シリーズでやってきましたけど、最後。
今回は余ったものをまとめて入れ込みました。
「TPP反対」というスローガンを有効に使っている農政
金野 索一 2013年2月20日(水) 日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20130213/243710/?mlt&rt=nocnt 入れどころのなかった食糧自給率。
浅川:私がこの食糧自給率におけるからくりに気づいたのは、戦後の農業白書を眺めていた時です。
昔から金額ベースの食糧自給率は存在し、ずっと8割、7割で推移していましたが、ある年、突然4割になっているのです。そこでこれはおかしい、この年に何があったのかと疑問を持ちました。80年代の、今のTPPの前段である、日本とアメリカの牛肉・オレンジ交渉の時です。自由化にすると日本はいつか食料が足りなくなって日本人は飢えるという構図を示す数字を発表して、国民を反自由化に導こうとしたものです。算出方法が、80年代のどこかで金額からカロリーベースに変わっていたのです。
金野:それで一気に40%に低下していたわけですね。
浅川:もっと正確にわかりやすくいうと、40%になるような計算式をつくったのです。本当によくできていて、日本人の心理を突いています。例えば、60%と言われると、何とか大丈夫な感じがします。あるいは、エネルギー自給率のように5%、4%と言われると、日本は国土が小さいし、仕方ないという感じになります。そこで、現在4割で、何とかすれば5割に行くという、日本人が好きな4割を提示するのにもっともらしい式をつくり出したのです。
(中略)豚を1000頭以上飼っている農家があったとして、経済合理性を考え、えさを全部輸入していたとします。そうすると、1000頭飼って、100人ぐらい雇っていていても、自給率はゼロです。
金野:それもすごいカウントの仕方ですね。
寄せ集めなので話が飛びますけど、現行の所得補償制度について。
政治家が農政にお金をかけると言っても、順番を入れ替えて最初の
農業人口が減ることは良いこと・農家は一般人より実は高所得?に持って行った無駄なインフラなど、役に立っていないものばかりです。
金野:所得補償は農家に支持されているのですか。
浅川:まったく逆です。各党、農業現場の声が聞こえていません。現制度を「評価しない」が66.9%で、評価する27.2%を大きく突き放しています。私が副編集長を務める『農業経営者』読者アンケート(2012年11月号)で明らかになりました。民主・自民等が票田とする業界団体、農協の組合長向けの調査でさえ、「評価している」は20%にすぎない(日本農業新聞調べ)。
とはいえ、農業界側も既存政策に反対するばかりで、各政党に建設的な提言をほとんどしていないのが現状です。
『農業経営者』読者アンケートは意識の高い人が集まっている可能性があるかな?と思うので、注意が必要かもしれません。
ただ、日本農業新聞の調査でもネガティブなところが見えていますけどね。
文句言うだけじゃとなるとあれなのでと、作者の出した対案はこちら。
浅川:各国の教育に革新をもたらしている“教育バウチャー”の農業版です。 (中略)
農業バウチャー(農場利用クーポン)を農業者ではなく、最終ユーザーである国民に配布する。農場から直接、農産物を買ったり、農場を訪問したりして農業体験をする利用料に使えるわけです。
目的は明確です。農業政策を供給者の論理から、利用者の論理への転換がポイントです。するとどうなるか。
農場間でクーポンの争奪戦がはじまる。よりよい農産物やサービスを提供し、ユーザーに選ばれようと農業者同士が切磋琢磨するということです。まさに農業振興です。
経営努力で顧客を増やしていけば、仮に将来、クーポン制度がなくなっても自助努力で経営を成り立たせていけるし。これまで補助金がもらえるからと、食糧自給率政策という中央集権・供給者側の論理で、農水省に言われるがままの農作物を作っていた農家にも大きな変化が起きる政策です。
金野:補助金が減るとたいへんではないですか。
浅川:たしかに、補助金依存の農場はゼロになってはたいへんだと最初は大慌てかもしれない。しかし、何をどう作ればいいか、思考が動きはじめる。そして、どう売ればいいか顧客志向で考え、実行に移すようになる。小さな実績からでも積み重ねながら、自立の道を歩む契機となるでしょう。
TPP参加があろうがなかろうが、マーケットの要望にこたえる農場にしか未来はありません。
農業バウチャーによる副次効果も大きい。都市部から農地への移動、地域内での移動や消費活動が増し、地域経済への乗数効果も高いと予想できます。
お金の使い方は農業バウチャーの方がずっと健全ですね。私は競争を入れるべきってのは基本賛成ですし、相性が良いです。
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