サハリン2事件についての話をまとめ。<外資を乗っ取ったロシアのサハリン2事件 三井物産・三菱商事が損失>、<欧米諸国はロシアを批判するも日本は…当時の日本の首相は誰だったのか?>、<北方領土をロシアに取られた日本、ロシアのウクライナ侵攻も許す>、<「安倍首相がプーチン大統領に褒められた!」とアピールしてた>などの話をまとめています。
冒頭に追記
2022/03/10追記:
●北方領土をロシアに取られた日本、ロシアのウクライナ侵攻も許す
2022/04/14追記:
●積極的にロシアへのエネルギー依存を高める政策で逆に日本の損失に
●「安倍首相がプーチン大統領に褒められた!」とアピールしてた
2022/07/03追記:
●いよいよ完全乗っ取りへ ロシアが一方的にサハリン2接収を決定
2022/10/13追記:
●サハリン2の日本企業の損失 1366億円減額・500億円減額など…
2022/10/22追記:
●日本政府系が保持するサハリン1事業もロシアが乗っ取りをはかる
2022/10/28追記:
●海外企業は損失を恐れずにロシア撤退してるのに…日本企業に批判 【NEW】
●北方領土をロシアに取られた日本、ロシアのウクライナ侵攻も許す
2022/03/10追記:他でも書いた二度目のウクライナ侵攻に関する話をこちらにも。一度目より大規模な侵略行為で多くの犠牲者を出しています。日本の対応でまずかったな…と思うのは、一度目のウクライナ侵攻の後、安倍政権が決然とした態度を維持できず、北方領土問題を棚上げまでしてロシアにすり寄ってしまったことです。
この日本の対応はいくつかの意味で、悪いものでした。まず、ロシアのウクライナ侵攻を許してしまった形になったこと。一度目のウクライナ侵攻で日本からも相手にされなかった場合、ロシアが二度目を躊躇する材料になったでしょう。あっさり許されたことで、プーチン大統領は二度目をやりやすくなりました。
また、一度目のウクライナ侵攻で先進国から総スカンを食らっていたロシアは、日本を利用して国際的に孤立していないことをアピールしたとも当時指摘されています。日本の安倍政権のロシアへのすり寄りが、ロシアのウクライナ侵攻を許す重要なきっかけの一つになったと言えるかもしれません。
日本の場合、「北方領土問題棚上げ」も重要なポイント。ウクライナと同じく、領土をロシアに不当に取られている立場である日本は本来、他の国以上にウクライナ侵攻を許すべきではなかったのですが、その日本が許したことで、「北方領土占領もウクライナ侵攻も問題なし」という強いメッセージになってしまいました。
私は日本の右派が主張する「中国の台湾侵攻」は、デメリットが大きくあり得ないと最初考えていたのですが、このロシアの例を思い出して考え直したんですよね。ロシアのウクライナ侵攻を許した日本を見た中国が「意外に甘い」と思って、台湾侵攻をしたとしても許されると考えてしまう可能性が出てきてしまいました。
なお、私はそもそもロシアを許すべきではなかったと考えますが、安倍政権が交渉下手だったことも指摘しておきます。当時ロシアはウクライナ問題とアメリカのシェールガス革命によるガス余りでピンチだったため、本来なら日本が交渉で大きく有利だったのにも関わらず、北方領土棚上げでむしろ日本の方が大きく譲歩してしまいました。
また、この投稿で書いているように、安倍首相の場合、第一次政権時代にサハリン2事件で日本企業の損失を出した経験があります。にも関わらず、北方領土棚上げまでして経済協力というのは、ロシアのスパイで日本を切り売りしているのでは?と思ってしまううほど売国的で不思議でした。(ちなみに、
マジでアメリカのスパイに協力していた自民党の大物議員がいたことは、アメリカ側の資料でわかっています)
●積極的にロシアへのエネルギー依存を高める政策で逆に日本の損失に
2022/04/14追記:品目などは異なりますが、欧米では追加の経済制裁として、ロシア産資源の輸入を次々と停止。ロシア側だけでなく、資源輸入国側(特に輸入が多いEU)も大きな損失を受けますので、かなり思い切った対応です。一方、日本はこうした経済制裁については、非常に消極的になっています。
<日本が参加する極東ロシアの石油開発事業「サハリン2」を巡る難局が長引きそうだ。日本政府はロシアへのエネルギー依存を減らす方針を打ち出したが、具体策づくりは始まったばかり。仮に撤退すれば液化天然ガス(LNG)の年間輸入額は2021年比で3割強増える可能性があり、すぐに引けない事情を抱えている>
(
サハリン2、長引く難局 撤退ならLNG輸入額3割増: 日本経済新聞 2022年3月22日より)
検索してみると、経済産業省・資源エネルギー庁が
石油から再エネまで、あまり知らないロシアと日本のエネルギー協力|スペシャルコンテンツというのを書いていました。てっきり今回の件に絡んだものかと思ったら、2018年05月31日に書かれたもの。ロシアに接近する安倍首相の実績をアピールする内容でもありました。
<ロシアとのエネルギー協力は、豊富なエネルギー資源や地理的な近接性などの観点から、日本のエネルギー供給源の多角化および安定供給の確保にとって重要となっています。2018年5月24日~27日には安倍首相がロシアを訪問し、エネルギーを含むさまざまな協力関係を今後も深めていくことを確認しました>
●「安倍首相がプーチン大統領に褒められた!」とアピールしてた
サイトでは、安倍首相の提案がプーチン大統領に褒められた!ともアピール。<LNGについては、今後もサハリン2の拡張が計画されているほか、北極LNG(ヤマル2)やバルティックLNGが検討されるなど、さまざまな開発プロジェクトが動き始めています>としており、侵略国ロシア(1度目のウクライナ侵攻はこの4年前)と接近しまくっていたようです。
<8項目の「協力プラン」に基づいてさまざまな取り組みが進められています。「協力プラン」とは、2016年5月、ロシア連邦・ソチで安倍首相がプーチン大統領との会談をおこなった際、日本側から提示し、ロシア側から高い評価と賛意を示されたものです>
<ロシアと日本が昔から協力してきたエネルギー分野が、石油とガスです。日本は、輸入原油のうち約6%を、輸入天然ガスのうち約9%をロシアから輸入しています。それだけではなく、日本はロシアにおける石油・天然ガスの開発プロジェクト(引用者注:サハリン2など)にも参画しています>
<今後も、ロシアと緊密に連携し、エネルギー分野の官民協力を進めていきます>
そういえば、ウクライナの政治学者の人が、二度目のウクライナ侵攻の前の時点で、安倍首相の周辺にはまるでロシアから買収されているかのような言動をとる人が多く、安倍首相自身も実績欲しさにロシアとの経済協力(「金儲け」という言い方も)を優先させている…といったことを書いていたそうです。
●いよいよ完全乗っ取りへ ロシアが一方的にサハリン2接収を決定
2022/07/03追記:過半数の株式をにぎる乗っ取りを行ったサハリン2プロジェクトですが、プーチン大統領がいよいよ完全に全部乗っ取ることにしたみたいですね。
プーチン氏、一方的に「サハリン2」を接収 三井・三菱も共同出資の燃料開発事業 日本のエネルギー事情に暗雲:東京新聞 TOKYO Web(2022年7月1日)などの記事が出ていました。
<ロシアのプーチン大統領は6月30日、日本企業などが出資する極東サハリンの天然ガス・石油開発プロジェクト「サハリン2」について、運営会社を国有化する大統領令に署名した。外国の資金と技術力で進められてきた巨大プロジェクトをロシア政府が事実上接収することになり、日本のエネルギー事情にも一定の影響を及ぼす可能性がある>
サハリン2はロシア国営ガスプロムが約50%、英石油大手シェルが27.5%、三井物産が12.5%、三菱商事が10%を出資。日本と違ってウクライナ侵攻への批判が強いイギリスのシェルは撤退を表明していたものの、日本政府は「長期的な視点と国益」(外交筋)に基づき、事業参画を続ける方針を示していました。
1度目のサハリン2乗っ取り事件や1度目のウクライナ侵攻でわかるように、ロシアは中国と比較するのが不適切なほど圧倒的にやばい国なんですよね。自民党政権はなんでこんな国に売国的に貢ぐような外交をしてきたんでしょう…。本当ロシアのスパイじゃないか?と思いたくなります。
●サハリン2の日本企業の損失 1366億円減額・500億円減額など…
2022/10/13追記:今度はサハリン1の話が出てきているのですが、その前にサハリン2で日本がどれほど損失を出しのか?という話を。前回の追記の後、
「サハリン2」新会社への“参加検討”三井物産などに経産大臣が打診[2022/08/05 13:05]などの話があり、政府が日本企業に株式取得を要請。ロシア側からも認められており、日本企業は新会社の株式を取得しました。
ただ、日本企業の損失自体は出ているんじゃないか?と気になっていたんですよね。今回「サハリン 損失」で検索かけてみると、やはり各社大きな損失を出していた感じ。これ以外にも出費がある可能性を感じますし、株式取得前の記事ばかりではあるのですが、わかったものだけまとめておきます。
< 三井物産は2日、ロシアで参画する液化天然ガス(LNG)「サハリン2」開発事業などで、6月30日付のロシア大統領令を踏まえて新たに投資価値を合計1366億円減額した。投資残高は902億円。
5月にも、ロシアの国債格付け低下を受け、割引率を見直したとして、ロシアで参画する液化天然ガス(LNG)開発事業について、純資産を806億円減額し、減損損失などで209億円を計上した>
(
三井物産、サハリン2の投資価値を1366億円減額 ロシア大統領令踏まえ | ロイター 2022年8月2日より)
<三菱商事>は10日、極東ロシアの液化天然ガス(LNG)事業「サハリン2」の投資価値を500億円減額し、ロシア関連全体で(訂正)2022年3月期に約130億円の損失を計上した。23年3月期はロシア関連が利益を約200億円下押しするとみている>
(
訂正三菱商、ロシア関連で130億円損失計上 今期は200億円下押し | ロイター 2022年5月10日より)
<日本郵船は3日、ロシア極東サハリン沖の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」に関連し、約178億円の特別損失を2022年4~6月期に計上したと発表した。ウクライナ情勢の悪化に伴い、液化天然ガス(LNG)輸送事業の先行きが不透明になっており、輸送船の資産価値を見直したという>
(
サハリン2で損失178億円=日本郵船 | 時事通信ニュース 2022-08-03 より)
●日本政府系が保持するサハリン1事業もロシアが乗っ取りをはかる
2022/10/22追記:前回ちょっと書いたサハリン1の方の話もやっておきます。< “サハリン1 の事業をロシア企業に” プーチン大統領が署名>(NHK 2022年10月8日 18時16分)などの記事が出ていました。サハリン2と同じような感じでロシアが不当に乗っ取る…という形ですね。
<日本の政府や大手商社も参画してロシア極東のサハリン沖で行われている石油と天然ガスの開発プロジェクト「サハリン1」について、ロシアのプーチン大統領は、事業をロシア企業に移すよう命じる大統領令に署名しました>
<ロシアの国営石油会社の今の権益分を除く80%をいったんロシア政府が管理し、外国の事業者は1か月以内に新会社の株式を取得することに同意するかどうかをロシア政府に通知する必要があるとしています>
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221008/k10013852761000.html
いったんロシア政府が管理し、海外企業は「新会社の株式を取得する」だと、新しく株式を取得する際に、本来なら全く必要ない新たな費用が発生しないんですかね? 仮にそうなら、ロシアはこの手法で何度でもボロ儲け可能。ここらへんは、サハリン2のときにもわかりやすく書かれておらず不満でした。
この話は置いておくとして、サハリン1の特徴の話について。サハリン2より日本政府関与が濃厚というのが特徴です。政府が50%を出資する「SODECO・サハリン石油ガス開発」に大手商社の伊藤忠商事と丸紅、それに「石油資源開発」などが参加し、この会社を通じてプロジェクトの30%の権益を保有していました。
●海外企業は損失を恐れずにロシア撤退してるのに…日本企業に批判
2022/10/28追記:サハリン1での日本の損失がどうなっているのかはよくわからないのですが、米国石油大手エクソンモービルは被害をこうむるのはほぼ確実な感じ。2022年10月19日の
米エクソンモービル、「サハリン1」から完全撤退(インド、日本、米国、ロシア) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロでは、以下のように書いていました。
<ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、サハリン1に関して、米国など「非友好国」の企業が株式売却などを行うことを2022年12月31日まで禁止する大統領令に署名したことで(2022年8月8日記事参照)、エクソンモービルの撤退および権益譲渡手続きが不透明になっていた(2022年8月31日記事参照)>
<エクソンモービルの広報担当者は、メディアからの取材に対し、「ロシア政府はサハリン1における当社の権益を一方的に打ち切り、プロジェクトはロシアの事業者に移管された」と述べた。同担当者は、エクソンモービルが資産の補償を受けたかどうかは明らかにしなかったが、同社は国際法と生産分与契約の下で法的権利を留保し、補償など救済措置を追求する予定だとしている>
エクソンモービルは春の時点で一度損失について計上済みだったようで、2022年4月30日に
米エクソン、「サハリン1」で4400億円損失: 日本経済新聞という記事が出ていました。この時点ではどこかの企業に譲渡できるという前提だったので、条件が変わってさらに損失が増している可能性もありそうです。
<米石油大手エクソンモービルは29日、2022年1~3月期に極東ロシアの石油開発事業「サハリン1」で34億ドル(約4400億円)の損失を計上したと発表した。(中略)同社はサハリン1から撤退するとすでに表明しており、人員を削減していることも明らかになっている。(中略)ダレン・ウッズ最高経営責任者(CEO)は29日、サハリン1について「オペレーション(操業)を止めようとしている」と語った>
この記事では中国批判で主に知られる鈴木一人・東京大学 公共政策大学院 教授が、「それに比べて日本の企業は意識が低い」と批判。ただ、ロシア撤退せずはそもそも政府の方針であり、企業に対して撤退しないように依頼していましたからね。サハリン1は特に政府の関与が強く、主に政府の問題です。
鈴木一人・東京大学 公共政策大学院 教授
<エクソンは原油高で他の部門での収益があるから耐えられるだろうが、さすがに4400億円の損失はきびしい。しかし、それだけの金額を失ったとしても、ロシアで商売をしているというレピュテーションリスクを考えれば安い、という判断なのだろう。それだけロシアで商売をすることのリスクが高まっているのだが、日本の企業は今一つその認識が低いような気がする>
同様の批判的なコメントは、2022年10月8日の
サハリン1も新会社移管 権益巡る判断、日本に再び迫る: 日本経済新聞でもありました。赤川省吾・日本経済新聞社 欧州総局長が、以下の3つの理由で「日本勢は極東の資源開発から手を引くべき」としています。前述の通り、本当は政府の問題なんですけどね。
<①国際法を無視してウクライナ領を併合した独裁国家にカネを払うことになり、倫理的な問題が生じる。
②ロシアは欧州向けエネルギー供給を実質的に停止した。この教訓から日本も学ぶべき。ロシアの意向に振り回される輸入ルートにこだわるべきではない。
③ロシアは核兵器の使用をちらつかせている。仮に核を使った場合でもサハリン事業は続けるのか。そこまで覚悟して出資するのか。
来年は日本がG7議長国。G7で唯一、ロシアからガスと石油を輸入する国になってはならないと思います>
●外資を乗っ取ったロシアのサハリン2事件 三井物産・三菱商事が損失
2013/5/8:安倍首相による日露首脳会談のことが多く報道されていました。ただ、そういったテレビニュースでは全然扱っていなくて不思議だったのが、「ロシアへの投資と言えば…」という超重要事件である、サハリン2プロジェクト乗っ取り事件について触れていなかったことです。
サハリン2プロジェクトは、サハリン州北東部沿岸に存在する石油および天然ガス鉱区と関連する陸上施設の開発プロジェクト。ロシア企業ではなく外資企業が出資したプロジェクトで日本企業も参加。ところが、突如として、ロシアによよって乗っ取られてしまったのです。めちゃくちゃな話ですわ。
<このプロジェクトにおいて、ロシアで初めて天然ガス液化プラントが建設された。このことはロシアのエネルギー政策上重要な意味をもち、後、
ガスプロム社が強引にサハリン・エナジー社の株式を取得した理由のひとつとされている。なおプラント建設工事は2003年日本の千代田化工建設、東洋エンジニアリングがロシア企業と共同で受注した。(中略)
2006年9月、ロシア政府は環境アセスメントの不備を指摘し、
サハリン2の開発中止命令を出した。その後の交渉で、2006年12月に
ロシアのガスプロム参画が決まり、2007年4月にはサハリン・エナジーの株式の50%+1株を取得した。これによってサハリン・エナジーの出資比率は、英蘭シェルが55%から27.5%-1株、三井物産が25%から12.5%、三菱商事が20%から10%に減少した。2007年4月にロシア天然資源省はサハリン・エナジーの環境是正計画を承認。2007年10月には1年以内に工事を完了させることで合意し、開発中止の危機は免れた>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%8F%E3%83%AA%E3%83%B32 「50%+1株」「27.5%-1株」ってのが「うん?」って思ったんですけど、要するにガスプロムに過半数である50%超の株を持たせたかったので、50%分の株式プラス1株ってことにしたんでしょうね。株式会社では過半数を持っているのと持っていないのとでは大違い。過半数を確保することで、「ロシアの会社」にすることができたわけです。
●三井物産が25%、三菱商事が20%保有し、建設がかなり進んでいたプロジェクト
サハリン2の騒動については、上記のWikipediaの書き方だとちょっとわかりづらいですので、他を探しました。
知恵蔵2013の解説( 袴田茂樹 青山学院大学教授 ) の方がわかりやすいと思います。
・ロシアの天然資源省は2006年9月18日に突然、天然ガス、石油開発プロジェクト「サハリン2」の工事承認を、その環境破壊を理由に取り消した。
・「サハリン2」の権益は当初、ロシア国外の資本、つまりロイヤル・ダッチ・シェルが55%、三井物産が25%、三菱商事が20%有していた。事業主体はこれら3社が株主となるサハリン・エナジー社であった。
・サハリン・エナジー社は、サハリンの北から最南端のプリゴロドノエまで約800キロメートルのパイプラインを敷設。また、プリゴロドノエには世界最大規模の最新式液化天然ガス(LPG)工場を日本企業が中心となって建設しており、工事は8割近く進んでいた。
・生産されるLPGの半分以上を日本の電力、ガス会社が購入予定で、2008年から東京電力が年150万t、東京ガスが110万t、その後九州電力、東北電力もそれぞれ50万t(09年)、42万t(10年)輸入する契約を結んでいた。
・このプロジェクトは生産分与契約(PSA)に基づくもので、投資企業が投資額を回収するまでは生産物をすべて所有し、ロシア政府には利益の6%しか入らないものだった。
●欧米諸国はロシアを批判するも日本は…当時の日本の首相は誰だったのか?
ロシアとしてはおもしろくないでしょうけど、もともとそういう契約だったんですから仕方ないと普通は考えます。ところが、ロシアではそんな考えはしないみたいですね。工事が進んだところでなんと乗っ取りをはかりました! ロシアはこの契約がロシアに極めて不利だとして、このプロジェクトにロシア企業を参加させるよう圧力を加えていたといいます。
ロシアは環境破壊という理由を挙げていたものの、ロシア企業を参入させるための口実でした。結果、前述の通り、最終的にはロシアの事実上の国営会社であるガスプロム社が権益の50%プラス1株、ロイヤル・ダッチ・シェルが27.5%マイナス1株、三井物産が12.5%、三菱商事が10%を保有することに。このサハリン2事件は、ロシアへの投資のリスクを改めて認識させることになりました。
欧米諸国はロシアの強引な手法を批判したといいますが、この解説では日本による批判の話はなし。ちなみに問題のあった2006年9月18日~2007年10月の日本の首相(ロシアはプーチン大統領)は誰だったろう?と調べると、<第1次安倍内閣改造内閣 2006年9月26日- 2007年9月26日>ということで、ほぼ安倍晋三首相の在任期間。つまり、約束破りされたときの安倍首相がまた今ロシアと経済協力しようとしている構図です。
●ロシアが再びウクライナ侵略へ 約束を守らないプーチンを一斉批判
2022/02/25追記:この投稿で書いているように、ロシアは「約束を守らない国」としての実績があります。また、最近になっても他国への侵略を続けているという中国と比較できないほどやばい国で、今、ウクライナへの侵攻を行っている最中。最近の侵略というのもウクライナでしたから、二度目でだと言えます。
今回のロシアの約束破りは多数あるでしょうが、フランスのマクロン大統領とミンスク合意を完全に履行する認識を確認した直後に、プーチン大統領がた演説でミンスク合意を一方的に破棄したのもひとつ。ウクライナ東部の親ロシア派が事実上支配している地域の独立をどことの合意もなく承認し、ロシア軍の現地への派遣を指示しました。
これに対し、フランスはもちろんのこと、アメリカ、ドイツ、日本と関係国は一斉に非難したとのこと。公式であれ、非公式であれ、約束を守らないプーチン大統領の行動を嘆きました。また、ロシアの銀行がもはやヨーロッパ市場で資金を調達できなくなるようにするなどの制裁を決定しています。
ロシアの問題とは離れますが、この交渉失敗のせいで大統領選を控えるマクロン大統領は他候補から批判を浴びます。ところが、これらの話を伝えた記事は<大統領選 ウクライナ危機でマクロン氏リード>(Japan In-depth / 2022年2月25日 11時0分)というもの。結局、他の候補よりは交渉力が高いってことみたいですね。
https://news.infoseek.co.jp/article/japanindepth_64854/
例えば、中道右派の共和党、イルドフランス地域圏議長のバレリー・ペクレスさんは、集会での返答で評価が低下中で11.5%の4位まで低下(マクロン大統領は24.5%)。2位は極右政党・国民連合のマリーヌ・ルペンさんの18%、3位も極右の政治評論家、エリック・ゼムールさんの13.5%だそうです。
2位ですからルペン候補が対抗馬として最有力なのですが、<仏大統領選、極右ルペン氏支持者の造反続く 最重鎮もゼムール氏に>(ロイター / 2022年2月14日 14時56分)という不思議な動きも起きているとのこと。最重鎮で党内唯一の上院議員や人気の姪っ子が造反するということで、右派は内部分裂状態のようでした。
<極右エリック・ゼムール氏に支持を変更すると表明したのはステファン・ラビエ上院議員。ルペン氏率いる国民連合(RN)唯一の上院議員で、支持議員の中で最重鎮だった。(中略)
ルペン氏は2017年の決選投票でマクロン大統領に敗北。近年はRNを伝統的保守派や労働者層の有権者が受け入れやすい方向に舵を切っており、それが中核支持者のゼムール氏への乗り換えを招いている。
先月にはルペン氏のめいで右派の人気が高いマリオン・マレシャル・ルペン氏がゼムール氏はより好ましい候補者と発言。このほか2人の欧州連合(EU)議員も造反している>
https://news.infoseek.co.jp/article/14reutersJAPAN_KBN2KJ0AQ/
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