地球の第二の月だとか、ミニムーンだとかいう怪しい話がありました。一応これらの説明は間違いなさそうだったものの、「地球の月」と言われて普通に思い浮かべるものとはだいぶ違います。説明不足でなおかつかなり大げさに書かれている感じでした。(2017/08/29)
●ミニムーンの存在示唆…地球には月が2つ以上ある!
2017/08/29:
【ガチ】「地球には月が2つ以上ある」ことが最新研究で判明! 第二の月「ミニ・ムーン」発見へ (2017年8月23日)という話がありました。が、オカルトサイトのTOCANAの記事なので、眉に唾をつけて読まなくちゃなりません。
とりあえず、この記事の元ネタは、8月20日付の英紙「Express」。米・ハワイ大学の科学者らがスーパーコンピューターを用いて、1000万にも及ぶ地球近傍天体の動きをシミュレーションした結果、どんな時でも、少なくとも1つのミニ・ムーンが地球を周回していることが分かったのだそうです。
記事では月が二つ以上という言い方をしています。これは「月が二つではなく、衛生が二つでは?」と思う話。ただ、この言い方でも実は間違いとは言えません。狭義の月は我々が思い浮かべる月だけを指すものの、広義には衛星の意味で使われることがあります。火星の衛星を「火星の月」と呼ぶと言った類です。
記事でも、"「Express」によると、天文学的には月とは「惑星の引力に捉えられた衛星」のことを言い、ウサギが餅つきしているあの月とすっかりそのまま同じ姿かたちである必要はない"と書いていました。
●実は既に観測済みか? 10年以上前に発見して名前もついている
「ミニムーン」で検索してみると、これまた怪しいネットメディアであるロケットニュース24の
月はひとつじゃなかった! 複数の「ミニムーン」が地球を周回していることが判明 2012年4月5日という記事が出てきました。まとまなメディアが出てきませんね。
こちらは5年も前の記事ですが、既に上記と同じと思われる研究が出ていました。どうも英紙「Express」はずいぶん古い話を載せたみたいですね。ハワイ大学のロバート・ジェディック博士の研究チームがスーパーコンピュータで解析を行った結果、地球は常に複数のミニムーンを持っている可能性が示されたと、こちらでも書かれていました。
また、計算上存在するという話ではなく、観測済みという話も出ていました。ミニムーンを最初に観測したのは、米アリゾナ大学の宇宙研究機関であり、2006年に発見され「2006 RH120」と名付けられたとしています。
●「2006 RH120」が地球の衛星だったのは一時期だけ
そこで「2006 RH120」で検索して見つけた
2006 RH120 - Wikipediaを見てみたところ、"アテン群に属する直径約3mから6mの微小な地球近傍小惑星の1つである。2006年9月から2007年6月までの間、この小惑星は地球の周囲を自然衛星として周回し、一時的な「第2の月」となっていた"と説明されていました。一時的なものだったようです。
Wikipediaによれば、2006 RH120の公転軌道はきわめて地球の公転軌道と似通ったものであるため、地球接近時に地球の重力に捕らわれ、一時的な地球の自然衛星になる場合があるとのこと。たぶん基本的には、地球と一緒に太陽の周りを回っているんだと思います。公転周期は364.968日で、これも地球とかなり近い数字です。
このような天体を月と言ってよいのか?という話ですが、"2006 RH120は、天然の天体である事がわかっている中で初の「第2の月」であり、2013年2月時点まででの唯一の観測事例である"ともあったので、一時的には月と呼んでも差し支えなかったようです。
一方、2006 RH120が地球の周回軌道に乗っていることが観測されたのは2006年9月から2007年6月までの間とありましたので、今はもう地球の衛星ではないのでしょう。
以上のようにかなり特殊であり、地球の衛星と言われて思い浮かぶものとかなりイメージが異なるものと思われます。
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