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レンタル店閉店ラッシュのツタヤが期待するのが書店とカフェ…


2019/04/22:
●ツタヤには不況の中で輝く企業と見られていた時代があった
●カフェは先祖返り?もともとは書店ではなく喫茶店だったツタヤ
●ツタヤビデオではなくツタヤ書店でなくてはならなかった理由
●従業員7人の会社が1億円投資したものとは何か?
●視聴者が好みの放送を見るようになると予言するも…
●栄枯盛衰、飛ぶ鳥を落とす勢いだったツタヤも今は…
2021/12/15追記:
●レンタル店閉店ラッシュのツタヤが期待するのが書店とカフェ… 【NEW】


●ツタヤには不況の中で輝く企業と見られていた時代があった

2019/04/22:今読むとなんで保存していたのか?とわからないのですけど、1998年9月1日から4日までの読売新聞で連載していたエンターテインメントNOWのツタヤの特集の切り抜きが出てきました。

 長引く不況でかつての中心だった大手メーカーや銀行が元気がない中、音楽・映画・ゲーム市場は伸びているといった解説。そういった企業の一つとしてのツタヤの特集でした。

 ただし、連載時点ですでにレンタルビデオ店自体は減少中。1986年ごろの約1万5000店をピークに、1998年には1万1500店まで減っていました。これは店舗数ですが、レンタルビデオ市場としても、当時すでに横ばいが微増程度と見られていたようです。


●カフェは先祖返り?もともとは書店ではなく喫茶店だったツタヤ

 ツタヤ、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)株式会社の創業者である増田宗昭さんは、もともとはファッション業界のサラリーマン。しかし、「喫茶店をやりたい」という姉の言葉を聞いて、東京で流行し始めていた貸しレコード店を兼ねた店を、大阪府枚方市でも作ろうと思い立ちます。

 ロフトタイプのお店で名前もそのまんま「LOFT」という名前の喫茶店は、証券会社の事務所だったところに手作りで作ったものでしたが大当たり。初日に入っていたビルのエレベーターが壊れるほどの人気に。「むちゃむちゃもうかった」(増田さん)とのことです。このLOFTが人気だったのは1882年のことだったといいます。

 ツタヤは今は喫茶店つきの書店をやっていますし、喫茶店みたいなおしゃれな店舗もやっています。先祖返りみたいなものでしょうか。


●ツタヤビデオではなくツタヤ書店でなくてはならなかった理由

 上記だけでも成功譚エピソードとなっていますが、よりすごかったのはこのあと。ライバルが来る前に商圏を抑えなければ…と早くも翌年(1883年)には、駅の反対側にもう一店舗作ってしまいます。こちらが厳密な意味での最初の蔦屋書店。喫茶店ではなく、蔦屋書店という名前でもありました。このように「書店」という名前にしたことには理由があります。

 前述の貸しレコード、書店の名前の通りの本だけでなく、このお店でのポイントとなったのは、後のツタヤでも中心となったレンタルビデオ。レンタルビデオは単価が高く、利益が大きかった模様です。

 ところが、当時レンタルビデオというとアダルトというイメージが強かったというのがネック。なので、「書店」というのを前面に押しだし、女性や高校生、家族連れにも入りやすいようにしたんだそうです。ツタヤビデオでは駄目だったんですね。

 この他、書店としても「大手書店の倍の営業時間」をうたい、午前七時から午前十一時まで営業。働いている人が出勤前、出勤後に来れるようにしました。書店では当時、全然この層のことを考えない経営が当たり前に行われていたことを物語っています。他でも書いているように、こんな不親切な業界は廃れて当然だと感じます。


●従業員7人の会社が1億円投資したものとは何か?

 攻めまくる増田宗昭さんは、蔦屋書店2号店も開店。しかし、資金的にはこれ以上無理です。で、フランチャイズ方式を取り入れました。普通ならそんな新参の会社のフランチャイズになるか…というところですが、蔦屋書店は行列ができるほどの人気だったので、有力企業も続々と参加したとそうです。

 ただし、フランチャイズ方式では、離脱されるリスクがあるというのがネック。別にツタヤじゃなくたって良いですからね。ところが、現実には連載当時のレンタルビデオ店は、ツタヤ1強。ツタヤが950店・1200万人の会員だったのに対し、トーハン系のジャパンAVレンタルシステムやレンタル大手のアコムは100店止まりだったといいます。

 この違いとなったのは情報力。ツタヤの本質は情報分析企業なんですね。1885年、直営店3店・従業員7人という規模だったのに、いきなり1億円を汎用コンピュータに投資しました。一番先見の明があったのは、ここかもしれません。

 なぜ情報が大事か?と言うと、実店舗には置ける商品が限られるため。ツタヤがお店で扱っていた新作のCDやビデオは、連載当時全体の1割程度。9割は捨てなくてはなりません。当然、売れない商品を置けば邪魔になるだけ。それだけでなく、売れる商品を置く機会を失わせて大きな損失です。逆に売れる商品を読めないときにも、稼ぐチャンスを潰すことに。こうした情報の大切さは、狭い店舗で営業するコンビニエンスストアも同じだと感じます。


●視聴者が好みの放送を見るようになると予言するも…

 当時はパソコンやネットも普及し始めていた時期。ツタヤも危機感を持ってはいたようです。また、増田宗昭さんは、視聴者が好みの放送を見るようになるといった予想もしています。良い線ついていましたね。

 ただ、この話は衛星デジタル放送に絡んだ話。増田さんは衛星デジタル放送ディレクTVの社長にもなって、経営参加していたのですけど、今名前を聞かないことでわかるように、覇権は取れませんでした。

 ディレクTVはもともとアメリカのサービス。日本では1997年末に本放送を開始しますが、受信装置(IRD)が先行していたスカパー!と共有できなかった上に、チャンネルの大半もスカパー!と同じなのに人気チャンネルがないなどの理由で苦戦。2000年3月にアメリカ・ディレクTVの当時の親会社ヒューズ・エレクトロニクスは事業継続を断念。方針転換して、日本ではスカパー陣営に出資して、契約者をスカパー!に移管させ事実上統合させています。
(ディレクTV - Wikipediaより)

 現在のスカパーJSATホールディングスの主要株主を見ると、海外系もカルチュア・コンビニエンス・クラブも見られませんね。

伊藤忠・フジ・パートナーズ※ 22.2%
NTTコミュニケーションズ 7.6%
住友商事 6.5%
日本テレビ放送網 6.1%
東京放送ホールディングス 5.3%


●栄枯盛衰、飛ぶ鳥を落とす勢いだったツタヤも今は…

 スカパーは生き残っていますが、スカパーにしても映像関係で覇者となっている感じはありません。まだまだ戦国時代といった感じですけど、連載でも出てきたネットの普及により、ネットの動画配信サービスの方が有望でしょうか。その意味では、ツタヤはTSUTAYA TVを持っていますが、こちらはスカパー以上に名前を聞く機会がありません。

 また、ネットの普及は本業の方にも影響。「実店舗は置ける商品が限られる」といった話が途中で出てきたものの、これは実店舗の限界が見える話でもありました。書籍、レンタルビデオ、レンタルCDどれにも限界があると考えられるでしょう。いわゆるオワコンと言われるような業態ばかりです。

 延滞料を廃止したレンタルショップ、倒産して全店閉鎖になっていたでやっているように、アメリカでは一足早く壊滅的な状態に。逆に日本でツタヤがまだ頑張っているというのは、興味深い点かもしれません。気になりますね。思ったより長くなってしまったので、ツタヤの現状についての新しい記事なんかは全然読む時間がなかったので、今後そういった話を読んだら、このページに追記していきたいです。


●レンタル店閉店ラッシュのツタヤが期待するのが書店とカフェ…

2021/12/15追記:だいぶ間が空いちゃいましたが、やりたい!と言っていた最近のツタヤの話を。前回書いたように、やはりツタヤは苦戦している感じですね。検索して出てきた記事が、「「TSUTAYA」閉店あちこちで サブスク全盛時代にレンタルから次の一手へ: J-CAST トレンド(2021年06月03日20時10分)というネガティブなタイトルの記事でした。

<CD、DVDのレンタルを行う「TSUTAYA」が、各地で閉店が相次いでいるとツイッター上に書き込みがある>
< TSUTAYAの閉店は公式には発表されていないが、主要紙では何度か報じられている。例えば、2017年10月17日付日本経済新聞(電子版)は、同紙の調べとして「今年3月以降に少なくとも43店が閉店し、10月も3店が閉店を予定している」と報道。同紙は翌18年12月17日付の記事でも、相次ぐTSUTAYAの閉店を悲しむ人々の声を取り上げている。
東京では20年11月に「新宿TSUTAYA歌舞伎町DVDレンタル館」が閉店。豊富な品揃えで、25年にわたり人々から親しまれてきた有名店だっただけに、インターネット上でも話題になった>

 記事では、「最近は動画配信サービスやサブスクリプションが主流となり、わざわざレンタルショップに行く必要がなくなっている」とも指摘。ツタヤもわかっていて、他の事業を狙っているようなのですが、それが私が前回むしろダメだろうと書いた「書店」でした。うーん、方向性間違ってませんかね…。

<中でもとくに、数年前から「書店業」に注力しているという。現在、同社はレンタルショップのTSUTAYA以外にも「蔦屋書店」や、書店とカフェを融合した店なども展開しており、全国に合計約1100店舗あるとのこと。
同社広報室は取材に対し、書店業については、 「(店舗全体での)2020年の書籍・雑誌販売額は1427億円と過去最高額を達成しました」説明。書店とカフェの融合を軸に、「コンテンツを複合的に展開する『ライフスタイル提案型』の店舗を2020年は全国に34店舗オープンいたしました」。また今後は中国を中心に、海外への出店も進めていくという>

 街の本屋だけじゃない…大型書店チェーンも次々閉店 文教堂が特にヤバイで書いているように、「書店」はむしろボロボロ。「蔦屋書店」も有望とは思えません。ただし、ツタヤの場合、最初のときにもちょっと書いたように、喫茶店みたいなおしゃれな大型店舗もやっていて、これは業界の中で注目されている優良な形態だと見られています。

 この記事だとそういった説明は出ていなかったのですが、「おしゃれな大型店舗」に限らず、ツタヤはカフェ併設に力を入れている感じですね。喫茶店も全盛期は昔で最近の方が悪いものの、今でも好調なところは好調。「書店業」ではなく「カフェ」に注力する…というのが、今のツタヤでは一番有望そうな感じでした。


【本文中でリンクした投稿】
  ■延滞料を廃止したレンタルショップ、倒産して全店閉鎖になっていた
  ■街の本屋だけじゃない…大型書店チェーンも次々閉店 文教堂が特にヤバイ

【関連投稿】
  ■まだ名刺交換してるのは日本だけ?中国では誰も交換してなくてびっくり
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