2013/4/9:
●米など高校野球の問題指摘 日本は政治家も参戦し投手球数制限反対
●子どもを殺すも同然で虐待、怪我を押しての無理な出場も美談ではない
●甲子園で投げ抜いた結果、以降登板できなくなった投手も
2019/07/30:
●故障を防ぐため投手を休ませた高校に苦情の電話200件以上!
●怪我押して強行出場の稀勢の里を見習え!説教する偉い人も
●米など高校野球の問題指摘 日本は政治家も参戦し投手球数制限反対
2013/4/9:愛媛・済美高の安楽投手をめぐって2013年に投手の球数制限の論争が起きたことがありました。米CBSスポーツが電子版で、中3日で計391球を投げたことについて「投手にとって過酷な負担。成長途上の16歳であればなおさら」と指摘したことがきっかけです。
作家の乙武洋匡さんは、ツイッターで「なぜ球数制限の導入を検討しないのだ」などと批判。ダルビッシュ投手は乙武さんにツイッターで「出場選手登録を25人にして、学年別に球数制限がいいかと」と提案しています。
一方、野球評論家の江本孟紀氏は米国での報道に対し、ブログで「勉強不足と自分たちの基準でモノを言うというごう慢さにあきれる」と反論しています。
(
乙武氏&ダルは導入論“賛成” 江本氏は反対?「あきれる」 [ 2013年4月5日 06:00 ] スポニチより)
ダルビッシュ選手が賛成しているように、日本の野球関係者がすべて球数制限に反対しているわけではないようですが、日本の野球関係者では反対論が強いみたいです。野球選手以外に政治家も参戦し、アメリカに反論。
自民党の小泉進次郎議員は、「肩や将来のことを考えれば、将来的に球数制限をする可能性もあるかもしれないが、横浜対PLの試合を同じ世代で見ていた立場からすると、そうやってしまうとあの勝負は生まれない」と指摘。「それが日本のスポーツの良さでもある」と述べました。
(
“松坂世代”進次郎氏 高校野球「球数制限」にけん制球 [ 2013年4月5日 06:00 ] スポニチより)
●子どもを殺すも同然で虐待、怪我を押しての無理な出場も美談ではない
私は正直これは虐待だと思っています…と書こうとしたらアメリカでも似たようなニュアンスの発言があったようですね。
済美・安楽について、複数の米メディアが特集記事を掲載した。米野球専門誌で最大手のベースボール・アメリカは彼を絶賛しつつ、2試合で計391の球数を懸念材料だとし、大リーグのスカウトの以下のようなコメントを載せていました。
「非常に印象的な投手だが、向こう(日本)の連中は
子どもたちを殺すも同然だから」とコメント。米放送局CBSスポーツも「まだ体が発育中なのに、正気のさたではない球数だ。だが、日本の高校では珍しくないこと」
(
米メディアも済美・安楽に大注目 2013年4月1日 デイリースポーツより)
私が以前からおかしいと思っていたのは球数の話ではなく、「怪我を押しての無理な出場」というのを美談として伝えるマスコミであり、今回と同質のものを感じます。
成長途上の子供だから、将来性のある選手だから…だけでなく、こういった根性論で怪我を誘発する危険性を高めることが、果たして美しいことだと言えるでしょうか?
●甲子園で投げ抜いた結果、以降登板できなくなった投手も
また、過去には甲子園で全試合を投げ抜いた結果、ひじを壊して高校野球での投手生命が絶たれた例もあったようです。1991年、夏の全国高校野球大会で決勝に進出した沖縄水産高・大野倫投手は、1回戦からの5試合すべてを完投。しかし、地方大会の時点で痛めていた右ひじが悲鳴をあげていた状態でした。
決勝の大阪桐蔭戦にも登板したのですが、既にひじは限界で、13失点を喫して敗れています。その後大学進学後にプロ入りするまでに復活できたものの、高校野球は以降投げられなかったと書かれていました。
小中学生に対する野球の指導経験をもつスポーツジャーナリストの菅谷齊さんは、「甲子園出場」の夢が実現したとなれば「たとえ腕が折れても投げたい、と考えても不思議ではありません」としつつ、1人の投手に全試合を任せるのではなく「2、3人用意するべき」と提案。
育成面を優先して、故障につながるような無理はさせない、だからこそ戦力的に複数の投手を育てる必要があるとのこと。特に安楽投手のような将来プロの道を嘱望されるような人材には、なおさら指導者の判断力が問われるだろうとしていました。
(
済美高校「エースの5連投」に異議 投手生命絶たれる危険がある 2013/4/ 3 18:55 J-CASTより)
ただ、私はたとえ将来性のない選手であっても、壊れるまで使っていいというわけではないと考えます。道徳的・倫理的におかしい虐待ですからね。よく言われるスポーツの健全性とは、かけ離れたところにある行為でしょう。
また、こういった発想は学校時代だけでなく、卒業後の社会人になっても大きな影響を与えていると感じます。長過ぎるのと話がちょっと変わるので、これに関しては一旦分けます。ご興味ある方は引き続き
ブラック企業向きな体育会系は就活有利 人事「会社は部活だ」をどうぞ。
●故障を防ぐため投手を休ませた高校に苦情の電話200件以上!
2019/07/30:全国高校野球選手権岩手大会の決勝で最速163キロ右腕の大船渡・佐々木朗希投手(3年)が出場せずに敗退したことを受け、学校側に苦情が殺到していたそうです。同校関係者は「きのうだけで150件。(ほとんどが)『何で(佐々木を)投げさせなかったのか』という問い合わせだった」で、朝の段階でも約50件があったことを明かしていました。本当、日本人はブラック企業思想がすごいですね。
(
大船渡に苦情殺到「何で佐々木を投げさせない」 職員対応に追われる/野球/デイリースポーツ online 2019.07.26より)
大船渡・国保陽平監督(32)は佐々木を登板させなかったことについて「投げられる状態ではあったかもしれませんが、私が判断しました。理由としては故障を防ぐため」としています。
(
大船渡監督「故障防ぐため」佐々木登板させず/岩手 - 高校野球夏の地方大会 : 日刊スポーツより)
これで監督を叩くってのはおかしいですね。普通逆で褒めるべきでしょう。
はてなブックマークでもそういった反応が人気になっていました。
el-condor 選手の人生は今後も続くしまあ妥当なのではないか。目先の勝利を追わなかった、という点は評価したい/それにしても、試合のレベルが上がる後半戦になるにつれどんどん試合間隔が短くなるのどうにかならないのか
●怪我押して強行出場の稀勢の里を見習え!説教する偉い人も
ただ、そもそも決勝までに投げさせすぎているという指摘もあり、それはその通りですね。最初の投稿時で紹介したスポーツジャーナリストの菅谷齊さんが提案していたように、その前から保護すべきでした。おそらく選手を守るにはやはり球数制限のような絶対的なルールが必要で、監督任せでは無理なのでしょう。
ところが、高校野球は日程の時点でそもそも虐待がひどい状況になっているため、組織団体そのものがブラック企業思想というところ。改善にはかなり時間がかかると思われます。
あと、他の投稿について。最初のときに書いたように小泉進次郎議員が「あの勝負は生まれない」と球数制限反対について述べていましたが、これは要するに子供よりもエンターテインメントを重視するという発想。親や教師の満足優先ではないかと言われている組体操と似たところがあると思われます。
(関連:
9人死亡・92人障害程度の危険性じゃ組み体操は廃止しません!「緊張感持って対応を」で幕引きはかる)
また、「怪我押して出場を美談にしてはいけない」に関しては、
怪我押して出場を美談にしてはいけない 稀勢の里が連続休場、横綱ワースト記録にを書いています。安倍首相はなぜか「働き方改革」と言いながら、稀勢の里を例にして「甘え許されぬ」とスピーチしており、我が国の理想の働き方というのはどっぷりとブラック企業思想に浸っているようでした。
【本文中でリンクした投稿】
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