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日本がシェールガス革命の利益を享受できない理由 スイッチングコストの問題


 この前のシェールガスブーム、環境破壊と天然ガス資源の無駄遣いを促進で、最近日本の記事ではシェールガスの話がないと書いたんですけどありました。
日本は「シェールガス革命」の恩恵を受けることができない?スイッチングコストが高い代替品の限界
尾崎 弘之 2013年2月13日 日経ビジネスオンライン

 これまで日本は、価格はともかく安定的に調達できる長期契約をガスの産出国と結んできた。従って、天然ガス市場が世界的に軟化しているのに、日本はそのメリットを享受できず、米国市場と比較して最大5倍も割高なLNGを購入している。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130208/243480/?mlp&rt=nocnt

 長期契約になりやすい理由はシェールガス価格の誤解 アメリカは安いのに日本は高いと言う人は馬鹿でも出てきました。

 天然ガス設備があまりにもバカ高いため、長期契約にしてきちんと元を取れる状態にしないと、生産者が投資しないといった理由でした。

 ただ、これは消費者にとってもメリットがあるでしょうね。安定して供給を受けられます。

 また、過去のデータを見ると、日本の天然ガス価格はそれほど高いように見えませんでした。むしろ今までは他国よりうまくやっていた感じすらあります。


 しかし、シェールガスというものが登場して、事情が変わってきました。
 今まで日本に在来型天然ガスを輸出してきたカタール、マレーシアなどはシェールガスという代替品に脅かされ、ガスの買い手である日本の交渉力は強くなりそうだが、実際はそうなっていない。日本が長期購入契約を結んでいる天然ガスは原油価格に連動しており、天然ガス市場が割安になっている恩恵をあまり受けていないのだ。

 パッとしか書いていませんけど、以下のような感じじゃないでしょうか?

 まず、買い手だったアメリカが天然ガスがいらなくなりました。

 しかし、そうなると今までにアメリカに天然ガスを売っていた国は困ります。

 そこで新たなところに売り出そう……という動きが実際起こっており、そうなると買い手の立場が強くなり、競争でコストが下がって良いはず……ということじゃないかと。


 でも、日本は恩恵を受けられていないということです。その理由としては、以下のような説明がありました。 
 どうして、このようなことが起きるのか? この問題を考えるには、経済学の「スイッチングコスト」という概念がカギになる。

(中略)代替品とは、今ある商品と同じ程度の機能を違った形で提供するものである。シェールガスは在来型天然ガスと成分はほぼ同じなので、代替品となる。

 代替品に換えることで価格が下がれば、ユーザーが乗り換えるインセンティブが高まるが、単に価格が下がるだけでは、ユーザーは乗り換えるとは限らない。

 例えば、現在使っている商品を代替品に換えると、いろいろな不都合が起きる場合だ。「代替品導入のために追加投資を行わなければならない」「予想外のトラブルが起きる」「業務フローが不安定になる」などの弊害が生じることは珍しくない。このように代替品に置き換えることによって負担しなければならない有形無形のコストを、「スイッチングコスト」と呼ぶ。

 スイッチングコストが高い状態とは、商品やサービスの利用者が安価な代替品に切り換えようと思っても、なかなか換えられないことを意味する。例えば、銀行のATMシステムには高度のセキュリティーと安定性が要求されるので、システムの変更自体が難しい。従って、価格が高くてサービスが悪いシステムでも、顧客の銀行は我慢しながら使い続ける羽目になる。

 日本が市場で安価な天然ガスを調達できないのは、購入先を変更する際のスイッチングコストが高く、仕入れ先を分散させて調達リスクを下げることが困難なためである。

 電力会社の悪巧みだと簡単に説明しちゃうジャーナリストもいらっしゃいますけど、現実はもっと複雑なんですね。

 過去にも何度も出てきている、天然ガスではポイントとなるパイプライン。これも日本のスイッチングコストに関わります。

 シェールガス価格の誤解 アメリカは安いのに日本は高いと言う人は馬鹿とややかぶるところで、最初にもさっと書きましたがそのままどうぞ。
 現在のガスの仕入れ先を値段が高いという理由で変更しようと思えば、新しい仕入れ先からすぐにガスを輸入できる体制になっていなければならない。ところが、日本には外国からガス用のパイプラインが敷かれておらず、自由に売り手を選ぶことができない。

 パイプラインがあれば、ガスを、気体のまま加工せずに生産地から消費地まで運ぶことができるが、島国の日本は、ガス生産国とパイプラインでつながっていない。そこで、やむなく液体のLNGに加工している。LNGは、ガスを低温(約マイナス162℃)で液体化して体積を600分の1まで圧縮したもので、タンカーに積んで運搬されている。

 LNGを輸入しようと思えば、天然ガスをLNGに加工する設備を生産国の港湾に設置し、LNG輸送用の特殊タンカー(巨大な魔法ビンのようなもの)を用意しなければならない。結果的にパイプライン輸送と比べてコスト高となり、買い手は売り手を柔軟に変えることができないのだ。

 これに対して、同じくガス輸入大国のドイツは、ロシア、ウクライナ、ノルウェー、英国、北アフリカなど多くのガス産出国とパイプラインでつながっており、安い売り手を選ぶことができる。ドイツが天然ガスを購入する場合のスイッチングコストは日本より低く、仕入先のリスクが分散できているのだ。

 ロシアは日本へのパイプラインを作ろう(と言うか日本に作らせよう)と虎視眈々です。

 記事ではロシアだけでなく韓国という名前も出てきましたが、私は初耳でした。
天然ガスは効率的なエネルギーだが、LNG輸入しかできない日本にとって、ガス産出国と交渉するうえでの地理的、設備的制約が大きい。そうであれば、経済的に非効率でも、次のような対応が必要になる。

1.リスクを負って産ガス国の権益に投資をする
2.米国だけでなくロシアも含めて調達先を多様化する
3.ロシア、韓国とパイプラインを敷設する

 このうち、「1.リスクを負って産ガス国の権益に投資をする」はこういうことのようです。
海外から単にガスを輸入するのではなく、生産国のガス田の権益に投資することが行われている。スイッチングコストを下げることは困難なので、ガス田から得られる利益によって、高い買い物のコストを国全体として相殺するという戦略である。

 実際に日本企業もこれにチャレンジしていますが、過去に書いたようにどうやらアメリカではシェールガスの生産者はあまり儲かっていないようなので、そううまく行くのかな?と心配しています。


 関連
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