前半は、アマゾン・ウォルマート・ハーシーズなど、アメリカのブラック企業に関する話。特にアマゾンはブラックなところがよく指摘されており、後半にアマゾンの話を加えてまとめました。Amazonの意向に従わない出版社をいじめているという話が、一つではなく複数報告されています。また、Amazonにとって望ましくない個別の商品が嫌がらせにあっているという話もありました。
冒頭に追記
2022/11/19追記:
●「週40時間働いて」ですら社員が反発?ツイッターは天国だった? 【NEW】
●「週40時間働いて」ですら社員が反発?ツイッターは天国だった?
2022/11/19追記:ツイッターは日本人も多く働いており、「週40時間すら働いていなかった」というのはデマだとわかりそうなものですが、そういう情報が駆け巡り、「ツイッター社員働かなすぎ」とツイッターで叩かれていたようです。この話に行く前にまず、40時間の話がない長時間労働を伝えるニュースを紹介しておきます。
・長時間労働のツイッター社、新たに「数百人が退職の意向」…マスク氏「最も優秀な人たちは残っている」(22/11/18(金) 20:17配信 読売新聞オンライン)
<米紙ワシントン・ポストなどは17日、米ツイッター社で新たに数百人の従業員が退職する意向を示していると報じた。ツイッター社を買収したテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は従業員に対し、長時間労働に同意しないなら退職するよう求めていた。(中略)
マスク氏は4日、約7500人いる従業員の半数の削減に踏み切ったと報じられている>
https://news.yahoo.co.jp/articles/581a2b2f2ee9e8e84cb9f614280c83eb1d834b5d
マスクさんは「最も優秀な人たちは残っているのでそれほど心配していない」とツイートしたとのこと。ただ、一般論で言うと、こうした主張は正当化のための嘘が多いです。特にマスクさんはこれまでも問題ツイートが多かった方。リストラなんかは逆に「優秀な社員が先に辞める」というのが典型的なパターンですしね。
で、週40時間労働の話ですが、これはリモートワークするなら「最低でも週40時間はオフィス勤務」という話。ツイッター社員は今週40時間働いてないから「せめてそれくらいは働いて」と言ったら「長時間労働だ!」と反発されたという話ではないんですよ。デマでした。ツイッターはこういうデマが多いですね。
<Twitter社を買収してCEOに就任したイーロン・マスクさんが11月16日、社員に「非常にハードコア」な長時間労働を求め、従わない場合は解雇することを通知したと報道されている。
これに関連して日本のYahoo!リアルタイム検索(引用者注:ツイートを検索するサービス)では「週40時間」というワードがトレンド入りした。マスクさんが求める労働時間が週40時間だとして、「普通では? 」「今までのTwitter社員ってそんなに仕事してなかったのか?」とTwitter社員に批判的なコメントがあふれた>
<アメリカの公共ラジオ放送「NPR」によると、マスクさんは5月31日、自身が経営する自動車会社「テスラ」の社員に対して「リモートワークを望む場合、週に最低40時間はオフィスにいる必要がある」と従業員にメールで通知したという。
アメリカの経済メディア「ブルームバーグ」は11月10日、マスクさんがTwitter社員に向けたメールについて報道。マスクさんは「今後の困難な時期」に備え、個人的に承認しない限りリモートワークを禁止するよう要求した上で、「従業員は週に少なくとも40 時間オフィスにいること」を求める新ルールを施行するとつづっていたと報じている>
https://news.yahoo.co.jp/articles/ea5f8fd7516f538c12092832e329d06a54b58399
これを報じた<「週80時間の勤務に備える必要がある」イーロン・マスクさんがTwitter社員にスピーチしていたと海外報道【UPDATE】>(22/11/17(木) 18:49配信 ハフポスト日本版)よると、ブルームバーグは、買収以来初となる社員向けスピーチの中で、マスクさんは次のように週80時間の労働を求めたと報じていました。
<スピーチの中で、マスクは複数の辛辣な警告を発した。従業員は、週80時間の勤務に備える必要がある。無料の食事などのオフィス特典は少なくなる。そして彼は、パンデミック時代に合わせて従業員が自宅で仕事できるようにする措置を終わらせた>
ヤフーのコメント欄ではなぜかこの週80時間労働までも擁護。週80時間労働は残業40時間相当。ワタミの渡邉美樹会長は自民党入りする直前にワタミは「月平均38.1時間の残業時間しかしていない」と主張していたのですが、これは日本の法令では残業限度超過にあたる残業時間で墓穴でした。マスクさんの要望はそれ以上です。
「アメリカでは問題ないんだしいいじゃん!」という声があり、実際、法律的にはそうかもしれません。ただ、社員が望んでやったとしても、精神や身体をむしばんだり、死んだりするので、良いということではないでしょう。人間の体は納得して働いていれば、病気ならないし死なない…というつくりになっていないのです。
(関連:
過労死の本当の恐ろしさ 自覚症状がなく疲労を感じないまま死亡)
とはいえ、この問題は「日本よりアメリカの方がマシ」とは言えますね。アメリカではこうしたとき、多くの社員が「じゃあ辞める」という選択肢を取るため。日本の場合、転職のハードルがいろいろな意味で高く、会社から逃げられずに死んでしまう…ということがよく起こります。これを理由にマスクさん擁護までは無理ですけどね。
●アメリカのブラック企業 過酷な環境で働くアマゾンの労働者たち
2013/3/15:この前書いた
仕事の効率は悪い方がいい?労働生産性を上げるAmazonに批判 でもアマゾンはブラック企業だという話が出てきました。ただ、正直このときのものはイチャモンみたいな感じで、理解し難かったです。
ところが、今回のアマゾンの話は素直に頷けるものでした。労働者に「静電気ショック」を与えるという、ブラック企業にふさわしい内容のことが書かれていたんですよ。あまりにもアレすぎて、創作じゃないかと思うような話です。ひょっとしたらこれも怪しい話かもしれませんね…。
・アマゾン・コム(通販大手) 息づまるような暑さの悲惨な倉庫で働く人々
<社会問題をとりあげる雑誌『マザー・ジョーンズ』の容赦ない報告によると、アマゾンに送り込まれた潜入倉庫労働者は、日に12時間、時に高温の中で働かされたという。常に棚から棚へと走らされ、体を屈めたり、しゃがんだり、商品を取るために背伸びをしなくてはならない。しかも、一回のシフトで非現実的なノルマをこなせないと、お仕置きが待っている。金属の棚に触れるたびに、静電気ショックが起こるようになっているという。他にも、担架で運ばれた労働者は、残業手当や疾病手当ては一切払われなかったという報告もある。この報告書が出た後で、アマゾンはいくつかの倉庫にエアコンを設置したと発表した>
●ウォルマートは従業員を一晩中監禁?ただし、ソースが怪しい…
上記の引用元は
これがアメリカのブラック?劣悪な環境で従業員を働かせていた6つの企業と国家 2013年03月05日 カラパイアという記事からでした。前述の通り、創作じゃないか?と感じる部分があったのですけど、実際、捏造の可能性はあるみたいですね。<これらの事例は、海外エンターテイメントサイトにまとめられていたものをそのまま意訳したものなので、中には信憑性が定かでないものが含まれている可能性もある。その辺をご考慮いただければ幸いである>という注意書きもがありました。
そんな感じでたいへん怪しいのすけど、次は、日本の西友の親会社で、世界最大の小売店ウォルマートの話が登場。うちでは、ウォルマートで、
日本の常識3Sを完全無視 米国流ウォルマート式の西友EDLPは失敗?成功?といった話をやっています。以下を読んで、性差別か何かで問題になったニュースは読んだ覚えがあるなと思いました。
・ウォールマート(小売大手) 残業手当を払わず、従業員を一晩中監禁
<ウォールマートはアメリカだけでなく世界中にある最大雇用主だが、従業員を酷使しているという疑いが長年あった。2004年、従業員たちが“治安のため”と称して、ウォールマートの子会社であるサムズクラブ(コストコのような販売店)に一晩中閉じ込められた。2012年には、イリノイ州のウォールマートの倉庫従業員が、不当な賃金と危険な職場環境、人種や性差別などに抗議して21日間のストを起こした。一貫してウォールマートは、悪行を否定し、もっといい待遇を約束した。イリノイのストは終結して、従業員たちは仕事に戻り、21日間の給料を取り返した>
●チョコレートのハーシーズも実はブラック?海外留学生を奴隷扱い
アメリカの企業のために、日本では馴染みがない企業が多いです他に、日本でわかりそうなものとしては、チョコレートメーカーのハーシーズくらいでした。留学生を利用して酷使している…という手法は、日本でも外国人技能実習生問題などで似たような問題があるな…と感じるものですね。アメリカに限った話ではなさそうです。
・ハーシーズ(チョコレートメーカー) ゲストワーカープログラムを受けた海外留学生の地獄
<多くは夜勤を強要され、長時間立ち通しで、商品を持ち上げたりする仕事をやらされ、仕事が遅いと怒鳴られる。学生たちは、アメリカに来るのに数千ドル使っているだけでなく、乏しい給料から家賃やその他の費用を天引きされ、週200ドルももらっていない者もいた。こんな苦境に抵抗して、多くの学生たちがハーシーズの工場でピケを張り、このような虐待行為をやめるよう要求した>
元記事は、「これがアメリカのブラック?劣悪な環境で従業員を働かせていた6つの企業と国家」となっていたものの、企業でも国家でもないくくりのものが多いです。残りの6つの中では「米ファストフード業界」「漁業」「もっとも危険で低賃金な職業」といったものがそうでした。これらは企業や国家ではなく、「業界」といった方が良いでしょうね。
●できの悪い従業員に円錐形の紙帽子をかぶせるという謎の差別も
知らん会社なので省略しようと思ったものですが、携帯電話のTモバイルについてもへんてこりんだったので結局、これも引用します。(2020/07/22追記:後にソフトバンクが買収したスプリントとの合併話で、日本でも盛んに報じられました)
・Tモバイル(ドイツの携帯電話会社の米子会社)
従業員に低脳帽(円錐形の紙帽子)をかぶるよう強要
<テネシー州チャタヌーガのコールセンターでは、成績の悪い従業員は、勤務中に低脳帽をかぶるよう強要される。どうして彼らがTモバイルに雇われているのか、他の従業員が家で小論文を書いてこなくてはならない場合もあったという>
「円錐形の紙帽子」を「低脳帽」って言うんですね。「円錐形の紙帽子」をかぶっていると、確かに見た目は頭悪そうなんですけど、パーティーっぽいとも思えなくもないです。…これで終わりだったのですけど、この「低脳帽」が気になって仕方ない私は検索。
<一昔前のアメリカには、出来の悪い生徒に円錐形の帽子をかぶせ るという慣習を持つ学校があったという。その帽子がこの dunce cap である。 漫画「あさりちゃん」に「スカタン帽」という名前で登場していたので、 そっちで知っている人もいるかもしれない。 いずれにせよ流石に今では使われていないようだ>
(
低能帽 - hackaholic - Roguelike Tipsより)
ああ、そういう風習があったんですか。アメリカ人じゃないとわからないネタですね。
●ブラック企業AmazonベゾスCEO、ウォルマートを攻撃してブーメラン
2019/04/16:
アマゾンのジェフ・ベゾスCEO、トヨタのカイゼンに学ぶは詰め合わせ的なもので、タイトル以外の話がいくつかあります。その中には、アマゾンのジェフ・ベゾスCEOが「ライバル企業の話はしない」「他社の話をする企業は、本当の顧客第一ではない」といった発言の紹介もありました。この発言については、後に矛盾する発言があった気がするのですが忘れちゃったんですよ。今回は別の話を見つけたので、忘れないうちに紹介することにします。
Amazonのジェフ・ベゾスさんは、株主あての書簡で賃金を値上げすることに絡んで、「最大のライバル(言わなくても分かるでしょう!)に、私たちの福利厚生や時給15ドル(約1665円)の最低賃金に対抗してみろと言いたい」としたとのこと。直接名前は出していないものの、ほぼ言ったようなものであり、ウォルマートを挑発したとみられています。
これに対し、ウォルマートのダン・バートレット上級副社長はすぐさま反撃。同日のうちに、「そこの小売業界のライバル(誰だか分かるでしょう)、自分の税金を払ったらどうだろう」「倉庫で働く仲間たちは昔から15ドル以上稼いでいる」とツイッターに相次いで投稿していました。
ツイートの1つ目は、アマゾンが受けている多額の税制優遇や日本でも言われている節税対策(租税回避?)を批判したもの。2つ目は、アマゾンはもともとの賃金水準が低く、社会に利益を還元していないと批判され、2018年に正社員やパート、繁忙期に雇う短期契約の最低賃金を時給15ドルに引き上げた経緯があり、それを皮肉ったものです。
(アマゾンの挑発にウォルマート「自分の税金払え」 読売新聞 / 2019年4月12日 21時37分より)
https://news.infoseek.co.jp/article/20190412_yol_oyt1t50302/
Amazonがブラック企業なのはよく知られた話であり、藪(やぶ)をつついて蛇を出した形。言わなくて良いことを言いました。また、前述の通り、「ライバル企業の話はしない」「他社の話をする企業は、本当の顧客第一ではない」と言ったこともブーメランに。Amazonやベゾスさんはすごいと思うところがある一方で、いろいろと問題もありますね。
●アマゾンの悪いところ 逆らう出版社には不利な扱いという脅迫まがいの行動も
2014/7/2:ジェフ・ベゾスさんはすごい経営者だと思っており、非常に感心します。ただ、ジェフ・ベゾスさんが天使のような人か?と言うと、そうではありません。悪魔のようなことをやってのけます。おそらく有名なのはブラック企業としてのアマゾンでしょう。最近も
世界最悪の経営者にアマゾンのジェフ・ベゾス 1日24km歩く従業員などというのを書いています。
一方、意にそぐわない企業を徹底的に潰すという姿勢でもアマゾンは評判が悪いです。もちろんフェアな競争で徹底的にやりあうのであれば構わないのですが、そうではないことがあるというのが問題。たとえば、アマゾン社内で密かに「ガゼルプロジェクト」と呼ばれていたプロジェクトなんかは、そういった疑問が残ります。
この「ガゼルプロジェクト」というのは「チーターが弱ったガゼルに近づくようにアマゾンは小さな出版社にアプローチしなければならない」というベゾスさんのジョークに基づくものだそうですが、内容は笑えるものではありません。Kindleへの電子書籍提供で積極的でない出版社…特に小さい出版社に対して、「アマゾンでの検索や顧客への推奨のアルゴリズムで優先順位を下げる」という脅しをかけたというのです。
『
ジェフ・ベゾス 果てなき野望』第8章によると、"推奨アルゴリズムから外した出版社は、売上が40%も落ちるのが普通だった"そうです。そうなると、出版社は堪ったものではありません。シニアブックバイヤーをしていたクリストファー・スミスさんは「だいたい30日もすると出版社は音を上げた」と証言しているそうです。
(
タフな交渉で相手をたたきつぶすのがアマゾンの文化:日経ビジネスオンライン 滑川 海彦 2014年1月21日(火)より)
●価格高騰・他社をおすすめ・配達遅延の出版社いじめ…と悪評だらけ
同じようなアマゾンとジェフ・ベゾスさんの容赦のなさが現れた記事がもう一つあります。内容的にはかぶっており、やはり出版社との話です。アマゾンと出版社Hachetteは協議を行っていましたが、その"協議が失敗に終わるやいなや、Amazonサイト上で同社が出版する本はのきなみ高騰"したそうです。
不可解なことはこれだけではありません。Hachette出版のページには、オススメとして他社の本ばかりが並ぶようになりました。また、Hachette社の本を購入したユーザには、明確な説明なく配達が数週間後になるという事態までおきているそうです。
以前
ハリポタJ・K・ローリング、変名ロバート・ガルブレイスだと売れていなかったで、ハリーポッターのJK RowlingさんがRobert Galbraithという別のペンネームで、推理小説を出していたという話を書きました。このRobert Galbraithさんの本はHachette社のヒット作だったようですけど、記事執筆時点で"注文不可(日本では可)な状態"だったそうです。
(
アマゾンを敵にまわすな : ギズモード・ジャパン 2014.05.24 12:20 Eric Limer - Gizmodo US(そうこ)より)
●ジェフ・ベゾス本も嫌がらせにあっている?謎の在庫ぎれが発生!
その他に、"アマゾンのあれこれを描いたBrad Stone氏の「The Everything Store」は謎の在庫ぎれ(日本では在庫有り)ですし、アマゾンからの圧力ととれる動きがあちこちに見え"るともありました。この「The Everything Store」の邦訳が、最初の方で紹介した『
ジェフ・ベゾス 果てなき野望』ですね。今回の引用部では否定的なものを紹介しましたが、好意的な内容も多そうな作品です。むしろ本の紹介を読んだ私は、ベゾスさんのすごさに感嘆したものでした。
ただ、こういうアマゾンの良い面を書いている本ですら嫌がらせされているのでは?って話ですね。アマゾン関係者が否定的なレビューを書いているという噂もあるようで、実際気に食わない本なのかもしれません。記事では過去のケースにも触れていて、"2010年には、電子書籍の価格を巡る小競り合いの末に、米国の大手出版社Macmillianの本、数千冊から購入ボタンが削除されたこともありました"としていました。これは大手出版社の例です。
アメリカだとこういうのOKなんですかね? また、日本ではどうなんでしょう? 取引をやめるだけなら自由でしょうが、脅迫じみた行動や不利な扱いなどは不公正なように感じます。もし法的な対策が取られていないのでしたら、問題でしょうね…。
●公取委案件?アマゾンが取引先に協力金要求
2018/03/03追記:もともと書いていた過去の話は、公正な競争を阻害するものではないか?と不思議に思うものでした。で、今回は日本で公正取引委員会の問題となりそうな話がありました。
アマゾンジャパンが国内の食品や日用品メーカーに対し、同社の通販サイトで販売した金額の1~5%を「協力金」として支払うよう求めていることがわかったというニュースです。アマゾン側からは協力金の支払いの有無による取引の見直しについて言及はなかったそうです。
しかし、「応じなければ取引条件が悪くなったり、仕入れを断られたりするかもしれない」ととらえる企業が出ています。前述の通り、過去には実際そういったことになっていますからね。また、やはりいじめられる可能性を考えてであろう、「中小はアマゾンとの取引がなくなれば死活問題」として「応じる」と話す企業もあります。
今回の措置は、物流費の上昇のほか、システムの更新費用が経営の負担になっているためとみられています。その分をどこかの価格に転嫁するということは全く構いません。ただ、わざわざ「協力金」というよくわからない名目にしたのは怪しいです。出店手数料や出品手数料みたいな形ならわかるんですけどね。
牛島総合法律事務所の川村宜志弁護士は「合理的な根拠があればメーカーに協力金の負担を求めること自体に問題はないが、取引停止などを条件に支払いを強要すれば独占禁止法における優越的地位の乱用に抵触する恐れがある」と指摘。問題がありそうなやり方です。
(
アマゾン、取引先に「協力金」要求 販売額の1~5% :日本経済新聞 2018/2/27 18:00 日本経済新聞 電子版 より)
●公正取引委員会がAmazonに立ち入り検査 優越的地位の乱用の疑い
2018/03/18追記:外資系相手でも日本の公正取引委員会はきちんと仕事できるか?というのが一部で注目されていましたが、動いてくれました。
公取委、アマゾンに立ち入り 不当な「協力金」要求容疑:朝日新聞デジタル(矢島大輔 2018年3月15日11時38分)という記事が出ています。
記事によると、公正取引委員会は、米アマゾンの日本法人「アマゾンジャパン合同会社」が、取引先に対して不当な「協力金」を負担させた疑いがあるとして、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)容疑で立ち入り検査をしたそうです。
取引先に「協力金」要求の記事を読んだときは、これから要求するという話だと思っていたのですけど、「協力金」の支払いは以前からあった模様。同社は遅くとも数カ月前から、納入元のメーカーに対し、アマゾン側が値引きして売った商品の販売額の一定割合を「協力金」として支払わせていた疑いとのことでした。
これは、値引き分を補塡する目的があったとみられるとしており、公正取引委員会は物流費の上昇などの理由すら嘘と見ているようです。また、前回も書いたように、協力金を断れば不利益を被ると予想されたというのが、ポイントのようでした。かなりあくどいですね。
●無断で値引きして売ってからメーカーなどに補填要求する形か…
2018/05/08追記:上記の最後にあった「値引き分を補塡する目的」という話の補足。Amazonが勝手に割引して売って利益が少なくなったので、その分を後からメーカーなどに割引しろと圧力をかけた…といった説明の方が良いかもしれません。例えば、毎日新聞では当時、以下のように書いていました。
<関係者によると、同社はメーカーから仕入れた商品を通販サイトで販売する際、本来の販売価格から値引きした分を、仕入れ元に支払わせていた疑いが持たれている>
(
アマゾン立ち入り 値引き補填、仕入れ元に強要か 毎日新聞2018年3月15日 20時22分(最終更新 3月15日 23時42分)より)
より最近の記事では、タイトルで「勝手に」という部分を強調した
アマゾン、最安値設定のため納入業者に無断で値引き→補填要求か 公取委調査 産経ニュース / 2018年5月6日 2時5分というものも出ています。
内容的には結局、上記と同じ話のように思えますが、この記事では、"アマゾンが業者に無断で商品を値引きして販売した後、その差額分の補填(ほてん)を業者に要求していた疑いがあることが5日(引用者注:2018年5月5日)、関係者への取材で分かった"という書き方をしていました。
●Amazonの掲げる「顧客第一」の嘘
アマゾンでは、自社サイトで直販商品より安い出品があった場合、直販商品の価格を同等か下回る最安値に設定するシステムを構築しているとされています。それ自体は別に良いのですけど、それによって出た損失を立場の弱い相手に背負わせるというのは明らかに「悪」です。
Amazonは「顧客第一」を掲げているものの、独禁法に詳しい川村宜志弁護士は、以下のように指摘していました。
「アマゾンがこうした値引きをやめると価格が上がって消費者には不利益となるかもしれないが、競争がきちんと機能すれば、中長期的には、より安くて良質な商品が生まれるなど、消費者へのサービス向上につながり得る」
また、特定企業が不当な形で他社から利益を奪うことで歪みが生じ、巡り巡って消費者に不利益を与えるということもあるでしょう。特にAmazonは日本に支払う税金が少ない企業ですので、日本人から搾取しているような感じです。
【本文中でリンクした投稿】
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過労死の本当の恐ろしさ 自覚症状がなく疲労を感じないまま死亡 ■
アマゾンのジェフ・ベゾスCEO、トヨタのカイゼンに学ぶ ■
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ハリポタJ・K・ローリング、変名ロバート・ガルブレイスだと売れていなかった ■
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