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共働きの待機児童放置、実は市町村の違法行為 児童福祉法違反


 待機児童関連の話をまとめ中。<共働きの待機児童放置、実は市町村の違法行為 児童福祉法違反>の他、<待機児童数が減少しても、問題解決とは程遠い理由>、<安倍首相が待機児童解消を宣言 → ゼロどころか前年より増加>などの話をやっています。


●共働きの待機児童放置、実は市町村の違法行為 児童福祉法違反

2013/4/26:ちょくちょくやっている待機児童の話。今回驚いたのは、<児童福祉法では、両親が共働きなどで保育できない子どもを、市町村は保育所で保育しなければならないと定めている。つまり、現状は明確な違法状態なのである>という話があったことです。絶対に解消すべき問題だとは思っていましたが、まさか違法だとは思いませんでした。

 このような話があったのは、<解消しない待機児童問題に親の怒り爆発!姑息な株式会社外しではなく根本議論を>(2013年3月21日 週刊ダイヤモンド編集部 清水量介)という記事。待機児童問題は、私にして珍しく左派やリベラルの姿勢に共感する問題で、前述の通り、何度か書いてきています。
http://diamond.jp/articles/-/33556

 ただ、待機児童問題の解消は、本来右派の方が大好きな「経済活性化策」でもあると思うんですよね。女性の労働力を生かすことで、さらに日本の経済が発展するだろうという話。逆に言うと、今は待機児童問題が経済を悪化させているということですね。

 上記の話があった記事でも、<国は社会への男女の参画を進めると声高に主張しているし、育児休業法は改正され企業の育児支援制度も進んでいる。しかし、保育園に入れることができないということは、それら全てが無意味となってしまう>という話がありました。


●隠れ待機児童問題…待機児童数が減少しても、問題解決とは程遠い理由

2012/2/9:教育・子供に関するテーマは正直、私の関心が全然ないところなんですけど、その中で一番興味があるのは待機児童の問題です。この待機児童数について、子どもを預けられない母親は本当に減っているか?統計に隠れた「潜在的待機児童」の行き先 (ダイヤモンド・オンライン 2012年2月7日 小川 たまか)では、以下のように書いていました。

<2万5000人もの児童が保育所に入れないという、深刻な待機児童問題が取り沙汰されたのは2009年。(中略)それから2年、昨年10月の厚生労働省が行った発表によれば、4年ぶりに待機児童は減少した(2万5556人、前年比-719人)。これは、保育所定員数が2010年からの1年間で約4万6000人増加したことが理由だ>

 上記をパッと見て、数字が変だと気づきました? 昨年2万6000人ほどの待機児童がいて、約4万6000人定員を増やしたのにも関わらず、減少したのは僅かに719人なのです。少子化に悩む日本のことですから、もちろん急激に児童が増加したというわけではないでしょう。別の理由があるはずです。

 これは待機することすら諦めている「潜在的な待機児童」がいたせいのようです。預けられる状況になれば是非預けたいという人たちがわんさかいるわけで、約4万6000人定員を増やして統計の待機児童が1000人も減らないのですから、どれだけ増やせば良いのかわかりません。問題解決とは程遠いと言って良いでしょう。


●認可外保育所が「待機児童」の受け皿として活躍 満足度も高いが…

 記事では、ベネッセが1月30日に発表した『2009年~2011年 首都圏“待機児童”レポート」』のことが、紹介されていました。2009年に待機児童数が急増した背景には(2007年=1万7926人、2008年=1万9550人、2009年=2万5384人)、リーマンショックなどによる景気の冷え込みがあるといいます。

 まず、共働き世帯の増加によって、保育園の需要が拡大。これに対応するように、認可保育所は公立・私立合わせて 2009年から2011年までに460ヵ所が増設しています。認可外保育施設の総数も、2010年から2011年にかけて116ヵ所増えるなど、増設が続いています。この認可外保育施設が頑張っているようです。

<認可保育園の増設が続く一方で、その利用率は認可外保育所に比べてむしろ減っている現状がベネッセの調査からはわかる。2009年に認可保育所園を利用した入園申請者は47.2%だったのに対し、2011年は37.5%。認可保育園以外の預け先(自治体の助成を受けている認可保育園、その他の認可外保育施設、幼稚園)は約16%増えている。このことから、認可保育園の増設では間に合わない“潜在的待機児童”の増加を補っているのが認可外保育所であることが考えられる。
 さらに、3月以前の保育サービス利用状況として、認可外保育所や幼稚園などを挙げた人は全体の半数以上に上る51.7%で、2009年の22%と比べ増加している。認可保育所に比べて「高い」「保育の質が悪い」と敬遠されてきた認可外保育所だが、認可に入れない児童への「緊急避難所」的側面があることは間違いない。また、認可外保育所への認知度の高まりとともに受け入れられつつあるとも言えるだろう>

 なお、預け先別に母親たちの満足度を聞いたところ、「とても満足している」「まあ満足している」と答えた人は、認可保育園で95.4%、認可外保育所で91.4%。それほど変わりません。ただ、認可外保育施設は、料金が全然違うんですよ。保育費 - gooベビーでは、以下のようにありました。

<所得に応じて保育料が定められる「認可保育園」と、所得に関係なく保育料が設定されている「認可外保育園」。保育料の目安は、たとえば世帯年収が約700万円で子どもが1人いる家庭の場合、認可保育園なら月額約2万~5万円ぐらい。認可外保育園では、基本料金7万~8万円+給食費、延長料金で約10万円といわれます>


●仕事や再就職を諦めた親が6割!やはり問題解決とは程遠い理由に

 なお、2011年に調査を行った967人のうち、4月までに預け先が見つからなかった母親は、約3割にあたる324人います。このうち、58.6%が、「仕事、または再就職するのをやめ、自分で子どもの世話をすることにした」と答えていました。「自分または配偶者の育児休業を延長し、子どもの世話をすることにした」と答えた人も24.1%となっています。

 調査を行った967人(首都圏の認可保育園に入園申請をした母親を対象)のうち約3割にあたる324人が預け先が見つからなかったそうですが、そのうち58.6%が「仕事、または再就職するのをやめ、自分で子どもの世話をすることにした」と答えているとありますから、これは明らかに問題。経済にとってマイナスでしょう。

 2010年版「男女共同参画白書」によれば、高等教育を受けた日本女性の就業率は66.1%で、OECD加盟国の30ヵ国中29位(最下位は 61.2%の韓国)。白書では、結婚や子育てに伴う退職を減らすことで、最大で445万人の労働力増加につながるとも発表されています。

 Wikipediaを見ていると、「待機児童の多くは認可外保育施設に入所するみかけの待機児童と推定されており、認可外保育施設等にも入所できない真の待機児童は少ないと推定される」ともありました。しかし、上記のように6割も諦めている人が現実にはいるために、やはり問題は大アリです。

 待機児童問題は日本の経済にもマイナスになっていると考えられますので、教育・子供に関する分野で、最優先で取り組むべき課題でしょう。


●安倍首相が待機児童解消を宣言 → ゼロどころか前年より増加

2017/04/09:上記の通り、待機児童問題の解決は難しいものだと以前からわかっていました。ところが、安倍政権は無責任に華々しいことを言って、これまた無責任に解消が無理であることを宣言したようです。「待機児童の解消」にあっさり白旗 甘かった政府の想定 J-CASTニュース / 2017年4月8日 9時0分によると、政府は2017年度末までに待機児童を解消するという目標を掲げていました。しかし、2月17日に安倍晋三首相が「非常に厳しい状況」と認め、あっさり白旗を上げてしまいました。

 2013年4月に始まった「待機児童解消加速化プラン」は、2017年度末の待機児童解消に向け、2013~17年度に保育の受け入れ枠を50万人分確保する、などといったものでした。この進捗も遅れている可能性を感じるものの、2013~15年度に保育受け入れ枠31.4万人分は確保できました。増えてはいます。

しかし、前述の通り、「隠れ待機児童」がたくさんいますからね。厚労省でも、認可保育所に入れず、かつ待機としてもカウントされていない「隠れ待機児童」は2016年4月時点で約6万7000人と、表向きの待機児童数の3倍近くあると把握しており、わかっていたはずです。

 そして、実際の待機児童数もボロクソで、2016年4月時点の待機児童は2万3553人と、2年連続で増加中。年度途中に育児休業が明けるなどのため4月の2倍くらいになるのが例年の傾向である10月1日時点では4万7738人と、1年前より2423人多く、これまた2年連続での増加となっていました。

 つまり、待機児童解消でゼロどころか、逆に増えているというお粗末さ。前半の話は、<待機児童数が減少しても、問題解決とは程遠い理由>というものでしたが、見せかけの数字ですら減っていません。現行の甘すぎる数え方でも増えてしまっているというのは、相当ひどいですよ。

 待機児童問題解決が難しいのは明らかであり、それが達成できないことは責めませんが、隠れ待機児童の問題を考慮せずに安易に「できる」と宣伝していたことは、大いに責められて良いでしょう。あまりにも浅はかで、本気で解決しようという気持ちが感じられません。


●待機児童問題は国と自治体の怠慢か? 全国最悪だった横浜市がほぼゼロとなる見込み

2013/1/10:私が待機児童問題について取り上げているのは、待機児童問題そのものの重要性もありますが、やれることが十分にあるのに、国や自治体の怠慢で放置されているのでは?という思いが強いからです。最近あった池上彰さんの選挙番組では、そうした待機児童問題に関する怠慢に関する反応も出ていました。

<自民党の文教族が反対していたせいで保育所の待機児童が全然減らなかった件をTV東京で池上さんに突っ込まれてる。子育て世代は何を見、何をもって投票したのか。てか投票に行ったのか?>
narulinjane 2012/12/16 21:37:21

<むふふ〜 池上さん「幼稚園は働く女性を援助するのが役目ではない」という言質を自民党さんから引き出しましたにゃ☆ これは預け先探しに必死な女性達から反発食っちゃうのぅ 幼稚園は働く必要のない金持ちしか相手にしないもん!ってことだし… つくづく池上さんは上手い>
moffurudohri 2012/12/16 21:35:35

 で、今日は<横浜市の待機児童 4月にほぼゼロに>(2013年1月7日 13時2分 NHK)というニュース。育所などの空きを待つ「待機児童」が3年前、全国で最も多かった横浜市は保育施設を増やすなどの対策を進めた結果、ことし4月には待機児童がほぼいなくなる見通しになったというのです。

<横浜市は、3年前、待機児童が1552人に上り、前の年と2年続けて全国の市町村で最も多くなりました。
このため認可保育施設を増やしたり施設の空き情報を提供する相談員を各区に配置したりするなどの取り組みを進めた結果、去年10月の待機児童は302人にまで減少しました。
さらに、ことし4月には新たに67の施設が開設され、受け入れ枠が5110人分、増えることから横浜市は待機児童がほぼいなくなる見通しになったとしています。一方で、仕事を持つ母親の増加などに伴い、今後5年ほどは年に2000人のペースでさらに受け入れ枠を増やす必要があるということで、横浜市は、今後も施設の増設や保育士の確保などに力を入れることにしています>
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130107/k10014624861000.html

 上記を読む限り、特別なことはしていません。むしろ正攻法です。私が怠慢だと思っているのはこういった正攻法が不十分なのではないか?という思いがあります。認可しやすくすると不適切な保育施設が混ざる可能性がありますが、これは認可済みの施設を含めて監視などの問題でしょう。認可を増やすというのは、正当な方法だと思われます。

 ただし、横浜市のケースでも上記でで書いたように、統計で現れない潜在的な待機児童が今後増える可能性があります。おそらく実際にはゼロではなく、ゼロになっているように見えるだけではないでしょうか。とはいえ、やるべきことの方向性自体は変わりません。やらない政府よりやっている横浜市の方が立派ですね。


●待機児童問題解消策「株式会社の参入」に反対が多くなる理由

2013/4/26:順番を入れ替えているのですが、冒頭で紹介した<解消しない待機児童問題に親の怒り爆発!姑息な株式会社外しではなく根本議論を>(2013年3月21日 週刊ダイヤモンド編集部 清水量介)では、。待機児童問題をどのようにして解決すべきか?という話もありました。

<まずは、予算の増大が求められる。なにしろ、福祉としてくくられる保育園問題だが、実は経済の問題でもある。この惨状を見て「2人目はつくれない」と漏らす親も多い。国力として人口増加を真剣に考えるならば、人口が最も集中する東京での子どもを欲しいと思えない状況をなんとかすべきだろう。
 予算という国家レベルでの取り組みが大枠とするならば、現場でのヒントとなるのは横浜市の取り組みだ。横浜市では他の地域ではなかなか進まない株式会社の保育園参入を促すなどし、待機児童解消にほぼ成功している>

 私が行政に不満なのはこの民間の活用であり、ずっと気になっていました。ただ、あまり出てこなかった話でもあります。こちらの記事によると、「株式会社の参入」自体は、保育園業界にとって長年のテーマだとのこと。ただ、以下のように反対が多くなかなか実現しなかったようです。

<保育園の多くは、社会福祉法人という団体が運営している。社会福祉法人が加入する保育園の業界団体は、株式会社が参入することで「保育の質が下がる」として猛反発してきた。
「保育の質が低くなる」「利潤を追求しコスト削減のしわ寄せが現場にくる」など、既存の保育園業界の株式会社へのアレルギーはすさまじいものがあった>

 杉並区の保育問題に熱心に取り組む共産党区議らも株式会社の参入には否定的だとのこと。本来、民間の参入みたいなのは、右派が好きなのですが、その右派は前述の通り、待機児童問題そのものへの感心が薄いですからね。ただし、以下のように株式会社の参入は他の地域だと進んでいるそうです。

<批判を意識してか、すでに株式会社の保育園運営への参入は解禁されているが、長年、自治体窓口に実務上拒否されてきた。それでも、徐々に参入が進み、現在では、東京23区のうち、世田谷区のみが株式会社の参入を強く拒んでいる>

 なお、その後、保育園反対の自民党田中裕太郎、幼稚園理事で補助金得ていたという話をやっており、右派は利権がらみなところでも待機児童解消に反対してそうな感じです。さらに、全日本私立幼稚園連合会も自民党の重要な支援団体であり、待機児童解消とぶつかりそうなところがありますね。(2022/02/15追記)


【本文中でリンクした投稿】
  ■保育園反対の自民党田中裕太郎、幼稚園理事で補助金得ていた

【関連投稿】
  ■保育園の子供の声がうるさい!高齢者が騒音訴訟や殺害匂わす脅迫
  ■悪い認可保育園と良い認可外保育施設(無認可保育所) 認可の意味
  ■学校・教育・子どもについての投稿まとめ

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