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GEジャック・ウェルチは嫌われ者だった 徹底した選択と集中に非難


 経営者というのは、嫌われ者でも良いのかもしれません。
企業変革の2つのモード(その9) 「ニュートロン・ジャック」の衝撃
2013年06月06日 楠木 建  一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授 ダイヤモンド・オンライン

 1981年に46歳の若さでCEOに就任したジャック・ウェルチは、即座にGEの変革に動き出した。変革のテーマは主として3つ。第1に、複雑で官僚的な組織を単純で筋肉質の実行志向の組織に変える。第2に、従来の実績に着実に上積みしていく目標設定に代表される、保守的で連続的なメンタリティを、飛躍的な成長と利益を目指す攻撃的なものに変える。第3に、国内(北米)に偏った内向きの事業展開を、グローバルに稼げる構造へと変える。このように、ウェルチが掲げた企業変革のテーマは、言葉にすればありふれたものばかりだった。成熟した大企業であれば、どこでも言いそうなことばかりだ。
http://www.dhbr.net/articles/-/1855

 では、ジャック・ウェルチはどこが"普通ではなかった"のか?と言うと、それは"彼が次から次へと打ち出したアクションの過激さ"だそうです。
 おそらくウェルチによる数々の意思決定のうち最も有名なものとなったのが、いちばん最初に打ち出された「ナンバー1、ナンバー2戦略」であった。市場における地位(単純に言えば市場シェア)が1位もしくは2位でない事業は、早々に1位か2位になれるように立て直さなければならない。それができない事業はきっぱりと撤退、閉鎖、売却する。「集中と選択」といえばそれまでだが、意思決定基準の単純さと実行の徹底ぶりにおいて、このウェルチの施策は社内外に衝撃を与えた。

 「ナンバー1、ナンバー2」の基準に忠実にウェルチは事業構成の再構築を実行した。その結果、短期間のうちに数多くの事業に撤退の決定が下された。当時、とくに耳目をひいたのが家電分野からの撤退だった。かつてのGEは家電のトップブランドとして北米市場に君臨していた。しかし、日本企業をはじめとする競合他社に押され、GEの家電事業部門は市場シェアを失っていき、80年代になると「ナンバー1、ナンバー2」は過去の話になっていた。ウェルチの方針と基準からすれば、家電事業は明らかに「撤退」だった。

 家電だけでなく、通信や資源系の事業など、規模からいえば決して小さくないものでも、「ナンバー1、ナンバー2」の存続条件を満たさない競争ポジションに劣る事業については撤退が即断された。

(中略)81年時点でのウェルチ政権には企業変革を困難にする条件がすべてそろっていた。その中でも最大の「障害」が前任のレグ・ジョーンズの時代を通じて達成されてきた好業績だった。「なぜ世界に冠たる優良企業のGEが変わらなければならないのか?」というのが、GEのマネジャーの多くに共通の反応だった。「ウェルチはCEOに抜擢されて舞い上がり、世の中で目立つような派手なことをやりたいだけなのではないか」という穿った見方も少なくなかった。

 これらのエピソードは「選択と集中」の「選択」ですが、もちろん「集中」もやっており、"集中的な投資を受け、M&Aも活発に行われ"ました。

 さらにもう一つ嫌われたのが、今でも変わらない悪行……首切りです。
 ウェルチがCEOに就任した当時の従業員は40万人だったが、中間管理職を中心に「リストラ」を進め、80年代後半の従業員数は30万人を切ることになった。

(中略)ウェルチの方針は徹底した「Aプレイヤー」主義で、「CプレイヤーをBプレイヤーに引き上げるよりも、Aプレイヤーをもっと強くした方がよい」という割り切りがあった。Aプレイヤーにはストップオプションを含む手厚い報酬が用意され、下位の等級に甘んじるマネジャーは容赦なく切り捨てられた。

 これらの行為のために、"CEOに就任して数年を経ると、ビジネス・ジャーナリズムはウェルチに「ニュートロン・ジャック」という多分にネガティブな意味合いのあだ名をつけた"そうです。

 「ニュートロン・ジャック」とは、「中性子爆弾男ジャック」といった意味合い。"「ひとたび意思決定をすると、生命体はすべてやられるけれども、建物や設備は残っている」という意であった"そうです。
 もちろん当時からアメリカでは日本と比べて「リストラ」や「レイオフ」は普通に行われていたが、これだけ伝統と歴史のある企業が、これだけのスケールで、しかも傍目には業績が好調であるにも関わらず、リストラに手をつけるのは、アメリカの企業経営の歴史においても、かつてないことだった。20年後に退任するときは「20世紀の偉大なリーダー」と称賛されたジャック・ウェルチも、当初の数年は過激な破壊者、嫌われ者の「ニュートロン・ジャック」だったのである。

 業績が好調なときに……というのは、特異ですね。ただ、もしそうしていなかったら、"「20世紀の偉大なリーダー」と称賛され"るような業績は収められなかったんでしょうね。


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