2013/3/16:
●日本の自殺者が減少!2012年には記録的な少なさに…
2013/1/28:
●消費者団体がむしろ反対!イギリスには金利の上限規制がない
●改正貸金業法の多重債務者対策のおかげで自殺が減った?
●こっそり借り手を生命保険に加入させていたサラ金会社
●利息制限がむしろヤミ金問題を悪化!撤廃してみた韓国の結果は…
2013/3/16:
●自殺未遂経験者も史上最低…日本の自殺者が減少した理由とは?
●日本の自殺者が減少!2012年には記録的な少なさに…
2013/3/16:それでもまだこんなに多い…という気がしなくもないですが、日本の自殺者が減っているそうです。内閣府は、2012年の全国の自殺者(確定値)が前年比9.1%減の2万7858人になったと発表しました。15年ぶりに年間3万人を下回ることが確定しています。
(
年間自殺者の3万人割れが確定 12年、15年ぶり 2013/3/14 10:07 日経新聞より)
第三者による自殺動機の推測というのはかなり不確かだと思うのですけど、警察は動機を3つまで推計しています。この分類では「健康問題」が同6.8%減の延べ1万3629人、年代別では60歳代が同10.3%減の4976人で最多となっていました。
うつ病対策では、厚生労働省が08年度から、一般内科を中心とした「かかりつけ医研修」を始めている。不眠などの症状がみられた場合は速やかに精神科医を紹介するなどし、うつ病の早期発見と治療につなげるのが狙いで、受講者は10年度までに約2万人に達しています。
2011年は東日本大震災があって特殊な年でしたが、そのときの「健康問題」の自殺者数に比べて2012年は992人も減っています。ただし、これ以上に減っている項目がありました。それは「経済・生活」なのです。
こちらの昨年の自殺者は5219人と「健康問題」よりずっと少ないものの、一昨年から減った人数は1187人と大きく減っています。つまり、割合としては非常に大きな減り方をシているんですね。その他の項目も軒並み「健康問題」以上の割合で減っていますが、「経済・生活」の減少の仕方が最高でした。
(
自殺の原因、「経済・生活」が大幅減 12年の状況分析 2013年3月15日15時18分 朝日新聞より)
最初の日経新聞は「経済・生活」に関して、「多重債務者対策としては、10年施行の改正貸金業法により、返済能力を超えた多額の借金ができなくなった」という見方を伝えていました。ただ、このような対策を取っていない国でも自殺が問題化していない国があり、ひょっとしたら本質は違うかもしれません。その話を間に挟み、まとめて手直ししました。(2019/08/18)
●消費者団体がむしろ反対!イギリスには金利の上限規制がない
2013/1/28:
政治はいつもポピュリズム(2012年12月25日 ザイ・オンライン[橘玲の日々刻々])によると、"2006年に成立した改正貸金業法"の趣旨は、「高利貸しが多重債務者問題を引き起こし、それが年間3万人を超える自殺者を生むのだから、上限金利を引き下げて高利の貸付けを違法にするとともに、利用者が収入に対して分不相応な借金をしないよう規制すればいい」というものだったそうです。
アメリカをはじめ先進国の多くは上限金利を定めており、これは日本だけやっている政策ではありません。ところが、イギリスには金利の上限規制がないということで、上限が存在しない国もあるそうです。
おもしろいことにイギリスで上限金利導入の議論が起きたときに、「資金を必要としているひとが借りられなくなる」と真っ先に反対したのは消費者団体だったそうな。日本とは逆です。当事者同士が納得しているのであれば、公序良俗に反しないかぎりどのような契約も自由であるべきだと考えられているからだそうですけど、全然考え方が違いますね。
●改正貸金業法の多重債務者対策のおかげで自殺が減った?
前述の通り、この上限金利自体は日本だけのものではありませんけど、「1社で50万円、または他社と合わせて100万円を超える貸付けを行なう場合には、年収の3分の1を超える貸付けを原則として禁止する」という「総量規制」は完全な「日本オリジナル」のようです。
こういった背景には、違法なヤミ金も正規の消費者金融もいっしょくたにして、「高利貸しという存在自体が社会悪だ」という意識があるとされていました。しかし、結果として、自殺者は一向に減らず、経済格差や貧困の問題はより悪化という状態だとのこと。
そして、その理由は、家計が苦しくなるひとが増えたから、彼らの資金需要にこたえる金融業者が登場したのであって、金融業者をスケープゴートにしても貧困という根本的な問題が解決するわけはないから、とされていました。貸金業法の改正を推進した“人権派”の国会議員と日弁連にも批判的な記事でした。
2019/08/18:…といった話だったのですけど、最初の話にあるように、実際には自殺者が減っていた模様。改正貸金業法のおかげかどうかはなお議論が必要でしょうが、「自殺者は一向に減らず」は少なくとも正しくなかった模様です。
●こっそり借り手を生命保険に加入させていたサラ金会社
2013/1/28:あと、貸金業法の改正は本当に自殺者対策だったんですかね。私はそういう議論自体が記憶にありませんでした。Wikipedia見た感じでも、そういった話はなし。とりあえず、自殺の話が出てくるのは以下のような部分。直接、利率と関係ない話です。
<分母である自殺者全体の増加もあるが、利用者の自殺の増加が指摘されており、返済を続けても、完済が困難である状態は「サラ金地獄」とも呼ばれる。
自殺者全体については、自殺率(人口10万人あたり、厚生労働省人口動態統計)は1997年(平成9年)から1998年(平成10年)にかけて18,8人から25,4人へと急増しており、自殺者数(警察庁「自殺の概要資料」)は1997年(平成9年)の24391人から1998年(平成10年)には32863人へと急増した。(中略)
また、2005年(平成17年)における大手5社利用者の自殺は判明しているだけで3649件であった。20歳以上の死亡者に占める自殺者の割合は2,8%(人口動態調査05年、厚生労働省)であるのに対して、金融庁などによると、大手5社利用者の死因判明分に占める自殺率は25,5%であった>
<2006年(平成18年)8月には、消費者金融の大手5社を含む10社がリスクを最小限に抑えるために、借り手が死亡・重度障害で返済不能になった場合に備えて借り手を生命保険(消費者信用団体生命保険)に加入させ、保険金として債務残高分を消費者金融を受取人にしていることが明るみに出た。
本人が契約自体を知らない場合もあり、保険金は遺族を素通りして消費者金融に支払われる。2005年(平成17年)に大手5社が支払いを受けた件数は延べ3万9880件であり、自殺によるものは判明しているだけで3649件にであった。
メリットとして遺族が債務を負わない点があるが、死亡した債務者が過払い(不当利得の返還を遺族が消費者金融に求められる状態)であっても保険金は消費者金融に債務残高分として全額支払われ、過払いの事実は遺族には一切伝えられない>
●利息制限がむしろヤミ金問題を悪化!撤廃してみた韓国の結果は…
これ以外に利息制限法の
Wikipediaを読んでみたら、こちらでも自殺の話を見つけました。こっちの方が自殺者対策という趣旨が見える感じがしますね。
まず、消費者金融業界では、利息制限を撤廃するように求めているという話があります。むしろ利息制限があるせいで、ヤミ金問題が悪化しているという主張です。
<消費者金融業界には、本法の撤廃を求める声が強い。(中略)みなし弁済規定の成立要件が厳格に解されている現状では、一旦得た利息収入を不当利得返還請求によりいつ吐き出させられるかもしれないという不安定さ(中略)を免れず、法令の制限内で庶民金融を供給しようとする者はいなくなり、ヤミ金融の被害が拡大する一方であるなどと主張する>
一方、そうではなくて、ヤミ金問題はやはり金利が高すぎるために起きているという主張があります。
<現状の実態を見てみると、ヤミ金融に手を出す者の殆どは、消費者金融での高利の借金返済のためにヤミ金融から借金をしているのであり、本法を撤廃・緩和して消費者金融に今以上の高利を許せば、今以上にヤミ金融の被害が拡大する>
自殺の話が出てくるのは、上記に続けてあった韓国の事例でした。韓国では、利息制限を撤廃したとたんに年利200%の業者が大量に現れ、それによる自殺者が急増して社会不安が増大したため2002年に利息制限を復活させているとのこと。韓国では利息制限が有効に働いたと考えられる話です。
先の話だと、イギリスでは利息制限なしでうまくいっている…という感じだったのですけど、どうなんでしょうね。
●自殺未遂経験者も史上最低…日本の自殺者が減少した理由とは?
2013/3/16:ここから2012年の自殺者変更の話に戻ります。最初の方で引用した朝日新聞によると、年代別で減少幅が大きかったのは30歳代で15・1%減だった他、すべての世代での自殺者が減少。また、すごいと思うのが、自殺の未遂経験のある人の自殺が前年より713人減の5491人で、統計を取り始めた07年以降もっとも少なかったということです。
また、最初にも書いたような具体的な数字のある部分は以下の通り。
<自殺の原因・動機を推定できた2万615人について分析すると、病気など「健康」が原因となった自殺者が1万3629人で、3分の2を占めた。倒産や失業など「経済・生活」が5219人、家族の不和や育児・介護の悩みなど「家庭」が4089人、職場の人間関係など「勤務」が2472人、失恋など「男女」が1035人、受験や進路の悩みなど「学校」が417人だった(複数の原因が重なる事例あり)>
このうち減少率が一番大きかったのは「経済・生活」で18・5%減。内閣府は、景気動向の影響が大きいとしつつ、「多重債務の無料相談が全国に広がるなど取り組みの成果もあるのではないか」とみているとのこと。この「相談窓口があったから」という説明は、先の「改正貸金業法」による説明よりわかりやすいかもしれません。かなり効果がありそうです。
もう一つの説明は「景気動向の影響が大きい」です。これにはあれ?と思われる方もいるかもしれません。景気が回復しているというのは、私にも実感のないものでした。しかし、別の投稿で書いていたように、景気に関する諸数値は2012年の時点ですでに上向きに転じた様子が確認できました。イメージと異なりますが、2012年の景気回復は順調であり、内閣府もこれを自殺減少の最大のポイントと見ていたわけです。
(関連:
有効求人倍率が上がったのがアベノミクスのおかげも嘘 理由は?)
この調子で2013年以降もどんどんと自殺者が減っていって、自殺大国日本という汚名を返上できることを願います。
【本文中でリンクした投稿】
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