まずくてボロい中華料理屋がいつまでも潰れないのに、他の飲食店ができては消えできては消え…を何度も繰り返しているのはなぜか?という話。蕎麦屋を開業することを夢に持つ男性が多いそうですが、飲食業は「基本的には勝てないビジネスモデル」と断言されていました。(2017/08/19)
●男性の定年退職後の夢は「蕎麦屋」が定番
2017/08/19:男性は年をとるとそば打ちにハマることが多いという話が、ちょっと前に話題になっていました。
定年退職して蕎麦屋を始めるのが憧れと聞いたこともあったのですが、これは特にデータ的な根拠は見つからず。たぶん数年前に
なぜ蕎麦屋は定年後のあこがれの仕事なのか | 50代“アラウンド定年”社員のトリセツ 片山繁載 | ダイヤモンド・オンライン(2014.1.22)という記事を読んだのが、印象に残っていたのだと思います。
筆者によれば、一定年齢で管理職ポストをはずれた役職定年者の研修で、お互いの「今後の理想の仕事と生活」と夢を語ってもらった場合の、よく出る御三家は、蕎麦屋、田舎暮らし、趣味を生かした仕事だといいます。
上記の時点で経験談であり、信頼性は高くないのですが、筆者はさらに蕎麦屋が定年後のあこがれになる理由を大胆に推測していました。それは、「自分が主役となって蕎麦を打ち、その働き方を人に見てもらえる、そして人との対話がある」からというもの。
役職定年を迎えて、「過去の役割の一山が終わり、役定後の働き方で、もはや昔のような存在感を示すこともできず、面白みもやりがいもない仕事」をしていることが、こういった「夢」を見させているのではないかとしていました。
●最も儲からない飲食店経営
上記の記事では、"普通のビジネスマンなら、現実の蕎麦屋さんの経営が、そんな素人が参入できるほど甘いものものではないことは承知の上だ"と続いていました。でも、本当に彼らは飲食店経営の難しさを理解しているでしょうか?
飲食店経営に手を出したら、その先には「地獄」が待っている(三戸 政和) | 現代ビジネス | 講談社(三戸 政和 2017/7/25)では、日本政策金融公庫が行なっている「新規開業パネル調査」における業種別廃業状況を紹介していました。
これによると、調査期間の5年間(2011年から2015年)における全業種を通して最も廃業率が高かったのが、飲食店・宿泊業で廃業率は18.9%でした。2位が情報通信業で15.8%、3番目が小売業の14.5%ですから、差のある1位。廃業率平均は10.2%でしたから、その倍近くの廃業率です。
著者の三戸 政和さんは、飲食業は「基本的には勝てないビジネスモデル」だとしていました。蕎麦屋の夢を語る人たちは、たぶんここまでひどいとは思っていないんじゃないかと思います。
●あなたがまずい中華料理屋に勝てない理由
三戸さんは、大手外食チェーンが倒産することもある一方で、あまり美味しいとも思わない中華料理店が、数十年も続いていることもあることも指摘していました。
私は、古い中華料理屋が既に設備投資を終えて、減価償却を済ましているから…みたいな説明が来ると思いました。が、そういう話ではありませんでした。
最も大きな理由は、人件費がほとんど掛からないこと。町中華には、夫婦で切り盛りし、忙しい時間帯には子供も手伝うようなお店が多いそうです。最近は人手不足でしかもブラック労働が批判されていますから、人を雇うのは相当負担が大きくなります。なので、人件費ってのが一番みたいですね。
また、以下のような理由も挙げていました。
・自分の店で食事をとれば食費も浮くので、生活にかかる経費を大きく落とすことができる。
・店と自宅が共用であれば、家賃負担も大きくならない。
●たまに成功しても簡単にパクられるし飽きられる
それから、ヒットするような雰囲気や料理やお店のストーリーを持つ店を開発しても、特許のような形で保護できるものでもないので、模倣されやすいことを、飲食店ビジネスの難点としていました。
例として、パクられてしまった「塚田農場」を挙げていました。うちでも過去に、
米山久APカンパニー社長「塚田農場ブームは去った」 やきとりスタンダード・やきとりスタンドで低価格路線へで書いています。
それから、消費者は基本「新しもの好き」ですぐ飽きられるとしていました。
焼き牛丼「東京チカラめし」激安居酒屋「金の蔵jr.」がダメな理由の「東京チカラめし」なんかも、すぐ飽きられちゃった感じですね。
最初の方で書いた「廃業率」だけで十分わかる話ですが、飲食店経営はおいしい商売ではなさそうでした。
【本文中でリンクした投稿】
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