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倒産寸前?シャープは多頭経営 社内に社長経験者5人という異常性


 シャープの話をまとめ。<倒産寸前?シャープは多頭経営 社内に社長経験者5人という異常性>、<シャープ倒産危機は政府のせい?ジャパンディスプレイにシェア奪われる>などをまとめています。

2022/09/13まとめ:
●シャープ倒産危機は政府のせい?ジャパンディスプレイにシェア奪われる 【NEW】
●国が作ったジャパンディスプレイが業績不振 捨て身攻撃した結果… 【NEW】


●倒産寸前?シャープは多頭経営 社内に社長経験者5人という異常性

2022/09/13追記:シャープの古い話をまとめ中。やばい、やばいと言われ続けてきたシャープは結局復活できず、本格的にやばくなったところで、台湾の鴻海(ホンハイ)に買収されて救われています。今まとめているのは、ホンハイ買収が話題になる以前のところです。

2013/5/24:倒産、倒産と何度も書いて申し訳ないですが、倒産危機・危ない企業リストにも載っていたシャープさん。倒産危機のシャープ 自己都合退職でも辞める・液晶傾倒に危機感で出てきたように元社員の皆さんも心配していますが、迷走している様子です。

 この迷走している様子がわかったのは、<瀬戸際で選んだ過去との決別 シャープ社長、“電撃退任”の真相 >(2013年5月22日「週刊ダイヤモンド」編集部 後藤直義)という記事。前年の4月に社長に就任した奥田隆司さんに対して、経営幹部は不満だらけだったといいます。

<経営危機の真っただ中にあって、事業計画策定では「経営コンサルタントの意見を取り入れて」と消極的な姿勢を取ることが多く、プレゼンテーションの訓練を受けても、会見では原稿の棒読みを繰り返す姿は受け入れ難いものだった。
 一方で、主力の液晶事業を委任された片山(引用者注:片山幹雄会長)は、独自の人脈を使って海外の大手メーカー首脳との提携交渉に奔走。すでに代表権も返上していたが、依然として社内に影響力を残していた。
 さらに、である。すでに一線から身を引いていた相談役の町田勝彦も「奥田は自分が(社長に)指名した」と周囲に漏らし、「昨年末に下期の営業黒字化が見えると、経営復帰をほのめかし始めた」(同社幹部)。
 誰がトップかわからない。まさに“多頭経営”ここに極まれり、といった状況だった>
http://diamond.jp/articles/-/36151

 最初のところだけ読むと、奥田隆司社長が無能のように見えますが、多頭経営なので他の陣営から「悪く言われているだけ」という可能性もありそう。そもそも多頭経営ってのがやばいですね。奥田社長は固辞したものの、"片山は自身の退任と引き換えに、歴代首脳も含めた、経営陣の刷新を提案し"、経営陣が刷新されました。

<5月14日、シャープは2013年3月期決算発表の前に緊急会見を開き、新体制(6月25日付)の人事を発表した。
 片山と奥田を含む7人の取締役が退任する一方で、主力銀行であるみずほコーポレート銀行と三菱東京UFJ銀行から、それぞれ構造改革を担当する役員を1人ずつ迎え入れる。そして新社長に副社長の高橋興三が就任する。
「これまでのシャープと決別して、新生シャープを一刻も早くつくっていきたい。その区切りを今日つけた」
 会見の壇上で奥田は、自身の判断をそう説明した>

 さらに詳しく“多頭経営”の実態を見ていくと、そのすごさに驚きます。シャープというのは、過去の経営陣の存在が強く目立つようです。日本では政治でも、「元首相」が影響力を発揮し続けて潔く引退しないから良くない…と言われるのですが、シャープはなぜそれが悪いかがわかりやくなっています。

 現在は"シャープ本社には重役室がずらりと並ぶ2階を中心に、なんと歴代の社長経験者5人それぞれの部屋が存在している"という異常な状態だといいます。社長経験者が関わっていくことは他社でもあるものの、「経営企画室など中枢部門に近い場所に、これだけ密接するケースは珍しい」と記事は指摘していました。

<セキュリティのかかった廊下を歩けば、一方は特別顧問の辻晴雄と、相談役の町田の部屋が対面している。“中興の祖”といわれる2代目の故・佐伯旭の娘婿であった町田と、親戚筋に当たる辻は血縁で結ばれている。
 「かつて3代にわたる経営者が、同じ敷地内に住み、帰宅後に経営会議をしていた」(シャープ幹部)というルーツを思わせる>

 「かつて3代にわたる経営者が、同じ敷地内に住み、帰宅後に経営会議をしていた」というと、むしろ誇るべき「いい話」的な感じ。ただ、今はそんな呑気なこと言っていられない経営状態ですからね。何しろその古き良き経営の結果は、どう見ても失敗なのですから……。

<ところが、そのような古きよき家族経営のスタイルは、売上高3兆円を超える大企業になったときに副作用にもなったといえる。
 逆サイドには片山、奥田の部屋が並んでおり、この重役フロアの主たちこそ、シャープの多頭経営に君臨してきたのだ>

  「本社2階を見れば、シャープが変わったかわかるはずだ」(複数の社員)と言っていたそうですが、シャープは本当に変われるのでしょうか?
(2022/09/13追記:…と書いていたものの、次の話を見てもわかるように再び大赤字を出し、結局、シャープは復活できず。冒頭に書いたように台湾企業の鴻海に買収されることで救われました)


●シャープ倒産危機は政府のせい?ジャパンディスプレイにシェア奪われる

2015/3/18:シャープがいよいよもってやばくなってきました。まさかこんなことになるとは シャープ、最終局面へ  | 現代ビジネス [講談社](2015年03月17日(火) 「週刊現代」2015年3月21日号より)という記事が出ています。

<急転直下。黒字から赤字へ、2000億円以上の転落劇だった。
 実に合計9000億円超の赤字を計上、財界に大きな衝撃を与えてからわずか2年足らず。シャープが再び崖っぷちに追い込まれている。
 3月3日に駆けめぐった「シャープが主力銀行に支援要請」「工場閉鎖、リストラを検討」という一報。2月初めから、'15年3月期決算で計画を600億円も下回る300億円の赤字を計上する見通しが示されていた中、このニュースは「死の宣告」にも等しかった。
 もはやシャープには余力も未来もない—株価は暴落、国内の格付け機関は同社の株を「投機的水準」に格下げした。不採算事業の撤退と工場閉鎖を断行すれば、最終的な赤字は2000億円にも膨らむ見通しだ。市場では、主力行の三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行も「見捨てた」とすら囁かれる>

 上記にもあるようにシャープの倒産危機は以前も言われていました。しかし、30年以上シャープに技術者として勤務、液晶や太陽電池の研究開発に携わった、立命館アジア太平洋大学・中田行彦教授によると、今回の危機は以前よりずっと悪いと言います。

<前回の経営危機の原因は、私の近著でも詳しく述べていますが、一言で言えば「投資の失敗」でした。「世界の亀山モデル」で液晶テレビのブランド化に成功した亀山工場の成功体験があったせいで、当時の片山幹雄社長は、'09年に稼働した堺工場へ亀山の約4倍、3800億円もの高すぎる投資をした。
 その直後、韓国のサムスン製液晶を使った「5万円テレビ」などの安価な製品が市場を席巻し、大量の在庫を抱えてしまったのです。在庫となった高価な液晶は、結局海外のメーカーへ赤字処分せざるを得なかった。この過剰在庫という時限爆弾が爆発し、「シャープ危機」が顕在化しました>

 一時的にシャープが持ち直したのは、中国のメーカー・小米科技(シャオミ)のおかげ。スマートフォン用の液晶で同社の全製品の約60%もの大量受注を挿れてくれたためです。おかげで前年の3月期決算では115億円の黒字。「これで大丈夫」と思っていたのですが、大丈夫じゃなくなってしまいました。同じ日本企業にやられたのです。

<ところが、昨秋からソニー・東芝・日立3社の液晶部門を統合し、政府系ファンドが出資する合弁会社「ジャパンディスプレイ」に一気にシェアを奪われてしまった。株価が公開価格から大幅に下がったジャパンディスプレイは、価格競争を仕掛けざるを得なかったのです。
 明暗を分けたのは、スマートフォンに欠かせない「タッチパネル」でした。シャープの作るパネルは、タッチセンサーと液晶が別々になっていた。これに対して、ジャパンディスプレイのパネルは「インセル方式」というタッチセンサーと液晶が一体化したタイプで、安価だった。中国市場で展開された、この日本企業同士の戦いに敗れたことが、シャープが苦境に陥った直接の原因でした>


●国が作ったジャパンディスプレイが業績不振 捨て身攻撃した結果…

 同様の指摘は先月時点で出ていたんですよね。私はシャープ赤字転落の影に「ジャパンディスプレイ」の存在 | THE PAGE(ザ・ページ)(2015.02.04 07:00(The Capital Tribune Japan)という記事を先月読んでいました。

<同社が赤字転落した直接的な原因は、主力製品であるスマホ向け液晶パネルで苦戦したことです。主要取引先であった中国の携帯電話メーカー「シャオミ(小米)」向けの販売が予定通り進まず、大幅な赤字となってしまいました。市場では驚きの声が上がっていますが、業界関係者の中では、以前からこのような事態になることはある程度予想されていました。それはジャパンディスプレイがシャープと市場を食い合ってしまっているからです>

 シャープ危機、尋常ではない深刻度合い 政府主導で液晶事業の分離・再編へ交渉か | ビジネスジャーナル(2015.03.16)によれば、日本政府はシャープの中小型液晶事業を、ジャパンディスプレイに合流させることを検討していると言います。ただ、このジャパンディスプレイ自体がそもそも政府主導によるものでした。

<JDI(引用者注:ジャパンディスプレイ)は、構造的赤字に陥った日立、ソニー、東芝の液晶子会社が統合して12年に事業開始した文字通り国策会社である。政府などが出資する官民ファンドの産業革新機構が大株主となり、「日の丸液晶」の存続に向けて鳴り物入りで誕生した経緯がある>

 ザ・ページによると、"政府系ファンドの産業革新機構が国費2000億円を投入し、2014年3月に鳴り物入りで株式を上場させ"たものの、この上場が大失敗でした。先程あった「株価が公開価格から大幅に下がったジャパンディスプレイ」が、そのままジャパンディスプレイの凋落を意味するものだったんですよね…。

<しかし、初値は公募価格を15%も下回り、上場1カ月後には、いきなり業績の下方修正を発表、さらに6カ月後には2回目の業績下方修正を発表するという前代未聞の事態となりました。同社は業績を回復させるべく、営業攻勢をかけ、シャオミから液晶パネルに関する大型受注を獲得することができたといわれています。しかし、そのあおりを食らったのがシャープです。シャオミ向けの製品出荷をあてにしていた目論見が外れ、他の取引先の開拓も進まず、赤字転落となってしまいました>

 記事では、"こうした事態に陥ることは、ジャパンディスプレイが発足した当初から分かっていたはず"だとしていました。しかし、"本格的に議論された形跡はありません"とのこと。さらに"日本の製造業復活を掲げて、政府が特定の企業を支援したとしても、飽和状態となっている市場全体の環境を変えることはできない"とも指摘されていました。

 政府が特定の企業を支援したせいで別の企業を壊滅寸前まで追い込んで、さらにその企業たちを政府主導で合併させよう…というわけのわからないことになっています。私はそもそも政府系ファンドや国が民間事業に深く関わること自体が日本にとって悪いことだと考えていますので、余計苦々しく思う出来事でした。


【本文中でリンクした投稿】
  ■シャープの倒産危機は必然?他社社員を「おまえ」と呼んで嫌われる
  ■倒産危機・危ない企業リスト NEC、ソニー、シャープ、パナソニックなど
  ■倒産危機のシャープ 自己都合退職でも辞める・液晶傾倒に危機感

【関連投稿】
  ■マネーの虎出演・堀之内九一郎の生活創庫(創庫生活館)が倒産(取引停止処分)
  ■その他の企業などについて書いた記事

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