★2012/4/21 ロシアプーチン首相は北方領土問題棚上げで天然ガス狙い
★2013/5/5 北方領土問題は棚上げ支持?TBS記者のプーチン大統領への質問に反発
★2012/4/21 ロシアプーチン首相は北方領土問題棚上げで天然ガス狙い
尖閣諸島、北方領土、竹島の領土問題 ~韓国と交渉するのは不可能、中国を最優先に~の続きで、三記事あって量が多かった北方領土問題です。
わかりやすくなるので、概要説明のある
にわかに再燃する「北方領土問題」の通説と現実(登録要 ダイヤモンド・オンライン 2011年9月30日)を最初に行きます。
第二次大戦末期の1945年8月、ヤルタ協定により日本への参戦を決めたソ連は、日ソ中立条約を破棄し、当時日本の領土だった南樺太(樺太=サハリンの北緯50度以南の地域)、千島列島、北方四島へ侵攻した。そして、ポツダム宣言を受諾した敗戦国・日本は、終戦後にGHQ(占領軍最高司令部)の指令に従って、南樺太や千島列島への権力行使権を剥奪されることとなる。 千島列島は、北海道・根室海峡から千島海峡までの間に連なる列島を指し、国後島、択捉島、得撫島、幌筵島、占守島などの島々を含むとされ、このときソ連領に編入されてしまった。「千島列島の一部」と見なされた色丹島、歯舞諸島も同様である。
その後日本は、1951年のサンフランシスコ講和会議において、南樺太と千島列島を正式に放棄した。このとき、ソ連が平和条約への調印を拒否したこともあり、「千島列島に北方四島が含まれるか否か」という議論に、はっきり決着がつけられなかったことが、後々まで尾を引く火種となる。
(中略)
日本は、そもそも北方四島は千島列島に含まれないこと、仮に含まれるとしても平和条約さえ調印していないソ連に領土を与えるとは言っていないことなどを主張し、択捉島以南の島々の返還を求めた。「ソ連が大戦末期の混乱に乗じて、北方4島を不法占拠し続けている」というスタンスである。
(中略)
(引用者注:しかし、ロシア側は)「歯舞、色丹はともかく、択捉と国後は千島列島の一部。旧ソ連領に編入され、なおかつ日本が放棄した千島列島を、自分たちが支配するのは当たり前だ」と考えているフシがある。
(中略)
つまり、日ロ両国間において、「千島列島と北方領土にそれぞれどの島が含まれるべきか」「実効支配の実績が、どの部分まで生きているのか」という区分けや認識が曖昧なままであることが、今日まで続く混乱の主因
(中略)
米ソ冷戦が深刻化した50年代半ばには、こうした膠着状態から抜け出せるチャンスがあった。ソ連では、歯舞諸島と色丹島を日本に引き渡し(国後島と択捉島以北はソ連領を維持)、平和条約を締結しようという気運が盛り上がったのだ。
しかし、4島の一括返還を主張する日本と折り合いがつかず、結局56年の日ソ共同宣言においても、領土問題は棚上げにされた。日ソ共同宣言では、「将来、ソ連が歯舞諸島と色丹島を引き渡す前提で、平和条約の交渉を行なう」という合意がなされたものの、それも現在までうやむやになっている。 |
日本はそもそも「二島返還」を望んでいたのか?で書きましたが、四島一括返還にロシアが応じるとは思えません。
さらに
北方領土なんかいらない ~あるロシア人の本音~でも少し触れたように、
ロシア高官が驚いた日本のナイーブさ 北方領土に関するプーチン発言の真意と日本の誤解(要登録 日経ビジネスオンライン 2012年3月8日 袴田茂樹)によると、プーチン次期大統領も記事で言う「うやむや」になる棚上げ戦略を取りそうです。
次は軽い話だけど、「えー?」という話。
文部科学省所管の社団法人「日本図書館協会」(東京)が全国の図書館に推奨する子供向けの絵本「国旗の絵本」(戸田デザイン研究室発行)に、北方領土を「ロシア領」と色分けした地図が掲載されていることが5日、分かった。指摘を受け、発行社側は訂正したが、「問題提起するため、あえてやった」と説明した。先月には文科省が後援する「国際地理オリンピック」の募集ポスターで同様の事例が発覚したばかり。
(中略)絵本を企画・編集した同研究室の戸田やすし氏は「日本の領土なのに、日本人が行き来できない不正常な状況を表現するため、あえてロシア領の色にしたが、説明不足だったので訂正した」と説明した。
図書館協会推奨 北方領土、絵本でも「ロシア領」 (産経新聞) リンク切れ http://news.infoseek.co.jp/article/sankein_snk20111006093 |
正直よくわかんない理由。「絵本は20年以上にわたり、50万部以上発行されてきたが、こうした指摘は今回まで一度もなかった」とも言っています。
大体、子供向けでしょう?子供がそんな指摘するわけないじゃん。それよりそういうものなんだと覚えることの方がずっと多いでしょう?
「日本人が行き来できない不正常な状況を表現するため、あえてロシア領の色に」するなんて意味不明。わけがわかりません。
最後、
中曽根康弘元首相が「ミスター北方領土」の愛国者を振り返るNEWSポストセブン(2011年9月27日07時00分)というもので、全然知らなかったのですけど、「ミスター北方領土」と呼ばれた故・末次一郎さんの話。
――末次氏は著書(『「戦後」への挑戦』)の中で、自らも関わった引き揚げ援護運動に関連して、ソ連のやり方への激しい憤りを綴っています。恨みすら抱くソ連に対し、敵に塩を送るような行ないをしたのはなぜでしょうか。
中曽根:「外交交渉は勝ち負けじゃない。どちらも納得しなければならないのです。それには、当事者同士が信頼関係で結ばれなければならない」 |
「外交交渉は勝ち負けじゃない」というのは他の方も言っていた気がします。それでも、日本には多くの利を取ってほしいと思っていますが、一方的勝利や一方的敗退という外交の見方にはならないように気をつけたいです。
続き。
――しかし、一筋縄でいく相手ではない。
中曽根:「確かに、冷戦時代のソ連は西側諸国との対立が激しく、状況的にも厳しかった。実際、ソ連は並々ならぬ相手でした。そもそも向こうに、北方領土問題が『問題』だという認識がない。一方、末次君は四島一括返還という主張に微塵も揺るぎがない。議論だけならば永遠に平行線です。末次君はそんな状況だからこそ、ソ連側要人や学者との信頼関係の構築に努めたのです。
末次君の人に対する評価軸は一定していました。自分の国を愛しているかどうか。たとえそれがソ連、ロシアの人間であっても、立場や考えが異なる人間であっても、愛国者同士ならばその一点で話が通じた。ヤコブレフ(ゴルバチョフ政権時代のナンバー2)やプリマコフ(エリツィン政権で外相、首相を歴任)との信頼関係もそうです」
――具体的にどのようにして、ソ連の要人たちと信頼関係を結んだのでしょうか。
中曽根:「プリマコフにこんな話を聞いたことがあります。『“ミスター北方領土”からもらった般若心経の掛け軸は、今でも大事に自宅に飾っています』。末次君に聞くと、プリマコフの奥さんが亡くなった際、哀悼の手紙と一緒に、自分で写経した般若心経を贈ったのだという。
きっと末次君は、般若心経の中身も教えたことでしょう。それは『日本人はこういう考え方をする』ということをレクチャーしていることにもなります。プリマコフは、『“般若心経”の掛け軸を毎日眺めては、日本人を理解しようとした』と言っていた。日本人についての理解を深めさせることは、ひいては、今後の交渉や関係作りにもプラスになる。実際、ヤコブレフやプリマコフの発言は、徐々に日本にとってプラスの方向に変わっていきました」
|
今年に入ってかな?鈴木宗男さんだったかが、プーチン首相が人情がわかる人だと言っているのを読みましたけど、ロシアの政治家には義理人情が効くのかもしれません。
ただし、先に書いたようにプーチン首相が、日本にうまい話をタダで持ってきてくれるということはありません。領土問題を棚上げにしつつも、経済協力を狙っているとのことです。
今現在日本は喉から手が出るほど天然ガスがほしい状況であり、そういうところは魅力も大きいですけど、逆に言うとそれを隠しようのない状態なので足元を見られてしまいます。
そうなると日本としては得るものが少ないわけで、正直「一方的敗退」に見えるような結果が生じるかもしれないという危惧があります。
★2013/5/5 北方領土問題は棚上げ支持?TBS記者のプーチン大統領への質問に反発
以前も書いたようにネットでは尖閣諸島・竹島問題と比べて北方領土への関心が薄いと思います。
今回の件はそれよりさらに一歩進んで、ロシアに好意的で北方領土問題の棚上げ支持が世論なのかな?と思わせる出来事でした。
TBS記者のプーチン大統領への質問 ネットでは批判する声が大半だが…
2013/4/30 18:14 J-CAST
安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領がモスクワのクレムリンで会談し、経済協力を拡大する中で領土問題をめぐる交渉を加速させることで一致した。会談後に行われた共同会見で、日本側の記者がプーチン大統領をいらだたせる一幕があった。
ネット上では「バカ記者のせいで雰囲気悪くなってる」といった記者批判の声が相次いだが、逆に「直截に質問したことを評価すべき」との声もある。(中略)
4問目の日本側(TBS)の質問にプーチン大統領が反発。ネット上で記者に対する批判が広がった。(中略)
質問では、北方領土のインフラ整備が進んでいることなど、ロシアによる実効支配が強まっていることを指摘した上で、
「日本にとっては、受け入れ難いような状況になっていると思うが、安倍総理はどのような認識をお持ちか」
と安倍首相の見解を質した。プーチン大統領に対しても、
「ロシア政府は今後も同じような政策を北方領土に対して継続する考えか。そしてその場合、日本との領土交渉への影響については、どのように考えるか」
と見解を求めた。
安倍首相は、
「今回の共同声明において、『双方の立場の隔たりを克服し』とあるように、重要なことは、そのような問題を根本的に解消するために北方領土問題を解決するしかないということ」
と無難な返答だったが、プーチン大統領は明らかにいらだった様子で、
「私が今、注目したのは、記者の方が、この質問を紙から読み上げていたこと。この質問を、多分ほかの人からもらったと思うが、その人に対して、次のことを伝えていただきたいと思う」
と記者が紙を見ながら質問していたことを皮肉った。会場からは笑い声も起こった。
プーチン大統領は、問題解決には両国間の信頼関係の醸成が必要だとした上で、
「もし、この(領土問題解決の)プロセスにおいて、妨げを起こしたいならば、それも可能。 そのためには、激しくて直接な問題、直接な質問をして、同様に激しくて直接な回答をもらうことができると思う」
と述べた。
http://www.j-cast.com/2013/04/30174227.html?p=all この質問への感想には大半が批判のようで、以下のようにあります。
一連のやり取りは「NAVERまとめ」などで拡散し、「まとめ」の中で紹介された声は、
「空気が読めない」
「生産的でない」
「バカ記者のせいで雰囲気悪くなってる」
といった記者を批判する声が大半だ。
一方、少ない反論。
今回のプーチン大統領の会見に限らず、首脳による共同会見では質問数が各国ごとに1~2問に制限されるのが一般的だ。このため、限られた機会で効率的に答えを引き出すために、記者の間で事前に代表質問の内容を調整することは珍しくない。今回も、この慣例にのっとったとみられる。
質問を擁護する声もある。ジャーナリストの竹田圭吾さんは、ツイッターで、
「記者が会見で空気読んでどうするんですか。ローマで日本の財務大臣が明らかに酔った様子で表れたときにそのことについて何も質問しなかったのが偉いのか。ロシアの不法占拠に憤っている人は記者が直截に質問したことを評価すべきでは」
と指摘している。
このJ-CASTの記事でのコメントはだいぶ賛成もあります。
だから 2013/4/30 18:29
空気、空気っていうけど
そんななごやかな雰囲気じゃ
その雰囲気で始まって
その雰囲気で終わるんじゃないの?
それで何十年も同じこと繰り返してるよね
当然の質問だと思うけど
一般人 2013/4/30 18:35
ネットではTBSだから批判しているんであって、記者の質問が妥当かどうかなんて、誰も気にしていないでしょう。
当然な質問だろ。 2013/4/30 19:15
誰もが一番知りたい事だ。
当たり障りない質問に当たり障りない答えなら、会見など必要ない、紙面で発表すれば良い。
腹の底 2013/4/30 20:00
プーチンが腹の底を
かいま見せただけ。
だいたい、空気を読むってのは欧米社会にはあまり感じられない。
あの質問は良かったと思うよ。
プーチンにとって「不法占拠」の痛いところをついただけだ。
フローライト 2013/4/30 20:17
あちらの機嫌を損ねてはいけない?日本に援助させるだけさせて北方領土1島も返さない可能性もありますね。でもそう言う事を平気でやりそう(*`θ´*)歴史的に。
これがネット民のレベルw 2013/4/30 20:29
プーチンが怒ったら「空気が読めない」「雰囲気悪くした」
アホだ、どうしようもないアホ
プーチンを本当に怒らせたんだったら、ジャーナリストとしてはGJだろ
痛いところ突いてるってことの証明だから
もっとも本当にプーチンが怒ってたかどうかも疑問だがな
池上さんなら 2013/4/30 22:00
同じ質問しても誉められていたのにね。
しかし、批判コメントもたくさんあり、やはりこちらの方が多くなっています。
意味が無い質問 2013/4/30 18:50
「私だって同じ事を聞く」なんていうほどの良い質問じゃないでしょう、これ。
やっぱり 2013/4/30 18:52
安倍自民党政権がおきに召さないTBS、面目躍如ですね。
でも中国共産党には 2013/4/30 19:25
中国共産党の外交担当広報にも同じように感情的なc質問をなぜしないのかとても不思議だなぁw
TBSの記者さん
これが格の違いか 2013/4/30 19:42
質問の内容について、表層部だけしか見ないで反応する人とその質問をしたことの意図まで見抜いて、その異常性をきっちり指摘できるひと。
人としての器の大きさというか、格の違いというものがはっきり表れたシーンですね。
きっと日本のジャーナリズム(笑)がどの程度のものであるか、全て見抜かれた上での強烈な皮肉である事にすら気付かず反論してるんだろうな。
バカ記者とはそんなもの 2013/4/30 19:49
日本政府が過去に選んだのは妥協のない外交ポーズをとるという政治体裁のために、旧ソ連での米ソ冷戦時代の国家安全保障のための不干渉領域からロシア共和国となり米ソ冷戦の崩壊から極東ロシア実行支配地域の拡充を予想できずに現在に至ったことに長年税金で無駄飯を喰らっておきながら何もできずに指をくわえて何もしていなかった。
第二次安倍政権がようやくこれに着手しようとし始めた段階で旧ソ連時代の歴史問題をとやかくいったところで記者のお頭が頓珍漢なだけ。
まともな記者が聞くべきだったのは、近々の目標と最終的な妥協点を求めるのに着実に進めることができるマイルストーンを提示できるかどうかやプーチン‐安倍間で時間軸を据えたプログラムを作れるのかどうかのコミットメントが得られるかどうかであった。
現日露首脳は難しい宿題の提出期限を公言せずに済ますことができバカ記者には感謝しているだろう。
両国民には不透明さが漂う結果
矛盾 2013/4/30 19:53
TBSはこの記者の質問を擁護したそうだが、それではなぜ、いつも、韓国政府や中国政府、韓国人、中国人にはいつもストレートな質問をしないのか?
彼らの本音が透けて見えるよう。
だから、マスコミやテレビは信用されず、バカにされるのだ。
je 2013/4/30 20:03
いい質問だった。
china,koreaにとって。日本にとってではなくて。
TBSはちゃんと(日本以外の国のために)仕事をしているという認識を広めるために頑張っていただきたい。
2013/4/30 22:21
youtubeに貼られている動画を見たが、プーチン氏が特段苛立っていたようには見えなかった。むしろ、皮肉たっぷり、足元を見てバカにしている、というのが私の見解です。発言局にとっては屈辱かもしれませんが。
日本の新聞は「自らが公平である」という立場で国民の意見を代弁しているように報道している。であれば、中韓の報道に対しても同じ建前を崩してもらいたくない。実態はちがう、質問会社は中韓に対し同様の発言をしたことを見たことがない。
既に今までの言動から明白なように、米嫌い、中韓大好きと発言しているのです、今さらダブルスタンダードというのも寒いので、不平等など当たりまえ、支持母体に沿って何が悪い、と公式に発言した方が潔いし、ストレスもないと思う。
私は相手により露骨に態度を変える会社を評価しませんが、世の中、拾う人もいますよ。
世界を代表する立場の範囲で意見を発表し続けたらどうでしょうか。
領土問題は「やってます」「進展しています」というポーズだけを取り、経済協力などだけ進展ということは可能です。
特に北方領土は実効支配が極めて進んでいるため、領土返還の実現可能性に関しては疑問を持って当然でしょう。
やや古いものですが、"ロシアプーチン首相は北方領土問題棚上げで天然ガス狙い"での見方によれば、プーチン大統領は棚上げ狙いだそうです。
アメリカのシェールガス革命で情勢はかなり変化しているものの、私は依然棚上げの可能性を懸念しています。
領土問題において棚上げというのは実は有効な方法であり、実際、尖閣諸島問題では双方棚上げにして友好を深めようといった方針を日本は最近まで真面目にやってきましたし、海外メディアは今でも多くが棚上げを支持しています。
しかし、日本国民、特にネット民はこの尖閣諸島問題や竹島問題に関しては、全く棚上げを支持していませんよね?
J-CAST記事でのコメントではTBSのダブルスタンダードを強調しているものが多かったですけど、それを言うならネットユーザーの対中国・対韓国と対ロシアのダブルスタンダードも同じことです。
北海道出身者としては、北方領土問題は軽視されているだなぁと改めて感じ、悲しくなりました。
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