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南鳥島沖レアアース、中国鉱山の30倍 メタンハイドレートはカナダの9倍


 日本のメタンハイドレート、レアアース、レアメタルなど天然資源に関する話をまとめ。<南鳥島沖レアアース、中国鉱山の30倍 メタンハイドレートはカナダの9倍>、<日本のメタンハイドレート埋蔵量では、天然ガス輸出国になれない>などの話をやっています。


●愛知・三重県沖の海底メタンハイドレートはカナダの9倍産出

2013/3/22:この前書いたばかりなのですが、また日本の資源関連の記事の話を…。まずは、メタンハイドレートのガス産出量、カナダの9倍 経産相「思ったより出る」 2013/3/19 22:46/(日経新聞)という記事から。

 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は2013年3月19日、愛知・三重県沖の海底のメタンハイドレートから産出したガスについて、6日間で12万立方メートル(速報値)だったと発表しました。2008年のカナダの陸上で生産実験をしたときの約9倍を産出しています。

 「燃える氷」と呼ばれるメタンハイドレートを分解して海底からガスを取り出したのは世界で初めてだとのこと。ただし、当初は2週間生産を続ける予定だったものの、水をくみ上げるポンプの不調と天候不良で18日に実験を終了していたという話もありました。これは実用化が順調に行きづらいことを示していると思われます。


●東大の加藤泰浩教授「230年分以上、数百年分埋蔵している可能性」

 このメタンハイドレートと合わせて、"海洋資源に期待が高まる"といしてたのが、南鳥島沖に高濃度レアアース、中国鉱山の30倍超す 海洋研究開発機構・東大が発表 2013/3/21 13:00(日経新聞)という記事です。

<日本近海に予想以上に豊富な資源が眠っていることが明らかになってきた。海洋研究開発機構と東京大学の研究チームは21日、小笠原諸島・南鳥島沖(東京都)の海底の泥に含まれるレアアース(希土類)は、海底から浅い場所に最高で中国鉱山の30倍超の高濃度であることが分かったと発表。採掘する技術やコストに課題は残るが、国産資源が乏しいだけにメタンハイドレートなどと合わせ海洋資源に期待が高まる。
 東大の加藤泰浩教授らの研究チームは昨年6月、日本の排他的経済水域(EEZ)の南鳥島沖の海底の泥に、レアアースの中でも特に希少でハイブリッド車(HV)のモーターなどに使われる「ジスプロシウム」が国内消費量の約230年分あると推定されると発表した。今回の調査で加藤教授は「230年分以上、数百年分埋蔵している可能性がある」と話した>


●世界第6位の海洋大国日本、海底資源の「宝の山」で大復活?

 また、2013年1月には、海洋研究開発機構が深海調査研究船「かいれい」を使って同海域で調査。水深5000メートルを超える海底から採取した泥を分析した結果、レアアースが最大約6600PPM(PPMは100万分の1)の濃度で含まれていることがわかったそうです。

 ジスプロシウムは中国鉱山の32倍の濃度に上る…という中国と比較した話も登場。高濃度であれば採掘コストも下がり、商用化の可能性が高まる。海底下3メートルと浅い場所にあることも判明したとされていました。3メートルって浅っ!開発が楽そうで良いですね。

 また、レアアースとメタンハイドレート以外でも、新潟県佐渡南西沖では原油・ガスがたまりやすい地層を確認しており、石油と天然ガスの試掘調査が始まるという話もありました。埋蔵量を調べるのはこれからで、総額98億円も投じて調査の予定手ですが、国内最大との見通しもあるそうです。さらに、以下のように書いていました。

<日本近海では、海底から噴出する熱水の金属成分が沈殿してできた海底熱水鉱床の探索も進む。銅や亜鉛、金、銀、ガリウムやゲルマニウムなどのレアメタルを含む「宝の山」だ。伊豆諸島や小笠原諸島、沖縄の近くに分布することが分かっており、比較的浅く分布するため技術的に有利とする見方もある>

 ただ、まだ今は取らぬ狸の皮算用の段階であり、変に期待しない方が良いでしょうね。記事でも、いずれも現時点では採取コスト高が課題で、商用化には今後の技術革新が不可欠だとしていました。高コストに関しては、中国を初めとした新興国に伸びてもらう必要があるといった話も出ています。

<新興国や途上国の急速な経済成長に伴い資源価格が急騰すれば、海底資源も現実味を帯びてくるとみて、米国やフランスなど海外でも海洋資源は注目されている。日本は領海とEEZを合わせると世界6位の海洋大国で、政府は海洋資源を効率よく探査し、安価に採取する技術開発を加速する>


●「燃える氷」とも言われるメタンハイドレートとは何なのか?

2013/9/26:日本近海に豊富に眠る“燃える氷” メタンハイドレートって何ですか?(前編)|ダイヤモンド・オンライン(2013年7月29日 ダイヤモンド・オンライン編集部)では、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の担当者の方に話を聞いています。エネルギー不足が深刻な日本で、メタンハイドレートはそんな日本を救う救世主となるのか?という趣旨だそうです。

 ただ、その前に、まず、このメタンハイドレートとは何か?という話が必要。石油天然ガス・金属鉱物資源機構でメタンハイドレート資源開発コンソーシアム(MH21)の中塚善博・環境チームリーダーは、以下のように説明していました。

「低温、高圧の環境で固体として存在する、水とメタンガスで構成される物質です。よく“燃える氷”と言われますが、燃えているのはメタンガス(引用者注:天然ガスの主成分であり、利用方法も同じとの説明もあり)です。見た目は氷なのですが、正確には氷じゃなくて、“氷のような物質”と表現するべきなんでしょう」


●100年分って本当?日本のメタンハイドレート埋蔵量はいくら?

 低温で高圧の環境とは、主に永久凍土層や水深500メートルよりも深い海底の、海底面の下、つまり海底の土の中になります。海に囲まれた日本の近海には、豊富なメタンハイドレートが眠っていることがわかってきました、といいます。このメタンガスの量については、以下のような説明がありました。

<「濃集帯の部分」と「濃集帯以外の部分」を足し合わせた合計メタンガス原始資源量(採掘の可能・不可能を問わない資源の総量)は1兆1415億立方メートル。これは2011年度のLNG輸入の約11年分に相当します。
 そのなかで「濃集帯の部分」のメタンガス原始資源量は5739億立方メートル。これは同じく2011年の液化天然ガス(LNG)の輸入量の約5.5年分に相当するとのことです>

 LNG輸入の約11年分と約5.5年分なので、合わせても20年に満たないです。投稿直前に過去の投稿へのリンクを探していたら、<世界初!日本が海底からメタンハイドレート採取に成功 100年分の消費量>という投稿を書いていたことに気づきました。100年分と20年未満だとだいぶ違う感じですね。


●昔は救世主どころか迷惑者扱いだったメタンハイドレート

 メタンハイドレートの歴史に関する話も軽く。中塚善博チームリーダーによると、昔はガス輸送パイプラインの障害を起こすものとして扱われていました。パイプが詰まって、生産障害を引き起こす厄介な存在であり、全くありがたいと思われていないどころか、迷惑ものであったようです。それが、以下のように変化していきました。

<しかし、メタンガスが含まれているとわかり、研究者たちは“面白い研究対象”として見始めました。さらに “研究対象”から“資源”として捉えられ始めたのは、1990年代後半からです。
 大きく流れが変わったのは2000年。経済産業省にメタンハイドレート開発検討委員会が設置され、国を挙げて開発計画が進められるようになりました。そしてついに今年の3月、世界で初めてのガス採掘成功へ結びついたのです>


●日本のメタンハイドレート埋蔵量では、天然ガス輸出国になれない

 さて、ここからやっとメタンハイドレートは日本を救う救世主となるのか?という本題の話。記事では、ここまで読むと、「採掘に成功したんだから、どんどん採掘してガスを生産すればいいじゃないか」という風に考えてしまいそうだ…と書いていました。つまり、現状ではどんどん採掘できる状態ではないんですね。

<しかし、それほど簡単な話ではないようです。中塚氏は「いくらあってもダメなんです。厚く、まとまって存在しないと経済性がなくて採掘には踏み切れません」と言います。
「メタンガスがLNG輸入量の11年分あると聞いて、『日本はエネルギーの自給自足ができるんですよね』とか『天然ガスの輸出国になれるんでしょうか』といったことをメディアの皆さんから聞かれますが、残念ながらそれはありません」>

 ムリだと断言されてしまいました。まあ、たとえ「11年分」であったとしても、とても「天然ガスの輸出国」というのはムリでしょうね。それどころか、「エネルギーの自給自足」もムリだと考えられます。なので、これに加えて、まとまって存在しないと経済性がないとなると、日本の規模から見ればほとんど役に立たない…ということになりそうです。


●「天然ガスの輸出国」どころか「エネルギーの自給自足」すら無理?

 ただ、記事では、これ以上の詳しい話はなし。すごく気になったんですけど、後編は1ヶ月後とのこと。そこで後編を待っていたものの、いつまで経っても更新されず……結局2ヶ月近く経っちゃいました。そして、よく見てみるとタイトルに全く後編などと書いていないものの、それっぽい記事が出ていたことに気づきます。

 それは、メタンハイドレートの資源量は輸入LNG11年分 “革命”には力不足でも期待大きい商業生産|ダイヤモンド・オンライン(2013年8月26日 ダイヤモンド・オンライン編集部)という記事。予告通り1ヶ月後のものですし、内容的にも続編のようです。そして、「いくらあってもダメ」の理由はこちらでした。

「ある程度の量のガスがまとまって生産できないと、経済性がないのです。どのくらいのガスが生産できそうなのかを調査し、実際に生産するとなると大きなお金が必要です。少量が点在しているような場合は、経済合理性がないので生産には踏み切れません」(中塚氏)

 "LNG輸入量の11年分"というのは、「濃集帯の部分」と「濃集帯以外の部分」を足し合わせた合計メタンガス原始資源量でした。細かな説明はありませんけど、「濃集帯以外の部分」はとりあえず確実にダメでしょうね。ただ、「濃集帯の部分」だけでもその半分の約5.5年分です。これでもかなりのインパクトです。

 ただし、この「濃集帯の部分」であっても1箇所にまとまっているわけではないので、さらに効率が……となるのかもしれません。そこらへんは突っ込んだ話が書かれていなかったので何とも言えず、私の想像になりますが、とりあえず、「天然ガスの輸出国」どころか「エネルギーの自給自足」すら全く無理そうです。


●5年で商業化と言っていた資源エネルギー庁…実際の進捗は?

 また、実用に至る時期もまだまだ先の話であり、 「2030年後半までには商業生産が可能になることを目指しています」(中塚氏)とのこと。「2030年後半」というのは、たぶん「2030年代後半」って意味でしょうね。そんなに先かよ……と思っちゃうかもしれませんけど、以下のようにおっしゃっており、妥当な数字のようです。

「シェールガスにおいては商業生産に至まで20~30年程度の時間を要しました。メタンハイドレートが商業生産へ向けて本格的に動き出したのは2000年代に入ってからですから、開発は順調に進んでいるといえるのではないでしょうか」(中塚氏)

 正直言うと、このスケジュールですら絵に描いた餅となる可能性もあるでしょう。とりあえず、確実に言えるのは、バラ色の未来がすぐそこまで来ていると思っている人は確実に気が早すぎだということ。私は長い目で見ればメタンハイドレート採掘は日本の利益になることは間違いないと思いますし、関連技術で世界をリードすればもう少し早期に利益を得ることも可能だと考えています。焦らずに気長に見守ってあげてください。

 あと、過去投稿の<>世界初!日本が海底からメタンハイドレート採取に成功 100年分の消費量>を読み直してみると、<資源エネルギー庁は、5年後をめどに商業化に向けた技術を確立したい>などとぬかしていました。当時私は<5年で商業化ってまた官僚の「絵に描いた餅」じゃね?という気がしなくもない>と書いていましたけど、「2030年代後半」と全然数字が異なっていて笑えます。こういうのは、大体大げさに言っているんでしょうね。


【関連投稿】
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