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三鷹光器はなぜ太陽光ではなく、太陽熱を選んだのか?


 ニュースじゃありませんけど、成功企業を紹介したページに以前よく書いていた三鷹光器の話がありましたので。

 でも、久々だと思ったら2月にシェア世界一三鷹光器 入社試験で焼魚・社内メール禁止で絵をを描かせるを書いていましたのでそうでもありませんでした。

 タイトルにした太陽熱の話は三鷹光器の太陽熱発電(ヘリオスタット方式) ~太陽光じゃなくて熱?~でも書いています。
三鷹光器株式会社:成功企業紹介 | モノづくり、ものがたり。

【太陽“熱”集光装置】
太陽“熱”発電に不可欠なのが集光装置。水を蒸気に変えてタービンを回して発電するため、太陽光をミラーで反射させて熱を1点に集約する目的で使われる装置だ。

発電効率を上げていくために必要なのは、まず太陽の位置を正確に把握し、ミラーを常に太陽に向けておくこと。ほかのメーカーはコンピュータ制御でミラーの向きを調整するが、多少の誤差は生じてしまう。

対して三鷹光器は、望遠鏡に使う赤道儀の自動追尾技術などを活かし、ミラーの向きを自律的に調整するように試みた。まずは太陽の年周・日周運動を計算し、その日のミラーの動きを決める。そして太陽光が狙いどおりに1点に集まっているかを光電センサーで確認し、位置がずれていたら小型モーターでミラーの向きを補正するような仕組みにした。

それ以外に、ミラーの表面性状にもこだわりがある。太陽光を無駄にせず反射するためには、ミラー表面の窪みを最小限に抑えなくてはいけない。三鷹光器は集光装置を開発する前に、自社の検査装置で大手メーカーのミラーを検査してみた。すると、思っていたよりもミラー表面に窪みが多く、勝機があると考えた。そして同社が作ったミラー表面の窪みは最大のものでも0.008ミリ。太陽光の反射率は95%以上となった。
http://kirari-tech.metro.tokyo.jp/success/example/mitaka.html

 ここはとにかく技術が高いですし、それに加えて目の付け所が違います。

 天文・宇宙から始まって医療分野で大きなシェアを獲得……と分野を絞らないため、視野の広さが生きてくるのかもしれません。


 さて、そんな目の付け所の違いは、太陽光じゃなくて太陽熱というのところでも表れています。
技術Tips – なぜ太陽“光”ではなく太陽“熱”だったのか

日本では今、太陽“光”発電を推進しようという動きが目立っている。一方、三鷹光器が注目したのは太陽“熱”発電。太陽“熱”発電の主な利点をまとめてみた。

【熱エネルギーとしても利用できる】
太陽“熱”発電は、発電途中に水を沸騰させる。従って給湯などにも使え、給湯用のガス使用量を減らすことができる。

【製造時の二酸化炭素排出量が少ない】
太陽“光”発電に必要な装置には半導体が組み込まれる。製造時には二酸化炭素を排出することから、「現在の太陽“光”発電装置の性能では、製造時の二酸化炭素排出分を回収することは不可能」と指摘する向きもあれば、「発電装置の稼働から2.4年で回収できる」と主張する向きもある。
一方、三鷹光器の集光装置に使われるのは主にミラー。製造時にはそれほど二酸化炭素を排出することはないため、太陽“熱”発電ならそうした心配をする必要はない。

【夜間でも発電できる】
太陽“光”は太陽が出ている時間しか使えない。しかし太陽“熱”なら、熱を一時的に蓄えておく装置を併用することで、夜間でも発電できるようになる。


 太陽熱発電装置以外では、半導体不良品判別装置の話が初耳でおもしろかったです。エピソードに事欠かないですね。
【産業用検査機器】
発端はある半導体メーカーから「半導体の良品/不良品を簡単に見分けられるようにならないか」と相談を受けたことだった。半導体の回路は現在、ナノ(10億分の1)メートル単位で製造されている。それだけ微細な回路になってくると、良品/不良品を見分けるのは至難のこと。半導体メーカーは従来手法の延長線上に解決策を見出せなかったが、三鷹光器は「新星を発見するために使う手法を応用してはどうか」と考えた。

天文の分野では新星を発見するため、何年か前の写真と最新の写真を1秒間に25コマで1つのスクリーンに交互に映し出して比較。最新の写真側を赤色の照明で光らせると、同じ場所に位置する星の像は静止した状態で見えるが、新星が発見されると12.5コマで赤色の点滅が見える。

この技術を半導体の超LSIの集積回路の欠陥を探し出す測定装置に採用した。つまり、集積回路のマスターパターンと製造したパターンを、交互に1つのスクリーンに映し出し、製造パターンを通過する光学系に赤色のフィルターを入れ25コマ以上で交互に映すと、正しいパターンは問題ないが、製造パターンに断線やショートしている部分があると、赤色で点滅表示があり、欠陥個所が確認できる、という装置を作り上げた。

 これは"元々、天文や宇宙関連の観測・計測機器を開発する会社だった"三鷹光器が、他の分野でどう技術を生かしたか?というテーマで太陽熱発電装置とともに挙げられていた例です。

 追随を許さない技術がなければできないものの、他分野だからこそできた発想というのもあります。

 以前三鷹光器 中村義一会長4 ~「専門家」ではいけない~というのをやりましたけど、専門家になっちゃいけない、多くの分野のことを知っていなくてはいけないという話とも通じる気がします。


 関連
  ■シェア世界一三鷹光器 入社試験で焼魚・社内メール禁止で絵をを描かせる
  ■三鷹光器の太陽熱発電(ヘリオスタット方式) ~太陽光じゃなくて熱?~
  ■三鷹光器 中村義一会長4 ~「専門家」ではいけない~
  ■三鷹光器の技術
  ■三鷹光器 技術の重要性
  ■その他の企業などについて書いた記事

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