ありがとうにまつわる話をまとめ。<ありがとうは魔法の言葉って本当?嘘?心理学の教授によると…>、<感謝の気持ちを書いてから寝ると幸福になる…日本人は例外>、<日本人は相手に感謝したりお返しをしたりするのが苦手だった…>などをまとめています。
2023/09/26まとめ:
●感謝の気持ちを書いてから寝ると幸福になる…日本人は例外 【NEW】
●日本人は相手に感謝したりお返しをしたりするのが苦手だった… 【NEW】
●ありがとうは魔法の言葉って本当?嘘?心理学の教授によると…
2021/09/21:「ありがとう 心理」で検索かけると、胡散臭い記事ばっかり出てきてげんなり。以下の<「ありがとう」で幸せになる人・「すみません」で不幸になる人>(2019/7/31(水) 22:35)も最初、これもどうかなと思いながらアクセスした記事。ただ、碓井真史・新潟青陵大学大学院 臨床心理学研究科 教授(社会心理学)という専門家による記事でしたので悪くないものでした。
<「ありがとうは魔法の言葉」などと言いますが、実はこれ、心理学的にも本当です。ありがとうを言う、感謝を表現すると、次のような良いことが起こります。
自尊心(自己肯定感)が高まる・ストレスが減る・不安、孤独感、嫉妬心が減る・良い人間関係ができる・親切になれる・不公平感が減る・小さな出来事もよろこべる。だから、幸福になれます。
ありがとうを言うだけで、このような変化が起きることが、心理学的に実証されています。もちろん、ひとこと言えばそうなるわけではありませんが、日常的に感謝も想いを表現していると、このような変化が起きます>
https://news.yahoo.co.jp/byline/usuimafumi/20190731-00136507
●紙おむつを使うと「ありがとう」の字が浮かんで母親が感激
このように「ありがとうの心理学」が気になったのは、
おむつに浮かぶ言葉の真意 顧客目線で尽くし尽くす: 日本経済新聞(2021年9月19日 11:30 編集委員 田中陽)という記事を見かけたためでした。冒頭で以下のような話があったのです。
記事によると、ユニ・チャームの新生児用紙おむつには、湿った場所にうっすらと「だいすき」「ありがとう」といった文字が浮かび上がることがあります。毎日のおむつ替えは、話すことのできない赤ちゃんとの関係性を築く大切な機会。京都大学との研究によると、ほほ笑ましいメッセージに母親が前向きな感情を抱くことが確認されたといいます。
ユニ・チャームに根付く行動様式は「尽くし続けてこそNo.1」。利他の心を常に持ち続けて新たな価値を吹き込むことを粘り強く追求しており、「だいすき」「ありがとう」もその執念から生まれたとされていました。ここで出てきた「利他」というのは、「他人に利益を与えること・他人のために尽くすこと」を言います。
●顧客目線で復活したサントリーとアサヒ 一方、みずほ銀行は…
…といった話だったのですが、記事では、この「利他の心」という話から繋げて、様々な企業の「顧客目線」の話に。日経新聞ですからこういうビジネス的な話になるのは、当然と言えば当然。私もこういう話題は嫌いではありません。ただ、取っ掛かりが上記のような話でしたので、少々面食らってしまいました。
<度重なるシステム障害を起こす、みずほフィナンシャルグループ。「顧客目線の弱さ。容易には改善されない企業風土」。6月の第三者委員会による報告書には厳しい言葉が並ぶ>
<主力商品がピーク時から25分の1にまで激減した会社がある。サントリーホールディングス。1980年に1240万ケースあった「サントリーオールド」は2005年に50万ケースほどに。四半世紀にわたる顧客離れ。もがきながら新しい飲み方を提案し、はい上がろうとする執念がハイボールのヒットを生み、顧客の再創造につなげた>
<同様にドン底を味わったアサヒグループホールディングスは1985年にビールのシェアが10%を切った。(中略)なぜ客が離れたのか、改めて消費者の嗜好を徹底的に調べ上げ、スーパードライ誕生の基点をつくる。コンビニを主な販路とし、感度がよく、しがらみのない若い消費者に手に取ってもらい、居酒屋での指名買いの流れをつくった>
●感謝の気持ちを書いてから寝ると幸福になる…日本人は例外
2023/09/26まとめ:「すみません」がテーマの別の投稿で使った「感謝」に関わる研究の話を、「ありがとう」関連ということで、こちらにも転載しておきます。
「すみません」多用する日本人の謎 心理学者が数式で解き明かすと:朝日新聞デジタル(岡田玄 2022年6月2日)という記事がありました。人づきあいの心理学が専門の相川充・東京学芸大名誉教授(67)はイギリスに行って、日本独特の「すみません」の使い方を実感したそうです。
<人づきあいの心理学を研究してきました。イギリスに研究員として派遣された時に、「すみません、すみません」という態度の自分に気づきました。イギリス人はどっしりと構えているのに。
他人に何かをしてもらったとき、ありがたいとか申し訳ないとか、何らかの気持ちが人間にはわき起こります。日本人は、こうした場面で「すみません」「申し訳ありません」と、謝罪の言葉で対応することが多いのです>
ただ、この記事は有料で詳細不明。一番気になる「心理学者が数式で解き明かすと」は結局謎のままなのですが、「すみません」の話自体は、
人づきあいの技術を高めるソーシャルスキルの心理学 相川 充氏 | 人材・組織開発の最新記事(コラム・調査など) | リクルートマネジメントソリューションズ(2016/08/08)という別記事でも出てきていましたので、こちらを紹介。ただ、その前の部分から引用します。
<ここ数年は、「ポジティブサイコロジー」を意識しています。人々がより幸せになるにはどうしたらよいのか、困難な状況から自力で立ち直っていく力「レジリエンス」はどうしたら身につくのかといったことを研究する「21世紀の心理学」です。
ポジティブサイコロジーでは、エモンズとマッカローの実験成果などから、「感謝するとウェルビーイング(引用者注:幸福感・充実感といった意味)が上がる(精神的、身体的、社会的に状態が良くなり、持続的幸福が高まる)」といわれています>
相川充・名誉教授はこの実験を再現実験。寝る前に今日感謝したいことを書いてから寝る群、嫌なことを書いてから寝る群、何もしない群を作って、数週間続けてもらった上でウェルビーイングの変化を比較してみました。しかし、日本人では感謝群のウェルビーイングは上がらないという予想外の結果になったのです!
これは日本人学生での実験。その後、大塚泰正先生が日本のビジネスパーソンを対象に実験しましたが、結果は同じだったといいます。小見出しでは「日本人は例外」と書きましたが、実を言うと、韓国やヨーロッパでも再現できず。正確に言うと、アメリカだけ例外…という不思議な結果になったといいます。
●日本人は相手に感謝したりお返しをしたりするのが苦手だった…
そして、この結果から「すみません」の話に繋がってきます。アメリカだけ例外…という話からすると、ちょっと納得しきれない説明ではあるんですけどね。「日本人だけ」あるいは国際調査では日本人と似ていることが多い「韓国人と日本人だけ例外」だったらわかりやすかったんですけど…。
<原因は、「心理的負債感」にありました。日本人は感謝を伝えるときに「すみません」と謝ることが多いですが、それは感謝に、自分の利益が「ありがたい」気持ちと、相手の苦労が「申し訳ない」気持ちの両方が入っているからです。そのポジティブ感情とネガティブ感情が打ち消し合って、ウェルビーイングが上がらない。アメリカ人と大きく違う点です>
とりあえず、相川充・名誉教授は、これを解決するには、感謝の感情と行動を分けて考え、「感謝スキル」を高めて、積極的に感謝行動を起こしていくのがお薦めだとしていました。感謝の気持ちを外に出し、「ありがとう」と口に出したり、お返しをしたりするだけでOK。逆に言うと、日本人はこれらができてないんでしょうね。
<すると負債感が消え、人間関係が良くなって、日本人でも感謝とウェルビーイングが比例するようになります。事実、日本の小学生に行った実験では、感謝スキルを高めると互いによく評価し合い、「自分が困ったとき、相手に助けてもらえると思いますか?」という質問に「はい」と答える子が明らかに増えました。ソーシャルスキルを高めることによって、結果的に持続的幸福を高めることにも役立つのです>
日本人は相手に感謝したりお返しをしたりすることがうまくできていない…というのは、自覚がない人が多いかもしれません。相手に伝わっていないために、相手としても一方的に搾取されているように感じるかもしれません。感謝を表現できてない…というのは、お互いにとって不幸なこと。改めていくべきでしょうね。
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