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日本はもう製造業・ものづくりの国ではない 人件費が高いも嘘でアメリカなどより安い


 日本の製造業の話をまとめ。<日本は人件費が高い…は嘘 アメリカなど他の先進国より安い>、<日本はもう製造業・ものづくりの国ではない その理由とは?>、<製造業に未来はない 年々雇用を生まなくなる製造業に期待はできない>、<現代の製造業はあまり人を必要としない…という不都合な真実>、<自動車、製鉄、電機…「日本製」製造業が全部終わる…って本当?>などをまとめています。

7~10番目にまとめ
2022/08/01まとめ:
●製造業に未来はない 年々雇用を生まなくなる製造業に期待はできない 【NEW】


●日本は人件費が高い…は嘘 アメリカなど他の先進国より安い

2013/3/15:以前、"失業率と有効求人倍率、既に改善に転換 雇用状況は今後好転するかも"(その後、有効求人倍率が上がったのがアベノミクスのおかげも嘘 理由は?にまとめ)で書いたように、民主党政権時代の時点ですでに、景気回復の兆しは出ていました。

 その投稿で使った失業率も有効求人倍率も改善、雇用は好転へ 将来的には女性の就業率向上が鍵(2013年2月5日 出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役社長] ダイヤモンド・オンライン)では、人件費に関するデータもあったのですが、これが意外。先進国としては非常に低い国というデータになっていました。

<生産労働者(製造業)の時間当たり労働費用>(アメリカを100とした場合、2009年)
ドイツ 138.7
フランス 119.5
アメリカ 100
英国 91.8
日本  90.6


●台湾や中国のような新興国と比較した場合はどうなるか?

 上記のデータを見ると、人件費が高いから日本の製造業企業は苦戦している…という説明は難しいと感じます。ただ、新興国相手なら人件費の言い訳がまだまだ使えるでしょう。以下のようにやはり新興国の方が圧倒的に安いようです。中国のデータはないそうですが、台湾が参考になりますし、圧倒的に安いのは間違いないと思われます。

<生産労働者(製造業)の時間当たり労働費用>(アメリカを100とした場合、2009年)
台湾23.1
韓国42.4
シンガポール52.2
フィリピン4.5(誤記?)
ブラジル24.8
メキシコ16.1


●日本はもう製造業・ものづくりの国ではない その理由とは?

 他におもしろかったのが、日本の産業別の労働人口。面倒なので上位5つだけ引用すると、以下のようになります。記事では、<長年、わが国の経済を支えてきた製造業は、スーパーやコンビニ等の卸売業・小売業に抜かれて、今や全就業者数の16%を占めるに過ぎない>と指摘していました。

産業別      就業者数 占率 対前年比
卸売業、小売業  1042万人 17% -15万人
製造業      1032万人 16% -17万人
医療、福祉    706万人  11%  28万人
建設業      503万人  8%  1万人
その他サービス業 462万人  7%  5万人

 製造業は以前から少なかったわけではなく、ピークの1992年10月には1603万人もいました。製造業の就業者は、直近の2012年12月には998万人と、1961年6月以来、約50年ぶりに1000万人の大台を割り込んでしまったということで、以前より大幅に減っているということは間違いないようです。

 データは単年度だけですけど、傾向が変わっていなければ、製造業は減少傾向ということです。働いている人の数で言えば、「日本はもはや製造業・ものづくりの国ではない」と言えそうです。

 ただ、1位の卸売業、小売業も減っていますので、ここは複数年でのデータが見たいところ。きちんと増えているのは、医療、福祉ですね。逆転するにはまだまだ時間がかかりそうですけど、時代の流れを感じさせるおもしろいデータでした。


●製造業が国内に留まれば、本当に雇用は確保されるのか?

2011/11/20、2021/01/09:同じ製造業と雇用に関する「幻想」「誤解」の話として、最初に「工場の海外移阻止!でも製造業が国内に留まって雇用は確保される?」や「円高と国内雇用と海外進出 新製品と新産業」というタイトルで書いていた話を加えました。

 ダイヤモンド・オンラインで2011年10月20日、円高対策=海外進出は、本当に“対策”か ――神戸大学大学院経営学研究科教授 加登 豊と、製造業が国内に留まっても、雇用は減少する 2011年10月20日  野口悠紀雄という記事が同時に掲載。お互いに相反する内容かな、比較するとおもしろいかも?と思って読んでみたところ、私が思った内容とどちらも異なるものでした。

 とりあえず、「製造業が国内に留まっても、雇用は減少する」の方から紹介。タイトルから私の想像したのとは違い、特に海外進出を勧めているというわけではなく、観点としては国内の雇用を増やすにはどうすれば良いかというところのようです。

・確かに、海外移転が進めば国内の空洞化が進み、国内雇用は減少するだろう。しかし、裏命題である「製造業が国内に留まれば、雇用は確保される」と言えるかどうか。
・形式論理学によれば、裏命題と逆命題は等価であり、元の命題が正しくても逆命題が正しいとは限らない。したがって、「海外移転が進めば国内雇用は減少する」ことが正しいとしても、「海外移転が進まなければ、国内雇用は減少しない」ことは、論理的には保証されない。

(2019/06/06追記:なお、その後読んだ分析によると、「海外移転が進めば国内の空洞化が進み、国内雇用は減少する」も事実ではない可能性があります。海外移転する企業ほど国内で雇用を生み出しており、海外移転しない企業はむしろ雇用の増加に大きく寄与していませんでした)


●輸出が増え生産が増えれば雇用も増える…というのは嘘だった!

 興味深い指摘だと思ったのが、工場における生産と雇用の関係でした。輸出が増え生産が増えれば雇用も増える…と思いきや、実際には全く逆に人員削減が行われていたのです。国内工場の活性化が、直接雇用の増加に結びつくとは考えづらいようです。

・鉱工業生産指数の推移を見ると、生産は1991年までは傾向的に増加したことがわかる。その後は増加傾向・減少傾向ともに言えず、周期的に変動するようになった。
・一方、雇用は92年以降傾向的に減少している。2005年以降、輸出主導の経済成長が実現し、鉱工業生産指数が増加に転じた期間でさえ、製造業の雇用は減少を続けていた。
・雇用を減少させながら生産増が実現できた可能性の一つは長時間労働だが、この時期は増えていない。
・したがって、雇用を減少させながら生産増が実現できたのは、製造業が過剰雇用を抱えていたためだと考えられる。だから、雇用を減らしても、過剰雇用が減るだけで、生産が減ることはなかった。
・雇用調整助成金の申請数は200万件近くになっており、過剰雇用は続いている。


●雇用増大のためにすべきなのは、製造業海外移転阻止ではない

 また、輸出ブームによって生じた利益は、従業員には分配されず企業の利益だけ増やしたこともわかっているとされていました。

・2002年頃まで従業員給与は付加価値の55%程度で一定だったのが、輸出主導成長が始まってから下がり、07年度には41.7%にまで低下。福利厚生費も減っている。
・一方営業純益は、付加価値の10%程度だったのが、07年度には21.7%まであがった。

 このため、製造業が海外移転しなくとも、国内雇用は確保されないと考えられます。なぜなら、雇用調整助成金の申請状況からも見られるように、製造業はいまだに大量の過剰雇用を抱えているため、雇用削減を続けると考えられるためとされていました。

 なので、仮に製造業の海外移転が阻止できたとしても、雇用問題が解決されるわけではありません。雇用増大のためには、新しい産業を創出すること以外に方法はないともされていました。製造業には期待できないというのです。これはもともとこのページで書いていた、この後にある2014年の話からもわかります。


●製造業に未来はない 年々雇用を生まなくなる製造業に期待はできない

2014/10/13:「製造業に未来はない」と言うと、ちょっと大げさなのですけど、工場の海外移転を阻止して日本の雇用を増やす…みたいな役割は、製造業に期待できないという話です。この雇用の増えなさは、うちでは同じような話を何度かやっている「技術の進歩が雇用を奪う」という話と関係してきます。

 ロボットがサッカーで勝つ未来 製造業からは雇用は生まれない|金融市場異論百出|ダイヤモンド・オンライン(加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長] 2014年8月5日)では、「円安になって工場の海外移転が低調になって良かった」という声があるものの、雇用改善効果としてはあまり意味がないと指摘しています。

 「円安になって工場の海外移転が低調になって良かった」も実は間違いと指摘されていますが、とりあえず、今回は雇用にしぼった話。例えば、経済学者のローレンス・サマーズさんは、2009年に米政府が自動車業界を救済したことは正しい判断だったとは言えるものの、長期的には政府が製造業の雇用機会を守ることは不可能だと語ったそうです。

「機械化による農業での大幅な生産性向上により、米国は世界に食料を供給できるようになった。しかし、農業従事者数は大幅に減ったままだ。農業で起きたことが、製造業で起き始めている。ロボット、3Dプリンタによる生産性向上は製造業の雇用者数を世界的に減少させる。米国の未来の雇用は、製造業にはない」

 マサチューセッツ工科大学のブリニョルフソンさんとマカフィーさん、ニューヨーク大学のスペンス(ノーベル賞受賞者)さんらも、「フォーリン・アフェアーズ・リポート」(14年第7号)において、<人工知能、ロボット、3Dプリンタを駆使したオートメーション化潮流は、いずれ途上国の非熟練労働者を直撃する。さらにその動きは、製造業を超えたセクターへ広がりを見せていく>といったことを指摘していたといいます。


●機械やAiが発達しても人間は必要 ※ただし、必要な人間というのは…

 こうなると、ネオ・ラッダイト運動 IT技術や機械の発達が人類から仕事を奪う?)で書いたような「機械に雇用を奪われる、機械を壊せ!」というラッダイト運動に繋がりかねないのですが、この論文では「こういった世界にあって、最も不足し、よって、最も価値ある資源は何だろうか」と、それでも人が必要とされる場面があることを想定しています。

 機械やAiが発達しても人間は必要になる場面…というのは、「普通の労働でもなければ、普通の資本でもなく、新しいアイデアを考案し、技術革新を実現できる人々だ」というもの。ただ、「普通」の人たちには荷が重い話ですので、やはり機械打ち壊し運動みたいな選択肢を好むかもしれません。

 とりあえず、好むと好まざるとに関わらず製造業の雇用が減っていくであろうというのは、予想できます。これは「機械化による農業での大幅な生産性向上」の結果を見てわかるように、未来だけでなく過去もそうだったわけで、一貫した傾向なのです。


●工場の海外移転とは無関係に製造業の雇用は減りまくっていた!

 たとえば、歴史的な円高水準の推移が続いていた頃に書かれた、<(PDF)減少の一途を辿る製造業の雇用 - 富国生命保険>では、"輸出依存度の高い製造業の海外進出が加速"し、"それにより製造業の雇用機会が失われるとの指摘"を否定していました。

 なぜかと言うと、海外進出が加速する前の当時、"既に国内における製造業の就業者は減少傾向を辿り、雇用の受け皿としての存在感は低下してい"たためです。製造業の就業者数は、"92年に1,569万人でピークをつけた後は、国内外の需要が増加した06、07年を除くと毎年減少して"います。

 製造業就業者の減少は就業者数全体の減少とは連動していません。"就業者数全体では97年がピーク"なのです。"経済のサービス化が進展するにつれて、サービス業などの就業者が増加しており、新たな産業の創出や既存産業の拡大により雇用がシフトしていた"ということで、製造業の存在感がもともと薄れていたことがわかります。


●現代の製造業はあまり人を必要としない…という不都合な真実

 一方で、これだけ製造業の就業者が減っている中でも、"国内における生産実績は雇用ほど落ち込んでいる訳ではない"というのも、大きな特徴。目をそらしてしまいたい事実なのですが、現代の製造業では、人間はあまり必要ないんですね。つまり、大きな雇用を生み出さないということになります。

 人が減っているのに生産実績が全然落ちていないというのは、当然、労働生産性の向上が理由です。つまり、"就業者が大幅減となったのは、労働生産性が高まったこと"が理由ということで、テクノロジーの発達が製造業の雇用を奪うという前半指摘された現象が以前から既に現れていたということがわかります。

 今回の話ではありませんでしたけど、「円安によって日本に製造業の生産拠点を呼び戻す」という認識がまず間違っている可能性が濃厚で、現実を無視した根拠のない妄想だと思われます。そして、その「工場の呼び戻し」によって国内の雇用を増やそうというのもまた、当然ながらあまり期待できない話です。


●海外進出やM&Aは対策ではない…本当に必要な対策とは?

2011/11/20、2021/01/09:ここから、<工場の海外移阻止!でも製造業が国内に留まって雇用は確保される?>という投稿で書いていた2011年の話に戻ります。これはもともと海外進出を勧める記事と、勧めない記事がダイヤモンド・オンラインで同時掲載されてるのでは?と思ったのがきっかけでした。

 そのもう一つの記事は、円高対策=海外進出は、本当に“対策”か ――神戸大学大学院経営学研究科教授 加登 豊というもの。ただ、これもまたタイトルで私がイメージしたのと違い、海外に進出するな!というものではなし。海外に進出することではなく、それを通じて得る「価格決定権」が大切であり、目的なんだよという話でした。

・円高で直面する危機を乗り越えるための方策は、多くが指摘するように積極的なM&Aを通じた企業業績の回復と、海外進出による原価・費用低減が主要なものである。
・しかし、だれもが考え実践している円高対応のためのM&Aや海外進出は戦略ではない。
・この二つの対応策に戦略性を付与するには、「価格決定権の再獲得」と「世界市場の日本化」を達成することである。


●他社と変わり映えしないのに「会社が苦しい、なぜだ?」と言う人が多すぎる

 この記事では、「価格決定権の再獲得」の話がメイン。利幅が十分に大きければ、円高によって海外競争企業に対するコスト競争力が相対的に低下しても、まだ満足レベルの利益を享受することができるので、国内にとどまってビジネスを継続することもできるとしていました。ただ、この場合でも海外進出は選択肢としてあるようです。

 また、海外生産で製造原価の低減に成功しても、決して価格の引き下げを行ってはいけないとされていました。海外企業は、二桁の売上高営業利益率(例えば20%)が達成できないのであれば、市場には参入しないし、市場にとどまることはないとされていました。

 さらに、価格決定権獲得チャンスは、新製品開発にある…とされていました。ただ、これはハードルが高いものではあるでしょうね。価格決定権獲得チャンスの新製品開発の基本方針は、「どこにでもある素材や部品を使って、どこにもない製品を開発する」というもの。難しそうなことがわかります。

 他の企業関係の投稿を書いていて思うのは、やっぱりその会社独自のものがあると強い!という当たり前すぎる話です。ただ、逆に他社と変わり映えしないことしかしていないのに「会社が苦しい、なぜだ?」みたいな悩みを言う人も多いですから、思いつかない人も多いことなのかもしれません。


●決して安売りをしてはならない・とにかく利益を大きく…は本当か?

 なお、「どこにでもある素材や部品を使って、どこにもない製品を開発する」のうち、「どこにもない製品」はわかりやすいでしょう。一方で、「どこにでもある素材や部品を使って」というのはちょっと変わっていると思います。これは、供給体制が崩れて供給が滞ることがままあることを意識しているようでした。

 例えば、ある国からの輸入がないと絶対できない製品…というのは不安定で困るってことでしょうね。これらを踏まえた上で「画期的な新製品が開発できたときには、決して安売りをしてはならない」とまた強調。とにかく利益の割合が大きいものを作るようにとしつこくおっしゃっていました。

2019/06/06追記:以上のような話だったのですけど、小売業では利益の割合を低く抑えて他社が参入できないような状態を作り出し結果的に市場を独占することで利益を得る…といった企業の成功例もあります。製造業においても「とにかく利益を大きく」が正しいかどうかは、ちょっと怪しいかもしれません。


●日本の人件費はやっぱり世界有数の高さ?異なるデータがある理由

2022/04/13追記:冒頭部分で日本は人件費は言うほど高くない…という話をやっています。この投稿より前には、逆に「日本の人件費は高い」という記事も紹介していたのでこちらもまとめ。異なる結果となっていますが、この理由は後で考えることにして、とりあえず、そのまま紹介します。

1位チューリッヒ(スイス)563万円
2位コペンハーゲン(デンマーク)533万円
3位ニューヨーク(アメリカ)500万円
4位オスロ(ノルウェー)423万円
5位ルクセンブルク393万円
(7位日本380万円)

<明治大学国際日本学部の鈴木賢志准教授が、スイスの大手金融機関UBSが作成した調査レポート「Prices and Earnings」2009年版を日本視点で再計算し公表したデータによると、東京の平均は、税引き前で380万円。世界的に見ると60カ国中7位だった(中略)
 上位は一見して北欧が多いが、北欧には税金が高い国も多い。そこで税引き後の年収で見たところ、東京 は307万円で5位という結果に。たしかに世界的に見て日本の賃金は高いようだ>
(日本の人件費はどれくらい高い?- R25(2012年2月25日11時00分)より)

 異なる結果となったのは上記が年収そのままのデータなためでしょう。「言うほど高くない」のデータは、「時間当たり労働費用」での比較でした。1時間あたりだと高くなるのは、日本の労働生産性が低いためでしょう。日本は人件費の安い中国よりも自動化が進んでいない…という分析も出ています。


●日本が世界より悪いところだらけなのは、逆にポジティブ要素?

 上記のように先進国同士の比較では見解が分かれたものの、日本の海外進出している生産拠点の国々の人件費が安いという結論はもちろん同じです。以下は、特に日本が好んで海外進出している国の人件費のデータを紹介したもの。当然比較にならないほど日本より人件費が安くなっています。

28位ソウル(韓国)181万円
30位シンガポール145万円
49位上海(中国)74万円
58位ジャカルタ(インドネシア)34万円
<経済産業省「海外事業活動基本調査」2009年版によると、日本企業の海外現地法人の数は、北米 15.8%、中国30.0%、ASEAN4(タイ、フィリピン、インドネシア、マレーシア)が16.2%、NIEs3(シンガポール、台湾、韓国)が 11.7%とのこと>

 なお、記事では、残念ながら「賃金水準の高さ=暮らしの豊かさ」というわけではないとも指摘していたんですよね。加えて言えば、日本は特に物価も高いことが問題になるとしていました。「前出のデータによると、東京の食料の値段は世界1位、賃料を含む一般的な物価水準は世界3位」だそうです。

 ただ、この記事は製造業の輸出を意識して書かれたものであり、物価が安かろうが高かろうが人件費が高い時点で製造業には不利。また、前述したような労働生産性の低さ、自動化の遅れといったことも、普通に輸出には不利ですね。逆に言えば、日本は遅れている分改善の余地が大きいということでポジティブ要素でしょうか…。


●自動車、製鉄、電機…「日本製」製造業が全部終わる…って本当?

2021/03/26:さらば「日本製」…まもなく日本の「基幹産業」がどんどん消えてなくなる!(週刊現代)という記事があり、追記するならここかな?と。ただ、正直言って、タイトルが極端すぎるために嘘くさいと思いました。サブタイトルなんかはもっとひどくて、「自動車、製鉄、電機…ぜんぶ終わる」というものです。

 このうち製鉄は、6基の高炉がフル稼働し、10万人を超える人々が働いていた北九州八幡地区で、高炉1基に3000人が従事するレベルまで減少。日本製鉄は'23年までに茨城県鹿嶋市、和歌山県和歌山市、広島県呉市にある各製鉄所の閉鎖や高炉の休止に踏みるなど、製鉄業界は縮小の流れ。さらに、二次メーカーも衰退しているとのこと。海外需要があると思うのですが、日本メーカーは海外開拓が苦手で完全に出遅れたとされています。

<'90年代までは、当時世界最大手の新日本製鐵を皮切りに、川崎製鉄、住友金属工業の3社が世界の粗鋼生産量トップ10に食い込んでいた。しかし'19年のランキングに目を移すと、トップ10に名前があるのは新日鐵と住友金属が合併して生まれた日本製鉄(3位)のみ。
 中国や欧州の製鉄大手は合従連衡を繰り返して急成長を遂げ、価格競争で優位に立っている。日本の各社も、川上から川下まで束にならなければ戦えない状況に追い込まれたのである>


●目玉政策「脱炭素社会」が衰退している日本の製造業にとどめを刺す

 また、菅政権が目玉に掲げた「脱炭素社会」「二酸化炭素排出ゼロ」が凋落した業界に追い打ち。日本製鉄社長で日本鉄鋼連盟会長を務める橋本英二さんは、菅政権が「脱炭素」の徹底を業界に求めてきたことを念頭に「実現までに10年、20年はかかる。ゼロからの研究開発を、個別の企業でやり続けるのは無理だ」と苦言を呈していました。

 なお、中国の場合、政府の支援でこの技術が日本より進んでいるというのも踏まえていた批判である模様。「排出量の削減には研究開発が不可欠。そちらにカネをかけるべき時に、税金を取るなんて逆効果です。ここで中国に負けたら、世界は中国産の鉄を使うようになり、日本の鋼材は使用禁止になるかもしれません」と菅政権を批判していました。

 これはいわゆる「ゲームのルールの激変」であり、かつての成功体験、伝統、技術といったものが通用しなくなるということ。自動車業界においても、ガソリンエンジンの製造に関わる中小のメーカーも、トヨタをはじめ大手から「2020年代の半ばからは、仕事が減ると思っていてください」と言われているそうです。

 トヨタはEVシフト叩きを続けてきているものの、2020年には主にエンジン製造を担当する下山工場(愛知県みよし市)の生産ラインを2本から1本に減らしているなど、トヨタの豊田章男社長は「二枚舌」ではないかと疑われているとのこと。で、トヨタも危ないのでは?とされていました。ただ、EVは非現実的でトヨタの得意なハイブリッドがまず普及するし、EVなんか簡単なのでいつでも作れる…といった非常に楽観的な反論も別記事を読んでいると見かけます。


●日本の技術はすごいし真似できない…豪語していた家電メーカーの没落

 記事では、この製鉄や自動車の衰退で起きている問題は、「他のどの国にも作れないと思っていたものが、いつの間にかどの国でも作れるものになっていた」という厳しい現実から、目を背けてきたという共通点があると分析していました。そして、こうしたことがいち早く起きたのが、家電メーカーだったとされています。

<「技術っちゅうのは、ウナギ屋の秘伝のタレみたいなもの」こう豪語したのは、'98年から'07年までシャープの社長を務めた町田勝彦氏だ。町田氏は「液晶一本足打法」で全経営資源を液晶の生産に投入した。「我が社の高品質な液晶は誰にもマネできない」という自信に裏付けられた決断だった。そしてそれは、しばらくの間は正しかったのだ。
 だが、あっという間に韓国や中国のメーカーは「秘伝のタレ」を完璧に模倣した。大画面液晶はありふれたものとなり、同社は破綻の瀬戸際に追い込まれて、'16年には台湾メーカーの鴻海(フォックスコン)傘下となった>

 パナソニックも同様で、テスラと'11年にEV用電池の生産で協業に入ったものの、テスラはいつしか韓国のLG化学、中国の寧徳時代新能源科技などとも取引を始め、「出入り業者のひとつ」に格下げになっていると指摘されていました。さらに、テスラが自社で電池の内製を進めているというところまで来ている…とのこと。本当にパナソニックも終わるんでしょうかね?


【本文中でリンクした投稿】
  ■有効求人倍率が上がったのがアベノミクスのおかげも嘘 理由は?
  ■ネオ・ラッダイト運動 IT技術や機械の発達が人類から仕事を奪う?

【関連投稿】
  ■円安で製造業国内回帰という幻想 トヨタ自動車は否定、キヤノンは無人工場の現実
  ■ビジネス・仕事・就活・経済についての投稿まとめ

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