元々コスト高な鉄道は利益を出しづらく、民営化に不向きだという説があります。鉄道の廃止路線は、バスで代替されることが多く、バスの方がマシという感じです。ただ、必ずバスの方が鉄道より良いか?というとそれも大いに疑問があり、結局、一長一短なのだろうという感じでした。バスが万能というわけでもありません。
2020/10/09:
●自宅とバス停を定額料金で結ぶ乗り合いタクシーの試験運行始まる
●宇部興産の日本一長い私道、鉄道案を却下して建設した理由は?
2017/4/11:投稿を書くきっかけとなったのは、30km以上にもおよぶ日本最長の「私道」を山口県を持つ宇部興産の話。この道路は、セメント工場で加工したセメントの中間製品「クリンカー」などを、臨海部のセメント工場に運ぶための道路です。
この道路は私道ですので、1編成で80tを積み込める2両編成の大型トレーラーである「ダブルストレーラー」など、道路交通法、道路法によって公道を走れない車も走ることができます。これ自体もおもしろい話だったのですが、私が鉄道のコストの問題について考えてしまったのが、「大量輸送は鉄道の得意分野だと思いますが、なぜこのような形に?」という質問があった部分でした。
もともと石灰石やクリンカーは鉄道で輸送していましたが、昭和30年代にセメントの需要が急増し、輸送能力が不足する懸念が生じたというのがきっかけで道路建設が検討されます。抜本対策として、新しい鉄道の敷設、ベルトコンベアーの設置、道路の建設の3案を検討。この段階では、新たな鉄道という選択肢もありました。
道路の建設が選択されたのにはいろいろと事情があり、コストだけの問題ではないものの、多目的に使用できること、鉄道よりもコストが安いこと、輸送品種の変更にも柔軟に対応できるといったことがメリットとされていました。
(
日本最長約30kmの「私道」! 行き交うクルマも規格外、なぜできた?(画像8枚) | 乗りものニュース 2017.04.11 乗りものニュース編集部 より)
●政府の国鉄民営化は失敗!JR北海道など路線廃止でバスに転換
私は規制緩和・民営化という方向性がむしろ大好きなのですけど、鉄道はそもそもコストの問題などで民営化に向かないという説があるんですよね。政府が行った国鉄民営化は失敗だったという見方があるのです。
コスト説を採用しなかったとしても、日本の国鉄民営化は失敗と言って良いと思います。北海道のように人口密度が低く、維持コストも高い地域を単独で民営化してしまったため。どう考えても儲からないという地域なのですから、企業努力だけではどうしようもありません。精神論・根性論の世界。分け方に問題がありました。
そのJR北海道は、廃線が進んでおり、2016年11月18日には、「単独では維持が困難」と判断した13線区を発表し、「持続可能な交通体系」とするために、バスなどへの転換について、地域と協議したいとしています。つまり、この時点で鉄道よりバスの方が現実的だということがわかります。鉄道ファンの方には、残念な話ですけどね…。
(
3線区はバス転換、8線区は上下分離など協議へ JR北海道が「維持困難線区」発表 | 乗りものニュース 2016.11.18より)
●バスが万能という意味ではない…需要がない地域では無理がある
ただし、バスであっても、採算が取れなくなることはよくあります。廃線後、地域によっては、鉄道の代わりにバスを走らせることでカバーするケースもあるものの、そもそも乗客が少なかった路線の代わりなのでバス乗客も少なく、その後バスも廃止になることが多いと、鉄道ジャーナリストの梅原淳さんは説明していました。
(
毎年1路線が廃線に……鉄道ジャーナリストに聞く、鉄道経営の現状不動産関連記事 by スーモジャーナル | YOMIURI ONLINE×SUUMO不動産検索サイトより)
元路線はJR北海道ではありませんが、ちょうど同じ北海道で鉄道代替が由来のバス路線廃止のニュースを見つけました。札幌駅前から長生園前まで運行されていたJR北海道バスの北5条線の54番系統は、2017年に廃止。市電時代のままの経路で運行されていたという市電廃止後の代替バスの名残でした。
(
都心の「市電代替」バスが廃止---札幌のJR北海道バス | レスポンス(Response.jp) 2017年4月2日(日) 23時36分より《佐藤正樹(キハユニ工房)》)
長生園前~中央市場通間の市電西20丁目線と、接続する北5条線中央市場通~札幌駅前間は、1971年10月の廃止後に札幌市営バスが代替輸送を開始。2003年には札幌市営バスの民間移譲に伴い、JR北海道バスが路線を承継したという経緯だそうです。
なお、54番系統は、行き先を変更して、今度は地下鉄と競合することになるそうです。地下鉄は乗り換えが発生する上に、運賃はバスが地下鉄より40円安く、所要時間はバスが4分少なくなっています。
ところが、バスは1時間に1本程度の運行なので、本数では地下鉄に歯が立たないと説明されていました。鉄道はこういう風に利用客が多いところなら、強いのかもしれません。東京都内なんかも私は「バスより鉄道」ってイメージで使っていましたし、一長一短なのだろうと思います。
●自宅とバス停を定額料金で結ぶ乗り合いタクシーの試験運行始まる
2020/10/09:<バス停結ぶタクシーの試験運行>(NHK 10月01日 11時49分)というタイ凸を見て、バスも万能ではないというこのページの話を思い出しました。ただ、車を運転できない高齢者などが路線バスを利用しやすい環境を作ろうと、自宅とバス停を定額の料金で結ぶ乗り合いタクシーの試験運行が帯広市で始まったとのことで、バスのためのタクシー利用ってことみたいですね。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20201001/7000025239.html
これは、利用者は事前に予約をすると、自宅から地区内の路線バスの停留所まで片道300円の料金で行けるというもの。第1便は80代の2人が利用し迎えに来たワゴン車に乗り合ってバス停まで移動した後、帯広駅に向かう路線バスに乗り込んでいました。
必ずバスを利用しなくてはならないということではないのでしょうが、運行するバス会社では車を運転できない高齢者などの移動手段の確保とともに路線バスの利用者の増加にもつなげたいという狙い。飛行機でよくあるハブアンドスポークに近い考え方だと言えるかもしれません。
<ハブ&スポークとは、拠点空港(ハブ空港)と各都市の空港を放射状(スポーク)に結ぶ大手航空会社のネットワーク戦略。(中略)航空会社は機材や人材を拠点空港に集中することで効率的な運営ができ、旅客は、拠点空港を経由し多くの都市へ行き着けるのがメリット>(
ハブ&スポークとは・観光用語集 - JTB総合研究所より)
ただ、事前予約が必要なので面倒くさく、価格も300円とそれほど安くはないために、結局、あんまり便利ではないかな…という。普及しないように見えますね。バス利用の癖をつけてもらってそちらでで稼ぐつもりで、タクシーは極端に安くするというのも手ですが、本体のバスの方もそれほど利益が出なくてきつそうですし、そこまで思い切り良いこともしないでしょうね。
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