2013/6/25:
就職率100%国際教養大(AIU)の特徴と長所
国際教養大(AIU)の悪い評判 企業は「使いにくい」
「マイナス面を知りたい」という国際教養大学志望の学生現る
田舎にあるのがダメ 学生はアルバイトしたり映画見たりしないと!
在学生によると、国際教養大学はマジで忙しくて遊んでいられない
「秋田にこもって、学問ではね」「所詮秋田の公立大」となぜか秋田バッシングに
良いものはパクられる…国際教養大も珍しくなくなるおそれ
2018/06/07:
その後国際教養大学の就職率と評価と難易度はどうなったのか?
●就職率100%国際教養大(AIU)の特徴と長所
2013/6/25:
企業からは「使いにくい」の声も……。“エリート養成校”国際教養大学の問題点(週プレNEWS [2013年06月12日] コバタカヒト)という記事タイトルをパッと見て、学校側ではなく企業側の問題じゃないの?と思いましたが、気になる国際教養大の話。
秋田県の国際教養大学(AIU)は、就職率ほぼ100%を誇る大学です。卒業生の就職先には有名企業がズラリと並び、就職難が続く今、全国から注目を集めています。
AIUでは1年次から「英語集中プログラム(EAP)」というカリキュラムが存在し、このプログラムを修了しない限り進級できないという厳しいルールが存在。また、日本人学生も留学生も、初年度は全員、大学の敷地内にある「こまち寮」において原則ふたりで生活することが義務づけられており、その多くは日本人と外国人留学生の相部屋に。
ハードルが高すぎるような気もするものの、学生たちからは、さほど不満の声は聞こえてこないといいます。
「共同生活は学ぶことが多い。同居人とは入居の際にルールづくりをして、掃除当番とかトイレットペーパー補充の順序とか、トラブルの種になりそうなことを明文化しておく。進級したら、やはり敷地内にある学生用のアパートに引っ越すんですが、ここも基本は相部屋。ほとんどの学生は留学の時期を除いて、ずっと学内で暮らすことになるんです。ですから、ここでは勉強だけでなく人とのコミュニケーション能力も磨ける」(関東地方出身・3年生男子)
AIUでは卒業までに、1年間の海外留学も義務付けられています。グローバルに活躍するために必須のコミュニケーション能力が鍛えられるというのも目的。
大学があるのは秋田の山間部ということもり、遊ぶ場所も限られ、女子学生と合コンや性愛にふけることもない。必須となっている海外留学も成績順で留学先の希望が通るため、みんな人一倍、勉学に励むとのことでした。
●国際教養大(AIU)の悪い評判 企業は「使いにくい」
"勉強中心の学生生活を送るAIUの学生たちが、企業の目に理想の人材と映る"としており、ここででは良いことばかり書かれています。しかし、"企業からは「使いにくい」の声も……。“エリート養成校”国際教養大学の問題点"というタイトルでわかるように、「ちょっと待った!」という話になります。
人材コンサルタントの常見陽平さんは、以下のように疑問を投げかけていました。
「大学側のカリキュラムは魅力的ですけど、就職率や偏差値だけが強調されて伝えられるのはなぜか。中身は本当にそれ相応なのでしょうか。例えば、『教養教育』と言いながら、英語での授業にこだわるあまり、授業内容で教養を深められていないという声もある。グローバルな人材って、英語だけじゃないでしょう。これだけ勉強させて、研究者が生まれないのも謎です。あと、気になるのはやはり都市との距離。東大のトップ層の学生がいまだに優れていると評価される理由は、常に企業や社会人との接点があるから。要は、社会に揉まれて成長するのです。AIUの学生は、そこが心配。実際に企業側からは『使いづらい』という手厳しい評価もある」
この春に4年間勤めていた企業を退職したというある卒業生も、以下のように言っており、これを記事では国際教養大学がダメな証拠としていました。
「自分のほかにも日本企業の古い体質と合わずに会社を辞めた人間は少なくないし、みんなが英語を生かせる仕事をできているわけではない」
でも、「日本企業の古い体質」、これって結局企業側の問題じゃないです? とはいえ、実際に古い体質の企業を選んじゃう学生側も問題ではあります。要するにミスマッチなんですから、合う企業を探さないといけませんね。そうすると、大学の売りである就職率が下がっちゃいそうですけど…。
あと、東大も結構使いづらいって聞きますからね。そして、東大生が「社会に揉まれて成長」するってのは、あまり聞きませんね。皆さんのひがみなのかもしれませんが、むしろ悪評の方が……。
ただ、説明少なくてよくわからないですけど、「研究者が生まれない」ってのは確かにちょっと不思議に感じました。(2018/06/07:就職特化型だからかな?と読み直していて思いました)
●「マイナス面を知りたい」という国際教養大学志望の学生現る
上記は週刊誌ですので、情報の信頼性があれです。
ヤフー知恵袋は質問サイトなのでもっともっと信頼できないんですけど、マイナス意見を知りたいというおもしろい質問がありました。
"秋田には国際教養大学がありますが、私はよい評価の意見しか聞いたことがなく、なにかマイナス面はないのかと考えています。
なぜなら、志望校のひとつとして、勉強する際の目標にしたいと考えているからです。
マイナス面を教えてくれる情報は、なかなか見つかりません。
何かありましたら、教えてください。(><)"
(投稿日時 - 2007-05-19 15:46:23)
マイナスも知っておこうという真摯な態度。真剣に検討するとなると自然とそうなるのかもしれませんが、よく考えていると感心しました。なかなかできないことですよ。
質問は2007年ですので、大学ができて間もない頃。しかし、回答は締め切らなかったらしく、かなり新しい情報もあります。
●田舎にあるのがダメ 学生はアルバイトしたり映画見たりしないと!
最初の回答は、質問してすぐに回答されたもの。「回答日時:2007/05/19 16:22」でちょっと早すぎない?って感じですけど、詳しく書かれています。
この人は「質問者さんとは違って私の耳にはむしろあまり芳しくない評判しか届きません」として、先の記事の前半で出てきた長所をむしろ短所だとしていました。
"自然に恵まれていると言うか,
周囲に遊ぶところがないので勉強以外にすることがなかったと
卒業生たちが語っているのを聞いたことがあります。
それは良いことのようにも思えるかもしれませんが,
大学生がキャンパスの中だけで過ごすことが望ましいこととは思いません。
金はないけど時間だけはたっぷりある学生時代に
アルバイトやボランティアに費やした時間,
映画館やら芝居小屋やら美術館やら古本屋やらに入り浸った時間は
その後の人生の宝になるはずです。
国際教養大学は,残念ながらこのような面において
最も恵まれていない大学のひとつのようです"
アルバイトというのがあれですね。この方やさっきの記事の後半ではぶっ飛ばしていますけど、外国人留学生の相部屋や必修留学ってのもまたなかなか得がたい経験でしょう。
●在学生によると、国際教養大学はマジで忙しくて遊んでいられない
上記のうち、「時間だけはたっぷりある学生時代」は次の在学生にあっさり否定されています。バイトもかなりハードです。
ただ、理系なら普通の大学でも途中からきつくなります。暇かどうかは学校によるんじゃないですかね? 私は学生が暇だという共通認識の方に違和感を覚えました。全然望ましいことではない気がします。
とはいえ、時間のなさはマイナスと言えば、マイナス。1年後(2008/06/03 01:32)についた次の回答はそういった面に触れていました。
"こんにちわ、私は国際教養大学の学生です。
大学のマイナス面…いっぱいあると思いますよ(笑)
マイナスというか、行き届いてない所といいますか。
まだ新しい大学なので、ルールもコロコロ変わるし、設備も整ってない所もあります。(中略)
大学の周辺は本当になにもありませんが、もし仮になにかあったとしても、早々遊ぶ時間はないと思いますよ?
夜中まで勉強、これうちの大学の基本です。
(中略)勉強はおろそかにして、バイトと遊びに明け暮れてるなんてのは、この大学では通用しません。
もちろんバイトしてる人もいますし、私もしてました。
そういう人達は、自分の時間をうまくマネージメントすることができてるので、個人の努力次第だと思います。
ボランティア活動も、大学主体での大々的なものなどは、大学の規模が小さいのでなかなかできませんが、海外でボランティアをするクラブなどもあります。
勉強も大変ですが、ちゃんと時間さえ自分で作れば、趣味に没頭するとこもできますよ"
ただ、この方は別に勉強ばっかりは辛かったものの、不満じゃないとのこと。もともとそういうことを求めて行く大学ですので、それが耐えられない人や、前の回答者さんみたいにたくさん勉強することに価値を見いだせなかったりする人は、その時点でおさらばです。
●「秋田にこもって、学問ではね」「所詮秋田の公立大」となぜか秋田バッシングに
何か回答者さんもあれですね。人格疑うようなこと書いている人もいらっしゃいました。どんな教育を受けて、こんなひねくれちゃったのかな?と思います。
"就職後は皆忙しく、仕事に束縛された人生となるのです。そんな国で学生時代を束縛され、しかもアカデミックな立場ではかなり低い地位を持つこの大学は完全な失敗作でしかありません。
学問を徹底することはこの程度の大学の生徒の素質から考えて、非常に無意味で残酷なことです。
将来性という点では日本大学はおろか専門学校にも劣るような気がします。手に職が付いていればまだ救いもあるのでしょうが、やってたことが秋田にこもって、学問ではね"
(回答日時:2010/02/20 23:25)
別の人は、「マスコミが注目したから良い話が蔓延しているとう感じでしょうか?」としていたものの、この書き込みは「2011/03/04 13:56」のこと。実際にはかなりのタイムラグがあり、質問者の見ているマスコミの話と、回答者の見ているマスコミの話は別である可能性が高いです。
こうした点を見逃すうっかりミスはよくあることではあるものの、こうしたミスを犯しやすい人は性格が悪いことが多いです。上記の人と同じく、「マイナス面は、所詮秋田の公立大であるということ」と秋田県をバカにするような前置きで、以下のようなことを書いていました。
"企業は一定の採用実績がないと一時的には取るかもしれませんが、長続きしません。
また英語で授業をすることは、日本語の論理力を鍛えることになはりません。
日本語のレポートの書けない大学生など多数、早慶上智にも存在しますから。
東京外大や大阪大外国語学部、神戸市外国語大学の方が実績ありますよ。
わざわざ行くほどの価値はまだ判断できないと思います"
●良いものはパクられる…国際教養大も珍しくなくなるおそれ
さらに別の人。一番最近のもの(2013/03/28 12:04)ですので、情報が新しいです。この方の見方に感心しました。同じような大学や学部が都内にちょこちょこ出来てきており、埋没するおそれがあると指摘していました。
これは慶應のSFCという過去の例を挙げています。できた当時はとても新しく画期的であり、超難関でした。しかし、SFCを真似して同じような学部ができまくった結果、今では以前より輝きを失った普通の難関大学になってしまったというもの。模倣されてしまうんですね。
また、一番良さそうだった回答は先程とは別の在学生さんの「マイナスばっかりですよ!」というもの。上記の少し前で「2012/12/01 10:28」の回答でした。
(1)新設の大学だから、現在の好調が今後どうなるかわからない。
(2)監獄。基本缶詰で勉強しないとふつーの学生はやってけない。大学生だから遊びたいという方は絶対避けるべき
(3)当初は英語ができない生徒が入ってきて英語の上達を一つのウリとしてやっていたが、最近は英語がもともとできるという生徒ばかりが就職率目当てに入ってきている。もともと勉強に熱心に取り組むから使いやすいだろうという思惑のもと企業が採用していたので、ラクして卒業する生徒が増えてくると(英語がもともとできる人なら比較的簡単に卒業できる。)、就職率は下がることが予想される。
(4)アクセスが悪すぎる、娯楽がない。特に周辺に居酒屋もカラオケもないので、時間を作って遊ぼうと思っても何もやることがない。
(5)学制アパートに全学生を収容できるキャパがない。抽選にもれるとちょっと離れた住宅地街などのアパートを借りることになるのだが、基本秋田なのでそんなに家賃がかかるというわけではないが、それでも学内のアパートよりも数万高いので、損した気分になる
(6)小さい大学なので噂とかすぐに回るし、こういった大学の特徴として自分中心で協調性のない特殊な学生が集まるので人間関係に苦労することがしばしば。特に最初の1年間の寮生活は地獄。
(7)基本授業を英語でやって、課題が多いというだけで、やってる 内容のレベルはたいしたことない。日本語でやればだれでもできる内容。留学生には母国の高校の授業みたいと言われている。
(8)だれも国際的な勉強をして、卒業後田舎の秋田にとどまろうなんて思わないので、秋田県民から税金泥棒だと嫌われている。公立なので、県の方針で大学の未来が左右されるところもあるので、そういった意味でも今後どうなるかわからない。
(9)コンビニに行くのにバスか車が必要。
(10)クマの目撃情報しばしば。
(11)基本学年の半分の学生は4年で卒業できない。4年半とか5年になることがしばしば。
(12)バイト先の有力候補がバスで15分程度のところにあるイオンモールだが、国際教養大学の学生は留学で長く働くことができないし、勉強に時間を取られてバイトに入れないなんてケースもたまにあるので、基本店舗の店長たちに嫌われていて、採用率が年々減っている
(13)一番初めにやるEAPの授業がクラス制なので、高校の延長といった感じ。EAPが終わった後もイベント等そのクラスに縛られることが多く、そういうのに縛られたくない人にとっては不向き
(14)食堂は基本おいしくない。
「(10)クマの目撃情報しばしば」に笑いました。でも、危ないですわ、実際。
無謀でリスキーであり、厳しい受験競争を勝ち抜く実力があるなら、就職率100%ではなくても、高い就職率を誇る東京の有名大学でそこそこ勉強しながら遊び暮らしたほうがいいとおっしゃっていました。
テーマ的にマイナスという話ばかりになりましたが、とりあえずまだ卒業生の少ない大学です。良い結果にしろ悪い結果にしろ、真価を問われるのはこれからですね。
●その後国際教養大学の就職率と評価と難易度はどうなったのか?
2018/06/07:久しぶりに読み直して全体に訂正したついでに新しい話を。大学通信が、全国約2000進学校の進路指導の先生に聞いた2017年のアンケート調査において、国際教養大学が「小規模だが評価できる大学」でダントツトップとなっていました。
高校の進路指導の先生からも、「学生に合わせるより社会が求めるレベルの内容を学生に教え、引き上げようとしている」(北海道・道立高)、「語学教育、国際教育の点で、ユニークな取り組みを行っている」(熊本・県立高)など、高く評価。予想と違って、全く評価は衰えていないようです。
5年かけて卒業する学生も多いが、有名企業への相変わらず就職率も高いとのこと。また、2017年の合格者の出身高校を見ると、上位には地元秋田の高校が並ぶものの、日比谷、開成など、東京の公私立トップ校も上位にきており、優秀な学生から選ばれています。難易度も創設当時と比べると、10ポイント以上アップし、むしろ難易度が高くなっていました。
(
「小規模だけど評価できる大学」ランキング 2018年4月6日 6時0分 東洋経済オンラインより)
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