御手洗冨士夫さんを中心にキヤノンの話をまとめ。<高校時代の後輩など…縁故資本主義で同郷人優遇の御手洗キヤノン>、<御手洗冨士夫キヤノン会長の落ちる評判、ワンマン社長の典型のように…>などの話をやっています。
その後、<御手洗冨士夫経団連会長、キヤノンの偽装判明で「法の方を変えろ」>、<御手洗会長の取締役選任、株主比率でほぼ半数が反対!>などを追記しました。
2023/08/28追記:
●御手洗会長の取締役選任、株主比率でほぼ半数が反対! 【NEW】
●御手洗冨士夫キヤノン会長はすごい?すごくない?スマホに苦戦
2019/10/16:まず先に2016年2月17日の
キヤノン老害・御手洗会長、同郷人優遇し20年権力保持の異常経営…成長鈍化の要因かという記事から。
当時のキヤノンは社長兼最高執行責任者(COO)に専務の真栄田雅也さんが昇格。会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)の御手洗冨士夫さんは社長を退くものの、会長兼CEOとして引き続きグループ全体を統括。「実態として御手洗氏が実権を握る構図は変わらない」とされていました。
御手洗さんは1995年に社長に。これについては、記事でも「キヤノンを日本有数の高収益企業に変貌させた」と評価しています。この躍進はデジカメがポイントだったみたいですね。真栄田新社長も2000年代にはカメラ事業を指揮する立場として、フイルムカメラからの買い替えが進んでいたデジタルカメラに注力し、ドル箱事業に育てたそうです。
ただし、御手洗さんが2006年に会長になってからの時期、2010年に経団連会長を退任後の12年に社長に復帰してからといった時期は低評価。かつて成長をけん引したデジタルカメラは、この時期になるとカメラ機能付きのスマートフォンの急速な普及に押されて、成長が鈍化したとされています。成長の立役者だったデジカメがダメになったことで、その栄光は過去のものになりつつあるようです。
●高校時代の後輩など…縁故資本主義で同郷人優遇の御手洗キヤノン
ところで、御手洗さんは「クローニー・キャピタリスト」と呼ばれているとのこと。なんのことやらわかりませんが、日本語で言うと、縁故資本主義の経営者。社内人脈は故郷の大分県佐伯市の人脈と重なっているのだそうです。以前の社長も今回の社長も高校時代の後輩や同郷人だといいます。
これは御手洗さんが経営改革に成功した理由と関係があります。23年間米国に駐在していたため社内に「しがらみ」がなく、親分子分や貸し借りの人間関係に煩わされることなく、ビジネスで合理主義を貫き通すことができたとのこと。カルロス・ゴーンさんが最初成功したように、外部系の社長が成功するときがあるのは「しがらみのなさ」だと研究でわかっています。
ただ、カルロス・ゴーンさんもそうであったと思われるように、この手の社長は内部の人に好かれず一生懸命動いてもらえません。また、縁故優先の能力軽視や独裁化のおそれもありそう…。そして、より本質的な問題は、御手洗さんが実験を握っている最近の体制において、結果が出ていないってことでしょうね。カルロス・ゴーンさんがこれまたそうでしたが、過去の実績だけで現在が問われないという新たな大問題ができてしまいました。
●御手洗冨士夫キヤノン会長の落ちる評判、ワンマン社長の典型のように…
これらは2016年時点の話であり、その後良くなかったかも…と検索。すると、会員認証が必要な記事で詳細は見れませんでしたが、
「キヤノンの老ライオン」晩節汚す御手洗会長:FACTA ONLINE(2019年3月号)という記事が出てきました。記事の時点で、今期の業績予想は減収減益。稼ぎ頭のカメラ市場の縮小スピードが予想以上に速く、前途に暗い影を落としているということで、どうも結局良くなっていないようです。
私はさっき独裁化のおそれと書いたものの、無料部分では「1995年の社長就任から23年間、ワンマン体制を敷いてきた」とされていて、もともと独裁的だった模様。カリスマ経営者が実は良くないというのは、異論を出す優秀な人を排除するためですが、ここでも「周りはイエスマンばかり」とされていました。
同じ理由により、カリスマ経営者はそもそも後継者づくりに関しては無能なことが多いんですよね。
カリスマ社長と老害の違い 孫正義・渡邉美樹・山田昇はどっち?などで書いている話。カリスマ型のワンマン独裁者が良い経営者とされがちなのですけど、ちゃんと後継者づくり、身の引き方まで含めて評価されるようになってほしいと思います。
●キヤノンのもう一つの柱は事務機器だった!こちらの将来性は?
2020/07/31:
新型コロナ:キヤノン、コロナで事務機打撃 初の四半期赤字:日本経済新聞(2020/7/28 22:29 )という記事が出ていました。キヤノンの2020年4~6月期の連結最終損益は88億円の赤字。四半期の赤字は初めてだといいます。
カメラが祖業のキヤノンは1967年に事務機器事業に本格参入。「右手にカメラ、左手に事務機」を経営スローガンに掲げ、二本柱に。ただ、2010年代に入ると、事務機器はペーパーレス化、デジカメはスマホ普及で市場が縮小。こうした説明からは、新型コロナウイルスうんぬんに関係なく下り坂だったことがわかります。
なので、新型コロナウイルス問題がキヤノンを直撃!というのは、なぜ?と最初、不思議に…。事務機器はテレワークの影響で使用機会が減りそうなため、そのせいかな?読みながら考えます。ところが、結局、記事では最後まで新型コロナウイルスとの関連の説明がなく、謎のままとなっていました。
記事では、「新型コロナウイルスでデジタルカメラと事務機器が苦戦し、医療機器などで補えなかった」とあるだけ。新型コロナウイルスがどう影響したかは書かれていないように見えました。関係が書かれていたのは医療機器の方で、「新型コロナでコンピューター断層撮影装置(CT)などが伸びたが、商談の遅れも響いた」というもの。よくわからん記事でしたわ。
とりあえず、屋台骨とされていたデジタルカメラ、事務機器ともに将来性がなく、これらの業界が復活することはないと考えられているとのことでした。前述の説明からすると、キヤノンは新型コロナウイルス以前に、そもそもダメな状態が続いていたのだと思われます。
一応、ポジティブなことも書いておくと、有機EL装置や医療機器を含む新規4事業は前期で売上高全体の4分の1を占め、一定の成果は出ている状態。現在の柱であるカメラと事務機事業を相対的に減らしていくことで業態変更する…という路線にキヤノン復活の可能性を感じます。方向性としては悪くないように見えますね。
●御手洗冨士夫経団連会長、キヤノンの偽装判明で「法の方を変えろ」
2022/06/18追記:キヤノンの方からすると、「そんな古い話を蒸し返さないで!」という話でしょうが、キヤノンで私が思い出すのは偽装請負問題です。キヤノンの偽装請負問題は、
偽装請負でも三菱東京UFJ銀行や日立製作所などといっしょに代表例のひとつとして載っていました。
<偽装請負(ぎそううけおい)とは、日本において、契約が業務請負、業務委託、委任契約もしくは個人事業主であるのに実態が労働者供給あるいは供給された労働者の使役、または労働者派遣として適正に管理すべきである状況のことである。
これらすべてが民法上の取り扱いでは請負であり、契約形態を偽装・隠蔽することからこの名がついた。業務委託によるものは偽装委託と表現する場合がある。違法行為である>
キヤノンは前述の日立製作所とちょっと共通点を感じますね。偽装請負していた当時は違いますが、日立製作所は後に経団連の会長である中西宏明さんを輩出。中西宏明さんは、安倍首相と親密であることで有名な方であり、政府との関係も見られました。ここらへんはキヤノンも似たところがあるのです。
というのも、キヤノンの御手洗(みたらい)冨士夫さんは中西宏明さんと同じく経団連会長を務めていて、やはりキヤノンが日本を代表する企業であるということ。御手洗冨士夫さんの場合は偽装請負が判明したときまさに経団連会長をやっていて、その経団連会長の立場で「派遣法を変えろ」と主張するなど、なりふり構わない感じでした。
また、彼は、経済財政諮問会議といった政府系の職務の常連。また、経団連の目的の実現のために自由民主党への多額の政治献金を経団連会員である企業に促し、御手洗自ら会長に就いているキヤノンも率先して年数千万円程度の献金を行っていたという話もありました。その他、安倍政権下で旭日大綬章を受章、日本郵政株式会社取締役になっており、やはり政府との近さを感じさせる人です。
●御手洗会長の取締役選任、株主比率でほぼ半数が反対!
2023/08/28追記:以前は日本の株主総会で取締役の選任が否決されることはほぼなかったのですけど、最近は驚きですね。キャノンでも以前、
キヤノン、御手洗会長の取締役選任 賛成50.59%どまり - 日本経済新聞(2023年4月3日)というニュースが出ていました。
<キヤノンが3月30日に開いた定時株主総会の取締役選任議案で、御手洗冨士夫会長兼社長最高経営責任者(CEO)の再任に対する賛成比率が50.59%にとどまったことがわかった。一部の米議決権行使助言会社が取締役に女性がいないことを理由に反対推奨したことが影響した可能性がある。>
<議決権行使助言会社の米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は御手洗氏の選任に反対推奨していた。ISSは取締役に女性がいない場合、経営トップに反対推奨する基準を持つ。キヤノンの5人の取締役候補は全員男性で、多様性に欠けるとして反対推奨していた。米グラスルイスはキヤノンが多様性を尊重する方針を示しているとして賛成を推奨していた>
2022年総会の御手洗氏の賛成比率は75.3%。2023年は他の幹部も賛成比率が下がったものの、まだマシで副社長の田中稔三さんが77.3%(22年総会は85.7%)、本間利夫さんが77.4%(同87.8%)だったそうです。
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