「昔は体罰が当たり前だった」というイメージがあるものの、明治時代は違ったようです。先生の体罰で親も生徒も大騒ぎ、警察が来て傷害罪で犯罪者となり、新聞デビューもしたほどだったと言います。
さらに意外なことに、体罰を許していなかったのは軍隊でもそうで、罰金刑にすらなりました。軍人勅諭に反し、天皇陛下に対しても申し訳ないと考えていた他、体罰は日本の伝統じゃなくて西洋が悪いみたいなよくわからん正当化で殴っていたなど、意外な話ばかり出てきました。
●明治時代に教師が体罰 → 親怒鳴り込み、警察が出て傷害罪で取り調べ
2017/09/02:
学校体罰は違法行為、明治以来日本は法律で禁止 擁護者は法改正を訴えようで、明治時代から日本では学校の体罰が法律で禁止されていたという話を書きました。これだけでも驚きだったのですが、当時は体罰をすると親が激怒して怒鳴り込んでくるものだったとのこと。今ならモンスターペアレントなんて言われてしまいそうです。
<教師が体罰を行うと、父兄は学校に怒鳴り込み、生徒も徒党を組んで抗議するほどで、警察が出て傷害罪で教師を取り調べすることもあった[19]。戦前は生徒たちも自尊心が高くて反逆的だったのである[19]>
(
体罰 - Wikipediaより)
本当かいな?と思ったので出典[19]も確認。<[19]^ 戦前は学校でも軍隊でも体罰が絶対禁止だった : 少年犯罪データベースドア - 管賀江留郎、2013年02月15日 00:51>というものでした。個人のウェブサイトの可能性があり、Wikipediaルールだと本来、無効な出典かもしれません。
このページについて検索してみると、
はてなキーワードに登録があり、<賀江留郎が主宰するインターネット上のデータベース。2004年開設。日本における少年犯罪の網羅的な事例データベースを目標としている>という説明がありました。データ集的なところがあるようです。
●さらに意外!昔の軍隊でも体罰は「弱くする犯罪」と考えていた
以上のように、明治時代は、親が学校での体罰を許さないと考えていたのは意外でしょう。それだけでも驚きなのに、上記の出典には「軍隊でも」とありました。さらに意外でしょうね。陸軍であっても体罰に厳しく、軍隊を弱くする犯罪として体罰を嫌っていたと言います。
ただ、こうした「伝統」は戦争によって変わってしまいました。日中戦争が始まると徴兵期間が長くなり、兵士がストレスを抱えるようになってきます。このストレスから兵士が横暴を働くようになると、陸軍では体罰が日常化したとのこと。前回も書いたように、力で押さえ込む方が楽なんですよね。
また、いつからかわからないものの、海軍の場合はイギリス海軍流の体罰を制度として取り入れたとのこと。そのため、戦後、こうした軍隊での体罰体験をした若者が社会にあふれることになり、体罰が「犯罪」であるという観念が社会からなくなってしまった…と説明されていました。
●戦前の新聞では体罰での傷害罪がニュースに 軍でも軍法会議もの
ここらへんの出典が気になったので検索してみると、Wikipediaではリンクがなかった元ネタが見つかりました。
戦前は学校でも軍隊でも体罰が絶対禁止だった : 少年犯罪データベースドア( 2013年02月15日00:51 )というページです。こちらによると、著者の管賀江留郎さんは書籍『
戦前の少年犯罪
』を出しており、そちらにも載っている話のよう。書籍ならWikipediaルールでも出典OKでしょう。直接ここから引用するべきでした。
それはともかく、このページでは、<戦前の新聞を読んでいる方なら、教師が生徒を殴ったりすると警察が出てきて傷害罪で取り調べをすることはご存じのはず>と指摘していました。これはきちんと証拠がありそうな書き方であり、マジで体罰は犯罪だった可能性が高まってきます。
また、軍隊の方も資料で確認できそう。陸軍法務官で軍法会議の判事を務めていた原秀男の『二・二六事件軍法会議』では、陸軍で体罰が発覚すれば、傷害罪で軍法会議に掛けられ罰金を取られたことがわかるそうです。これは戦時中とのことですから、当時でも最初から体罰OKという意識ではなかったんでしょうね。
●体罰は日本の伝統ではなく軍人勅諭に反し、天皇陛下への失礼な行為
ただ、前述のように戦争を続けているうちに、途中から体罰が増え始めてしまいました。陸軍上層部は以下のように説いたものの止められず、誰も彼もがやるようになって、体罰を行った兵士を罰するための軍法会議が追っつかなくなってしまう事態に…。本当にめちゃくちゃ体罰が増えたんでしょうね。
「体罰はなにより大切な軍の団結を挫き、民間人の軍隊忌避感情を掻き立て、軍を弱くする」
「部下には慈愛を持てという軍人勅諭の教えにも反する」
「天皇陛下の股肱たる兵を殴るとは何事か」
一方、海軍の方では、体罰が日本の伝統ではないことを強調しつつ、西洋に責任転嫁。「俺を恨むな。恨むなら英国海軍を恨め」(阿川弘之『軍艦長門の生涯』)と云いながら殴ったり、精神注入棒をバッターと呼んで日本の伝統にはない西洋伝来のものだということを強調したりしていたそうです。
日本の伝統を重んじるはずの保守派・右派の方が今はむしろ体罰が大好きなので、ここらへんはねじれまくっている感じですね…。
【本文中でリンクした投稿】
■
学校体罰は違法行為、明治以来日本は法律で禁止 擁護者は法改正を訴えよう【その他関連投稿】
■
眉そられた日大ボート部員自殺に「体育会系ではよくあるから自殺じゃない」 ■
産経新聞の体罰賛成論「血まみれになるまで殴られても感謝される体罰もある」 ■
虐待未満の体罰でも家庭のしつけとしては逆効果 子供の問題行動が増加してしまう ■
学校・教育・子どもについての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|