2013/4/12:
●シャープのプラズマクラスターは、要するにマイナスイオン?
●マイナスイオン家電効果の嘘 むしろ規制対象で体に悪い可能性も
●放出が問題視されていたオゾンをわざわざ出すイオン発生機
●プラズマクラスターのシャープだけでない!パナソニックなども
2020/04/24:
●その後マイナスイオンの効果は証明された?試してみるべき?
●独自の名前が多い!日本のマイナスイオン採用企業リストが豪華
●シャープのプラズマクラスターは、要するにマイナスイオン?
2013/4/12:今回紹介する記事では、
疑似科学で詐欺?シャープがプラズマクラスターで育毛効果を主張でやったプラズマクラスター掃除機もマイナスイオン家電だとしていました。
私は以前、このシャープの話をやったときに胡散臭いとは思ったものの、「イオン」という言葉は当時読んだ記事に載っていなかったため、マイナスイオン家電という認識はなかったんですよ。びっくりです。
最初から「マイナスイオン」だと書いてくれていれば、「プラズマクラスター」はさらに胡散臭さが2倍、3倍だったのに…と思いました。ただ、なぜか日本ではマイナスイオン家電自体が未だにはびこっている状態。日本人にはむしろ好評なのかもしれません。
●マイナスイオン家電効果の嘘 むしろ規制対象で体に悪い可能性も
さて、本題。メインとなる記事は、
“ガラパゴス化”する日本のマイナスイオン家電 薄い効果でも誇大広告が横行の実態 2013.04.06 ビジネスジャーナル 六本木博之/フリーライターというものでした。記事によると、マイナスイオンブームは日本国内だけのものでしかないとのこと。
欧米では、「大気イオン」による健康効果などの古い研究やイオン式空気清浄機はあるとのこと。ただ、日本のような、「とにかくイオンを出しておけば健康にいい」という現象は起きてはいないとされています。日本国内だけで独自に進化した「ガラパゴス家電」なわけです。
ただ、一番驚きだったのは、イオン式空気清浄機は、
欧米ではオゾンを発生するものとして規制の対象になることもあるということ。いわゆる「体に悪い」ものである可能性も考えられるんですね。
<アメリカではシャーパー・イメージ社のイオン式空気清浄機「イオニック・ブリーズ」がベストセラー商品となったが、生活情報誌「コンシューマー・レポート」が
イオンに効果がない上、有害なオゾンを発生させると報じたことで売れ行きも激減、08年に倒産するという騒動も起こった。
このことを考えれば、オゾンの発生を抑えることは世界的な標準となるだろうが、日本では低濃度とはいえオゾンを発生させる機器をあちこちの家電製品に組み込み、家じゅうをオゾンだらけにしてしまいそうな勢いで増やしているのだ。これは明らかに、日本独自の進化=ガラパゴス化と言っていいだろう>
●放出が問題視されていたオゾンをわざわざ出すイオン発生機
記事ではこの後もマイナスイオン家電の歴史に沿った説明がされていましたが、特に奇妙さが際立っていたのは2009年です。この年、メキシコに端を発したH1N1亜型新型インフルエンザが流行し、日本でも感染者が出ました。
すると、国内の前年度の空気清浄機出荷台数は急増、イオン発生機能付きの電化製品も次々に開発されるように。プラズマクラスター発生機付きのデジタル複合機という妙なものも、2009年にシャープから発売されました。
<だが、コピー機やレーザープリンターなどからは、もともとオゾンを発生することが知られており、1996年11月に制定されたエコマークのガイドラインでは、オゾンの放出について室内空気中の濃度が1立方メートル当たり0.02mgを超えないとする基準が設けられた(2000年12月に通常の使用で問題ないレベルまで改善されたとしてガイドラインから削除)。
イオン発生機はイオンと同時にオゾンも発生する。ということは、これまで一生懸命努力して
削減してきたコピー機やプリンターから発生するオゾンを、わざわざまた追加していることになる>
●プラズマクラスターのシャープだけでない!パナソニックなども
もうアホじゃない?という状態ですが、「ただし、こうした迷走に陥っていたのは、シャープだけではない」とのことで、パナソニックや富士通など大手家電メーカーは揃いも揃って似たようなことをやっているようです。
<これまで、多くの科学者・研究者から、狭い閉鎖空間で見られる効果は実生活空間並みの広さでは確認できない、第三者による実証データが乏しい、などの指摘もされてきた。さらに、効果そのものが、イオンよりもオゾンによるものではないかという異論も出て来ている。この状況は、マイナスイオンのブームが起きた10年以上も前とあまり変わらない。こうした疑問に対し、なかなか納得できる答えが出されないまま、製品が売られ続けているのだ>
私はガラパゴス技術はときに武器になると何度か書いていますが、それは海外でも通用する可能性のある魅力的な機能を持っている場合の話です。潜在的な魅力はあるんだけど、伝えられていないだけ……という場合ですね。
マイナスイオンの話は説明すればするほど、ボロが出るという話で明らかに悪いガラパゴス製品であり、頑張る方向を完全に間違っています。これもまた日本の家電メーカーが今苦戦しているのも無理はないと、残念ながら納得してしまうエピソードでした。
●その後マイナスイオンの効果は証明された?試してみるべき?
2020/04/24:科学は現在わかっている最も確からしい説をとりあえず採用している…といった感じで、将来にわたって変わらない絶対的なものではありません。なので、研究が進んでマイナスイオンの効果が証明されている可能性を考えて、
Wikipediaを見てみました。
すると、多数の研究が出ていて信頼できるという研究者と、批判的な研究者で分かれている状態。ポジティブな研究があるなら!と思うかもしれませんが、科学では効果を主張する側に立証義務があるためにまだ証明不十分といった雰囲気です。
それでも、「もし本当に効果があったら損。早く試さないと…」と思うのはわかります。ただ、十分に証明される前に飛びついちゃうと、副作用があるものまで含めて、あらゆる偽物を試す羽目になりかねません。我々は決着が着いた後に参加すれば良いでしょう。焦ることはないのです。
●独自の名前が多い!日本のマイナスイオン採用企業リストが豪華
ところで、このWikipediaを見ていると、<空気中のイオンの効果を標榜している家電企業>という項目があり、日本を代表する企業がズラリと並んでいましたので紹介しておきます。
マイナスイオンという言葉を宣伝に用いる企業もあれば、独自の名称を用いる企業もあるのに注意。マイナスイオンという言葉は使わず、わけわからん別の名前を使う企業がかなりいるみたいですね。独自の名称のイオンの発生機を搭載しているメーカーが多く、プラスかマイナスかすらカタログに記載していないメーカーもあるとされていました。
<マイナスイオン商品を販売する家電企業>
・ツインバード(製品:空気清浄機)2020年4月
・コロナ (製品:窓用エアコン) 2010年4月
・三洋電機 (製品:ドライヤー) 2007年12月現在
・東芝 (製品:ドライヤー、除湿機) 2007年12月現在
・日立製作所 (製品:ドライヤー、掃除機、冷蔵庫、インテリアライト) 2007年12月現在
・テスコム (製品:ドライヤー) 2007年12月現在
<空気中にイオンを産生する家電を販売する企業>
・パナソニック 「ナノイー(OHラジカル)」(製品:ナノイー発生機、空気清浄機、エアコン、加湿器、洗濯機、ドライヤー、冷蔵庫等) 2009年9月
・シャープ 「プラズマクラスター(プラスのイオンとマイナスのイオン)」(製品:エアコン等) 2010年4月
・東芝 「ピコイオン」
・東芝キヤリア 「スゴイオン(マイナスのイオン)」(製品:エアコン) 2010年3月
・日立アプライアンス 「イオンミスト」(製品:エアコン) 2010年4月
・富士通ゼネラル 「プラズマイオン」(製品:エアコン) 2010年5月
・三菱電機 「ピュアミスト」(製品:エアコン) 2010年4月
・三菱重工業 「プラズマ4Dイオン(マイナスのイオン)」密閉容器内のウイルスの抑制(製品:エアコン) 2010年12月
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