人一倍はなぜ普通という意味じゃない？十人並みが人並みだというのも不思議

2009/11/8：
よく考えるとおかしい　人一倍はなぜ普通という意味じゃない？
江戸時代の「倍数」の表現は二つあった！
1.5倍示す「半倍」も…東洋数学ではこれが普通だった
2018/07/18：
「十人並み」が人並みだというのも不思議
「十人十色」や「百人力」だとどういう意味に？


●よく考えるとおかしい　人一倍はなぜ普通という意味じゃない？

(2018/07/25 23時半追記：全体タイトルだけ「人一倍はなぜ普通？」となってしまっていたので、訂正しました。タイトルを短くしようと試行錯誤しているうちに間違えたみたいです。申し訳ないです)

2009/11/8：先日あるところで「人一倍ってどういう意味？一倍ってことは普通じゃないの？」という趣旨の発言をしている方を見かけました。もちろん実際にはそういう意味ではなく、普通の人以上であるといった意味。

　この方は「人一倍」って言葉を本当に知らなかったような雰囲気で、このとき「辞書引け、馬鹿」みたいなことを言われています。でも、確かに言われてみれば、一倍だと普通の人と同じという意味になってしまいそうです。これは非常におもしろい疑問点でしょう。

　同じことを思った方はいらしたようで検索すると幾つも出てきましたが、以降、人一倍という言葉があります　ヤフー知恵袋というページを参考に書きます。


●江戸時代の「倍数」の表現は二つあった！

　これによると、江戸時代までは「倍数」を表すのに２つの表現があったそうです。

　一つが「倍」 でそれだけで 「×２」 を意味し、もう一つが「層倍」でこれは「×１」 を意味していたそうです。つまり、「層倍」が現在の「倍」と同様の表現みたいですね。以下のような対応となります。

　×２ ＝ 倍　または　一倍 ＝ 二層倍
　×３ ＝ 二倍 ＝ 三層倍
　×４ ＝ 三倍 ＝ 四層倍
　　　　　・
　　　　　・
　　　　　・

　したがって、「人一倍」は現在の数え方で言うと「人の二倍」という意味のようです。考えてみれば「倍にする」などの表現は、現在でも二倍を意味して用いています。

　あと思ったのは、人一倍ってそんな古い言葉なんだという驚きが。あんまり古そうな感じはしなかったんですけどね。


●1.5倍示す「半倍」も…東洋数学ではこれが普通だった

　それから、念のために倍-Wikipediaも見てみました。

　ここには現在の表現での1.5倍に該当する「半倍」というのも出てきておもしろかったのですが、東洋数学の定義の倍の概念が先述の「×２ ＝ 倍」であるとのことです。

　この書き方ですと、「層倍」という現在の概念と同じ考え方は、かなり稀な表現だったのかもしれません。


●「十人並み」が人並みだというのも不思議

2018/07/18：今回追記したのは、「十人並み」が「普通」って意味なのも変じゃないかと言っている人がいたため。本当だ、これも不思議。「人一倍」の逆パターンですね。

　とりあえず、辞書を見てみましょう。デジタル大辞泉の解説では、「顔だち・能力などが、人よりすぐれてもいないが、劣ってもいないこと」や「人並み」となっていました。

　これについて検索してみると、当初と同じヤフー知恵袋の説明が出てきたものの、最初と違ってすっきりしない回答で、なおかつバラバラ。ヤフー知恵袋は基本的に信頼できません。

・ベストアンサー　突出した人はごく少数だから十人揃えたところで平均的な平凡な人しか揃わない。1000人、一万人揃えて初めて、一人か二人ものすごく能力の高い人が現れる、って感じ。
・そこいら辺にいる１０人（飛びぬけた人はいない）と同じ程度、の意味。
・容貌、才能、技量などが十人とも普通であること。
・十人が十人、「どんぐりの背比べ」ということ。
・十人並の「十人」とは"十人分"という意味ではなくて、"人が十人いたら十人が備えているであろう性質"という意味なので「普通」ということ。


●「十人十色」や「百人力」だとどういう意味に？

　「十人」に普通の人といった意味がないかと検索してみたものの、「人数が一〇であること」といった説明しかありません。残念ながらネットだと、これだ！という丁寧な解説は見つかりませんでした。

　ちなみに「十人」を使った言葉としては「十人十色」というのがあり、これは人並みといった意味ではなく、みんな違うよといった意味。「十人寄れば十国(とくに)の者」も似たような意味の言葉です。

　また、「百人力」となると、普通の力ではなく、100人分くらいの強い力という意味になります。こうやって並べてみると、「十人並み」が「人並み」という意味だというのが、ますます不思議になってきますね。


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