2010/1/3:
●大都市圏から遠いと町おこしは無理?旭山動物園という成功事例
●数が多ければ魅力あるわけでもない 上野の約3分の1の動物種
2019/04/21:
●町おこしが失敗するのは真似してみんな同じになってしまうため
●大都市圏から遠いと町おこしは無理?旭山動物園という成功事例
2010/1/3:武田斉紀さんは、「地域を元気にしたい」という趣旨で、日本全国の自治体などから講演などを依頼されることがあるそうです。そして、その際にはあらかじめ地域の強みや弱みについて整理しておいてもらうとのこと。
この洗い出しの際に、多くの地域で弱みとして挙げられるのが、「大都市圏から遠い」というもの。この弱みに対し、武田斉紀さんは、「みなさん旭山動物園はご存知ですか。では東京から行くのに、どれくらい時間がかかるか知っていますか?」と聞いているみたいです。
当然ながら旭山動物園は有名で、地方の人もよく知っています。ただ、旭山動物園が大都市圏から近いか?と言うと、むしろめちゃくちゃ遠いですよね。
入園者数日本一の上野動物園の約290万人に対して、旭山動物園は約277万人(2008年度)でほぼ変わらず。立地条件で大きく劣る旭山動物園はこれほどにも健闘しています。
(
第4回 年間300万人が訪れた「旭山動物園」の強さの秘密(日経ビジネスオンライン、武田斉紀、2009/10/26)より)
●数が多ければ魅力あるわけでもない 上野の約3分の1の動物種
旭山動物園は特別だと思われるかもしれませんが、決して最初から順調だったわけではなく、普通に閉園の危機も迎えたこともあったそうです。
しかし、来園者のために考えた公営動物園としての目的・使命実現のための価値観2つを掲げ、これらに対して「どうあるべきか」を議論し共有しながら、日々理念の実現をより高いレベルで追求していったことで、全国から人を呼び寄せる動物園に変わることができました。
その2つの価値観というのは、「珍しい動物で人を集めるのではなく、どこの動物園にでもいるような動物のすごさを伝えられる動物園でありたい」と「北海道の動物園なのだから、地元北海道の動物にこだわろうよ」というものだそうです。
そのため旭山動物園には、パンダ、コアラ、オカピなど、一般的に人気のある珍しい動物はほぼいないとのこと。それに加えて「北海道の動物」を中心にするので、動物種も限られてしまい、上野の約3分の1しかいません。しかし、「動物のすごさを伝える」という価値観に向かって様々な工夫を続けたことが、前述の通り確実に成果となって現れています。
それらの工夫とは、飼育係による説明ガイドである「ワンポイントガイド」や板切れに手書きの文字で細かく書かれた解説の「手書き看板」であり、それぞれの動物たちが本来もっている行動特徴を見せる設計の「行動展示」であります。特に「行動展示」は有名で、動物たちが好きに動いてるだけなので毎回動きが違い、何度見ていても飽きないものだと言います。
筆者は最後に「絶望の底からはい上がって、約10年で全国から10倍以上の300万人を呼び寄せている市営動物園、旭山動物園。地方の自治体や観光地はもちろん、民間企業も勇気をもらえるのではないでしょうか」と締めていました。
●町おこしが失敗するのは真似してみんな同じになってしまうため
2019/04/21:読み直していて思い出したのが、
町おこし・地域活性化が失敗する理由 成功事例は真似できない…紫波町「オガールアリーナ」と日向市塩見小原地区「へべす」という投稿です。
旭山動物園のやり方は真似できる部分もありますが、他の都府県だと同じにできない、する意味がない部分があります。「北海道の動物園なのだから、地元北海道の動物にこだわろうよ」というところですね。
「珍しい動物を集める」というやり方をしてしまった場合、どの地方でも同じような動物園になりやすく、差別化ができません。首都圏の動物園とも差別化できないため、首都圏から人が来ることもないでしょう。
その地方にいる動物にこだわった場合、地方によって動物園に違いができるので差別化が可能です。また、珍しい動物を集めるより、コスト的にも楽なんじゃないかと思われます。
【本文中でリンクした投稿】
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町おこし・地域活性化が失敗する理由 成功事例は真似できない…紫波町「オガールアリーナ」と日向市塩見小原地区「へべす」【関連投稿】
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