2013/3/8:
●すごい日本企業だと思ったらブラック企業だった…が多すぎる
●ユニクロもブラック企業?うつ病などで離職率5割の高い数字
●「上限240時間」があるためにサービス残業をするしかない
●店長が「名ばかり管理職」なのは間違いなくユニクロが悪い
2013/10/19:
●裁判所がユニクロをブラック企業認定 サービス残業は「真実」
●「重要部分は真実」の中身がヤバイ 労働時間月300時間超えの異常性
●ユニクロ「仕事が終わらないと午前0時や朝3時まで働く」は虚偽!
●すごい日本企業だと思ったらブラック企業だった…が多すぎる
2013/3/8:うーん、お客にとって良い企業と、そこで働いている人にとって良い企業ってのは全然違うものなのかもしれませんね。
海外の反応 日本はチップがなくても大丈夫なの?と信じられないで出てきたように、日本の接客レベルは高いですし、価値のある製品を届けてくれる企業も多いです。しかし、私がむしろ好感を持っていた企業が、職場環境が良くないという例が結構あります。
また、社員がすごく楽しく働いているように見える企業が、実はそういう状態にマインドコントロールされているだけという例もあります。そういう例を続けて見ているうちに思ったのですが、消費者にとって良いサービス・製品というのは、ひょっとしたら労働者にしわ寄せを与えることで維持できているものなんじゃないか?ということです。
日本とドイツの労働環境の違い 残業、有給休暇、労働時間、病欠の扱いなどなどで見えてくるように、日本は海外から製品・サービスで喝采を浴びる一方、労働環境が先進国としては遅れた国だと認識されています。残念ながら日本企業の素晴らしさは、ブラック労働の上に成り立っているという美しくないものなのかもしれません。
●ユニクロもブラック企業?うつ病などで離職率5割の高い数字
で、今日は世界的な大企業のユニクロの話。職場環境で言えば、海外では到底許されないでしょうから、日本限定の話なんですかね。
不思議なのですけど、
ユニクロ 疲弊する職場 サービス残業が常態化、うつ病の罹患率も高い(風間 直樹 :東洋経済 記者 2013年03月04日 東洋経済)によると、この数年間、ユニクロの新卒社員の3年内離職率は実に5割前後で推移しているといいます。これは、数百人単位で新卒社員を採用する大企業としては、極めて異例の高水準だとのこと。元社員は以下のように語っています。
元社員(20代女性、以下Aさん)
「日曜日は毎週徹夜でしたね。店を閉めてから、朝までレイアウトの作業計画を作っていました」
「最初に配属された大型店のときはそうでもなかったが、社員数の少ない小型店では、毎日14時間拘束が普通だった」
元社員(20代女性、以下Bさん)
「とにかくマニュアルを覚えることと、大量の業務に追われていた。ひたすら品出し(陳列作業)と商品整理の毎日だった」
「長いときは、開店から閉店業務までずっと店舗にいる。それは正社員ならザラですね」
3年内離職率は本来同業他社と比較すべきだと思ったのですけど、ユニクロは多くのアパレルとは異なり、在庫があるかぎり、商品は全色・全サイズを店頭に並べているため、「店舗での作業量はほかのアパレルとはまったく異なる多さ」と、元店長(20代男性、以下Cさん)は断言していました。
●「上限240時間」があるためにサービス残業をするしかない
こんなんで残業時間は?と思いますが、当然サービス残業です。しかし、以下を見ると一応会社が推奨している感じではないですね。
同社は現在、社員の月間労働時間を最長240時間と定めている。これは月80時間程度の残業を前提にした数字だ。「上限240時間」は、繁忙期だろうと新店オープンだろうと絶対破ってはならない「鉄の掟」とされている。
社員の間でも、もしこの上限を超過したら出勤停止処分となり、厳しく指導されると認識されている。現役店長のDさんは、昨年の12月、1日12時間で23日間勤務し、276時間ほど働いたという。Dさんは、「そのまま報告すれば、出勤停止となり降格処分も受けかねないので、240時間内で打刻している。残りはサービス残業だ」と打ち明ける。
ユニクロが文芸春秋との訴訟で裁判所に提出した、2010年11月の全店長の月間労働時間一覧(下画像参照)によれば、新人店長の労働時間は、ほぼ240時間の上限ギリギリだ。
(中略)ただ同社では、サービス残業も厳しく禁じられている。サービス残業が発覚した場合には、降格、店長資格剥奪など人事による懲戒処分が行われる。実際、長期間にわたりサービス残業を強要・黙認していた店長には退職勧奨が行われた。
仕事は多いが、残業には上限があるため、ユニクロが悪いという感じです。ノルマに無理があるってことなんでしょうね。確かに会社が事実上のサービス残業を要求するということはあり得ます。
●店長が「名ばかり管理職」なのは間違いなくユニクロが悪い
上記はまだユニクロが率先してサービス残業をやらせていると確定する話ではありません。ただ、そもそも店長が残業だらけって時点でおかしな話で、"いわゆる「名ばかり管理職」である疑いが消せない"という点は絶対におかしいです。
内容的には管理職(厳密には「管理監督者」)ではないので、きちんと残業代を支払わねばなりません。
Wikipediaの「管理職と管理監督者の違い」には、以下のような説明があります。
"労働基準法41条2号所定の管理監督者には残業手当を支給しなくてもよい(義務づけられていない)ことになっているが、この管理監督者は本項で解説している管理職とは全く異なる概念であり、厚生労働省の通達で「経営者と一体的な立場」「出退勤の自由」「地位にふさわしい待遇」などの条件を満たすものとされている。しかしながら、社内の職制に過ぎない「課長」などの職を「管理監督者」扱いとし、残業手当ての支給を免れようとする企業が多く、2006年の調査では7割の企業で「出退勤の自由」を持たない課長が残業代を支給されていなかった。後述の「名ばかり管理職」問題を受け、2008年に通達「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について」が出され、小売店舗等における管理監督者の範囲が明確化された"
ユニクロの場合「管理業務と現場業務の比率は大体4対6で、現場業務のほうが大きい」ということで、少なくとも店長の管理監督者扱いはやめるべきでしょう。
●裁判所がユニクロをブラック企業認定 サービス残業は「真実」
2013/10/19:などといった話をかいていたのですが、裁判でブラック企業確定と考えられるような判決が出てしまいました。まだ、地裁なので控訴するのでは?と思いますが、ユニクロにとってはたいへんな判決。
「過酷労働」記事、ユニクロが敗訴 東京地裁判決 2013/10/18 19:05 日経新聞/http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013101800768などの記事が出ています。
<従業員に過酷な労働をさせているとの週刊誌の記事などで名誉を傷つけられたとして、「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングなど2社が、文芸春秋に計2億2千万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁(土田昭彦裁判長)は18日、ユニクロ側の請求を退けた。
問題となったのは、2011年3月発行の書籍「
ユニクロ帝国の光と影」と「週刊文春」の10年5月6.13日合併号。ユニクロの店長らが過酷な労働環境にあり、中国の工場では低賃金・長時間の過重労働が行われているなどと記載した。
判決は「
取材した店長の話は具体的で、記事の重要部分は真実と認められる」と判断。中国の工場についても「
記者の取材内容や経緯から真実と判断する相当な理由がある」とした>
●「重要部分は真実」の中身がヤバイ 労働時間月300時間超えの異常性
日本の店長に関しては「重要部分は真実」、中国に関してはもう少し弱い「真実と判断する理由がある」といったもの。デタラメ書いている文藝春秋を提訴してぶちのめす……はずが、まさかの事実認定。ユニクロにとってはとんだ藪蛇となりました。
日経新聞では詳しく書いていませんけど、「ユニクロの店長らが過酷な労働環境にあり」の内容がヤバいものなんですよね。<時事ドットコム:ユニクロの名誉毀損認めず=サービス残業は「真実」-東京地裁>(2013/10/18-17:41)では、以下のように書いていました。
<現役店長らの話として、ユニクロでは店長がタイムカードを押していったん
退社したように装い、その後サービス残業をしていると記載。
労働時間は月300時間を超え、会社側も黙認していると指摘した。
判決で土田裁判長は、「
取材に応じた現役店長の話は具体的で、信用性は高い」と判断した>
この300時間について少し考えてみます。何でも年間所定労働時間というものがあるそうで、12ヶ月で割ってみると173時間相当とのこと。これを当てはめると、労働時間300時間での残業相当は127時間。三六協定の限度時間を目安として見ると、1ヶ月で45時間ですから、127時間はとんでもなく多い数字です(3ヶ月なら120時間)。
この300時間はおそらく公にできるような数字ではなく、サービス残業なしじゃやって行けないでしょうから、サービス残業も認定されたに等しいのではないかと思われます。
●ユニクロ「仕事が終わらないと午前0時や朝3時まで働く」は虚偽!
前半の話でもサービス残業があることはほぼ確定って報道が出ていましたが、建前としては店長が勝手にやっていて、ユニクロ側は厳しく取り締まっているってものですからね。「黙認している」なんてことの書かれたものを「重要部分は真実」なんて言われては、堪ったものではないでしょう。
ただ、一応ポイントとなっているのは「月300時間」の方だったようなので、裁判所の言う「重要部分」もこちらかもしれませんね。
名誉毀損訴訟:ユニクロが文春に敗訴 東京地裁 毎日新聞 2013年10月18日 20時22分だと、以下のような書き方でした。
<土田昭彦裁判長は「内容は真実と認めるのが相当」などと述べた。(中略)ユニクロ側は▽「仕事が終わらないと午前0時や朝3時まで働く」との中国人従業員の証言▽「月300時間以上働いていた」とする国内店舗の店長の証言−−などについて虚偽と主張。だが、判決は「具体的で信用性は高い」などとして退けた>
黙認があったにせよなかったにせよ、ユニクロは「月300時間」の部分を特に挙げたのですから、真実だと認められると都合の悪い部分だったのでしょう。やはりブラック企業と認定された判決と言って良さそうです。この部分は以下の記事の書き方が一番具体的でわかりやすかったかもしれません。
<判決理由で土田昭彦裁判長は「
『月300時間以上、働いている』と本で証言した店長の話の信用性は高く、国内店に関する重要な部分は真実」と指摘。(共同)>
(
文春の過酷労働の記事、ユニクロ全面敗訴 - 社会ニュース : nikkansports.com [2013年10月18日20時31分]より)
最初にも書いたように、まだ地裁なので高裁に控訴の上逆転勝訴というのも十分あり得るとは思いますが、本当えらいことになってしまいましたね。今後どうなるのやら?
2021/03/24追記:結局、その後、そのまま判決が確定しています。<2014年3月26日には、控訴審である東京高等裁判所においても、一審判決を維持。ユニクロ側の控訴を棄却する判決を言い渡している。さらに同年12月9日付で最高裁判所第三小法廷(大橋正春裁判長)は、ユニクロ側の上告を退ける決定を下した。これにより東京高裁判決が確定した>(
ユニクロ - Wikipediaより)
【本文中でリンクした投稿】
■
海外の反応 日本はチップがなくても大丈夫なの?と信じられない ■
日本とドイツの労働環境の違い 残業、有給休暇、労働時間、病欠の扱いなど ■
裁判所がユニクロをブラック企業認定 サービス残業は「真実」【関連投稿】
■
ブラック企業批判のユニクロの報道されない暴力事件 裁判で認定済み ■
裁判所がユニクロをブラック企業認定 サービス残業は「真実」 ■
ユニクロへの就職 日本人には向かない企業・今の若者には難しい ■
ユニクロ柳井正会長、ブラック企業認定に反論「甘やかして、世界で勝てるのか」 ■
ブラック企業大賞2013にユニクロがノミネートされていない理由 ■
企業・会社・組織についての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|