東近郊でしょうゆづくりが盛んになった江戸末期からという。
具材の温めと味付けが別で手のかかるみそ田楽に比べ、おでんは煮込むだけで済む。屋台で手軽に食べられる軽食としてまず関東で広まり、関西にも伝わった。その時に「みそ田楽と区別するために関東煮と名付けたのでは」と杉浦さんはみる。
●関東大震災・関東由来説ははっきりとした矛盾あり
残りの2説のうち、1つは同じ関東由来ですが、時期が異なります。
<2>関東大震災・関東由来説
1923年に起きた関東大震災で、関東の料理人が関西に避難したり、逆に関西の料理人が復興需要を当て込んで関東に進出したりした。東西料理人が行き来したおかげで割り下を使う関東風のすき焼きなどもこの時期に関西に伝わったとされる。関東煮もその1つだったという説。
ただし、"1844年創業の老舗、たこ梅が震災前から関東煮を看板に掲げて"いました。この説はきっぱり間違いと言えるようです。
●関東じゃなくて広東(カントン)で中国人由来説やタコの煮物説も登場
記事でメインに扱っていたのは3節で、最後は中国が関係する説でした。
<3>広東(カントン)煮からの変化説
江戸時代に堺を訪れた中国人が食べていた煮物を起源とする説。広東料理をもじって「広東煮」と呼ばれ、それが関東煮へと変わったとされる。たこ梅の5代目社長、岡田哲生さんは「堺の浜で中国人の食べていたごった煮をヒントにして、初代が作ったと伝わっています」としています。
ただ、これも鎖国時であることを考えるとおかしいそうです。ところが、たこ梅の5代目社長、岡田哲生さんが、さらにここで新説を挙げていました。"当時の料理本である1714年の文書「節用料理大全」に記されたタコの煮物「たこくわんとうに(かんとうに)」が名前の由来"と岡田哲生社長は考えているとのこと。
<4>タコの煮物「たこくわんとうに(かんとうに)」説
じゃあ「たこくわんとうに(かんとうに)」ってのはどんなもので、どんな味付けだったのか?と気になるんですけど、これは説明がありませんでした。
●「関東煮」という漢字も不思議…「関東炊き」表記も
なお、「煮」を「だき」と呼ぶのも慣れないですけど、
Wikipediaによれば「関東炊き」という別表記もあるようです。
また、"関東煮の語源については「かんとうふ煮」説や中国の煮込み料理に由来する「広東煮」説もあるが定かではない"として、由来の異説もありました。ただ、それ以上の説明はありません。
<5>「かんとうふ煮」説
あと、Wikipediaでは、"関東煮の名称は昭和40年頃まで使われた"とも書いていてびっくり。あれ、じゃあ、今は「関東煮」と呼ばないの?という話です。たぶん違いますよね、今までの流れからすると…。
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