2018/12/13:
●単身世帯の金融資産は750万円だが半数以上が50万円以下
●20歳代ではそもそも金融資産ほぼゼロで普通の状態
●年上なのに金融資産なしが多い!最悪なのは40歳世代か?
●結局お金を持っているのは高齢者世代だけだった…
●20歳代から40歳代の世帯は借金でマイナスも結構ある?
●実は高齢者世代内でも貧富の格差が問題に…
2020/07/26:
●年金だけでは生活できない!夫婦で2千万円赤字と政府が試算
●単身世帯の金融資産は750万円だが半数以上が50万円以下
2018/12/13:日本人の金融資産についてデータがほしいと思って検索。すると、「知るぽると」というところで、「金融資産」について調査していることを知りました。本当は不動産のデータもほしかったのですけど、それがなかったのは残念。ただ、かなり良いデータです。
こちらの「金融資産」の定義は、『定期性預金・普通預金等の区分にかかわらず、運用の為または将来に備えて蓄えている部分とする。ただし、商・工業や農・林・漁業等の事業のために保有している金融資産や、土地・住宅・貴金属等の実物資産、現金、預貯金で日常的な出し入れ・引き落としに備えている部分は除く』といったもの。
具体的には、以下のようなものを指しているようです。保険や投資商品もちゃんと考慮されています。
普通預金・定期預金などの預貯金
生命保険、損害保険、個人年金保険などの保険
株式・投資信託などの有価証券
その他金融商品
で、肝心のデータですけど、まずは単身世帯から。最近は単身世帯が多くなっていますので、以前より重要性が増しているデータでしょう。
平均値は744万円なのですけど、真ん中の人の金融資産金額である中央値は50万円と大きな差が開いています。中央値50万円というのは、半数以上の人が50万円の金融資産しか持っていないということ。金融資産ゼロや100万円未満の人が多いのに、一部のお金持ちが平均を引き上げているため、平均値だと全然イメージが異なるのです。
なお、負債は合算して表示されていませんでしたので、実際の状況はもっと悪いと考えられます。この負債については、金融資産と対応した数字がなかったので、平均値のみ表示しておきました。金融資産とセットで見る必要があるものですから、飽くまで参考程度です。
「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成30年)」
[全世代]
中央値 50万円
平均値 744万円
負債の平均値 78万円
金融資産なし 38.6%
100万円未満 15.3%
200万円未満 7.1%
300万円未満 4.3%
400万円未満 3.5%
500万円未満 2.1%
700万円未満 4.6%
1000万円未満 3.6%
1500万円未満 5.1%
2000万円未満 2.0%
3000万円未満 4.0%
3000万円以上 7.2%
(
各種分類別データ(平成30年) ― 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降)|知るぽるとより)
●20歳代ではそもそも金融資産ほぼゼロで普通の状態
全世代で見た上記のデータの時点で悲惨でした。ただ、当然若者世代の方が悪いわけですから、もっとひどい数字が出てきます。
20歳代の金融資産は平均値ですら128万円で、中央値はなんと5万円。ほぼ預貯金ゼロという人が半数以上でした。金融資産なしが45%で、100万円未満が27%。合わせて72%が100万円未満。4分の3ですので、金融資産がない状態なのが普通と言えるでしょう。
[20歳代]
中央値 5万円
平均値 128万円
負債の平均値 45万円
金融資産なし 45.4%
100万円未満 27.0%
200万円未満 10.2%
300万円未満 4.2%
400万円未満 4.2%
500万円未満 1.1%
700万円未満 2.3%
1000万円未満 1.4%
1500万円未満 1.1%
2000万円未満 0.2%
3000万円未満 0.2%
3000万円以上 0.2%
もちろん30歳代はこれよりはマシであるものの、やはり悲惨。半数以上の人が40万円以下。金融資産なしが40%で、100万円未満が77%。合わせて57%が100万円未満でした。200円万未満が8%、300万円未満が6%ですので、貯金が300万円ある人は、この世代の上位30%になるという計算です。
[30歳代]
中央値 40万円
平均値 317万
円負債の平均値 74万円
金融資産なし 39.7%
100万円未満 17.4%
200万円未満 8.0%
300万円未満 6.0%
400万円未満 4.4%
500万円未満 3.0%
700万円未満 5.3%
1000万円未満 3.7%
1500万円未満 5.3%
2000万円未満 1.6%
3000万円未満 2.3%
3000万円以上 1.4%
●年上なのに金融資産なしが多い!最悪なのは40歳世代か?
40歳代になると、当然30歳代よりは多少良くなるのですけど、一部のデータが悪化していて驚きました。金融資産なしは、30歳代で39.7%だったのに対し、40歳代では42.6%とやや増加しています。考えられません。予想外でした。
さらにあり得ないと思ったのが、中央値が大きく悪化していること。40歳代の中央値は25万円で、30歳代の中央値40万円より悪くなっています。マジで悪いようです。
なお、40歳代の平均値は657万円で、30歳代の317万円より普通に上がっています。したがって、勝ち組と負け組の差が非常に大きくなっているとも言えるでしょう。普通に資産を蓄える人がいる一方で、負の連鎖から全く抜け出せない人が多いのだと思われます。
この世代は氷河期世代かもう少し上のあたりですかね。
ネトウヨとは何なのか? 不遇なバブル末期世代の愛国ごっこ説の世代とも言えるでしょうか。「心の病の最も多い年齢層」で、ネトウヨになりやすい心理の世代だと分析する人もいます。
[40歳代]
中央値 25万円
平均値 657万円
負債の平均値 131万円
金融資産なし 42.6%
100万円未満 12.0%
200万円未満 5.9%
300万円未満 3.6%
400万円未満 2.7%
500万円未満 2.0%
700万円未満 5.4%
1000万円未満 5.7%
1500万円未満 5.0%
2000万円未満 2.0%
3000万円未満 4.3%
3000万円以上 5.2%
50歳代になると、平均値が1000万円を超えてきました。しかし、衝撃的なのは中央値が未だに100万円であること。50歳であっても半数以上の人が100万までしか貯金がないのです。しかも、この世代でも金融資産なしが4割もいます。というか、この世代も30歳代と金融資産なしの比率がほぼ同じですわ。
やはり勝ち組と負け組の差が大きいということでしょうね。レールから外れると、差が開き続ける一方というのが日本社会なのだと思われます。
[50歳代]
中央値 100万円
平均値 1043万円
負債の平均値 139万円
金融資産なし 39.5%
100万円未満 8.1%
200万円未満 5.3%
300万円未満 4.8%
400万円未満 2.5%
500万円未満 2.3%
700万円未満 4.8%
1000万円未満 3.5%
1500万円未満 7.1%
2000万円未満 2.0%
3000万円未満 6.6%
3000万円以上 10.1%
●結局お金を持っているのは高齢者世代だけだった…
ということで、お金を持っている世代というのは、60歳以上の世代しかいないというのが結論です。
ただし、60歳代であっても、貧富の差は大きいところがあります。金融資産なしがこの世代でも27%いるのです。100万円未満を合わせると3割以上、200万円未満まで入れると4割ほどです。やはりかなり金融資産が少ない人が多くいます。
また、今の若い人たちが同じ年齢のときに同じ額の金融資産を持てるとも限りません。終身雇用制がよりいっそう崩れているでしょうから、まとまった退職金を貰える人は減るものと考えられます。
[60歳代]
中央値 500万円
平均値 1613万円
負債の平均値 37万円
金融資産なし 26.7%
100万円未満 7.9%
200万円未満 5.0%
300万円未満 3.4%
400万円未満 3.3%
500万円未満 2.4%
700万円未満 5.7%
1000万円未満 4.6%
1500万円未満 8.1%
2000万円未満 4.1%
3000万円未満 7.7%
3000万円以上 18.8%
●20歳代から40歳代の世帯は借金でマイナスも結構ある?
残りは、単身世帯ではなく、二人以上世帯。同じような話なるので、なるべくまとめて。単身世帯より当然全体に数字は高くなっています。1人ではなく2人以上いるため、そもそも結婚できる時点で裕福なため…などといった理由で説明できるでしょう。
ただし、二人以上世帯の場合、単身世帯ではあまりなかったローンなどの借入金の金額がかなり大きくなっていました。どれくらいの金融資産の人たちの借入金が多いかがデータからは読み取れないため、かなり悲惨な可能性もあります。
あと、こちらではさっきの調査でなかった70歳以上のデータもありました。まだまだ結婚が多かった時代の世代であり、単身世帯では70歳代以上のサンプルが集まらなかったんですかね? ただ、配偶者が亡くなっていることも多い世代でもあるので、不思議です。
[全世代]
中央値 609万円
平均値 1430万円
負債の平均値 563万円
金融資産なし 22.7%
100万円未満 3.6%
200万円未満 3.9%
300万円未満 3.2%
400万円未満 3.9%
500万円未満 3.4%
700万円未満 7.8%
1000万円未満 6.8%
1500万円未満 10.0%
2000万円未満 7.0%
3000万円未満 8.6%
3000万円以上 12.7%
(
各種分類別データ(平成30年) ― 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](平成19年以降)|知るぽるとより)
借入金なしという世帯も多く、前述の通り、対応していないので非常にわかりづらいのですけど、20歳代から40歳代の世帯はすべて金融資産の平均値より、負債の平均値の方が大きくなっていました。借金により実質マイナスという世帯も結構あるのかもしれません。
[20歳代]
中央値 111万円
平均値 249万円
負債の平均値 504万円
金融資産なし 32.2%
100万円未満 13.6%
200万円未満 13.6%
300万円未満 8.5%
400万円未満 10.2%
500万円未満 3.4%
700万円未満 10.2%
1000万円未満 3.4%
1500万円未満 0.0%
2000万円未満 1.7%
3000万円未満 1.7%
3000万円以上 0.0%
[30歳代]
中央値 382万円
平均値 660万円
負債の平均値 1224万円
金融資産なし 17.5%
100万円未満 5.2%
200万円未満 9.1%
300万円未満 6.9%
400万円未満 9.6%
500万円未満 7.4%
700万円未満 12.8%
1000万円未満 8.9%
1500万円未満 7.7%
2000万円未満 4.7%
3000万円未満 3.5%
3000万円以上 1.5%
[40歳代]
中央値 550万円
平均値 942万円
負債の平均値 1002万円
金融資産なし 22.6%
100万円未満 4.8%
200万円未満 4.2%
300万円未満 3.5%
400万円未満 2.7%
500万円未満 5.9%
700万円未満 10.3%
1000万円未満 9.7%
1500万円未満 10.4%
2000万円未満 7.4%
3000万円未満 7.1%
3000万円以上 5.9%
40歳代世帯の金融資産なしの比率は22.6%で、30歳代世帯の17.5%より大きくなっていました。40歳代がきつそうだというのは、2人以上世帯でも見えました。
●実は高齢者世代内でも貧富の格差が問題に…
[50歳代]
中央値 900万円
平均値 1481万円
負債の平均値 793万円
金融資産なし 17.4%
100万円未満 4.0%
200万円未満 4.5%
300万円未満 3.1%
400万円未満 4.2%
500万円未満 1.9%
700万円未満 5.7%
1000万円未満 6.9%
1500万円未満 11.1%
2000万円未満 9.3%
3000万円未満 11.6%
3000万円以上 12.2%
[60歳代]
中央値 1000万円
平均値 1849万円
負債の平均値 234万円
金融資産なし 22.0%
100万円未満 2.1%
200万円未満 2.5%
300万円未満 1.8%
400万円未満 2.7%
500万円未満 2.2%
700万円未満 6.8%
1000万円未満 5.5%
1500万円未満 12.0%
2000万円未満 8.2%
3000万円未満 9.6%
3000万円以上 18.6%
[70歳以上]
中央値 700万円
平均値 1780万円
負債の平均値 131万円
金融資産なし 28.6%
100万円未満 2.5%
200万円未満 1.7%
300万円未満 2.6%
400万円未満 2.7%
500万円未満 1.9%
700万円未満 6.3%
1000万円未満 4.8%
1500万円未満 8.7%
2000万円未満 5.6%
3000万円未満 9.6%
3000万円以上 18.3%
金融資産なしの比率は、50歳代世帯で17.4 %、60歳代世帯で22.0%、70歳以上世帯で28.6%という増え方もしていました。高齢者が唯一お金を持っている世代であるというのは大きく見ると事実であるものの、貧困問題が大きい世代でもあります。やはり勝ち組と負け組の差、貧富の差が大きくなっていると言えるでしょう。
●年金だけでは生活できない!夫婦で2千万円赤字と政府が試算
2020/07/26:以上のように、日本人の金融資産の状況は悪そうだったのですが、一方で、後に年金で100年安心と言いつつ、夫婦で2千万円赤字と政府が試算する…といったことが起きています。別の計算でも1500万円といった数字が出ており、かなり必要になる可能性は高いでしょう。
ただし、これを紹介した投稿は、
老後資金1億必要…老後破産の嘘 本当に必要なのは1ヵ月いくらか?というもので、より極端に大きな数字を出すこともあります。これは投資商品を売りつけるため。実を言うと、政府の2000万円という数字ですらも投資を促すという凶悪な目的のためでした。
ということで、ここらへんの話は注意すべきものばかりなのですが、年金だけで生活するのが難しいというのはまずひとつの事実。一方で、極端に大きな数字は「商売のため」の嘘ですし、老後資金をリスクある投資で行うというのはあり得ない判断。投資はリスクをかけて大丈夫なお金持ちがやるべきものであり、いきなりどん底に陥りかねない貯金のない人がやってはいけないものです。
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