最初は安倍政権批判ではなく、アメリカのトランプ政権の話。米『フォーリン・アフェアーズ』誌(Foreign Affairs Report)2017年6月号に「アメリカ政治の分裂と民主体制の危機」と題する記事が掲載されていた…というもの。
ここに民主主義を壊す3つの方法が出ていました。これに当てはまる行動を安倍政権がやっていないのであれば、安倍政権による独裁政治批判もかわすことができるかもしれない…という話です。
2013/3/18:
●反対派を潰すために権力乱用!民主主義を壊す3つの方法とは?
●安倍政権は本当に独裁に向かってる?民主主義を壊す3つの方法と比較
●そもそも国民の問題か?支持者は一部メディアの抹殺をむしろ望んでいる
2020/02/03:
●異例の閣議決定・違法な定年延長・異例の任命で検察の独立性排除?
2020/03/20:
●そこを頑張るの?「ナチスの手口」「ヒトラーと同じ」と批判
●反対派を潰すために権力乱用!民主主義を壊す3つの方法とは?
2013/3/18:もとの話はアメリカのものですし、ドナルド・トランプ政権によって「政府が反対派の不利になるよう国家権力を濫用する政治システムに変化していくおそれがある」という危機感によるもの。ハーバード大学など米国の大学の研究者3人が、民主主義を壊す3つの方法を提示していました。
(1)「国の制度や政府機関を政治化し、政府に批判的な勢力を抑え込んでいく」。裁判所や検察、情報機関、税務当局、規制当局などの国家組織の政治的独立が侵されると、「政府の不正行為を隠すことができるし、政府に反対する勢力を抑え込む力強いツールとして利用できる」。
(2)「市民社会の重要な一部を機能不全に追い込む」という手法だ。対象は主要メディアや企業リーダー、さらには宗教指導者も含まれる。為政者は彼らを取り込み骨抜きにしようとする。そして、「友好的なメディアには特権的アクセスが、お気に入りの企業リーダーにはうまみの多い利権や政府契約が与えられる」と指摘。一方で、為政者の意向に従わない者は「情報当局の入念な捜査の対象にされるか、スキャンダルをでっち上げられる」。
(3)「選挙で選ばれた独裁者が憲法改正、選挙区そのほかの制度の見直しを通じて、ライバルが自分と競争できないよう、政治ゲームのルールを書き換える」という例を示している。
●安倍政権は本当に独裁に向かってる?民主主義を壊す3つの方法と比較
最初に書いちゃうと答えがわかるので後回しにしたのですが、実はこれ、
安倍政権とトランプ政権は「民主主義」を潰す | 国内政治 | 東洋経済オンライン(薬師寺 克行 :東洋大学教授 2017年07月05日)という記事に載っていた話。つまり、作者の薬師寺 克行教授はトランプ政権に言えることが、見事に安倍政権にも言えてしまうと考えていたんですね。
作者の薬師寺教授は、以下のような具体例を挙げて、"トランプ政権を分析したこの論考は、安倍内閣についてのものかと見まごうほど該当している"と書いていました。
人事権を使った安倍内閣の官僚統制強化
加計学園問題を封じ込めようという官僚機構の秘密主義的対応と首相官邸の強引な国会運営
内部告発した前文部科学事務次官への首相官邸の陰湿な対応
安倍内閣支持と批判で極端に二極分化したメディア状況と一部メディアに対する安倍首相の積極的な情報提供
●そもそも国民の問題か?支持者は一部メディアの抹殺をむしろ望んでいる
あと、メディアとの関係では、最近トランプ大統領がCNNのロゴが頭部に表示されている人物をボコボコにして叩きのめす動画を投稿して非難されていました。
トランプ氏のあまりに「子供じみた」行動 07月03日 :コラム【 日めくり】 - 47NEWS(よんななニュース)(47NEWS編集部 太田清)では、"数々の暴言や〝虚言〟で世界を騒がせてきたトランプ米大統領だが、ここまで「子供じみた」(米CNNテレビ)ことをするとは思わなかった"としていました。アメリカでも多くの批判が出ています。
でも、これ、トランプ大統領の熱烈な支持者層にはむしろ大好評じゃないかと思われます。そもそもこれを見てまずいと気づく人は、トランプ大統領にとっての優良お客さんではないのです。
例えば、
トランプ氏、CNNをプロレスでたたきのめすビデオ投稿 - BBCニュースでは、BBCのアンソニー・ザーチャー北米担当記者が「トランプ氏にとっては政治プロセスはWWEプロレスのようなもの」なのだと指摘。
さらに、"選挙戦中も支持者に向かってまるでプロレス会場でやるように、自分というヒーロー役を応援するよう促し、自分以外のすべてを悪役に仕立てて攻撃し、会場を盛り上げていたトランプ氏は、大統領になっても同じことをしている"と解説。その上で以下のように言っていました。
「トランプ氏のツイートは暴力の扇動だと非難する人もいるが、支持者のほとんどはトランプ氏がおそらく意図したとおりに受け止めるだろう。つまり米政界を席巻するかつてない大人気イベントの最新エピソードに過ぎないと。現代アメリカの大統領という存在のありようが作り変えられている。これはその最新の展開なのだ」
日本でも安倍首相が朝日新聞をぶちのめす動画を流せば、右派の人々は大いに喜ぶんじゃないでしょうか?
●異例の閣議決定・違法な定年延長・異例の任命で検察の独立性排除?
2020/02/03:独裁化の一端の現れではないか?という反応があった
黒川検事長の定年後「勤務延長」には違法の疑い(郷原信郎) - 個人 - Yahoo!ニュース(2020年2/1(土) 11:41)をここに追加しておきます。政府が、定年退官する予定だった東京高検検事長の黒川弘務さんについて、半年後の8月7日まで勤務を延長させることを閣議決定した件です。
国家公務員法では、職務の特殊性や特別の事情から、退職により公務に支障がある場合、1年未満なら引き続き勤務させることができると定められています。となると問題ないように見えますが、そもそも検察官の場合、定年退官は、国家公務員法の規定ではなく、検察庁法の規定による…とのことで違うみたいですね。
「勤務延長」の理由も不可解であり、保釈中に逃亡した日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告の事件の捜査とされていますが、捜査の実務は東京地検であり、高検検事長の業務ではないだろうとされていました。ただ、政府関係者が本当の理由を暴露。検察トップの検事総長に黒川さんを充てるためだそうです。(ここのみ、
高検検事長の定年延長、官邸介入で「やりすぎでは」の声:朝日新聞デジタルより)
ただ、これがまた問題。法律上は、検事総長を任命するのは内閣なのですが、これまでは、前任の検事総長が後任を決めるのが慣例とされ、政治的判断を排除することが、検察の職権行使の独立性の象徴ともされてきたそうです。つまり、異例の決定を連発することで、「検察の独立性」を廃して、政府の思い通りにしようとしていると考えられていました。
●そこを頑張るの?「ナチスの手口」「ヒトラーと同じ」と批判
2020/03/20:定年延長に関してはその後、
独裁化じゃない?黒川弘務検事長定年延長の狙いを自民党議員が暴露という話をやっています。自民党議員自身、定年延長は自民党議員の逮捕を防ぐため…としており、独裁化が目的と言えなくもない感じになってしまっていました。
この定年延長や過去の集団的自衛権の解釈変更は簡単にする安倍政権ですが、一方で、比較にならないほど緊急性が高いであろう新型コロナウイルス問題では、民主党時代に作った法律を解釈変更で使わず、「使えない」とした上でわざわざ時間のかかる新法や法改正にこだわって対応を遅らせています。
そして、この改正案の「緊急事態宣言」について、与党側が国会の事前承認を拒否。立憲民主党などの野党が「緊急事態宣言」を行う際には、原則として国会の事前承認を得るよう求めたものの、与党側は事前承認には応じられないという考えを伝えました。
(「緊急事態宣言」国会の事前承認を与党側は拒否 2020年3月10日 23時34分 NHKより)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200310/k10012324231000.html
今まではさんざん対応を遅らせれてきたくせに、独裁の危険性があって慎重にならなくてはならないこういうことだけは、「対応が遅れることがあってはならない」などと言っています。
このように慎重な判断が必要な「緊急事態宣言」で国会の事前承認を拒否したことで、また独裁化ではないかといった疑念を生むことに…。本当ことごとくやっちゃダメな方、ダメな方を選んできますね。国民のためには頑張らないものの、自分たちの利益のためなら強引なことをやってきます。
ribbentrop189 事前承認すらしないとは。議事録無し、公文書改ざん、破棄、隠蔽、未作成、収支報告無し、そして承認拒否。古今東西のあらゆる独裁国家より劣る
takashi1982 正しく「ナチスの手口」に範をとっているよな
flookswing 自公全体がもうダメなんだろな。
blueboy 感染症対策のためであれば、新たな法案は必要ない。医学目的ならば、新法はいらないんだ。つまり目的は最初から、独裁的権力の獲得にある。その名分にしただけだ。ヒトラー同様。
(
[B! 自民党] 「緊急事態宣言」国会の事前承認を与党側は拒否 | NHKニュースより)
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