群馬大のハラスメント系の話をまとめ。<群馬大が加害者配慮でアカハラ隠蔽 今後も「回答する予定無い」>、<退職要求パワハラに成功した教授も 3人を病気にし2人を退職させる>、<楽しみながら社員をうつ病にして退職…推奨していた専門家がいた>などをまとめています。
2022/10/26追記:
●評価基準不明…アカハラ教授の独裁授業だけで大量の学生が留年に!
2023/02/22追記:
●服部健司教授反論「生徒がシラバス読んでいない」 大学側も納得か 【NEW】
●群馬大が加害者配慮でアカハラ隠蔽 今後も「回答する予定無い」
2019/05/29:一時期すごく不祥事が多かった群馬大。最近は全然聞かないな…と思っていたら、単に隠蔽していただけかもしれません。
群馬大教授がアカハラ 大学側公表せず 「回答予定無し」と詳細説明拒否 毎日新聞2019年5月29日 08時46分という記事が出ていました。
・毎日新聞が入手した文書によると、教授は医療倫理に関する必修科目の授業を担当。男性は2年生時の2016年度に受講したが、単位を認定されず留年。17年度も再履修したが、その再履修で必要な「補習」について、男性は教授から出席不要との連絡をメールで受けた。さらに、教授は男性に対し再試験を受けさせなかった。
・大学が男性側の申し立てを受けて18年末に設置した「ハラスメント調査委員会」は2019年春、教授が男性に対し、補習を受けさせなかったことと、再試験を受けさせなかった二つの行為をアカハラと認定した。
・大学側は、認定自体を公表しておらず、処分の有無や男性への賠償も不明。取材に対し、「被害者と加害者のプライバシー保護のため回答を控える。回答する予定も無い」とコメント。
「被害者のプライバシーのため」という公表しなかった理由は「あり得ない」というものではなく、理解できるものではあります。ただ、被害者だけでなく「加害者のプライバシー保護」とも言っているのは不思議。そうなると、研究不正でも一切公表できなくなってしまいます。そんなわけないですよね。
この研究不正に関しては、文部科学省が公表するように言っていると聞いたことがありました。ただ、文部科学省国立大学法人支援課はアカハラに対処する基準などについて「特に指針は示していない。各大学で独自に対応している」との回答。となると、公表していない大学も多いのかもしれません。
●退職要求パワハラに成功した教授も 3人を病気にし2人を退職させる
短いので別記事を探してみました。群馬大学は2014年4月20日、研究室の部下にパワハラを繰り返したとして、大学院医学系研究科の40代の男性教授を懲戒解雇したと発表しています。これはちゃんと発表しているんですね。
大学によると、教授は2012年1月~13年8月、研究室の助教と講師の男女計5人に、退職や休日出勤を強要。「結婚△出産×」などの発言で結婚や出産をする女性研究者を非難し、「ポストを空けるため(他大学などに)応募しろ」などと言いました。
これにより、3人が精神的な病気で休み、2人が退職。結果的にはパワハラ教授の狙い通りになっていますね。教授は大学に対し、こうした発言をしたことを認めています。ただし、一部については「指導の範囲」と話しているとのことでした。
実を言うと、この件の処分は当初は退職手当が出る諭旨解雇でした。懲戒解雇よりも論旨解雇の方が軽いものです。ところが、退職願の提出に応じなかったため、懲戒解雇処分に悪化したとされていました。
(
群馬大、パワハラで教授を懲戒解雇 女性研究者に退職強要 | ハフポスト 2014年11月20日 20時25分より)
●楽しみながら社員をうつ病にして退職…推奨していた専門家がいた
パワハラで退職させる…というのは、本当に最悪級に悪質です。群馬大の話じゃないですし、大学の話でもないのですが、病気にさせて辞めさせるという話で、
楽しみながら社員をうつ病自殺に追い込もう!社労士の木全美千男氏のブログが炎上・閉鎖を思い出しました。
国家資格の社労士というのは「適切な労務管理その他労働・社会保険に関する指導を行う専門家」。それなのに、この社労士はなんと「社員をうつ病に罹患(りかん)させる方法」と題した文章をブログに載せてこれを推奨。「自殺に追い込むような主張」だと、他の社労士からも当然のように批判が出ていました。
ただ、このときは結構今回の話と違う部分はあり、この社労士の場合は最初から退職を要求するのではなく、精神的に追い込みまくってボロボロにして、結果的に退職にまで持ち込む…といった感じでした。結局、どっちの人もクズであることは変わりありませんけどね。
●他の教員など群馬大ぐるみでアカハラ加担?学生が大学を訴える
2022/08/21追記:
アカハラ認定受けた医学部生が群馬大学を提訴 前橋地裁に | 上毛新聞社のニュースサイト(2022/8/18)という記事が出ていました。最初に書いてた件と同一かどうかは不明ですけど、医学部で2016年度に必修科目の単位が認定されなかったなど…内容はよく似ており、同一案件のように見えます。
<アカデミックハラスメント(アカハラ)を防げず、学生の健康を守る安全配慮義務に違反したとして、群馬大医学部の男子学生が同大に対し、400万円の損害賠償を求める訴訟を前橋地裁に起こした。
訴状によると、学生は2016年度に必修科目の単位が認定されず、17年度に補講を受けていると担当教授から「参加しなくてよい」とメールで伝えられた。単位は認められず、再試験も認められなかった。
同大の調査委員会はメールや再試験の拒否を19年にアカハラと認定。学生は特例で進級し、その後も受講したが単位を得られず、22年度は休学している>
「16~21年度に他にも人格否定や学習環境を悪化させる言動を複数の教員から複数回受け、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などと診断された」という訴えは、以前なかった話。また、今回は群馬大を訴えたものであり、当初はアカハラ防止の研修をせず、19年以降も漫然と再発させたとの訴えです。
学生は取材に「個々の教員の言動を巡る大学としての対応もおかしいと感じている」と話していたそうです。そもそも最初の報道時点で群馬大は被害者はともかく、加害者のプライバシー保護のためにも「回答を控える」と言っており妙だったので、かなり加害者に味方した対応をしてきた可能性は感じますね。
●評価基準不明…アカハラ教授の独裁授業だけで大量の学生が留年に!
2022/10/26追記:今回のケースは、「アカハラ」にたとえられているだけで実際にアカハラかどうかは微妙かもしれません。ただ、内容が深刻であることは間違いないでしょう。何しろ<学生は「アカハラだ」と悲鳴 群馬大医学部3年生「3分の1が留年」の異常事態>(22/10/23(日) 11:12配信 文春オンライン)という話なのです。
<群馬県前橋市の国立群馬大学医学部で、現在3年生の約3分の1にあたる約40人の学生の留年が決まり、そのうち24人が1人の教員の授業で留年させられていたことが 「週刊文春」 の取材でわかった。学生の間からは「アカハラだ」との声が上がっている。
医学部は1年間の授業の多くを必修科目が占め、必修科目で落第点を取れば進級はできない。さらに群馬大学の場合、翌年は次の学年の授業を取ることができず、落第した科目の単位を取るためだけに1年間大学に通わなければならないという>
https://news.yahoo.co.jp/articles/3115f04f9cc25de555e4a4424bfeb9d3be7f37b7
記事では、多くの教員は、「救済措置」として再試験や補講を課してなるべく留年する学生を少なく抑えようとしているのに、問題となっている服部健司教授(63)の場合、そうした救済措置を取っていないと書いていました。ただ、救済措置の有無は本質ではありません。真に問題点だろうというところは、以下の卒業生の話でわかります。
「教授の授業は、成績評価の基準がよく分からないんです。彼は今年から、3年生が対象の『医系の人間学』の授業で医療をテーマにした即興演劇を取り入れ始めました。毎回の授業後に考察などを書いて提出する『リアクションペーパー』と、学生自身の演劇のパフォーマンスだけで成績が決められ、試験も期末レポートもなしで、8人が単位を落としました。必修科目なので、その8人は事実上留年です。学生たちは『一生懸命演技していた人ほど単位を落とした』と嘆いていました」
「ほかの科目を落とした学生は、レポートを出さなかったりサボったりと、納得できる理由がある」一方で、問題の教授の授業は「みんな『厳しい』と知っているから何よりもまじめに受ける。なのに24人もの学生が明確な理由も分からず留年させられている」といいます。これは納得しづらいです。
現役の学生によると、「授業でも失敗が許されず、わずかなミスを見とがめられて留年させられてしまう」「恐怖で、学生たちは常に萎縮」「シラバスと内容が違い、期末レポートがなく、評価基準も違う」「『俺に逆らう学生は落とすぞ』という高圧的な態度は常にある」といった声が挙がっていました。
ここらへんがアカハラという声が挙がる理由であり、思った以上に普通にアカハラでしたわ。で、後半まで読み進めて驚いたのが、「実はこの服部教授、過去に群馬大学からアカハラを認定されている」という話があったこと。裁判中だともいいます。てっきり別件だと思っていたら、もともとうちで書いていた件と同じ人だったみたいですね…。
「学生に対して『学び取る姿勢を感じられないから補習に参加しなくていい』とメールし、さらに再試験も受けさせなかった。学生は17年度も単位を認められず、精神に不調をきたして休学。大学は2018年度にハラスメント調査委員会を設置し、『補習を受けさせなかったこと』と『再試験を受けさせなかったこと』をアカハラと認定した」(地元記者)
●服部健司教授反論「生徒がシラバス読んでいない」 大学側も納得か
2023/02/22追記:
群馬大医学部が「アカハラ大量留年」問題に救済措置 担当教授の「教員としては困難」“釈明音声”入手 | 文春オンライン(2023年2月21日)という続報が登場。ここでは、現在3年目の学生の約3分の1にあたる約40人の学生がこれまでの2年半で留年が決まっていたという話がありました。ただ、このすべてが留年教授のせいではありません。
私がいた大学では留年比率がもっと高い学科もあり、約3分の1の留年がただちに問題かどうかは微妙なところ。ただ、約40人のうち24人が1人の教員の授業で落第させられていた…というのはやはり異常でしょう。1年生向けの『医の倫理学』と1~3年生向けの『医系の人間学』という必修授業を受け持つ、服部健司教授の問題が大きそうでした。
・ある学生「服部教授は授業で学生に発言を求めますが自ら手を挙げる人はいません。変に目をつけらて留年させられることにおびえているからです。当てられやすい席とそうでない席があるので、学生たちは授業中に詰められることを恐れて、授業の前は1限目が始まる前から席取りをしています。活発な議論なんてありません」
文春が報じたことが効いたのか、やっと大学側も対応へ。2023年2月10日になってようやく医学科長が3年生向けに説明会を開いたそうです。今年度の前期に『医系の人間学』を落とした学生に限り、3月に補習を行う救済措置を行うと発表し、問題の服部健司教授は『医系の人間学』の担当から外れると明らかに。ただ、これがまた怒りを買います。
・ある学生「結果として救済されるのは、今年度の前期に『医系の人間学』を落とした3年生8人だけ。その授業だけ『フィードバックが不十分だった』などと大学の落ち度を認めましたが、1、2年次に服部先生の授業を落とした人や、今年の1、2年生に対しては救済なし。不公平感が募り説明会は紛糾しました」
群馬大医学部は、一部救済措置を認めたのは「カリキュラム導入の過渡期」や「全国的にみて新たな授業内容であったこと」などが理由と説明。一方、救済しなかった科目については、「科目責任者が恣意的に評価を決定できるものではありません」と回答。わかりづらい言い方ですけど、他の学生は誰が見ても落第で問題ないって意味かもしれません。
記事タイトルになっていた<「教員としては困難」“釈明音声”>というのは、服部健司教授の説明に由来。試験の答案に『これで採点ができるのか』など書き込みがあり、服部健司教授はまずこれを落書きと判断。その上で「落書き」について「教員としては困難を感じております」と説明したことを言っています。
これもかなりわかりづらい言い方で解釈に困るところ。答案に「落書き」があるようなものを、教員としては評価しようがないというニュアンスでしょうか。服部健司教授は批判するような生徒に限って「シラバスに書いた評価基準をあまり読んでくれていない」ともしており、大学側もこの説明に説得力を感じたのかもしれません。
【本文中でリンクした投稿】
■
楽しみながら社員をうつ病自殺に追い込もう!社労士の木全美千男氏のブログが炎上・閉鎖【関連投稿】
■
早稲田大学のパワハラ・セクハラ懲戒処分 でもそれ暴行じゃ?という事件も ■
名古屋大セクハラ防止クッキー効かず? パワハラ・アカハラも発生 ■
アカハラセクハラで停職6ヶ月は重すぎ 鳥取大教授が提訴した結果 ■
千葉大学でアカハラ 単位の足りない学生に融通で処分は気の毒? ■
生酒AWANAMAの新潟薬科大学、寺田弘学長の退職パワハラで准教授に提訴される ■
学校・教育・子どもについての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|