("アップル腕時計「iWatch」開発の噂も「売れない」「失敗作」というコメント"(2013/2/25)は、
アップルウォッチはなぜ評判倒れに終わったのか?腕時計型ウェアラブル機器の限界にまとめました。こちらは別のアップルの話を)
実は幻想、iPhoneの「日本製部品頼み」 :日本経済新聞(2017/6/22 6:30 大槻智洋 TMR台北科技代表)という記事からなのですが、正直根拠はいろいろと問題があります。
iPhoneが「日本製部品頼み」ではないと断言するのは難しいので、うちでは「部品は日本製だらけ…という誤解」といった比較的無難な表現にとどめました。
●日本製品の不買運動の馬鹿らしさ
日本すごい系の話で稼ぐサーチナで、
日本製品の不買は無知をさらすだけ! 中国製を購入しても「日本製品の消費につながる」-サーチナ(2017-02-07 09:12 編集担当:村山健二)という記事がありました。中国メディアの捜狐網の「日本製品の不買は無知をさらすだけ」と主張する記事を紹介するものです。
中国のiPhoneに関しては、
iPhoneが売れない理由は?サムスンも没落、中国スマホがシェア拡大というものを最近書いており、中国でのiPhone人気は低下中だそうです。ただ、捜狐網では、"中国でも人気のiPhoneには、日本企業の部品が約30%ほども使われている"といった話が書かれていたそうです。
そして、中国製品を購入したとしても「日本製品の消費につながる」ために、日本製品のボイコットを叫んでも無意味であり、無知をさらすだけの単純な不買運動をやめようという話でした。
サーチナではこれについて、以下のようにまとめています。
"経済がグローバル化しているこの時代において、特に電子製品などでは純国産品を見つけるほうが難しいというものだ。この記事のように理性的な見方ができれば、中国でもボイコットや不買という愚かな行為は少なくなっていくに違いない"
ただ、これは中国製を嫌う日本人にも言える話だとは思います。五十歩百歩です。
●iPhoneが「日本製部品頼み」かどうかわかるデータではない
一方、冒頭でリンクした日経新聞は、言うほどiPhoneは日本製使っていないよという話。ただ、これも最初に書いたようにいろいろと問題があり、"実は幻想、iPhoneの「日本製部品頼み」"というタイトルほどはっきりとしたことは言えません。
まず、アップル製品でわかっているのは、アップル全体の部材供給企業リスト、いわゆる「サプライヤーリスト」だけだということ。いろんな製品がごちゃ混ぜなので、iPhoneのものなのかどうかがわかりません。
また、単なる部材供給企業リストですので、大事な部分は日本製…といった質的な「日本製部品頼み」がないかどうかもわかりません。質的なデータではないので、この点を強調した「iPhoneは日本製部品頼み」という説はこれからも言われ続けるでしょう。
さらに、実を言うと、量的な「日本製部品頼み」があるかどうかすらわかりません。取引企業の数がわかるだけで、取引額や部品重量、部品点数といった量的なものすら不明なのです。
●iPhoneは中国製だけど部品は日本製だらけ…という誤解
ということで、あまりはっきりとしたことは言えないものの、少なくとも日本製だらけってことはなさそうで、台湾・アメリカの部品の方が多いのかも?といった程度でした。
サプライヤーリストを公開し始めた2012年から2016年までのデータによると、アップルサプライヤーとして掲載された269社中、台湾企業は71社、米国企業は60社、日本企業は55社。企業数としては、日本は台湾、アメリカ以下でした。
また、半導体に関して言うと、ダントツに多いのがアメリカで、図から読み取ると24社。こちらだと日本は2位でたぶん6社。そして、台湾は2社と少ないそうです。
ところが、台湾が少ないというのは、前述の「グローバル化」的な問題があって錯覚なのです。米国半導体メーカーの大半は、台湾TSMC(台積電)と、同後工程を担うASE(日月光)に製造を委託しており、実質的には台湾製だと考えられるようです。
なお、グローバル化うんぬん的な話で言えば、台湾で多い精密加工技術を用いた機構部品のメーカーは、材料や工作機械を手掛ける日本メーカーの大口顧客という関係があるそうです。持ちつ持たれつなんですね。
●アップル製品は日本製頼りという“神話”はなぜ生まれた?
それから、「明確なデータはない」ものの、過去には本当に「日本企業がサプライヤーの最大勢力だった時期」があると想像されていました。10年以上前のiPodシリーズだと、日本製が多く使われていたそうな。これは質的な日本製頼みとも言えそうです。
ハードディスク装置:東芝や日立グローバルストレージテクノロジーズ[現在の米ウエスタンデジタル]
リチウムポリマー電池:ソニー
液晶パネル:オプトレックス(現在の京セラディスプレイ)
なので、これがアップル製品は日本製頼りという“神話”を生み出したのだろうという推測。前述の通り、サプライヤーリストを公開し始めた2012年の時点で日本製品の多さは観察できませんでしたので、かなり昔の栄光にすがっているのかもしれません。
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