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世界シェア7割!フェローテックHDの半導体関連の真空シール


●世界シェア7割!フェローテックHDの半導体関連の真空シール

2021/04/12:製造業の凋落が目立つ日本ですが、ニッチな分野で名の知れていない企業では、まだまだすごい企業があります。東京証券取引所JASDAQ市場上場で、東京都中央区日本橋に本社を置くフェローテックホールディングスはそういった企業のひとつ。半導体製造装置向けの真空シールは米航空宇宙局(NASA)発の技術を応用し、7割弱の世界シェアを誇るそうです。

 …と書いてしまってから、フェローテックホールディングス - Wikipediaの沿革をよく見てみると、もともとはアメリカ系企業だったみたいですね。今はクボタなどが持っていて日本企業と言って良さそうなのですけど…。

1980年(昭和55年)9月 - フェローフルイディクス社(現‐Ferrotec USA Corporation)が東京都港区に日本フルイディクス株式会社を設立
1988年(昭和62年)4月 - 久保田鉄工株式会社(引用者注:現在のクボタ)等が、フェローフルイディクス社より、当社全株式を譲受
1995年(平成7年)10月 - 商号を株式会社フェローテックに変更
1996年(平成8年)10月 - 株式を日本証券業協会に店頭登録
1999年(平成11年)11月 - フェローフルイディクス社を株式公開買付により買収
2004年(平成16年)12月 - 店頭登録を取消し、ジャスダック証券取引所に上場
2017年(平成29年)4月 - 製造及び営業事業を株式会社フェローテックへ承継し、株式会社フェローテックホールディングスへ社名変更


●以前は太陽電池事業が主力だったものの不振で撤退、半導体関連へ

 世界シェア7割という話があったのは、2017年10月24日のフェローテク、中国でつなぐ半導体スーパーサイクル: 日本経済新聞という記事。ここでは「フェローテク」と略していますね。記事そのものは、<そのフェローテクが今、投資を積極化させ事業の柱に育成しようとしているのが、中国での半導体ウエハー事業だ>という話ですが、ここで当時の収益構造が出ているため、どのような会社なのかわかりやすくなっていました。

<同社の2018年3月期の連結決算は前期比44%増の82億円と、7年ぶりに営業最高益を更新する見通し。売上高の半分近くを占める稼ぎ頭が、半導体や有機ELを作る際に使う装置関連の部材だ。その中には、石英やセラミックス製品に加え、高い世界シェアを誇る真空シールも含まれている。その他、16%の売上高構成比を持つ「サーモモジュール」も好調。電気の流れる向きで素子の温度を変える素材で、自動車の座席などに使われるが、最近では5G投資を活性化させている通信業界向けの伸びが著しい。
 一方で不振なのが、残りの売上高の多くを占める太陽電池事業だ。11年3月期には全体の営業利益の35%、24億円を稼ぐ存在だったが、中国メーカーの相次ぐ増産で需給バランスが崩れ、価格が暴落。13年3月期は39億円の営業赤字に転落した。その後も5期連続で営業赤字が続いている。19年3月期をメドに中国にある5つの販売子会社を整理する方向だ>


●米中貿易摩擦は逆にビジネスチャンス!中国重視のフェローテック

 上記も中国の話だったのですけど、その後、日経新聞では、フェローテックの中国重視を不安視する記事が出るようになりました。トランプ政権で日米貿易摩擦のときの日本いじめのような米中貿易摩擦が発生したためでしょう。ただ、フェローテックはノリノリで、<ニュースイッチ by 日刊工業新聞社>の中国のディープな半導体事情をすべて話そう(2019年09月24日)という記事も、読んでみたら中国はイケる!とするインタビュー記事でした。

<中国に主力工場を多く構えるフェローテックホールディングス。同社の関連キーワードを挙げると「米中貿易摩擦」、「浮き沈みの激しい半導体関連企業」、「生産の主力拠点が中国」などだ。最近の経済情勢からすると、キーワードだけではネガティブなイメージを持つかもしれない。しかし、そこに勝機があるとみている。中国進出当初から継続して中国事業を担当している賀賢漢副社長に中国国内の状況と同社の戦略を聞いた>

 米中貿易摩擦の影響について、中国出身の賀賢漢副社長は「主力製造拠点があるからこそ、当社にとっては追い風になっている」と強気。無謀なようにも思えますが、一般論としては理解できる話でもあります。中国自身、嫌がらせのために輸出を止めたら逆効果になった…というのを経験していますからね。その他に以下のようにも言っていました。

「全体的には、中国の国産化が進んでいるが、すべて国産化ができているわけではない。米国企業から他国へ調達を変える動きの中で、中国に製造拠点があり、市場に入り込んでいる当社に多くの引き合いがきている」
「さらに中国でチャンスがあるのは、民生家電品や自動車関係で使用されるパワー半導体用のセラミックス基板だ。中国国内で約90パーセントのシェアを占める。一番の競合企業は米国資本の会社だが、顧客の米国離れがが加速すれば、さらに受注が伸びると予想する。中期的にはセラミックスだけでなく、窒化ケイ素基板の量産化も計画している」


●中国傾斜はハイリスクなギャンブルでは?賀賢漢副社長の考えは…

 一応フェローテックHDは、中国の半導体関連一点賭けのギャンブルではない模様。まず、中国では、半導体以外でも「世界でトップシェアを持つサーモモジュールが通信機器や医療機器や自動車関連で使用されているとのこと。中国が先行していると言われている5G(第5世代通信)関連では、中国大手通信メーカーの通信機器の9割以上にフェローテックのサーモモジュールが搭載されているそうです。

 また、日本でも中心となる工場がある他、「現在は中国市場に特化した事業だが、今後は中国外のアジアやヨーロッパなどでの展開も検討中だ。シリコンウエハーも増産に伴い、中国だけでなく世界的に販売を強化する」としていました。ちょっとギャンブルで危うい匂いはするものの、多少リスク分散についても考えられているようです。

 それから、賀賢漢副社長がわかってるな!と思ったのが、「既存のビジネスに固執している会社は成長しない」としていたこと。以前は太陽電池事業が主力だったものの不振で変更したというのがまさにそれですね。ちょっとギャンブラーな感じは心配ではあるものの、一般論で言うと、主力を変えられる企業の方が良いため、大事なところは理解している感じです。


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