2013/4/12:
●政治家が主張…都営地下鉄・東京メトロ統合合併論が愚かな理由
●政治家には合併より先にすべきことがある なぜ民営化しない?
2022/04/25追記:
●足を引っ張っていた都知事が退任して東京メトロ民営化が前進 【NEW】
●政治家が主張…都営地下鉄・東京メトロ統合合併論が愚かな理由
2013/4/12:
都営とメトロ、なぜ運賃違う 地下鉄一元化、国と都に溝(2013年04月10日19時02分 朝日新聞)によると、「同じような距離なのに、なぜ運賃が違うのか」といった声を受け、東京都が都営地下鉄と東京メトロの二つの地下鉄の一元化を目指しているそうです。
しかし、会社が違えば、料金が異なるというのは当然でしょう。そして、この価格差は経営状態の差とも関係ありそうです。そう考えると財務状況の優れる東京メトロにとっては都営地下鉄と合併するメリットはあまりなく、むしろお荷物となります。民間業者の意思決定とはしては考えづらい政治的な合併です。
<2011年度末時点の累積赤字は4129億円。メトロはゼロ。「一元化すれば、メトロの企業価値が下がる」と国は反発する。
経営状態が反映される運賃は、都営の初乗りが170円とメトロより10円高い。乗車距離が28キロを超えると都営は410円とメトロより110円割高に。料金体系も課題の一つで、統合した際は地方公務員の身分変更の問題も出てくる。
メトロと都営は3月までに、両社が乗り入れる九段下駅(千代田区)のホームを隔てる壁を撤去。猪瀬知事は「経営統合に向けた一里塚」と強調するが、10年8月から始めた都と国の協議も議論は平行線で、11年2月以来開かれていない。民営化をメトロとの統合を通じて実現したい都は、新年度の協議再開を求めている>
●政治家には合併より先にすべきことがある なぜ民営化しない?
順番を変えちゃったのでわかりづらくなったのですけど、実を言うと、この一元化に乗り気なのは猪瀬直樹東京都知事でした。定例会見では「利用者に最もいい形を考えた時、一元化は正しい選択」と強調。地下鉄一元化を都知事選の目玉公約に掲げていたのです。(2018/10/23追記:幸い猪瀬直樹知事は辞職しました)
猪瀬直樹東京都知事が率いる東京都が描くシナリオでは、メトロ株の46・6%を持つ都が、53・4%を持つ国から株を買って株式上場へ…といったものだそうです。最初の記事では、経営状況以上にこちらが問題ではないかとされていました。民営化の流れに逆行するというのです。
<メトロは将来の完全民営化が東京地下鉄株式会社法にうたわれ、国土交通省は「都の株取得は逆行する」と反対。「都営の民営化が先」と釘を刺す。(中略)
公営地下鉄の経営見直しは各地で模索が進む。
仙台市営や神戸市営など公営地下鉄は全国に九つ。初乗り運賃は都営で170円、ほかは200円(京都市営のみ210円)。地上の鉄道より建設費が高いため多額の借金が残り、民間よりも高い人件費なども反映されている。
このなかで大阪市営は、02年度に最大2933億円の累積赤字を抱えたが、03年度から経常が黒字となり、10年度に累積赤字を解消した。職員数は2割以上減った。橋下徹市長は2月、15年春までの地下鉄民営化を表明。実現した場合、14年度から初乗り運賃を10円下げ、190円にする計画だ。
3月市議会に関連条例案が提出され、継続審議となっている。市交通局は「民営化によってコストを絞り、さらなる値下げを目指したい」と言う。
一方、京都市営は1981年度の開業以来、赤字が続く。借入金の利息返済に加えて、乗客数が当初予測よりも少ないことが響いているという。06年度には10円値上げ。「今は借金を減らすのが最優先で、値下げは考えていない」>
東京メトロが都営地下鉄を合併して規模を大きくするメリットはゼロではないかもしれません。しかし、それは民営化した東京メトロが希望してやるもので、政治家の都合で押し付けるべきものではないでしょう。時代に逆行するような「何でも自治体主導で」という考えには賛成しかねます。
●足を引っ張っていた都知事が退任して東京メトロ民営化が前進
2022/04/25追記:自民党系だった猪瀬直樹さんが不祥事で東京都知事を辞職。後任の小池百合子さんも自民党出身で右派ですが、ネットの右派にはなぜか嫌われており、自民党との距離も微妙に見えます。ただ、この小池百合子都知事の元で完全民営化への道がやっと見えてきたようです。
<首都・東京の地下交通を担う東京メトロ(東京地下鉄株式会社)が、株式上場に向けて具体的に動き始めた。
(中略)東京メトロは、1986年に完全民営化の方針が閣議決定され、2004年の株式会社化も上場が前提だったが、株主である国と東京都の利害調整が難航していた。それがここに来て急転、決着したのだ。なぜか――。
2021年7月15日、赤羽一嘉国土交通相と小池百合子東京都知事がオンラインで会談し、国と東京都が、東京メトロの株式を同時に半分ずつ売却する案に合意した>
東京メトロ株の売却で国と東京都が合意 「三方一両損」 その結果は......: J-CAST 会社ウォッチ【全文表示】(2021年07月17日 ジャーナリスト 白井俊郎)によると、 国は2011年に起きた東日本大震災を受け、復興財源に充てるため2027年度までに株式を売却することを決めていたそうです。民主党政権時代の方針みたいですね。
ところが、もともと書いていた合併論や国からメトロ株の買い取り…などの思惑で難航。地元の要望が強い地下鉄新線の建設に向けて、東京メトロに一定の影響力を確保しておきたかったからとも説明。要するに選挙対策というクソな話ですね。なお、今回はメトロ側も譲歩しており、国、東京都、東京メトロがそれぞれ譲歩をした「三方一両損」とされていました。
<これまで東京メトロは、財務状況を考慮して2008年に開通した副都心線を最後に、新線の建設には主体的に関わらない方針を示していた。有楽町線の延伸などの2路線の建設費は計2400億円程度と報じられているが、今回の合意を受けて国と東京都が建設費を財政支援することになり、東京メトロは従来の方針を変更して新線整備に踏み出すことを表明した>
<国は新線を支援するための費用は必要となるが、株式売却の実現に向けて目途を立てた。東京都は株式売却で東京メトロへの影響力は低下するが、新線建設を確実にした。東京メトロは新線建設を呑む形になったが、株式が売却されれば国と東京都の影響力は低下して経営の自由度は増す>
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