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ブラック企業が跋扈するブラック国家日本 その精神は戦前からの伝統か? 根性論・個人に責任転嫁・人命軽視などの共通点


 ブラック企業思想と戦前・戦中の共通点に関する話。なのですが、実際に書いてみたら、戦前うんぬんに関係ないサンクコスト(埋没費用)に関わる話も結構してしまいました。興味ないところは適当に飛ばしながら、読んでください。(2017/7/29)

2017/7/29:
●ブラック企業が跋扈するブラック国家日本 その精神は戦前からの伝統か?
●なぜそうなる?ブラック労働で死んだ人のためにむしろ頑張ろう!と主張
●ワタミの渡邉美樹元会長も死なせておいて「彼女のためにも…」と利用
●「作りかけ」のものでもすでにかかった費用のことは考えてはいけない
●もったないから続けよう…太平洋戦争の継続もサンクコストの呪縛?
●戦前の日本との共通点3つ 根性論・個人に責任転嫁・人命軽視
2019/08/18:
●武器より精神論重視はウソだった?旧日本軍の機密資料の読み方


●ブラック企業が跋扈するブラック国家日本 その精神は戦前からの伝統か?

2017/7/29:海外から来た外国人が驚くほど、江戸時代の人は働かなかったと聞いたことがあります。昔から日本人がブラックな働き方をしていたわけではないようです。

 ただ、戦前・戦中の日本というのはもう既に完全にブラック。保守の人は、日本の歴史から見ると大して長くないものを「日本の伝統」と言いたがりますが、そういう意味ではブラック思考というのは、ちょうどいい感じの歴史の長さで彼らの言う「日本の伝統」と言えそうです。

 ここらへんの戦前との共通点には過去に書いた覚えがあったのですが、検索してもピタリと来る話はなし。以下のあたりが比較的近い話でした。

  ■町内会なんかもう不要 太平洋戦争の置き土産、戦時中の隣組がベース
  ■終身雇用制度などの日本のイエ文化は、ブラック企業を生み出す源泉


●なぜそうなる?ブラック労働で死んだ人のためにむしろ頑張ろう!と主張

 今回この話を書こうと思ったきっかけは、ツイッターの以下のような投稿への反応でした。このツイートは、新国立競技場の建設工事でブラックすぎたために、失踪した末に亡くなった男性について書いています。

"五輪やめろとか言ってる人いるけど、この自殺した人が頑張ったことを無駄にしろってことだよね。それはさすがに無責任すぎだよね。てかやめたら潰れる中小企業が出てその経営者が自殺するってパターンになるよね。
2017年Jul20日 15:58"

 はてなブックマークの1,2番人気など、戦争に関わる反応が多かったんですよ。

“「いま戦争をやめたら英霊に申し訳が立たない」と、驚くほど似たロジック。”(questiontime 2017/07/21)
“特攻隊員を無駄死にというのはまかりならん系”(type-100 2017/07/22)
“特攻はさっさとやめるべきやったと思いますけどね。あの死を無駄にするなって言ってどんどん他人事のように屍重ねるよりはええんとちゃいますか。言うべき相手はそういう状況に持っていった都政と支持者だ。”(quick_past 2017/07/22)

 あと、「潰れる中小企業が出て」という話については、ブラック企業の社員にも生活があるから倒産させてはいけない?を参照してください。今の建設業界は仕事が少なすぎるのではなく、人手不足になるほど仕事が多すぎる状態ですから、そもそも今回には当てはまらない話だと思いますけどね。


●ワタミの渡邉美樹元会長も死なせておいて「彼女のためにも…」と利用

 コメントでは、“同じことを電通の時に言ってみろ。”(akutsu-koumi 2017/07/22)も人気していましたが、私は自民党入りしたワタミの渡邉美樹さんのエピソードを思い出してしまいました。

 渡邉美樹さんはワタミで過労の末に亡くなった女性の問題が労災認定を受けたときに、「彼女の精神的、肉体的負担を仲間皆で減らそうとしていました。労務管理できていなかったとの認識は、ありません」「ワタミは天地神妙(引用者注:天地神明)に誓ってブラック企業ではありません」と正当性を主張していました。

 ただ、それだけでなく、「バングラデシュで学校をつくります。そのことは、亡くなった彼女も期待してくれていると信じています」と、なぜか無関係な話を持ち出していました。(渡邉美樹 - Wikipediaより)

 これはおそらく上記の五輪を頑張ろうの人と同じような思考でしょう。自分たちの仕事が人を死に追い込んだのにも関わらず、「死んでしまったからこそ、その亡くなった人が成し遂げたかった仕事を頑張らなくなちゃいけない」という美談に、頭のなかですり替わっているのだと考えられます。


●過去にとらわれて未来が見えなくなるサンクコストの呪縛

 はてなブックマークでは、その他に以下のようなコメントも人気していました。

“そう言われると、第二第三の犠牲者が出る前に止めたほうがよいのではないかと思うようになりました。”(morita_non 2017/07/22)
“まだ生け贄が足りんとな?”(jyajyamaru1214 2017/07/22)

 五輪中止が適切かどうかは別として、普通はこのようにこれ以上犠牲者を出さないように…という考えになります。これに関連して、サンクコストに触れたものも人気していました。

“サンクコスト”(rokkakuika 2017/07/22)
“損切りできないタイプ。株やFXなどには手を出さない方がよいでしょう。”(Falky 2017/07/22)

 サンクコストは埋没費用とも言います。何度か過去に出てきている話で、社会人が覚えたい経済学用語5つ 逆選択・機会費用・サンクコスト・比較優位・イノベーションのジレンマでは、以下のように解説されていました。

"すでに投資してしまい、取り戻すことができないお金のこと。過去の費用はなるべく忘れて、将来のことを考えたほうが賢明とされる"

 例えば、高いお金を払って買った商品が、実際に使ってみると、ほとんど使い道がなかったと気づいたとします。そうであるのでしたら、手元に置いていても無駄なのですが、「せっかく高いのを買ったんだから」と思ってなかなか手放せないということがあります。

 しかし、実際には既に使ってしまったお金は、そのものが手元にあってもなくても、戻って来ないことに変わりありません。これがサンクコストにとらわれてしまっている例です。


●「作りかけ」のものでもすでにかかった費用のことは考えてはいけない

 私が出した例は既に支出が終わっているものでしたが、サンクコストの考え方は「作りかけ」の場合でもいっしょです。関西学院大学教授の上村敏之さんは、公共事業において、「『ここまで多額の金を使っているのだから、中止して無駄にしたらもったいない』という気持ち」によって、中止ができない場合があるという話をしていました。

 この話題が出ていたのは八ツ場ダムの例であり、八ツ場ダムの場合は建設を続行した方がメリットがあるという論者もいましたが、ここでは中止の方がメリットが大きいという流れで話されています。そもそもダム建設工事などは当初の予定額に全く収まらない場合が多いので、建設続行派の意見には注意が必要です。

"「サンクコスト(埋没費用)」とは、既に支払ってしまって回収不能な費用のこと。ダム建設をそのまま進めて完成させても、中止しても、すでにかかった費用が戻ってこないことには変わりない。だから、事業を続けるか中止するか判断するときには、いくら巨額でもサンクコストを考慮に入れてはいけない、というのが経済学の考え方だ"
(公共事業、なぜ中止にならない|ライフコラム|NIKKEI STYLEより)


●もったないから続けよう…太平洋戦争の継続もサンクコストの呪縛?

 気がついたら戦前の日本の話とは、全然関係ないところへ行っていましたね。ただ、最後のサンクコストは太平洋戦争にも言えるんじゃないかと思って検索したら、まさにそう書いている人がいらっしゃいました。

"日本の会社はこうした理由によって、いつまでも撤退が決められずに、損失をさらに拡大させるケースが多いといわれている。かつての太平洋戦争は、今さら引き返せないという理由だけで、全土が焼け野原になり、2つの都市に核攻撃を受ける状態まで戦争を継続してしまった"
(埋没コストを誤解してはいけない | お金持ちの教科書より)

 サンクコストとは違うのですけど、現代の政治家などでも謝ったら死ぬ病の人が多いのも似た雰囲気。選択の誤りを認められないがために、間違ったことでも正当化して突き進むといったことが起きがちです。


●戦前の日本との共通点3つ 根性論・個人に責任転嫁・人命軽視

 また、「戦前の日本はブラック」関係での検索では、ブラック企業と旧日本軍の共通点・精神論と人命軽視の過労死は特攻と同じ(2016/7/20)というところも見つけていました。ちょうど特攻の話も出ています。多少私が言い方を変えている部分がありますが、以下のような共通点を挙げて、企業は社員を特攻させているようなものという主張でした。

・精神論・根性論を重視する
・個人の技術や努力に組織の命運を押しつける一方で、高く評価しない
・組織のためには個人の人格や命は無視する

 「個人の技術や努力に組織の命運を押しつける」では、そういえば、自己責任論の蔓延が日本のブラック企業問題を悪化させている? 自己責任論を唱える人ほど責任を放棄しているというのを書いていたのを思い出しました。本来、国や企業がやるべきことをやらずに個人に押し付けて、国や企業は責任を放棄しているという話です。

 この自己責任論が好きなのも戦前の思想が好きな人たちでしたので、共通点というのはかなり多いかもしれません。


●武器より精神論重視はウソだった?旧日本軍の機密資料の読み方

2019/08/18:ノモンハン事件に関する旧日本軍の機密資料が、事件勃発から80年の時を経て難波宮跡(大阪市中央区)の発掘調査で見つかったという記事がありました。"ノモンハン勃発から80年、機密焼却のはずが…「よく残っていた」"(産経ニュース / 2019年8月11日 20時37分)というものです。
https://news.infoseek.co.jp/article/sankein_wst1908110014/

 ノモンハン事件は、ソ連に対し、日本側は旧式の兵器で臨んだことなどで甚大な犠牲を出したとされているとのこと。そして、残されていた資料では事件の教訓として、「最大の教訓は、国軍伝統の精神威力をますます拡充するとともに、低水準にあるわが火力戦能力をすみやかに向上しなければならない」と記されていました。

 資料が発掘された場所に本部を置いていた陸軍歩兵第三十七連隊はノモンハンの戦闘には本格的に関わっていません。そのため、防衛省防衛研究所戦史研究センター史料室の斎藤達志二等陸佐は「三十七連隊で見つかったことで、ノモンハン事件の教訓が全軍的に広まっていた一つの証拠になる」と前向きに評価していました。

 ただ、検索してみると、失敗から学べなかったのではないかという見方もあります。そもそもこの文章では、武器戦力増強よりもまず「精神力の拡充」が先に来ており、反省点の洗い出しというよりも「劣った武器で互角に戦った精神力」を誇っているようにすら読めるためです。
(「過ちがくり返される構造」を歴史から学ぶ――衰退する組織で起こる「兆候」 | ビジネスジャーナルより)

 その後の日本の戦争について考えてみても、「武器戦力増強」が重視されていたとは考えられない結果になっており、産経新聞の説明には無理を感じます。教訓は十分に生かされなかったと考える方が妥当でしょう。精神論重視でおかしくなる「伝統」が見えるエピソードでした。


【本文中でリンクした投稿】
  ■町内会なんかもう不要 太平洋戦争の置き土産、戦時中の隣組がベース
  ■終身雇用制度などの日本のイエ文化は、ブラック企業を生み出す源泉
  ■自己責任論の蔓延が日本のブラック企業問題を悪化させている? 自己責任論を唱える人ほど責任を放棄している
  ■ブラック企業の社員にも生活があるから倒産させてはいけない?
  ■社会人が覚えたい経済学用語5つ 逆選択・機会費用・サンクコスト・比較優位・イノベーションのジレンマ

【その他関連投稿】
  ■ブラック企業は日本特有の問題って本当? 外国人に聞いてみた
  ■日本人の給料は安すぎる!人材の買い叩きが横行でも擁護する人々
  ■炎上社労士オススメ、うつ病にする方法 実行者らは傷害罪などになる可能性
  ■ビジネス・仕事・就活・経済についての投稿まとめ

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