●地産地消のデメリット 自給自足農業は危険で環境にもむしろ悪い
2021/09/22追記:<「TPP反対」というスローガンを有効に使っている農政>(金野 索一 2013年2月20日(水) 日経ビジネスオンライン)という非常にに長い記事を読んだときに書いた投稿を見直しました。当時は民主党政権でTPP反対が多かったのですが、自民党政権になると手のひら返しで反対の声は少なくなり、日本もTPPに参加しています。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20130213/243710/
2013/4/12:記事のタイトルは<「TPP反対」というスローガンを有効に使っている農政>だったのですが、TPP関連の話はあまりなかったんですよね。このタイトルになっているところを簡単にまとめると、農協は反対活動にお金をつぎ込んでいるけど、その分それ以上の見返りを得ようとしているという説明でした。
一方、うちでは、地産地消、フードマイレージなどの話を取り上げます。投稿全体としては、<地産地消のデメリット 自給自足農業は危険で環境にもむしろ悪い>というタイトルにしていたのですが、読み直してみると、地産地消の話は少なめでした。とりあえず、月刊『農業経営者』副編集長の浅川芳裕さんは、以下のように言っています。
<まず、地産地消というのは100%リスクの世界です。ですから人間の飢えや、飢饉がどこで起きるかというと、自給自足農業で起きます。換金経済において、自給自足農業以外で飢饉が起こることはほとんどありません。自給自足農業はリスクが一番高い上に、実は環境にも負荷が高いです>
<単純にいうと、生産地から消費地までの距離×重さです。それが重ければ重いほど、マイレージが高ければ高いほど、環境負荷が高いというのがフードマイレージの素朴な理論です。果たしてそうかというと、アメリカでトウモロコシをつくります。そこから日本に持ってきたとして、重さ×距離であれば言っていることは正しいですが、問題としている点は環境負荷です。アメリカ産トウモロコシにかかった燃料はどれぐらいか、二酸化炭素排出量はどのぐらいか、畑から港へ、港から船で持ってくるまで必要とした燃料などすべて換算し、それを日本の畜産場に持っていって牛が食べるのと、国内のある地域で供給する場合とを比べるとどうか。結局、アメリカ産を輸入する方が環境の負荷が低くなるのです>
私は「作物の値段が高い」ということは単純にそれだけ負荷がかかっている、安いはその逆…という関係を考えてみたことがありますが、それに近い感じでしょうかね。この考え方だと国産の方が高負荷です。ただ、私の考えた価格の場合、単純に負荷だけでは決まりません。上記の考え方では、「環境負荷」に限って考えていますから、より適切そうです。
●「バーチャルウォーター」(仮想水)の考え方はむしろ貧困を生む?
他に「バーチャルウォーター」という考え方が出ているそうです。小麦1kgを輸入すると、間接的にそれと同じだけの水を輸入することになると言った考え方だとのこと。検索してみると、「バーチャルウォーター」よりは「仮想水」が一般的な言い方でああるようです。
<水は、雨が降って農業で使われなかったとしたら、そのまま流れていくのを、決して水を盗んでいるわけではありません。バーチャルウォーターの一番の主張は、ほかの国から水を奪っているという点ですが、その水を使って彼らは稼いだわけですから、何も問題はないという話です。国策にはなっていませんが、バーチャルウォーターを減らそうとする考えは危険です>
私はどうもこういうのがすごく嫌ですが、まず一つ浅川芳裕さんの指摘した"その水を使って彼らは稼いだわけですから"という視点が抜けているのが嫌です。要するに途上国の人らは儲けるなという先進国のエゴじゃないですかね。そんなこと言うと一部の人しか儲かっていない…と言い出すんですが、それは富を再分配できていない途上国の政治の問題です。
で、もう一つがこうやって見ていくと、仮想水は表面的なものでしかなく、結局貧富の差が問題なんでしょ?話を逸らすなよ、というのがあります。この貧富の差が問題だというのならわかる話で、仮想水なんて話をする必要はないでしょう。また、前述の説明を見ると、仮想水の考え方は、むしろ貧困を固定化するおそれがあるとも言えそうです。
2021/09/22追記:最初にも少し書いたように、途上国の貧富の差は政治の問題が大きいと指摘されています。また、このことは海外の人、特に一般人がこれを解決するのが難しいことも意味しています。最近、アメリカのアフガニスタン支援政権が崩壊しましたが、この支援政権も正義ということはなく、実際には不正と汚職だらけであり、自壊したような形でした。世界最高の大国ですら問題解決が難しいことがわかります。
読み直していて思ったのですが、このように根本的な問題である途上国の貧富の差解決が難しいために仮想水やフードマイレージという、それっぽい嘘に頼っちゃうのかもしれません。どうにかしたいがどうにもできないので、解決できる!と主張する嘘に飛びついちゃうんですね。ただ、デマを信じても解決できるわけではないので、やめておいた方が良いでしょう。
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