板垣退助や山県有朋(狂介)などの名前の話をまとめ。<板垣退助ってよく考えると変な名前、珍名じゃ? 由来は何なの?>、<「退助」も「狂介」も似たようなものとされた山県狂介の由来は?>、<猪突猛進ではなく、一歩、退いたぐらいでちょうどいいから!>などをまとめています。
●板垣退助ってよく考えると変な名前、珍名じゃ? 由来は何なの?
2019/05/25:今まで一度もそう思ったことがなかったのですけど、ある日ふと「退助ってよく考えると変な名前じゃね?」と思いました。「退く」というのは、悪いイメージの名前ですからね。そう思って検索してみると、同じ疑問を持った方が
ヤフー知恵袋で質問していました。
<「退助」って「退」というネガティブな意味の漢字が入っていますが、
これはどういう由来でつけられたかのでしょうか?
現代ではこういうネーミングはまずしないですよね>
回答がついていますが、ヤフー知恵袋ですので信頼性は低いです。後でもっと説得力のある説を探してみることにします。とりあえず、ここの方は「退」は「譲る」といった意味でポジティブではないかとの説を唱えていました。板垣退助がそういう謙虚なキャラだったかどうかは大いに疑問ですけどね…。
<幼名は猪之助。退助は元は通称(あだ名)。
「退」は「退く」などネガティブな意味ではなく、「一歩下がってゆずります」と言った謙譲の意味だと思います。
「助」は、これは間違いなく、幼名の「猪之助」の「助」からきていると考えます。
ある意味、謙譲の意味を含ませた誰にでも好感が持たれる名前でしたので積極的に使う名前になったんだろうと思います>
●そんなの退助の親に聞いてくれ…と言う人が理解していないこと
板垣退助 - Wikipediaで確認。退助は知恵袋で言っていた「元通称(あだ名)」ではなく、単に通称となっており、この時点で間違っているかもしれません。本名にあたる諱(いみな)は初め正躬(まさみ)、のち正形(まさかた)で、号も無形(むけい)でした。一方、由来についての記載はありません。
もうちょっと検索してみると、また質問サイトがヒット、今度は
教えて!gooが出てきました。相変わらず回答者の質が低く、「そんなの退助の親に聞いてくれ」といった回答が出ています。当時の通称は普通親がつける名前じゃないので、それを理解していないのでしょう。他の回答者も「こう思いました」的なものでした。
<俺は名前が退いてるから俺自身は退くは事はない進むしかないだから安心だというような論理です。
これは日本人には理解できるというかそうしたくなる自然な感覚なんですけどね。勇ましい日本男児でないとピンと来ないかも知れません>
<土州人はおおらかと言われますが、一方で議論を好み
自説を押し通そうとする傾向があります。また反骨精神も旺盛です。(中略)
こういう性格はプラスに働く場合もありますが、
社会的に無用の摩擦を引き起こしてしまうこともあります。
(中略)怯みそうな自分を励ますポジティブな名前よりも
暴走しそうになる自分を引き留めるネガティブな名前のほうが
好ましかったのかも知れません>
ちなみに
漢字辞典オンラインによる「退」という漢字の意味説明は以下の通り。やはり良いイメージ強い意味はないように見えます。「退」じゃなくて「進」を使った名前だったら全然珍しくないんですけどね。やはり「退」より「進」の方がイメージが良いと感じる人が多いのだと思われます。
しりぞく。のく。あとずさる。ひきさがる。
たちのく。のく。立ち去る。
やめる。引く。身を引く。
おとろえる。
おいはらう。しりぞける。
消極的なさま。ひっこむ。
色があせる。色がさめる。
●「退助」も「狂介」も似たようなものとされた山県狂介の由来は?
「退くは事はない進むしかないだから安心だというような論理」としていた方は、山縣有朋(狂介)も似た例だろうととしていたものの、こちらは明らかに違うでしょう。「退く」の正反対のむしろ「進む」方向性の名前。「情熱」的な意味だという解釈もされていて、理解できる命名センスです。
<山縣狂介はどうなるの?
わざと悪い名前を付けて、運気を良くしたり、洒落たりするんですよ。
どうもクズです、の感覚ですが>
「「狂」は吉田松蔭から「『狂』を持て」と教えられたから」だとして、質問者もやんわりと以下のように返信しています。こうした感覚は今でもありますよね。例えば、悪くはない意味で「日本人ってやっぱりクレイジー」といった使われ方がすることがあります。
<山縣狂介の「狂」は吉田松蔭から「『狂』を持て」と教えられたから、とされているので、退助とは少し意味合いが違うような気がします。
退助の名前の由来、何かエピソードとかないんですかね・・・?>
●猪之助 → いのすけ → いの(く)すけ → 居退(く)助 から「退助」説も
以下も予想であり、証拠となる話がないのは同じなのですが、書き方が謙虚で好感が持てたもの。これといった逸話がなく真実は闇の中…って感じですかね。
<私も同じギモンをいだき、いろいろ調べましたが、これと言った回答は得られませんでした。
以下、私なりにこうではないかと思うことですが、板垣の幼名が「猪之助」であることから、「ゐのすけ」が、「(居)退助」に当てられ、「たいすけ」になったのではないか、と、思っています(ゐのく・居退く:その場から立ち退く)>
この最後のものは、謙虚であるだけではなく、悪くない推測かもしれません。というのも、言葉遊びで命名というのは実際に例があるため。苗字の話ではありますけど、小鳥遊(たかなし)がそういったもの。これは、
DQNネームならぬDQN苗字な珍名 鼻毛・新タ(にった)・小鳥遊・金持・文珠四郎などで紹介しています。
あと、昔の人たちは「読み方は合っているけど漢字は違ってる」という名前を結構使っているというのも、この説に説得力を感じさせるもの。パッと実際の例が思い浮かばなくて申し訳ないんですが、昔の人はあんまり正しい漢字にこだわらなかったんだなぁ…と思って、妙に印象に残っていました。
●猪突猛進ではなく、一歩、退いたぐらいでちょうどいいから!
…と書き終えた後に、質問サイトよりは信頼性が高いところで、「これが正解ではないか!」という情報を見つけてしまいました。今までのものとは比較にならないほどダントツに良いものです。これといった逸話がなく真実は闇の中…ではなかったのかもしれません。
<退助の幼名・猪之助(いのすけ)は、乾和三(山内備後)の前名「猪助(いのすけ)」からあやかって命名されたもので、乾和三の「猪助」の「猪」の字は、山内猪右衛門と名乗っていた当時の山内一豊公から、和三が「猪」の字を賜ったことによるもの。「猪」は、「猪突猛進」、「猪武者」などと言われ、武士に好まれた動物であった。
しかし退助は「猪之助」の名の通り、腕っぷし強そうな相手でも怖いもの知らずで、猪突猛進に喧嘩をしたりと腕白に育ち過ぎたせいで、謹慎処分を受けることしばしば。ついに
藩主公から「猪突猛進に突き進む「猪之助」ではなく、一歩、退いたぐらいを心掛けよ」と「退助(たいすけ)」と言う名を賜ったとか>
(
板垣退助について | 一般社団法人 板垣退助先生顕彰会より)
やっぱり板垣退助は謙虚なキャラじゃないですよね。で、結果的には進むの反対で血気盛んなのを抑える名前でしたが、具体的なエピソード(これも本来なら出典の確認が必要ですが)がついているので全然重みが違います。さっきの質問者の方も、こういった逸話的な情報がほしかったんだと思うんですよ…。
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