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過労死の本当の恐ろしさ 自覚症状がなく疲労を感じないまま死亡


 <過労死の本当の恐ろしさ 自覚症状がなく疲労を感じないまま死亡>、<実験で強制労働されたネズミたちの意外すぎる睡眠時間>、<過労で最初にぶっ壊れるのは体ではなく、危険信号を送る安全装置の方>などといった話をやっています。また、残業時間の長さと過労死に関する話を後半にまとめました。


●過労死の本当の恐ろしさ 自覚症状がなく疲労を感じないまま死亡

2009/12/28:“スーパーネズミ”はなぜ死んだ?(日経ビジネスオンライン、河合薫、2009/11/12)を読んで、ぞくっとしました。私は長時間労働を美しいと肯定するわけではなく、むしろ強く批判。過労死させるような企業を擁護することなどありません。ただ、その私も過労死の本当の恐ろしさをわかっていなかった…と驚くような話が載っていたのです。

 「過労死」というと、本当へとへとになるまで毎日働いて、それでも我慢した挙句、ついには限界を迎える…というイメージがありました。おそらく読者の方もそうでしょう。ところが、実際には全然違うとのこと。驚いたことに、過労死する前に自覚症状がないなど、以下のようなことがわかっているというのです。

・過労死する人のほとんどは、その直前までストレスを感じていない。
・過労死する人のほとんどは、死に至るほど「疲れている」という自覚症状がない。
・過労死する人のほとんどは、過酷な状況に慣れてしまっている。


●実験で強制労働されたネズミたちの意外すぎる睡眠時間

 ネズミを使って疲労を感じないしくみを解明した実験があります。20以上の大学や機関の研究者で構成された文部科学省主導の研究会「疲労研究班」が“ネズミの過労死実験”を行っていたとのこと。意外なことに、ネズミは泳げる動物なので、おぼれることなく必死で30分間泳ぎ続けることが可能だそうで、実験ではこの特性が利用されました。

 この実験では、ネズミを10日間、毎日水槽で30分間泳がせることで、「働き続けるメカニズム」を検討。ネズミの水泳が人間における「労働」にあたります。そして、強制的に水槽遊泳を強いられたネズミは、どうなったのか?というのが以下。予想外なことに、労働を続けたネズミたちはむしろ睡眠時間が減少してしまいました。

1日目 仕事=水槽で30分泳ぎ続けると、その後、ネズミは疲れ果てた様子で、ぐったり寝てしまい1時間ほど起きてこなかった。
2日目 この日も初日同様、仕事のあとは1時間程度、寝入ってしまった。
3日目 仕事後は初日、2日目と同じように寝てしまうのだが、40分程度で起き上がるようになる。
1週間後 寝るには寝るが睡眠時間はわずか5分と急激に減少した。
10日目 ついに寝ることもなく平然と動き始めた。


●過労で最初にぶっ壊れるのは体ではなく、危険信号を送る安全装置の方

 記事では、10日間過重労働を経験することで、過酷な労働に耐えられる“スーパーネズミ”が誕生してしまった…という書き方をしています。ただし、「やっぱりね! ネズミも鍛えられるんだね」などと解釈しては大間違い。“スーパーネズミ”は、何も泳ぎ続けたことで筋力がついたとか、体力がついたことで誕生したのではありません。

 では、なぜ眠らないのか?と言うと、脳の中にある「疲れの見張り番」と呼ばれる、危険な状態になることを防いで安全装置の働きをする部分が機能しなくなった結果だとのこと。見張り番から「休んでください!」という指令が送られても、無視して活動をし続けると、見張り番自体が疲弊してしまい「休んでください」という指令すら送れなくなるんですね。恐ろしい話です。

 私にも覚えがある話ですし、多くの方がこのような状態を経験したことがおありでしょうし、そして、今まさに体感されているという方も多いのではないでしょうか。その状態は長時間労働に慣れているのではなく、疲れを感知する機能が壊れているのです。「それくらいの長時間労働は普通でなんともない」と言う人は、ここらへんの知識がないのだと思われます。


●日本で過労死で亡くなる人は1年間に何人くらいいるのか?

2014/6/30:上記までの話は「過労死するレベルで働いていたとしても、体が過労を感じていないことがある」というものでした。それなのに、私はこれを「残業時間が長くなくても過労死する」とどこかで勘違いしていた時期がありました。で、私はこの間違った認識を元に、本当に残業時間がそう極端に長くなくても過労死してしまうのだろうか?事例を集めてみよう…とずっと気になっていたんですよ。スタート地点は勘違いなのですが、今回はこういうテーマの話です。

 なおと、残業時間がそう極端に長くないうちに亡くなった場合は、そもそも過労死と認められない可能性があるでしょう。ニュース性としても残業時間が長い方がインパクトあるために、短い場合はニュースになりづらいので事例を集めるのは難しいとも考えられます。考えてみると、テーマとして不備だらけでしたわ…。

 冒頭からグダグダになってしまいましたが、検索してみるとちょうど昨年度過労死で亡くなった人の数が発表になっていました。当初のテーマとは違うものの、知っておいて良い情報でしょう。

<過労から脳出血や心筋こうそくなどを起こし労災と認められた人は306人で、前の年度より32人減りましたが、このうち過労死で亡くなった人は133人で、10人増えました>
(精神病の労災認定 2年連続400人超 6月28日 5時01分 NHKより)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140628/k10015575601000.html


●日本の年間過労死者数は12年連続100人以上…悪い状態で安定

 後で引用する読売新聞によれば、12年連続100人を超えたようです。これだけ過労死が頻繁にあると、記事になっていないものも多いでしょうね。上の記事はタイトルを見てわかる通り、過労死に限ったものではありません。情報をまとめると以下のようになりました。

<2013年度のデータ(厚生労働省のまとめ)>
精神的な病気で労災と認められた人 436人
 うち過労自殺 63人 (自殺未遂を含む)

脳出血などで労災と認められた人 306人
 うち過労死で亡くなった人 133人

 最初の「精神的な病気で労災と認められた人」というのは、"職場での嫌がらせや長時間の残業といった仕事上の強いストレスが原因でうつ病などの精神的な病気に追い込まれたもの"です。一昨年が過去最悪で、今回集計の昨年度は過去2番目に多かったとのことでした。

 また、「脳出血などで労災と認められた人」は、"過労から脳出血や心筋こうそくなどを起こし労災と認められた人"です。このような過労死で亡くなった人は前の年度より10人増えているそうです。さらにハザードラボでは、労災の請求は前年度より152人増えた1409人で、過去最多になったということも伝えていました。こういった数字を見ていくと、昨年度の労働問題は近年では最悪クラスのように思えます。
(仕事のストレスで精神障害…労災請求1409人 過去最多 | 地震予測検証・地震予知情報 / 防災情報【ハザードラボ】より)
http://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/6/3/6363.html


●残業時間の長さ・長時間労働と過労死・うつ病は本当に関係する?

 もともとテーマにしようと思っていた「残業時間の長さと過労死は本当に関係するのか?」に関しては、<昨年度の過労死133人…12年連続100人超 2014年06月27日 19時46分 読売新聞>という記事の情報が一番近かったですね。記事によると、過労で脳出血や心筋梗塞などを起こして死亡し、2013年度に労災認定された人133人の残業時間は以下のようになります。

1か月平均の残業時間「80~100時間未満」50人
1か月平均の残業時間「100~120時間未満」28人
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140627-OYT1T50109.html

 厚生労働省は「長時間労働が過労死の大きな要因」としており、普通に「長時間労働が過労死を引き起こす」という結論です。ただ、気になったのは上記に記載があるのは78人のみで、55人はどちらにも該当していないこと。残りの55人が「80時間未満」「120時間以上」「不明」のどこに何人入っているかによって、かなり印象が異なってきます。とりあえず、80時間未満でもかなり過労死と認められている人がいる人がいる可能性を感じました。

 なお、読売新聞は精神的な病気で労災と認められた436人のうち3割が"発症前の残業時間の1か月平均が80時間以上に達していた"ことも伝えています。80時間未満でもヤバい可能性については判断しきれませんでしたが、80時間以上の残業が危ないことは明白でしょう。


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