米ウォルマート・ストアーズは世界16カ国に約8000店の総合スーパーマーケットやディスカウントストアを展開する世界最大の企業だそうです。(以下
ウォルマートの“見えない”強さ(日経ビジネスオンライン、大矢昌浩、2009/8/18)より)
しかし、日本の流通業界がその店舗を視察しても、欠品したまま空いた棚がやけに目につくだけで、何が凄いのかさっぱり分からないし、むしろ日本人の目には、品揃えは単調で貧弱にさえ見えるそうです。
これは日本では売上機会を逃さないためや売り場の見栄えのために、店頭在庫の補充を怠らず、常にびっしりと棚に商品を陳列しておくことが当たり前なためだそうです。
確かに日本は顧客対応、店内の掃除などの丁寧な仕事ぶりはウォルマートよりもはるかに上なのですが、結局儲かってはいないというのは事実のようです。
ウォルマートの粗利率は、日本の主要な総合スーパーと比較して5ポイント近く低いのですが、その分販管費率が10ポイント程度低いので利益が残っているそうで、敢えて欠品を許しているということで、これは「良い欠品」とも言えるかもしれません。
欠品率と在庫量は基本的にはトレードオフの関係と記事にはありましたが、品切れを許さなければ、安全在庫の水準は跳ね上がるというのはよくわかる話です。
通常この欠品をどこまで許容するという比率(許容欠品率)を事前に判断しておく必要があるのだそうですが、日本では小売業の多くがこれを定めていないそうです。
それどころか、わずかでも欠品すれば責任を問われるため、現場の担当者としては多めに在庫を抱えるため、売れ残る危険性を増やし、店舗のスペースを圧迫することになります。日本ではその対策に発注頻度を増やし、小刻みに在庫を補充することにしているそうですが、これは卸売業者のコストが増すことになって、小売業者の仕入れ価格に影響します。
これは小刻みな発注に対応するには、卸売業者は納品先のそばに倉庫を手当てして商品を準備し、トラックの積載率が低くても納品のトラックを出発させる必要があるためだそうです。
さらに同じ構図が卸売業とメーカー間の取引にも波及し、調達先のメーカーに対して、発注ロットの小口化と納品リードタイムの短縮を要請するので、品切れを起こさないために工場は過剰生産に動きます。そしてさらに、同様のことが原材料のサプライヤーへとさらに広がっていくという負の連鎖を引き起こします。
加えて、困ったことに決算期が近づいてくると、一変してトップが在庫削減という全く逆の号令をかけるそうです。すると闇雲に全商品一律で安全在庫の水準を下げたり、棚卸資産に占める割合の大きな主力商品の在庫を手っ取り早く削ってしまいます。
すると売れ筋商品は品切れになり、それ以外の商品の過剰在庫は放置されたままになるそうで、何だか最悪の状態な気がします。結果として、今度は普段とは逆に多くの売上機会を逃すことになり、これは「悪い欠品」と言えるかもしれません。
今回の記事は相当部分を引用しましたが、考え方がすごくおもしろかったせいです。
明日これを読んだ感想をいくつか書くことにして、今日はここで終わりにします。
続きは
ウォルマートの在庫管理2~コンビニ弁当で試算してみる~ですけど、
非常識な商品陳列方法,ウォルマート式の西友の方が良いかも。
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