チラッシュというチラシ配布サービスがおもしろいと思って検索。ただ、調べてみると、イマイチな感じですし、新聞勧誘や退会方法の不親切さなどデメリットもありました。また、過去に類似サービスが失敗した例もありますので、併せて取り上げています。(2017/08/18)
●意外に多いチラッシュのデメリット
2017/08/18:会員登録した人に無料でチラシを配るという「チラッシュ」というサービスがあり、興味を感じました。このチラッシュの事務局は「読売IS内」にあると書かれており、どうも読売新聞系がやっているサービスのようです。
新聞購読者は年々減っていますが、全国に張り巡らされた新聞配達網というのは、大きな財産です。これを活用すべきではないかと前々から思っていたので、おもしろいと感じました。
ただ、検索してみると、意外にデメリットが多いようです。
(1)個人情報を知られる
このモデルであれば、ポストに勝手に入っている広告(ポスティング)同様に問答無用で届けても良さそうなものですが、登録制ですので個人情報を知らせる必要があります。これは後述の類似サービスでも同様でした。これは抵抗ない人には抵抗ないのですけど、後述するようにこの個人情報が別のサービスに流用されているとなると話が別になってきます。
(2)退会方法が電話しかない
登録方法は簡単で手段が多くなっています。勧誘チラシにあるはがきの他、QRコードからのスマホでの登録、パソコン、電話となんでもOKでした。ただ、退会方法は電話のみのようです(2017/08/18にオフィシャルサイトを確認)。これは退会者をなるべく少なくするためでしょう。
そのため、サービス自体は無料ではあっても、退会時に電話代が確実にかかります。引っ越しなどをしても退会しないという手はありますが、そうなると、元の住所の新たな住人に個人情報が渡る可能性があり、気持ち悪いです。私はこの退会方法の不便さを知って登録を思いとどまりました。
●新聞勧誘が増える?という噂も
電話代くらい…と思うかもしれませんが、そもそもサービスの内容がイマイチみたいなんですよ。これでしたら退会にかかる電話代分すらお得にならない可能性があります。新聞はいらないけどチラシがほしいという人は結構いて、非常に目の付け所は良いのですが、中身は残念そうでした。
(3)肝心のチラシの枚数や内容がイマイチ
チラッシュという無料でチラシを配るサービスの評判とデメリットを考える。 | 枯れ女の七転八起ライフ(2016年8月24日)では、「自分に合ったチラシが届かない」「チラシの枚数がマチマチ」といった評判を掲載していました。役に立たなかったらゴミをもらっているだけで、時間も無駄にしてしまいます。
また、噂レベルですけど、決定的にまずそうなのが、同じページで「チラッシュを退会した後、新聞の勧誘が妙に増えたという口コミもあります」といった話があったこと。退会前でも勧誘があったようなことを書いているサイトもあります。
(4)新聞の勧誘が増えるという噂がある
新聞勧誘というのは、最も嫌われる勧誘の一つですからね。しつこくて悪質だと有名です。真偽は定かではないものの、最初に書いたように「個人情報を知られる」システムですので、可能性はありそうでした。
●類似サービスであるリクルートの「タウンマーケット」は撤退
消費者のデメリット以外では、私はビジネスモデル的なところに興味がありました。
広告チラシ宅配サービス「チラッシュ」は今度こそ成功できるか?:トドのつまりは・・・ V2:So-netブログによると、"最初に始まったリクルートの「タウンマーケット」も、その次に始まった博報堂DYメディアパートナーズが、朝日新聞系列の新聞販売店と組んだ「とどくる」も、エリアを広げる前にひっそりと終了してしまった"そうです。
タウンマーケット - Wikipediaによると、タウンマーケットは2007年11月21日よりウェブ上でのチラシ検索・閲覧サービスを開始。毎週金曜日に一週間分のテレビ番組表と折り込みチラシを、ヤマト運輸のクロネコメール便で一緒に宅配するという宅配サービスは、その後の2008年3月14日に始まっています。しかし、2011年2月25日発行号をもってサービスを終了しています。3年しか持ちませんでした。
タウンマーケットの場合は、リクルートの展開であり、テレビ欄と折り込みチラシを目的に新聞を購読している層を取り込み、新聞販売店の経営に影響するのではないかともいわれていたものの、そうはなりませんでした。自前の配達網を持たなかったことも影響したのかもしれません。
ただ、
リクルートと博報堂のチラシ宅配サービスと撤退理由 - るいネット(14/10/27)では、以下のような理由を挙げていました。要するにサービス内容が悪かったという説明です。
・折り込みチラシよりも地域の範囲が広く、自宅から遠い店のチラシが入っている。
・毎週金曜日にしか入らないので、スーパーなどの生鮮食料品のチラシが入らない。
●博報堂の『とどくる』も惨敗ですぐにサービス終了
配達方法に関しては、朝日新聞販売店と組んだ博報堂DYメディアパートナーズ の『とどくる』というサービスもあったようです。こちらも週1回でした。しかし、Wikipediaによると、開始から1年となる2012年9月29日で終了と、速攻で撤退しています。
先のるいネットによれば、宅配ルートに新聞販売店を絡ませたことで、宅配日を毎週土曜日の朝にすることができました。しかし、リクルートと同様に「生鮮食品のチラシが入らない」といった理由で会員数が伸びなかったことに加えて、新聞社にとっては新聞の購読者が減る可能性があるという矛盾があり、収支が成立しなかったのではないかとしていました。
●チラッシュだけがなぜ成功しているのか?
こうした点は、読売新聞系のチラッシュにも言えそうなのですが、先の
V2:So-netブログによると、チラッシュは長続きしています。013年12月7日に開始され、今も続いているどころか、どんどんエリアを広げている状態です。
チラッシュの場合大きく違う点というと、配達頻度。チラシは、水、金、土曜の週3回宅配です。重要な地元スーパーなどの売り出しチラシが入るのは、金曜や土曜だけであり、それでも問題ないのではないかという予測。前述の通り、それでもなお不満の声があるようなのですが、頻度に関しては他社の失敗を踏まえています。
ただし、配達が当日の午後6時頃までとのことで、これは『とどくる』よりずっと悪いですね。当日の午前中限定の特売、会社の帰りに買うといった用途では間に合わないと思われます。
この状態でサービスが長続きしているというのが不思議ですけど、「新聞の勧誘が増える」という噂がありますしね。これが本当なら、読売新聞側としては、それだけでも旨味が大きいのかもしれません。
また、退会を面倒くさい形にすることで、利用者の減少を抑えて、チラシの広告料を稼いでいるのかもしれません。無料サービスではありませんが、
退蔵益と有料メルマガ 自動的に課金が継続するから解約率は低いでやっているように、利用者1人から受け取る利益は小さくても退会者を少なくすることで稼ぐという戦略が有効なケースはあります。退会しやすい親切なサービスの方が儲からないというのは、かわいそうですけどね…。
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