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孔子は聖人ではない・論語は格下 礼儀知らず・無知・出世主義の人?


 礼法を教える教師だった孔子ですが、無知だったことを示すエピソードが複数あるようです。その無知の指摘に屁理屈で答える、弟子が引いちゃうほど出世に夢中…といった感じで俗物っぽく、全然聖人っぽさもありません。有名な「論語」もかつては一流として扱われておらず、統一性がない内容だといいます。ただ、これについては逆に魅力となったのではないか?とされていました。


●孔子は聖人ではない・論語は格下 誇大妄想で受け入れられず

2013/6/19:論語など、教科書でもお馴染みの孔子さん。彼に関して、孔子は聖人ではなかった? 「論語」の最新解釈/(2013/6/2 6:30 日経新聞)という予想外の記事が出ていました。一応先に釘を差しておくと、「最新解釈」だからと言って正しいとは限りません。新説が一番正しいなんてことはなく、間違っていることもよくあるんですよね。自然科学系では特に注意が必要です。

 ただ、新説ってのは目新しいだけに、おもしろいというのも事実。興味を引きやすいものです。今回の記事によると、生前の孔子はどこかアヤしいところがあり一流の人物とは見られていなかったとのこと。論語も儒教の多くの教典の中では二流の副読本の扱いだったといいます。

 まず、この孔子本人についての話から。中国の春秋戦国時代に生きた孔子は失脚・亡命を余儀なくされた「挫折した政治家」。乱世のさなか小国の宰相格まで上り詰めたものの、その後の晩年約14年間は自らの登用先を求めて中国各地を巡回しなければなりませんでした。

 孔子の理想主義が当時の君主らに受け入れられなかったためとの説明。「諸子百家」(講談社)などの著者、浅野裕一・東北大名誉教授もこの見方を否定せず、「孔子の誇大妄想的な考えが敬遠された」と解説。批判しているわけじゃないのかもしれませんけど、「誇大妄想的な考え」という表現には笑ってしまいました。


●礼儀知らずで無知だった孔子、すごいとされる逸話も単に屁理屈?

 孔子は古代の統一国家「周」の礼法を教える教師として本格的なキャリアをスタートさせています。ただ、孔子自身は貧しい環境に育ったとされています。

 白川静さんは「孔子伝」(中央公論新社)で巫女(みこ)の庶子だったろうと推測。その孔子が下級役人などの仕事の合間にどのようにして君主や貴族の儀礼・作法を知り得たのか、その過程も不明。「結局あれこれ聞きかじっただけの耳学問ではなかったか」(浅野名誉教授)というこれまた厳しい言い方をされています。

 「孔子の偉さを伝えるエピソード」というのも、冷静に見ると怪しいものがありました。

・魯国の大廟に入れてもらったときに、孔子は関係者を質問攻めにした。「古い礼法を教えている人が知らないのか」と笑われると「(こういう時はあれこれ質問するのが)礼というものだ」と返した。
・君主から桃とキビを下賜されたとき、まずキビを有り難く食べた。「キビは桃の皮をこすり落とすためのものだ」と注意された孔子は「五穀の長であるキビの方が桃よりも尊い食べ物です」。

 自らの無知をとっさの切り返しで取り繕ったにすぎない、とも読み取れると記事ではしていました。というか、完全に口だけ達者な屁理屈野郎ですよね。


●実は出世主義の人?就職活動に必死すぎて弟子がたしなめるほど…

 あと、やけに辛口だと思った浅野裕一・東北大名誉教授はストレートに批判的だった模様。上記の「耳学問」の他にも厳しい見方がありました。「出世主義の野心家の部分があった」と指摘しており、孔子自身が「君子」であったかどうかは怪しいと見ているようです。

 孔子が諸国巡回時代に仕官を求めようと悪戦苦闘する様子は司馬遷「史記」などに詳しくあります。それを弟子にたしなめられると「自分を買ってくれる相手を待っているんだ!」と言って内心のいらだちを隠さず。少なくとも欲を抑えた聖人ではないように見えますね。

 最晩年に「鳳鳥至らず河図は出ださず。我はやんぬるかな」と嘆いていました。これは「聖者が出現する吉兆のシンボルとされた鳳鳥も河図も出ず、世の中は悪いまま。自分はどうしようもない」といった意味だとのこと。これについて、浅野名誉教授は、「自らの不運を悲しんでいるだけで、分裂状況にある中国の民を思いやったのではない」と評価しています。


●当時は格下だった「論語」、一貫性なく雑多だが逆にそれがいい?

 これ以外におもしろいのは現在ありがたがられる「論語」が、当初は「格下の雑書とされた」(加藤徹・明治大教授)ということです。加藤教授は「論語が一流に格付けされるのは宋の時代になってから」と解説しています。

 また、論語は孔子の一言一句を弟子たちが集めたアンソロジー集。成立は孔子の死から約150年後で、統一した編集方針の下で集められたものではありません。後世の創作も混じっているようです。ただ、これはむしろ魅力になったとの評価。よく言えば融通むげ、悪く言えばいい加減な論語の成立状況こそが、時代を超えたロングセラーとして読まれることを可能にさせたと加藤教授は分析しています。読者の思うように読めるわけですね。

 老子も後世に手が入った部分が推測されており、私が読んだ本では主に三期に分かれているとの見方でした。加藤教授も「他の古典と同様、なかには後世の創作も混じっているようだ」という言い方。なお、私の読んだ老子の本では、古い部分の方がより素朴で根源的といった書き方で、後世部分の評価より高かったです。

 とりあえず、別に宗教じゃないんですから、始祖本人が絶対的にすごい!と神格化しなくちゃいけないわけではありません。箴言(しんげん)・格言というものは誰が言ったかわからないものも多いわけですし、孔子が聖人君子でなかったとしても別に構わないでしょう。


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