2013/4/11:
激戦区にありながら生き残っている「でんかのヤマグチ」
安売りせずに高売りするには? でんかのヤマグチ山口勉代表のやり方
2016/5/25:
クイズキャンペーンで平日も店に賑わい
くじの当たりが多い理由はコミュニケーションのため
暇な平日に余っている店舗スタッフは訪問営業に回す
●激戦区にありながら生き残っている「でんかのヤマグチ」
2013/4/11:以前書いた安売りしないって話をまた別企業で。しつこくやってますが、興味あるんですわ。
■
安売り競争しないスーパーの秘訣 札幌市のフーズバラエティすぎはら ■
エーワン精密 不況時こそ値下げしない 今回読んだのは、
さらば安売り! ウチは「量販店の2倍の価格」でテレビが売れる(日経ビジネスオンライン 山口 勉 2013年3月12日)という記事。
「でんかのヤマグチ」は、東京都町田市にある社員40人の小さな家電販売店ですが、多くの方々に注目されている企業だといいます。バブル経済の頃に複数の店を出したこともあるものの、店舗数が多いわけではなく、今は町田市郊外の1店舗だけ。
にも関わらず注目だというのは、業界大手の家電量販店がひしめく激戦区にありながら安売りをせずにしぶとく生き残っているからのようでした。
全然関係ないですけど、山口勉さんというお名前がとても引っかかっていて何だろうと思ったら、曲の
山口さんちのツトム君
でした。
●安売りせずに高売りするには? でんかのヤマグチ山口勉代表のやり方
まあ、そういう話は良いとして仕事の話です。「でんかのヤマグチ」が高くても売れる理由というのは、本来の仕事ではない「裏のサービス」があるため。全然家電に関係ないことまでやっちゃうんだそうです。ただ、「電球1個の交換でもトンデ行く」ことですら「表のサービス」だというので、この時点で多くのお店はついていけないでしょう。
<「裏のサービス」の例>
・営業担当者がクルマで担当地域を巡回中、顔見知りのお客様が「これから病院に行くのよ」というので、「それなら、すぐそこですから乗っていってください」と担当者が機転を利かせて送ってあげる。
・毎週金曜日になると、馴染みのお客様のご自宅に出向き、韓流ドラマを録画してあげる。
このサービスは徹底しています。以下のような話がありました。
電池や電球といった販売価格の小さな商品ほど、早く届ける。もし「何かのついでで構わないから、電池を持ってきてくれない?」という顧客からの電話があったら、営業担当者はピンときて、すぐに持っていかなければいけません。本当はすぐに欲しいのに、単価が低いから遠慮してそう言っている可能性があるからです。
究極的には「顧客がかゆくなる前にかいてあげる」くらいの気配りが必要だと思っています。例えば、電球が切れたときには、他の部屋は大丈夫かどうかをさりげなく調べる、といったことです。
ヤマダ電機も打倒アマゾンへ ショールーミングには低価格で対抗では、ショールーミングといわれる家電店で調べてネットで購入という容赦ない買い方がありました。でも、値段よりサービスって方もいるんです。たぶん狙っている層が異なるんでしょうね。量販店では成り立ちません。
でんかのヤマグチは、家電量販店が周囲に進出してきて売上が下がるだろうと予測してから利益率を上げる、つまり価格を上げると決めた…ということもやっていてすごいかったです。普通はやれないと思います。
●クイズキャンペーンで平日も店に賑わい
2016/5/25;ヤマグチの山口勉・代表取締役の別記事もいくつか読みました。
抽選で旅館の宿泊チケットだってあげちゃいます:日経ビジネスオンライン( 山口 勉 2016年4月11日)では、イベントの話が気になりました。
週末はほぼ毎回、何らかのイベントを開いているので、お客さんはそれなりに来てくれます。一方で、皆さんが忙しい平日は、賑わいを持たせるなど、何らかの工夫をしなければ、ヤマグチのような小さな町の電器屋さんにお客さんは足を運んでくれません。(中略)
では、平日に賑わいを持たせるために、どのようなキャンペーンを企画するか。知恵を絞った結果、私が思いついたのが「ハイビジョンクイズ」です。これは、ヤマグチで販売しているハイビジョンテレビの累計台数が1万台、1万8000台など節目を迎える時期に、その台数に達する日を予想するクイズです。(中略)
見事に予想が的中した人には、神奈川県厚木市の七沢温泉郷にある温泉旅館にペアで1泊できるチケットを渡します。
当たりは最大3組6人まで。それより多ければ抽選にします。情報が全くない中で正解するのは難しいので、「ヤマグチではここのところ1日2台のペースで売れています」といったヒントを出します。
●くじの当たりが多い理由はコミュニケーションのため
このイベントはリピーターを獲得する効果、繰り返し同じ企画を催すことができる点などが優れています。
さらにおもしろいのが、上記以外の「隠れた効果」というもの。反則のように思えるものの、"もし、あと1台売れれば規定の台数に到達する日にお客さんが来店した場合、自らテレビを購入して予想を的中させることも可能"だというのです。実例も本当にあるのだそうな。とはいえ、多いときは抽選だそうですから、それで当たるとは限らないのでリスクありますけどね。
この他に普通のくじもやっているそうです。ただ、普通ではないのは、3~4枚に1回というかなりの高確率で当たること。
"当たりを多くする狙いは、お客さんとの接点を増やすため"、コミュニケーションを取るためという理由でした。もともとでんかのヤマグチはお客さんとのコミュニケーションが密であること。ですので、でんかのヤマグチらしい考え方だと思いました。
●暇な平日に余っている店舗スタッフは訪問営業に回す
でんかのヤマグチは、お客さんの家にまで行って便利屋みたいなことをしていますけど、ちゃんと儲けになる営業もやっているようで、別記事で以下のような話がありました。
立地が悪くても「稼げる店」はつくれる:日経ビジネスオンライン 山口 勉 2016年2月29日
顧客台帳から、このお客さんはレンジフードを買い換えた形跡がなく、相当老朽化が進んでいることが推察できました。年末はだいたいどの家庭でも大掃除をします。もし、レンジフードを掃除していれば、「もうこのレンジフード相当古いな」と感じているかもしれません。そんなタイミングで訪問して、レンジフードを提案すれば、「ちょうどよかった」と購入につながるかもしれないと仮説を立てたのです。
結果はどうだったかというと、レンジフードは残念ながら売れませんでした。しかし、ここで諦めないのが宮林店長。顧客台帳でエアコンを購入してから7年以上たっていることに目を付け、「エアコンの調子はいかがでしょうか」と水を向けたのです。この提案が大成功。約30万円のエアコンの購入が、その場で決まったのです。
先程あった平日の訪問客の話は、効率としてはどうなんだろう?と正直思いました。無理に平日を増やさずに、週末に全力を傾ける方が効率的ということもあり得るのでは?と思ったためです。
すると、以下のような話もありました。これは平日など暇なときの効率的な仕事の仕方であり、関心しました。
店舗スタッフがカバーする世帯数は、1人当たり500~700世帯。これは訪問営業部隊が担当する1人当たりの世帯数350~500と同じか、やや多い数字です。お客さんの入りが悪い平日には、店舗スタッフが自らお客さんの家に電話を掛けて訪問の約束を取り付けたり、あえてアポなしでいきなり訪問したりして、積極的に店から出ています。
でんかのヤマグチのやり方は、見えづらいところにあるニーズを自ら見つけていますので、なかなか他の家電屋さんにはできないところだと感じます。見事ですわ。
【本文中でリンクした投稿】
■
安売り競争しないスーパーの秘訣 札幌市のフーズバラエティすぎはら ■
エーワン精密 不況時こそ値下げしない ■
ヤマダ電機も打倒アマゾンへ ショールーミングには低価格で対抗【その他関連投稿】
■
店舗閉鎖ラッシュのヤマダ電機、もう倒産か買収・合併で消滅しかない? ■
ヨドバシカメラがヤマダ電機やビックカメラなどよりすごい理由 ■
PCデポがパソコン専門店なのに「PCは他社で買っても良い」と言える理由 ■
ヨドバシカメラ・ネット版のアマゾン超えに疑問 前提条件ひどすぎ ■
ショールーミング推奨アプリでヨドバシ.comが攻勢、アマゾンを追撃 ■
企業・会社・組織についての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|