日立グループの話をまとめ。<日立グループ御三家の日立化成・日立金属・日立建機など売却?>、<御三家の日立金属売却へ 多角化失敗で他社も買収したくないお荷物に>、<日立化成、御三家時代に膨大な不正 幹部が隠蔽して拡大>などをまとめています。
2023/06/20追記:
●日立化成、御三家時代に膨大な不正 幹部が隠蔽して拡大 【NEW】
●日立グループ御三家の日立化成・日立金属・日立建機など売却?
2021/04/09:日立御三家の日立金属売却…という話をやろうと思ったのですが、もともと別の御三家の方が売却濃厚といった感じで報じられていたみたいですね。2019年07月07日に出ていた
日立社長が上場子会社の再編に言及 「21年度までに結論を出す」|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社では、多数の子会社が売却候補と見られていました。
<日立製作所の東原敏昭社長は4日、日本生産性本部のセミナーで講演し、日立化成など上場子会社について「4社のトップと世界で事業を伸ばしていくためにどうすればいいかを議論している」とグループ再編の進捗(しんちょく)を語った。
東原社長は近年のグループ再編の実績を強調した。「コモディティー化する事業や低収益の事業はやめてきた。逆に社会イノベーション事業を展開する上で、上場子会社をもっと取り込む必要もあった。12年以降、事業の入れ替えを徹底的に行った」と振り返った。
その結果、同社の連結上場子会社の数は06年の22社から現在の日立化成と日立金属、日立建機、日立ハイテクノロジーズの4社まで減った。今後の再編は、日立製作所が注力するIoT(モノのインターネット)共通基盤「ルマーダ」との親和性が売却判断の基準の一つとなる>
記事では、<日立はこれまで、中核であるIoTとシナジーの薄い事業や営業利益率の低い事業の切り離しを進めてきた。日立化成の売却となれば、「御三家」も例外にあらずという市場に対する強烈なメッセージになる>と書いていました。日立化成も日立御三家だったんです。
<日立化成は日立金属と、13年に日立金属と合併した日立電線とともに「御三家」と呼ばれてきた。多くの日立子会社の中でも独立心旺盛な上場子会社で、長らく「治外法権に近い状態」(金融関係者)だった。日立は08年のリーマン・ショックで巨額赤字を計上し、構造改革に着手。御三家の幹部を日立本体の役員に迎えるなど、歴代の日立の経営者は掌握に腐心してきた。それだけに今回の売却は日立の「本気度」がうかがえる>
●日立化成はすでに売却済み 買収した昭和電工もピンチで転売
最初気づかなかったのですが、売却濃厚とされた日立化成は実際、先に売却されていたみたいです。ただ、その日立化成を買収した昭和電工もうまくいっていない感じで、さらに小分けにして転売する方針とのこと。
【速報】昭和電工、非中核事業2000億円売却へ | 化学工業日報(2020年8月13日)などといった記事が出ていました。
<昭和電工が不況抵抗力を高める体質づくりを急ぐ。2000億円の事業売却を含む資産のスリム化、210億円以上のコスト削減策を3年以内に実施する。日立化成の買収に新型コロナウイルス感染拡大などの経済環境の悪化が重なり、2020年12月期は900億円の最終赤字(引用者注:過去最大の最終赤字)に陥る見込み>
<2000億円を目標にノンコア(非中核)事業の売却も進める。森川社長は「(昭和電工と日立化成の間で)非中核事業の区別の仕方が明確になってきた。具体的に進めている案件があることは事実。交渉次第だが、実現のスピードを高める」と述べた。
両社の統合に伴うコスト削減で200億円以上、21年末までに予定する本社統合でも10億円以上を積み上げる。コスト削減効果は日立化成に関わる部分が大きいといい、21年に約半分、残りを22年までに顕現化させる計画>
●御三家の日立金属売却へ 多角化失敗で他社も買収したくないお荷物に
さて、もともと書きたかった日立金属の話。前述の通り、日立金属は合併した日立電線とともに「御三家」となっていたので、日立金属は御三家2つ分の計算です。そして、上記で出てきたように先に日立化成の売却がなされていますので、日立グループの「御三家」をすべて売却するというえらいことになりました!
日立金属売却については、
日立金属売却へ 応札候補が映す多角化の功罪: 日本経済新聞などが、<日立製作所が上場子会社の日立金属を売却する方針を固めた>と報じています。また、こちらでも当然<同社はグループ会社のなかでもかつて「御三家」と称され、高い技術力でトップシェア製品も多く持つ>として、御三家であることに触れていました。
また、記事タイトルに「多角化の功罪」とあるように、記事では、良いとされる多角化が日立金属ではうまく機能しなかった…という見方ですね。日立金属の売却観測が流れた2020年8月、鉄鋼会社幹部は「特殊鋼は魅力だが、他の事業は要らない」と言っていたといいます。要するに日立金属全体としては魅力がないということです。
かつて日立金属を語る上でよく出た言葉は「ニッチトップ」。小さな市場でも技術力を武器に高いシェアを獲得し、高収益をあげていたためです。例えば、半導体などに使うリードフレーム材も世界シェアトップで、近年は中国メーカーに押され気味の磁石も多くの特許を持っていたとのこと。ただ、2010年代以降、その路線に狂いが生じ始めて、このような魅力のない会社になったという説明でした。
<まず13年に日立主導のもと、5期連続の最終赤字だった日立電線を吸収合併した。さらに14年には規模の拡大を目指し、約1300億円を投じて鉄鋳物メーカーの世界大手、米ワウパカ・ファウンドリーを買収。幅広い製造業で使う特殊鋼と磁石、電線、自動車向け鋳物といった素形材の4セグメントで稼ぐ体制となった。
もっとも現時点でグループに取り込んだ事業は相乗効果を生み出せていない。新型コロナウイルス禍前の19年3月期の連結業績は売上高が1兆234億円、純利益は313億円。それぞれ8077億円、481億円だった14年3月期と比べ、規模は拡大したものの稼ぐ力は伸びていない。
足元では業績も低迷している。21年3月期の連結最終損益は460億円の赤字(前期は376億円の赤字)と、2期連続で過去最大の赤字となる見通し>
●日立化成、御三家時代に膨大な不正 幹部が隠蔽して拡大
2023/06/20追記:昭和電工によって日立化成の買収が発表されたのは2019年12月。それ以前の日立グループ時代に日立化成は不正をやっていたみたいですね。
日立を悩ませる 「御三家」不正の実態: 日本経済新聞(2018年12月10日 6:30 )という記事が出ていました。
記事冒頭では、日本企業の不正が相次ぎ、「もう何が起きても驚かないところまできた」と書いています。ところが、それでも日立化成の不正には驚かされた模様。<深刻さに加え、ある事情から見過ごすことができないのが日立製作所グループの「御三家」と言われる日立化成のケースだ>と書かれていました。
<不正は10年前の2008年に現経営陣を含む幹部が認識していながら、隠蔽されつづけていたことが明らかになる。(中略)
日立化成の不正は鉛蓄電池から半導体材料、自動車部品、ディスプレー関連部材など30製品に及び、連結売上高の13.9%を占める。出荷先は延べ2329社。これまでに品質不正が話題になった三菱マテリアルや神戸製鋼所でも1000社に満たなかったことを考えれば、不正の規模感がわかる。>
2008年も日本は不正ブームであり、このときは食品偽装が中心でした。これを見た日立化成は社内調査を行い、不正を発見。これ自体は素晴らしかったのですけど、なんと隠蔽するために捏造工作を実施。当時の事業所長レベルの3人が関わっており、彼らはその後代表執行役や専務・常務にまで大出世しています。
なお、当時、経団連会長だった日立製作所の中西宏明会長は「日立化成は独立したマネジメントがある。ああしろこうしろという立場にはない」とコメント。そういや、安倍首相のお友達としても知られた中西宏明会長は、別の企業の不正についても「お友達で悪口言えない」などとコメントしていました。不正に対する考え方がこれでは、国中、不正だらけになるのもわかりますわ…。
【関連投稿】
■
日立ブランドはいらない?日立機材がセンクシアに社名変更した理由 ■
日立製作所、退職強要 パワハラはブラック企業ではないとの主張する元社員も ■
5大商社の特徴・社風の違い 三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・丸紅・住友商事 ■
日立製作所が今頃全社員可能のデジタル教育を開始 早い・遅い? ■
日立造船が大赤字でやばい…潰れる?倒産を心配する声が出る ■
企業・会社・組織についての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|