ブログ初期のころよくやっていた悪魔の証明の話を久々に。
悪魔の証明の具体例もありますけど、たぶん使っていなかったビジネスにおける例。
でも、まずはビジネスじゃないものから。
2011年7月15日 嶋田 毅 [グロービス 出版局長兼編集長、GLOBIS.JP編集顧問]
それって私が証明しないといけないの?――悪魔の証明
A「僕は、UFOは存在すると思うよ」
B「その意見には同意できないな」
(中略)
A「どうしても君はUFOの存在は認めたくないというわけか。じゃあ、UFOが存在しないという明確な証拠を示してほしいな」
B「存在しないという明確な証拠?」
A「ああ。もし君がそれを証明出来ないということは、UFOはやはり存在するということさ」
http://diamond.jp/articles/-/13149 細かい状況によって異なるかもしれませんけど、一般的には証明が求められるのは「ある」と主張する側です。
「ある」という証拠は提出しやすいですけど、「ない」という証拠は提出しづらいですからね。
今回の落とし穴は、「悪魔の証明」です。これは、「○○がないことを証明できないなら、○○は存在する」「△△であることを証明できないなら、△△だ」といった論法です。未知証明と呼ばれることもあります。なお、法律の世界では、所有権帰属の証明の困難性を指して悪魔の証明と呼ぶこともありますが(wikipediaより)、ここでは世の中で一般的に用いられている用法について説明します。
冒頭のケースは典型的な悪魔の証明と言えるでしょう。「ある」ということを証明するのであれば、実際に事例を紹介すれば事足ります。しかし、通常、「ない」ということを証明するのは容易ではありません。想定されるすべての可能性をつぶさねばならず、それは通常、ほぼ不可能に近いからです。
今回のUFOのケースであれば、仮に、極めて多大な労力を払って、過去の数千件のUFO目撃事件をすべて論破したとしても、あるいは、確率論的に知的生命体の存在確率をゼロに近いと示したとしても、「過去の目撃はそうかもしれないが、これから本物が出てくる可能性がある」「ゼロではなく、多少なりとも可能性があるなら、やはり存在しうるということだ」などと言われてしまえば、もうそれ以上反論することはできません。つまり、現実的に、証明することは不可能なのです。
記事ではオカルトさんの例が多数載っていました。
「幽霊が存在しないことを証明出来ないわけだな。ということは、幽霊は存在するということだ」
「ネッシーが存在しないことを証明した人は結局いなかった。やはりネッシーは実在したのだ」
「死後の世界が存在しないことは誰にも証明出来ない。つまり、死後の世界は存在する」
「202X年に人類は滅びる。これは誰も明確に否定できない。よって、間違いなく、202X年に人類は滅亡してしまうのだ」
大人気ですね。
ビジネスの世界ではこんな感じだそうです。
たとえば、ある事業について新規参入すべきと主張するなら、本来、自らが、参入すべき理由を示すべきです。しかしここで、「参入すべきでない理由を示してくれ。もしその理由が示せないなら、やはり参入すべきということだ」と言ったとしたら、これは典型的な証明責任の転嫁と言えるでしょう。
あるいは、「□□社との合併に反対する人がいるが、合併した時に起こる問題が、本当に起こるか示してくれ。示せないだろう。であれば、□□社との合併に反対する理由はない」というパターンも同様です。
何だかこっちはわかりづらいなぁ……。
参入すべき理由・参入すべきでない理由、あるいは合併すべき理由・合併すべきでない理由、どちらも言うべきじゃないかと思いますけど。
まあ、問題となっているのは最後の「やはり参入すべきということだ」「合併に反対する理由はない」といった強引な議論の持って行き方であり、「証明責任の転嫁」でしょうね。
私もこういうことをついやってしまっている気がしますが、なぜ必要かということを説明することは、社会人にとってとても必要なことです。
関連
■
悪魔の証明の具体例 ■
悪魔の証明の勘違いの事例とアリバイ ■
詭弁のガイドライン風である誤謬(ごびゅう)の分類と意味 ■
ジジという名前の性別は男・女どっち?魔女の宅急便の黒猫はオス・メス? ■
その他の言葉・漢字・名前について書いた記事
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|