「同性愛は自然界になく生物学的に見て病気」「同性愛は自然の摂理に反する」といった主張があるそうですけど、生物学を勉強した人なら言わない主張だそうです。多すぎて全部紹介しきれないほど多くの動物において、同性愛行為が確認されているとのこと。私も驚きました。(2018/03/06)
●同性愛は自然界になく生物学的に見て病気 自然の摂理に反する?
2018/03/06
今日は同性愛の適応度と進化の話をしよう : COMPLEX CAT(2015年 06月 27日)では、同性婚を社会的に認めることに対して、批判、嫌感情を背景として出てくることが多いヘイトな言説として、以下二つを挙げていました。
(1)「ヒトがなぜ同性愛になるのか、よくわかっていない。同性愛は生物学的に見て病気である」
(2)「子孫を残せないのは、生物学的におかしい訳で、自然の摂理に反する」
ただ、作者は、この手の「生物学的に」とか「自然の摂理」とかいい出す言説はあてになならないと指摘。「自然」とか「本能」とかいう言葉は、専門教育を受けるほど使わなくなるからという説明です。
また、実際に同性愛行為が自然界で広範に見られる行為であるために、どう考えても間違っているということもわかります。この具体例については後ほど書きますが、とりあえず、ある人が言っていた以下のような経験則は、多くの場合正しいと実感しているとのことでした。
「『生物学的に言うと~』とか言い出したやつが生物学を学んでたことを見たことがない!世の中のどこかにはそういうやつもいるんだろうけど、とりあえず私は見たことがない! 」
●同性愛が自然界にありまくる理由
上記の話より先に私が読んだのは、
東大の科学がスゴい『科学の技法』: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいるというもの。この投稿を読んでから、セットにする話を探して見つけたのが冒頭のページでした。
こちらは、
科学の技法: 東京大学「初年次ゼミナール理科」テキスト
という書籍の感想だったのですけど、私が興味を示したのが、坂口菊恵准教授の「性差は科学できるか」の授業の話です。
ここでは、ヒトだけではなく、ボノボ、ニホンザル、バンドウイルカ、ハシリトカゲなどで同性間の性行動を観察することができると書かれていました。この時点で「同棲愛は自然界にない」といった説が間違いであることがわかります。
この後もっと多くの具体例を出すのですけど、ここでは、進化における同性愛の位置づけについて。繁殖行動において役に立たない特徴は切り捨てられるはずの進化のプロセスで、同性愛の性行動がなぜ保存されているのか?といった研究です。
一時期は、ハチやアリなどの真社会性と呼ばれる生物のワーカー個体のように、親族の子育てを助けることで自分の遺伝子のコピーの普及を促しているのではないかという仮説(血縁淘汰)が提唱されたそうです。しかし、同性愛者に対する差別がある現代の西洋社会では支持されなかったとのこと。
一方、近年有力になっているのは、「多面発現による平衡淘汰」説たおいうもの。同性間の性行動は、直接的には繁殖率を上げることはなくても、同性の仲間との結びつきを高めて集団内での自らの社会的地位を保持するための、生存戦略としての役割を果たしているという考え方とのことでした。
●同性愛はあらゆる大型の類人猿と多くの霊長類で見られる
動物の同性愛 - Wikipediaを覗いてみると、バンドウイルカ、ハシリトカゲの詳しい話はなかったものの、上記出ていたボノボとニホンザルの説明がありました。そもそも同性愛はあらゆる大型の類人猿について報告されていて、ほかの多くの霊長類もまた同様だとのことです。
ボノボ
オスもメスも異性愛的および同性愛的行動を行う。
特に注目すべきはメスの同性愛。ボノボの性行動のおよそ60%は2頭以上のメスの間のもの。ボノボの同性愛的結合システムはいずれの種においても知られている同性愛の中でも最も頻度の高い同性愛を示している。
ニホンザル
同性間の関係は、群れにより割合は異なるが、頻繁に見られる。
メスは愛情のこもった社会的および性的な活動を特徴とする「求愛」を行う。関係の継続期間は数日から数週間まで様々だが、このようなきずながメスの4分の1にまで見られる群れもある。
オスもまた典型的には同年齢の複数のパートナーとともに同性間の関係を持つ。このような関係はじゃれあいの多い愛情のこもった活動をともなう。
●つがいの9割が同性愛のキリン、異性愛より関係が長いゾウなど
また、名前の出ていなかったキリンやゾウの例も強烈です。むしろ同性愛の方が「普通」という勢いでした。
キリン
Bruce Bagemihlによると、交尾するつがいのうちの9割はオス同士。
アフリカゾウおよびアジアゾウ
同性間の関係はオス・メスのどちらにおいても広く頻繁に見られ、捕獲されたアジアゾウの場合性的出会いのおよそ45%が同性間の活動に向かっている。
オスは同性間できずなを結び、マウンティングを行う。このような出会いはしばしば、キス、鼻のからみ合わせ、おたがいの口の中に鼻を入れるといった愛情のこもった相互行為をともなう。この出会いは異性愛の営みに類似したもので、オスはしばしば鼻を相手の背中に伸ばして、マウンティングしたいという意図を示す行為を目立たせる。
常につかの間の性格の異性愛の関係と違い、オス同士の関係は1頭の年長の個体と1頭または2頭の年少の個体とで構成される「仲間づきあい」になる。
アメリカバイソンなどのウシ
アメリカバイソンは同性愛行動を一般的にしめす。オス同士の求愛、マウンティング、肛門への交尾器の挿入が記録されている。
メス同士のマウンティングはウシではよくみられることだ。さらに、間性(同一個体に雌雄の両形質が混って発現したもの)のバイソンも存在する。
●同性愛が進化の上で有利?両性愛者というケースもある
同性愛があまりに多すぎると絶滅してしまうと思うかもしれません。しかし、実際に生物が生き残っているのですから、問題ないどころか、むしろ生存競争で有利に働いている可能性が高いでしょう。
ただ、こうした誤解は「同性愛」の定義の問題もありそうです。多くの場合、「同性愛」というとき、異性愛を含みませんが、実際には、異性愛・同性愛両方を持つ両性愛者がいることを忘れている人も多いでしょう。
とりあえず、上記の例は極端な生物の場合で他の種類では、そこまで異性愛が多いわけではないと思われます。
●同性愛がある動物の種類が多すぎて書ききれない
最後に同性愛が一般的であるのがよくわかる話を。Wikipediaにあった同性間の性行動が観察された種のリストが長すぎて、コピペするとそれだけでいっぱいになってしまうほどでした。本当、普通に見られるようです。
とりあえず、大きな分類だけ挙げると、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫で、同性愛行動が確認されているそうです。特に哺乳類と鳥類は多いですね。大量でした。
その大量の哺乳類の中から、皆さんにもお馴染みの動物だけ軽くピックアップ。本当は、もっと細かい種類の名前が挙げられているのですけど、以下は少し大きめの分類です。
カンガルー、ハリネズミ、コウモリ、ウサギ、ネズミ、リス、マナティー、ジュゴン、サイ、ウマ、シカ、イノシシ、ヤギ、ブタ、オオカミ、イヌ、キツネ、ライオン、マングース、アザラシ、タヌキ、チーター、ネコ、クマ、ラッコ、シャチ、クジラ
私もこんなに多いとは知らなかったですし、今まで知らなかったというのは仕方がないことです。でも、知ってしまったからには、デマの拡散に加担しないようにしましょう。
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