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早野龍五東大名誉教授の被ばく線量論文に捏造の疑い 影響は?


2019/01/09:
●早野龍五東大名誉教授の被ばく線量論文に捏造の疑い
●プライベートな情報を本人の同意のないまま仕様したのもまずい
●修正の影響は?「放射脳ならぬ安全脳」「安全カルト」と批判
●他の被ばく線量についての調査はどうなっているのか?
2019/07/20:
●調査委員会が報告書を公表 不正と倫理問題でまさかの結論
●個人情報問題は研究者の問題ではなく、伊達市側の問題?
●「研究の全データ破棄」「計算が大きく違う」は大問題だが?


●早野龍五東大名誉教授の被ばく線量論文に捏造の疑い

2019/01/09:東京電力福島第1原発事故後、福島県伊達市の住民の個人被ばく線量を分析した論文を巡り、著者の早野龍五東京大名誉教授(原子物理学)は、「累積線量を3分の1に評価する重大な誤りがあった」として、掲載した英専門誌に修正を求めたといいます。
(福島、被ばく線量分析論文に誤り 3分の1に評価、修正求める 共同通信 / 2019年1月8日 19時36分より)

 別記事によると、福島県伊達市は2011~15年ごろ、「ガラスバッジ」と呼ばれる線量計を住民に配布して測定。問題の論文では、市の人口の約9割にあたる約5万9000人分のデータを解析し、生涯にわたる被ばく量の予測などしています。

 予備調査を発表した東大が言っているんじゃないかと思うのですけど、図の一部に不自然な点があり、「線量を過小評価するための捏造(ねつぞう)が疑われる」という記述もありました。
(個人被ばく線量論文、同意ないデータ使用か 東大が予備調査 毎日新聞2018年12月27日 21時48分(最終更新 12月28日 01時17分)より)


●プライベートな情報を本人の同意のないまま仕様したのもまずい

 さらに、毎日新聞によると、約5万9000人分のデータのうち、伊達市は約2万7000人分について本人の同意のないまま研究者に提供したという問題も起きています。

 これは主に、研究者ではなく、データ提供者である市側の問題。ただし、論文の著者の一人が所属する福島県立医大の倫理委員会に研究計画書の承認申請を行う前に、早野名誉教授が解析結果を公表していることも、国の医学系研究の倫理指針に違反していると指摘されています。

 また、他の記事を読んでいると、データには同意の有無も添付されていたなど、研究者らが個人情報の問題に容易に気づけたはず、といったことも指摘。データの扱いはかなりずさんだったと考えられます。これはかなりまずいです。ただでさえ問題なのに、被ばく線量情報という非常に神経質になるところで、意志に反して使用されてしまいました。


●修正の影響は?「放射脳ならぬ安全脳」「安全カルト」と批判

 この個人情報の問題に加えて、最初の被ばく線量に3倍の間違いというのも大きすぎるものですので、私は論文の修正ではなく、撤回が妥当だと思います。非常に問題ある論文です。大きなパニックにはなっていないものの、不信感を増やす結果で、本当、早野龍五東大名誉教授らは、とんでもないことをしてくれたな…と思います。

 ただし、論文の問題と、安全性の問題は、分けて考えなくてはいけません。これらのニュースには、「福島原発事故によって甚大な健康被害が生じたのに捏造し隠蔽していた」という証拠は一切ありませんでした。したがって、その手の主張をするのもまた問題があります。

 3倍になることによってどのような問題が起きるか?あるいは起きないか?という専門的な話がないかと、はてなブックマークを見たら、感情的な話ばかり人気になっていて、全然ダメでした。ネットでは反応が一番まともなところとはいえ、こういうひどいコメントばかりということもときどきあります。

IkaMaru 結局「放射脳」より遥かに大きい「安全脳」マーケットを掴むために集まった糸井重里や開沼博のような一連の人々の中で「慎重で冷静な科学者」の役が早野龍五だっただけの事。「福島に寄り添う」などお笑いぐさよ
mame_3 これも「悪質なデマ」として厳しく批判されるべきなんだけど、どうせ「誤解、単なるミス」で済ますんだろうな。一部の「科学的」で「リアリスト」な人たち。
Cunliffe やっぱりニセ科学批判界隈とネット医者界隈ろくなものではない。
hidex7777 安全カルトの唯一の良心(っぽい見た目)がやっぱりクズだったので全員クズ、ってオチだった。


●他の被ばく線量についての調査はどうなっているのか?

 専門家の話を待ちたいところですけど、とりあえず、その他のデータでは、福島原発事故による大きな影響は見られていないというのが事実でした。

 例えば、福島の子どもたちの甲状腺は、どの程度放射線被ばくしたのか?という話。「原子放射線の影響に関する国連科学委員会」(UNSCEAR)の2013年報告書は、福島第一原発事故後に福島に住んでいた1歳児の甲状腺被ばく線量について、15~83ミリシーベルトと推計しています。

 この値は大きいのか?と言うと、そうではありません。世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)の専門家グループは、「甲状腺の被ばく線量が100~500ミリシーベルトあるいはそれ以上」の個人に対しては、「甲状腺モニタリングプログラム」を考えることを提言しています。国連の最も大きい推計値でもこの数値に達しませんでした。

 そして、推計ではない実際の測定値では、もっと少なくなっています。2011年3月24日~30日にかけて、飯舘村、川俣町、いわき市の3か所で、計1,080人の子どもの甲状腺等価線量の簡易測定が行われました。その結果、甲状腺の被ばく線量が50ミリシーベルトを超える子どもは1人もいませんでした。

 放射線医学総合研究所の研究チームは、この1,080人の測定結果に、原発事故直後の大気の動きのシミュレーションをあわせて、福島の子どもの甲状腺の被ばく線量を推計。その結果、ほとんどの子どもは30ミリシーベルト以下だったことがわかっています。
(福島県の子どもの甲状腺被ばく線量はどのくらいか? / | SYNODOS -シノドス- 2018.12.19 Wedより)

 多くの調査・研究で問題が認められていないことを考えると、今回の推計値だけ非常に危険なレベルというのは考えづらいでしょう。ただ、前述の通り、専門家の解説が出てくるのが一番ですので、それを待ちたいです。


●調査委員会が報告書を公表 不正と倫理問題でまさかの結論

2019/07/20:私が懸念したような「フクシマは汚染されてる、逃げろ」みたいなパニックはなし。ただ、そもそもこの不正疑惑のことがほとんど話題にならないという関心の低さ。これはこれでどうなんだろう?と思います。

 そんな中でやっとニュースがありました。当初言われていた東大じゃなくて共著者(こっちが筆頭著者か?)の福島県立医大の調査委員会が調査したようで、その結果が出ていました。

 当初の報道によるとかなり大きな間違いだと感じたものの、なんと結論は「故意ではない誤りはあるが、捏造などの研究不正は認定できない」というもの。故意でなかったとしても、結論にどう影響するか知りたかったのですが、短い記事で言及なし。おそらく影響がないため省いたのだと思われます。

 さらに本人同意に関して「倫理指針に対する重大な不適合はなかった」となってしまいました。えー?という結論。ちょっとよくわからなかったので、専門家の解説が聞きたいのですけど、前述の通り、全然話題になっていませんのでそういうのは出てこないかもしれません。
(東京新聞:福島県立医大論文に「不正なし」 被ばく線量を同意ないまま使用:社会(TOKYO Web) 2019年7月19日 13時48分より)


●個人情報問題は研究者の問題ではなく、伊達市側の問題?

 プレスリリースがあるだろうということで、オフィシャルを確認。やはり(PDF) 研究活動に係る不正行為に関する調査結果について(概要) というのが出ていました。被告発者は、ふくしま国際医療科学センター健康増進センター副センター長である宮崎真講師となっています。

 まず、不可解だった同意関連が問題なしという結論について。個人被ばく線量把握事業実施時に、伊達市において同意・不同意の確認をとっている状況などを踏まえると、研究者が提供されたデータの同意状況を確認することまでを求めることはできないという理由でした。伊達市側の問題ということですね。

 伊達市側の問題というのは最初の報道時から言われていたものでしたが、一方で研究者らはその伊達市の問題に気づけたはず…という批判もありました。ただ、そこまでの義務はないという結論なのでしょう。腑に落ちないところがあるものの、一応説明は通る感じ。その他の倫理面の告発も否定されており、むしろ告発者の求めよりも被験者を保護したゆえの対応といった指摘もありました。


●「研究の全データ破棄」「計算が大きく違う」は大問題だが?

 それから、不正関係。最初の報道では強調されていなかった気がするのですけど、「研究の全データをすでに破棄している」との告発がありました。これは研究不正のパターンであり、非常にまずいもの。私はデータがない不正疑惑論文はすべて不正に準ずる形にすべきだと考えています。そうでないと、データを隠蔽しただけで、不正が可能になってしまうためです。

 ところが、この主張については、そもそも全データを破棄していないという答え。研究者が研究終了時に破棄したのは「伊達市から提供された個人線量データや国が公開している航空機による空間線量モニタリングの数値などの既存情報」であり、解析に用いた数式や図表等は研究終了後も保存されていることは確認できたとのこと。

 そして、研究者が研究終了後時に破棄した既存情報は、長期間に渡って研究者が保存すべきデータには該当しないと考えられ、研究計画書に記載のとおり研究終了時に既存情報を破棄していたことは不適切な対応であったとは言えない、としていました。

 私は元の個人線量データがないと確認しようがないために、やはり破棄は問題だと感じます。ただし、これについては「既存情報」という言い方をしていましたので、他のところで確認が可能だということですかね。そういう意味でしたら、確かにその破棄が問題になるとは考えづらいです。

 また、数値が違いすぎる…という大きな問題があるという告発ですが、そもそも最終的に「結論に示された生涯線量の数値は妥当であり、告発者側が主張する個人線量の過小評価はない」とのこと。結論が変わらないからセーフという主張には注意が必要なのですけど、この場合は捏造するメリットのない部分の問題で、告発者が過剰評価したってことですかね。

 何度も書くように本当なら専門家の解説がほしいところですが、パッと見、不正なしという説明の方も明らかな問題はなさそうな感じ。前述の通り、他の多くの研究や調査においても、被曝量は大きくないとされており、結論に大きな問題が起きるような重大な不正や間違いはなかったと考えて良いのだと思われます。


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