「売り場」を「買い場」と呼ぶと顧客第一思考になるというエピソードを読みました。言葉を変えれば考え方も変わるということで、言霊は本当にあるのかもと思わせる話です。
ただ、この言葉を使わせたというドン・キホーテの陳列は、個人的には嫌いです。で、検索してみると、一般的には好評だとのこと。とはいえ、火災時の問題があり、その意味では顧客第一ではなく、無視できないデメリットがあると言えそうでした。
2009/10/25:
●売り場を買い場と呼ぶと顧客第一思考に?ドン・キホーテの改革
●言霊は本当にあるのかも?言葉を変えれば考え方も変わる
2018/02/26:
●顧客第一ではなく偶然 ドン・キホーテ「圧縮陳列」誕生の秘密
●ドン・キホーテの圧縮陳列が嫌い!致命的なデメリットも見過ごせない
●売り場を買い場と呼ぶと顧客第一思考に?ドン・キホーテの改革
2009/10/25:言霊(ことだま)とは、「言葉自体が力を持っている」というような日本の考え方です。先日
ドン・キホーテの新任店長を驚かせた、“業績を上げる”言葉遣い(水野浩志、Business Media 誠、2009/10/21)を読んで私はその言霊の話を思い出しました。
この記事のタイトルには「“業績を上げる”言葉遣い」とありますが、それによって実際に業績が上がったのかどうかは記事中には明確に書かれていません。とりあえず、長崎屋ではドン・キホーテに買収されたことにより、「売り場」という言葉を「買い場」という言葉に置き換えたそうです。
これによって何が変わるのかというと、建前でなく本当に「顧客の立場に立って考える」ことへの手助けとなるということのようです。
●言霊は本当にあるのかも?言葉を変えれば考え方も変わる
筆者は企業研修を行っているそうですが、研修を受けている人たちは「顧客の立場に立って考える」、「顧客の利益を考えて」、「顧客第一」などと言いながらも、同時に「顧客攻略」や「いかに自社商品を顧客に押し込むか」といったような言葉も使っているそうです。
「顧客攻略」や「いかに自社商品を顧客に押し込むか」といった言葉、冷静に鳴ってみると、明らかに「顧客の立場に立って考えていない」言葉。ただ、使っている本人らは指摘されるまでその矛盾には気付かないといいます。
「言葉というのは恐ろしいもので、何気なく使っているものでも、その使っている言葉によって、その人自身の思考に大きく影響してしまいます」と著者は指摘。「顧客の立場に立って考える」という言葉自体が、もう顧客の立場ではなく、売る側の立場に立っている言葉になっていることも指摘されていました。
著者はこの「顧客の立場に立って考える」を「もし自分ならどう考える?」に置き換えたらどうだろうかと提案していますが、ドン・キホーテの「売り場」でなく「買い場」と呼ぶというのはまさに顧客側から見た呼び名だったんですね。
普段から「買い場」と呼んでいるうちに、自然と客としての目線で考えるようになるものなのかもしれません。こういうのは言葉の持つ魔力のような不思議な力だなぁと思い、冒頭に書いたように「言霊」という言葉を思い浮かべました。たいへんおもしろい話だなぁと感じ、非常に感心した記事でした。
でも、実はドンキの「買い場」は個人的に圧迫感があって苦手なんですよね。買い物していて非常に疲れます。他のお店の方が精神的に楽です。なので、本当に顧客第一で作られた売り場なのかな?と思ってしまいます。
●顧客第一ではなく偶然 ドン・キホーテ「圧縮陳列」誕生の秘密
2018/02/26:当初の投稿は、以上のようにドン・キホーテの売り場が苦手…という個人的な感想だけだったので、ネットで検索。このドン・キホーテの並べ方は有名で、「圧縮陳列」と呼ばれます。
圧縮陳列 - Wikipediaでは、ドン・キホーテが買い物の楽しさ・面白さを購買客に煽り、訴えかけるために行っている独自の商品ディスプレイ・販売促進手法と説明されていました。
この陳列方法は、苦肉の策であり、きっかけは顧客第一ではありませんでした。
メルカリの蔑称「泥棒市場」、ドン・キホーテの前の店名だったで書いたように、ドン・キホーテの以前の名前は「泥棒市場」。泥棒市場は開業当初、20坪しか店舗面積がなく、倉庫を借りる余裕もなかったそうです。
結果、納品された商品を全て狭い店の中に押し込まざるを得ず、棚という棚に商品が詰め込まれ、天井までダンボールが積み上げられ、通路も商品とダンボールだらけという状態になったそうです。で、箱を積み上げるだけでは、購買客に何を売っているのか表示できないので、ダンボールに窓を開け、商品を説明した手書きのPOPを棚に張るようにしました。これが圧縮陳列の前身となった模様です。
●ドン・キホーテの圧縮陳列が嫌い!致命的なデメリットも見過ごせない
この陳列方法が思いの外評判が良く、売上は拡大。購買客は意外なものが予想しないところにあるという発見の楽しみや、商品の山の中から掘り出し物を探し当てる宝探しの面白さをそこに見出していたとのことで、結果的には顧客第一になったと言えなくもありません。
ただし、当然陳列の危険も指摘され、過去に何度も所管消防署から注意を受けています。これは致命的なデメリットでしょう。特に2004年12月の放火事件の際には、圧縮陳列が燃焼範囲を広げた原因と言われました。なので、顧客の安全より売上の方が上の優先順位ということ。実際には、全然顧客第一ではなく、売上優先ってことなんでしょうね。
そういえば、
ドン・キホーテは本当に安いのか?大原孝治社長は「安く感じる」と表現という話もやっていました。これも顧客第一というよりは、売上第一といった話。ドン・キホーテには無慈悲なエピソードが多いですし、きれいな話は似合いませんね。
(関連:
ドン・キホーテが破壊?ダイシン百貨店とそうご電器 アピタ・ピアゴはドンキへ転換、オリジン買収騒動など)
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