いろいろとややっこしい話。
以下の記事を読んだのが最初ですが、ここにある情報だけだと不可解極まりない判決にしか見えません。
痴漢:懲戒免職「処分重い」…元教諭、逆転勝訴 東京高裁
毎日新聞 2013年04月11日 19時53分
痴漢をしたとして罰金刑が確定し懲戒免職となった元横浜市立高校教諭の男性(60)が市側に処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は11日、男性側の請求を退けた1審判決を取り消し、男性側逆転勝訴を言い渡した。市村陽典(ようすけ)裁判長は
「処分は重く、妥当性を欠く」と指摘した。
高裁判決によると、男性は06年、横浜市内のデパートで女性2人の下半身を服の上から触ったなどとして、神奈川県迷惑防止条例違反容疑で逮捕された。無罪を主張したが、07年に最高裁で罰金40万円が確定。同市教育委員会から懲戒免職処分を受けた。男性は「処分は市教委の裁量権を逸脱し違法」として提訴し、昨年8月に横浜地裁で請求を棄却されたため控訴していた。
高裁判決は男性の行為について「
計画性がなく、着衣の上から一瞬触る程度であって執拗(しつよう)ではない」と認定。男性に前科がなく、勤務態度が良好だったことを踏まえ「
処分は社会通念上著しく妥当性を欠くと認められる」と判断した。
横浜市教委は内規で、痴漢行為に伴う職員の処分について免職か停職と定める一方、具体的な状況などを踏まえて軽減するとしている。判決後、男性は「懲戒免職されて教壇を去るのは納得がいかなかった。粘り強く闘い続けて良かった」と語った。同市の岡田優子教育長は「判決を精査した上で今後の対応を検討する」とコメントした。【川名壮志】
http://mainichi.jp/select/news/20130412k0000m040037000c.html これだけを読んだ時点では、痴漢で免職が重いわけないだろう、逆に懲戒免職が妥当でそれ以外は軽すぎ……と思いました。
おそらく同じように感じた方が多数であり、それは責められないと思います。
ただし、どうもこの記事ではかなり重要な部分が抜け落ちているらしいのです。
重要な部分……というのは、この痴漢での有罪に冤罪疑惑があるということです。
冤罪認定されていないので「疑惑」と言うべきだと思うのですが、どうもこれについて書いているサイトはほとんど冤罪と断定しています。
それはそれで中立性に欠くなと思ったのですが、良い書き方しているところなかったので仕方なくそういうところから少し引用。
痴漢冤罪のために懲戒免職―21世紀日本の暗黒―
2011年08月01日 16時28分20秒 山上俊夫・日本と世界あちこち
全国民主主義教育研究会の42回湯河原大会(2011・7・28~30)に参加して、横浜の高校教員が痴漢の犯人に仕立て上げられ、有罪とされ、あげくに懲戒免職、教員免許もとりあげられたという事件を知った。
冤罪被害者は河野優司さんという社会科教員だ。『推定有罪・それでもあきらめないボクと家族の物語』というパンフレットを買った。(中略)
勤続30年の横浜市立高校の教員・河野さんは、2006年1月15日(日)AM10:40、横浜高島屋地下食品売り場で二人の女性に痴漢行為をしたとして逮捕され、25日間留置された。
一人目の女性は子供の手を引いていた。そのジーパン姿の女性の股間をすれ違いざまに右手でなで上げたということでの逮捕だ。しかし河野さんは右手にバッグを持っていて、そのような行為はできない状態だった。
http://blog.goo.ne.jp/1848yama/e/da4bc18bd5f66c851ba2e99ba7e6121e その他、ここでは現場の混雑状況の証言が不自然という話がありました。
さらに別サイトでは冤罪ではお馴染みである証言のブレが生じている、
数メートル離れたところで手を出しているのを確認した(そんなところから触れません)などといった妙な証言をしているなどが書かれており、不自然な点が多数あるようです。
でも、まあ、結局有罪になってしまったわけで、裁判所のミスが疑われるケースと言えます。
ですから、上の懲戒免職は重すぎるなどと偉そうに言っている裁判所は、自分たちのミスを尻拭いするためにこういう判決にしたのでは?という憶測がされているようです。
とりあえず、いつも悪く言われる教育委員会は今回、完全に被害者ですね。
判決で有罪となっている以上、懲戒免職を選択するのは妥当であり、そうでないと保護者ら・生徒らにも説明できません。
今回裁判官が言い出した「計画性がなく、着衣の上から一瞬触る程度であって執拗(しつよう)ではない」で納得する人はあまりいないでしょう。
ところで、上の憶測は飽くまで憶測であり、実際のところはどうかわかりません。他のケースでは、文句なく懲戒免職支持となっているんでしょうか?
そうだったと仮定して……の話ですが、今回の判決はたいへんマズいものになりました。
この裁判の場合、冤罪濃厚という特殊なケースではあったものの、報道を見る限りそのような説明は一切していないので、
「男性に前科がなく、勤務態度が良好だったこと」
「計画性がなく、着衣の上から一瞬触る程度であって執拗(しつよう)ではない」
などだけを取り出して今後の判例とされるおそれがあります。
そして、本物の痴漢犯罪者を免職できず、バンバン教壇に立つ……といった悪夢のような事態が起こりかねません。
今回の件は一にも二にも裁判所が悪いですね。
過去にシリーズでもやっていますが、痴漢事件全般が非常に雑で、本来であれば「疑わしきは罰せず」とすべきなところを有罪にしてしまっているからこういうことが起きます。
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弁護士に聞く痴漢冤罪回避・防止・対処術 逃げるが正解は本当か? ■
認めたらお終いの痴漢冤罪、あらゆる権利を使い否認することが大事 ■
痴漢冤罪とその対策 ■
痴漢冤罪と悪魔の証明 結局「疑わしきは有罪」といういい加減な判決は、痴漢に厳しい判決どころか、逆に痴漢犯罪者に「優しい」社会を作り出しかねない危険な先例となってしまいました。
やはり「無罪の推定(推定無罪)」の原則は、絶対に曲げてはいけないところなのです。
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