2009/11/26:
運命の赤い糸、欧米ではなく中国由来
運命の赤い糸の元ネタの話がひどすぎる
赤い糸に力がある…は世界各地に見られる考え
2009/11/27:
本当に「運命の赤い糸」は中国由来? 古事記は最初から「赤い糸」
古事記の「赤い糸」の話もひどい話だった…
「赤い糸」と「小指」である理由 怖い風習が由来?
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●運命の赤い糸、欧米ではなく中国由来
2009/11/26:何気なく
運命の赤い糸-Wikipediaを読んでみると、いろいろと驚きました。まず、どこの国の文化かというところで驚き。欧米からの輸入という文化も多いので、私は勝手に「運命の赤い糸」もそうだと思っていました。しかし、中国由来でその歴史も長いようです。
元々の話は前漢以来の奇談を集めた書である『太平広記』(978年)に記載されている逸話『定婚店』。
唐の時代(7~10世紀)の韋固(いこ)という人物が旅の途中、宋城の南の宿場町で不思議な老人と会います。この老人が言うには、現世の人々の婚姻を司っており、冥界で婚姻が決まると、男女の足首に決して切れないと赤い縄を結んでいるんだそうです。この縄が結ばれると、必ず二人は結ばれる運命にあるとのこと。当初は「糸」ではなく「縄」だったのです。
●運命の赤い糸の元ネタの話がひどすぎる
以前から縁談に失敗し続けていた韋固さんは、目下の縁談がうまくいくかどうか老人に尋ねました。しかし、老人はすでに別人と結ばれた赤い縄があるため破談すると断言。そして、その運命の相手はこの宿場町で野菜を売る老婆が育てる3歳の醜い幼女だと言うのです。
ロリコンじゃなかったのか、醜いってところがダメだったのか、韋固さんこれに大激怒。召使いに幼女を殺すように命令するというめちゃくちゃなことをします。召使いは主人の命に従って、幼女の眉間に刀を一突きして逃げました。本当、酷い人ですね。
で、縁談もまとまらないまま14年が過ぎたころ、役人をしていた韋固さんは、上司の17歳になる美しい娘を紹介されついに結婚しました。この娘の眉間には傷があり、幼い頃、野菜を売る乳母に市場で背負われていると乱暴者に襲い掛かられて傷つけられたというのです。実は召使いの殺害は失敗、幼女は生きていたのです。
そして、韋固さんは14年前のことを全て打ち明けて二人は互いに結ばれ、この話を聞いた宋城県令は宿場町を定婚店と改名したとのこと…って、
えええええええええ!? どうして、そうなるの!? だって、相手は3歳の子供を「殺せ」と言うような血も涙もない人。「めでたしめでたし」って話ではないでしょうに…。
うーん、運命の赤い糸(この場合縄ですが)は、正常な判断力を狂わせたり、刺しても死なない人になったりするほどすごいよという話でしょうか。あと、3歳で不細工でも悲観しないでね、というのもあるのかもしれません。
●赤い糸に力がある…は世界各地に見られる考え
なんか納得行きませんが、赤い糸の由来に戻ります。「足首の赤い縄」が「手の小指の赤い糸」へと変わったのは、日本に伝わってからとのこと。別のところの記載によると、古事記(8世紀)が初出らしいので、時系列も一応合います。
ただし、この赤い糸に力があるという考えは世界各地に見られるそうで、日本特有のものではないといいます。例えば、ユダヤ人の間では、邪視のもたらす災いから身を守る為に赤い毛糸を左手首に巻くという習慣があり、アメリカなどにも幸運のお守りとして広まっているそうです。また、ベツレヘム近郊のラケルの墓所には、参拝者が巻いた赤い糸が多数見られるそうです。
仏教国の中には、右手首に赤い糸をお守りとして巻くところもあり、日本でも「千人針」という女性が行っていたお守りにおいて、赤い糸が使われたとのことでした。
●本当に「運命の赤い糸」は中国由来? 古事記は最初から「赤い糸」
2009/11/27:以上のような話だったのですけど、実を言うと、「運命の赤い糸」については、別の説もありました。上記で記載した中国の逸話は「赤い縄」で唐の時代(7~10世紀)の話。そして、日本の話は古事記(8世紀)が初出ということで、唐の初期に話が成立し、遣唐使などで日本に伝わったというのであれば、一応時系列的には成り立ちます。
ただ、ここらへん時間的には微妙です。「縄」と「糸」の違いもありますし、後に逸話を載せますが、内容もかなり異なっています。じゃあ無関係かと言うと、昨日見たとおり「世界各地」というほどではありませんが、東アジア辺りでは似通った話はあるようなので、全く関連性が無いとも言い切れません。
また、古事記の話は「赤い糸」が出てくるものの、現在の言い伝えと近いのはむしろ中国の話の方なのです。中国の話が日本に伝わって、古事記の赤い糸の話と混ざり現在の形になったというのが、1番辻褄が合いそうでした。
●古事記の「赤い糸」の話もひどい話だった…
前置きが長くなりましたが、その古事記記載の逸話について。ある未婚の娘が妊娠してしまい両親が問い詰めると、見知らぬ男が毎晩、部屋に通って来たなどと言います。両親は一計を案じて、寝床の周囲に赤土をまき、相手の衣服のすそに糸を通した針を刺すように娘に言い含めました。
そして、翌朝、娘の部屋から出発した赤い糸をたどってみることに。すると、赤い糸は遠く三輪山の神の社まで続き、男が大物主(おおものぬし)であったことが判明した…という話です(
知泉Wikiより)。現代の「運命の赤い糸」のイメージとはだいぶ違いますよね。要するに神様が強姦したって話で、こっちもひどい話です。
この大物主というのは、
Wikipediaによれば、大国主(おおくにぬし)の国作りを手伝った人であるとか、大国主の別名や別人格みたいなものとか書かれています。
大物主は先程の逸話以外にも、セヤダタラヒメ(勢夜陀多良比売)が美人であるという噂を耳にして、一目惚れし、何とかものにしようと頑張ったりしていたという方。好色なところがあったのかもしれません。
大物主は蛇神、水神、雷神としての性格を持ち、稲作豊穣、疫病除け、酒造り(醸造)の神で、国の守護神である一方で、祟りなす強力な神ともされているそうです。手広くカバーしていますね。
●「赤い糸」と「小指」である理由 怖い風習が由来?
ところで、先述の
知泉Wikiに、糸の色が「赤」であること理由について、おもしろい解釈が載っていました。
民族学的見地から見ると「赤」は「血」を意味しているのではないかとされていて、血とは血縁・血族など先祖からの脈々と繋がったものを意味しているそうです。そこで、元は別人であるはずの夫婦が、生まれながらにして血族となる糸で結ばれていた運命にあるのだというのを表したのではないかと書かれています。
また、小指というのは近年にできたものなので、「指切り」のイメージの借用ではないかとも書かれています。その指切りを
Wikipediaで見てみると、遊女が客に愛情の不変を誓う証として、小指の第一関節から指を切って渡したことに由来しているそうです。なんか怖いですね。
あと、「赤い糸」である理由に絡んで、「黒い糸など他の様々な糸がある」と言っている人もいるので、そちらは別にして、
運命の赤い糸以外の意味 黒い糸・白い糸・紫の糸・緑の糸・青い糸など他の色は?で書きました。
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【本文中でリンクした投稿】
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運命の赤い糸以外の意味 黒い糸・白い糸・紫の糸・緑の糸・青い糸など他の色は?【関連投稿】
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