母親が知人に「牛乳は脂肪が多いから年を取るとあまり飲まない方がいいんじゃないか?」と言われたので調べてくれないかと頼まれました。
私はとりあえずこの依頼を受けたときには、「脂肪を取れる食品はいくらでもあるけど、カルシウムを取れる食品はあまりないんだから、脂肪を抑えたいのであれば他の食品で気をつけるべきじゃない?牛乳を目の敵にする必要はないと思うよ。そもそも高齢になるほどカルシウムの吸収が悪くなるんだから、減らすのは逆効果じゃない?」と答えておきました。
実際どんなもんなんでしょ?
Wikipediaの
牛乳-安全性についての議論を見てみると、いろいろと牛乳非難があるようです。しかし、その主張にも反論があり、まだ定説となっているものはないそうで、議論が待たれます。
とりあえず、高齢者に関するところを見てみると「特に高齢者においては、飲用によって血中カルシウム濃度が高まると、体内のカルシウムも排出されてしまい、逆に骨粗鬆症を引き起こす可能性が高い」というものがあり、私のカルシウムの認識と全く逆の説があるようです。
先程「定説は無い」という話でしたが、この仮説については「信頼できる情報は現在ほとんど無い」とやけにきっぱりと否定されています。そもそも血中カルシウム濃度は常に一定に保たれる作用があるため、牛乳を飲んで濃度が高まること自体が考えづらいそうです。ここらへんは以前書いた
卵を食べてもコレステロールが増えるわけではないという話とちょっと似ています。
ただカルシウムと骨粗鬆症との関係については諸説あってよくわかりません。
骨粗鬆症-Wikipediaによると、カルシウム・パラドックスというものがあって、カルシウムの摂取量が多い国に骨折が多いのだそうです。
2002年の世界保健機関(WHO)の報告書では、この原因をカルシウム摂取量ではなく、いっしょに取るタンパク質が原因とみています。タンパク質がカルシウムを排出させる酸性の負荷をもたらしているとみており、アルカリ成分として野菜と果物を取るように勧めています。
この説に従うと対策がわかるのですが、
カルシウム-Wikipediaを見ると、「骨粗鬆症の診療ガイドラインでは、カルシウムのサプリメントの摂取は骨密度を2%増やすが骨折率には変化がないので、すすめられる根拠がない(グレードC)に分類される」と書かれている一方、ハーバード大学の公衆疫学部によれば、十分なカルシウムを摂取することは加齢による骨の減少を遅くする効果があるとしているなどとまちまちです。また、先程の牛乳-安全性についての議論では、牛乳の摂取量が多いと推定される北欧諸国の骨折率が高いのは、日照が少ないため、皮膚でのビタミンD合成量が少ないためではと書かれています。
いずれにしろカルシウムの含まれる食品を取らないと体内のカルシウムは増えることはありませんので、これを不要とする考え方はありえないでしょう。
因みにハーバード大学の公衆疫学部では、乳製品以外のカルシウムの摂取源としてコラード、チンゲンサイ、豆乳、ベイクドビーンズを挙げています。
コラードって何だろう?と思い調べると、どうも植物のようですが、まあ、手に入らないと意味ないです。ベイクドビーンズも豆の一種なんでしょうが、私は聞いたことありません。あと、豆乳は牛乳-Wikipediaで「(牛乳と)さほど脂質やカロリーは変わらない」とありました。
その他、
カルシウムの豊富な食品によると、牛乳、乳製品、小魚などの魚、豆腐などの大豆製品、小松菜、モロヘイヤ、チンゲンサイなどの野菜などの食品の名を挙げています。
魚はカルシウムの吸収を助けるビタミンD、野菜は先程あったアルカリ成分も取れるのでいっしょに食べると良さそうです。
ということで、まあ、結局、バランスなんでしょうね。当たり前だと思うのですが、偏って同じものばかり食べていては栄養素も偏って、多すぎるものと少なすぎるものが生じてしまいます。
「好き嫌いはしちゃダメよ」ってなことで、今日はここで終わりにします。
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