最初、<実を言うとコロナウイルスは普通の風邪の原因 どういうこと?>というタイトルにしていましたが、よりわかりやすくということで、<コロナウイルスは普通の風邪の原因 新型コロナウイルスとは違う>にタイトル変更。実は普通のコロナウイルスって多くの人がかかったことがあるごくありふれたウイルスなのです。
ということで、この話は「新型コロナウイルスは普通の風邪と変わらない」というデマの主張とは全く異なります。風邪に関して<風邪は単一の原因による病気ではない 「症状」でまとめた呼称>という話もやっていますが、風邪について知ることで新型コロナウイルスの特殊性もわかりやすくなるでしょう。
冒頭に追記
2022/08/08追記:
●毒性が弱まった新型コロナウイルスで死者数が過去最悪…なぜ?
●子どもの新型コロナウイルスは風邪と同じはデマ…研究で判明
2022/08/19追記:
●記憶に混乱が起きた人が4分の1もいた…新型コロナウイルス後遺症
2022/08/24追記:
●対策より経済…と言いそうな新聞が「無症状でもブレーンフォグ」 【NEW】
●新型コロナウイルス後遺症が減る要素と増える要素が混在してる 【NEW】
●毒性が弱まった新型コロナウイルスで死者数が過去最悪…なぜ?
2022/08/08追記:2022年に流行の新型コロナウイルスは以前より致死率が大きく下がっています。ただ、感染率は逆に大きく上昇。日本の場合はこの感染率の上昇の方が強く効いていて、死者数はむしろ2022年になって大きく増加。なぜか全然報じられておらず、死者数がダントツで過去最悪なことを知らない人が多いですけどね。
ということで、新型コロナウイルスは依然として普通の風邪レベルには全然なっていません。それどころかまだインフルエンザウイルス並みの致死率にすらなっていない…という分析が主流となっています。また、新型コロナウイルスの症状で深刻で軽視できないのは、その後遺症の問題です。
こうした話ではデータ的な話がないことも多いので、データのある話をいくつか紹介する予定。とりあえず、今回は<「“風邪と同じだから大丈夫”はとんでもない暴論」子どものコロナ後遺症 軽視できないデータと当事者の証言 | TBS NEWS DIG>(久保田智子 2022年8月7日)という記事の話をやります。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/114772?display=1
●子どもの新型コロナウイルスは風邪と同じはデマ…研究で判明
新型コロナウイルスは当初、子供はかかりづらいという特徴を持っていました。このため、学校休校をすると、医療従事者の親が休まざるを得なくなるため、余計死者を増やすという分析結果が複数登場。日本では、安倍首相(当時)の暴走で学校休校してしまい、逆効果となったと考えられます。
ところが、変異株が登場する中で性質が変化し、子供の感染も大きく増加。一方で、子供については依然として脅威が低いという見方もあり、「普通の風邪と同じ」という見方をする医師も多い模様。うちの地元にもいます。ただ、それは事実ではないだろう…というのが2022年7月発表の研究結果でした。
<アメリカとカナダの研究チームが7月22日にアメリカ医師会が発行する雑誌『JAMA Network Open』に発表した最新調査によると「救急外来を受診した子どもで、陽性の子を90日間追跡調査したところ、コロナにかかった子で入院を要した子の9.8%、入院まで重症化しなかった子でも4.6%が長期後遺症を発症した」という>
髪の毛が抜ける脱毛、記憶力が低下するブレインフォグ、倦怠感などが新型コロナウイルス患者の後遺症の主な症状。後遺症患者を診察するヒラハタクリニック・平畑光一院長は、患者には高校生が比較的多いとしつつも、小中学生は自ら分析して説明するのが難しいため、後遺症が隠れている可能性も指摘していました。
「それまですごく元気だった子が突然外に行きたがらないとか、幼稚園、保育園、小学校から帰って元気に走り回ってるのが普通だったのに、だるそうにぐったりしてるとか、そういったことで気づかれる方が多いようですね。親御さんは、いかに言葉にできない子どもたちの不調を拾い上げていくかが非常に大事になってくると思います」
「子どもは、少し元気になったときに最初にやることが遊びだったりするわけですね。テレビを見たり、スマホをいじったり。そういう姿を見て怠けているだけと勘違いし「勉強しろ」としかってしまうこともあるようです。
でも実際は、後遺症が進むと勉強は一切できなくなります。教科書を見るだけでもつらくなり、文章は読めるけど内容が頭に入らないなど深刻です。そういう状態で無理やり勉強させたり、鍛えたらそのうちできると思って本を読ませ続けたりすると、症状がますます重くなってしまいます」
●記憶に混乱が起きた人が4分の1もいた…新型コロナウイルス後遺症
2022/08/19追記:新型コロナウイルスの後遺症でデータのある話の続き。今回の話は2021年10月30日の記事に載っていた話であり、現在流行している変異株とは異なります(当時はデルタ株か?)。ただ、最近の記事でも、過去の変異株の~倍といった感じで比較している場合があるため、参考例として紹介しておくことにしました。
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コロナ後遺症、認知機能障害が長く残ることが明らかに | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)(2021年10月30日)
<新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかってから何カ月もの時間が経過しても、多くの患者に認知機能の低下が見られる。これは、米国医師会雑誌(JAMA)のオープン・アクセス・ジャーナル「JAMA ネットワーク・オープン」で2021年10月22日に発表された研究で明らかになったことだ>
<今回の査読済み論文では、新型コロナウイルス感染症にかかってから何カ月も経過した(陽性と診断されてから平均7.6カ月後の)元患者740人を対象に、一連の認知機能検査を実施したところ、認知機能が低下している人が多数いることが明らかになった>
<研究によると、検査を受けた元患者の4分の1近くが、記憶を整理したり(24%)、記憶を想起したり(23%)することに困難を抱えている。また、およそ5分の1は、思考を処理するスピードが低下したり(18%)、言語障害が起きたりしていた>
<ブレインフォグは、厳密な臨床用語ではなく、ある種の精神的不調や集中力の欠如とされるが、新型コロナウイルス感染症だけに見られる症状というわけではない。
ブレインフォグやその延長線上にある症状は、新型コロナウイルス感染症の後遺症で最も多く報告されており、延々と続いて患者を衰弱させ、感染してから何カ月にもわたって患者を苦しめる(何年も続く可能性もある)。症状は全身におよび、神経系やメンタルヘルスに支障をきたすことが多い。研究が示唆するところによれば、新型コロナウイルスに感染した人の5人に1人が、回復しても、3カ月以内に精神疾患の診断を受けている>
新型コロナウイルスの後遺症は、無症状の人でもなることがあるのが厄介なところ。ただし、以下にあるように、重症化した人の方が普通に後遺症が出やすい模様。効果が下がっているワクチンに不要論が出ているのですが、発症を防ぎきれなくても重症化する確率を下げる効果があるため、ワクチンは依然として重要だということがわかるでしょう。
<外来で治療を受けた患者に比べて、入院したり、救急治療を受けたりした患者のほうが、認知機能が低下している傾向が強かった。言語障害が起きている可能性は、外来患者よりも入院患者のほうが3倍、救急治療を受けた患者のほうが1.8倍高かった。また、記憶の符号化については、入院患者のほうが2.3倍、救急治療を受けた患者のほうが1.7倍。記憶想起については、入院患者のほうが2.2倍、救急治療を受けた患者のほうが1.5倍となっている>
なお、年配になると、重い病気にかかったあとに認知機能が低下しやすいため、新型コロナウイルスが原因かどうかは不明。ただ、この研究で検査対象となった元患者の平均年齢は49歳と比較的低かったため、認知機能の障害は明らかに新型コロナウイルス感染症に関係していることを示しているといいます。
●対策より経済…と言いそうな新聞が「無症状でもブレーンフォグ」
2022/08/24追記:「新型コロナウイルス対策より経済優先」は右派に多く、右派の産経新聞なんかは「人命より五輪」という社説を出してきて驚きました。ただ、その産経新聞が<新型コロナ後遺症「ブレーンフォグ」 記憶力や集中力低下>(22/8/2(火) 21:01)という記事を配信。無症状だった人の後遺症のケースを紹介しています。
<「まさか自分がなるとは…」
ブレーンフォグを発症した、熊本県の女性(64)はこう振り返る。
女性は、沖縄県の息子夫婦の家を訪れていた5月6日、孫を経由して新型コロナに感染したとみられる。発熱やのどの痛みなど目立った症状はなかったが、検査の結果は陽性だった。
異変を感じたのは、自宅療養期間が終わってからだ。睡眠を十分にとっているはずなのに、日中、頭が重く眠気に襲われる。感染以前は、時間を忘れ、日に3~4時間も趣味の切り絵に没頭していたが、30分ほどしか集中力がもたなくなり、やめてしまうようになったという。
倦怠(けんたい)感や集中力の低下は続き、「沖縄に行っていた疲れかな」と疑問に思うようになっていった。療養期間が終わって1週間経っても改善せず、後日、ブレーンフォグだと分かったという。「聞いたときは『何それ』という気持ちだった」と、女性は振り返る。現在、症状は回復しているが、「コロナの症状がなかったのに後遺症が出るとは思わなかった」と話す>
https://news.yahoo.co.jp/articles/f666a1d3b547c1280cb2bb1d24246a3d7c2bfbae
●新型コロナウイルス後遺症が減る要素と増える要素が混在してる
ブレーンフォグ、別名意識混濁の発症のメカニズムは現時点では、完全に明らかにされていません。とりあえず、ある海外の論文では、新型コロナウイリアムズに感染し、免疫の反応として体内に作られる抗体が原因だと指摘。抗体がウイルスではない正常なタンパク質を攻撃してしまい、脳の伝達が阻害されるという仮説のようです。
この産経新聞記事は、データ的な話がありました。以前流行のデルタ株と記事時点で流行のオミクロン株でのブレーンフォグの発症率を比較しています。ただ、肝心のデルタ株のときのブレーンフォグの発症率が書かれていないため、結局、どれくらいの人がかかるかわからない…という悪い記事になっていました。
<発症率は新型コロナの株ごとに異なり、以前流行していたデルタ株が高かった。現在流行の中心となっているオミクロン株では、ブレーンフォグの発症率はデルタ株の20~50%程度。しかし、感染力が強く、感染者数が多いため、後遺症を抱える人も増加することが予測される>
検索してみると、2021年8月にはデルタ変異株にほぼ置き換わり100%に近い状態だったことがわかります。さらに、2022年2月頃に全国的にデルタ株からオミクロン株のBA.1系統に置き換わり、その後の2022年6月頃にはすでにオミクロン株のBA.2系統に置き換わっていました。
(
新型コロナウイルス デルタ変異株に ほぼ置き換わりへ|お知らせ|国際医療福祉大学、
感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株について (第17報)より)
産経新聞記事ではデルタ株での後遺症の比率が関われていなかったため、前回、先に2021年10月30日のフォーブス記事を引用。ただ、こちらもデルタ株とは明記されていない他、「記憶を整理したり(24%)、記憶を想起したり(23%)」などと書き方も異なります。細かく症状で分けているため、ブレーンフォグ全般で見るともっと高確率かもしれません。
なので、「仮に」という話にはなってしまいますが、仮にデルタ株でのブレーンフォグ発症率が24%であった場合、デルタ株の20~50%程度(産経新聞情報)であるオミクロン株でのブレーンフォグ発症率は4.8%~12%程度ということに。ただ、前々回書いたように、日本では感染者数の伸びの大きさが強く効いているため、後遺症に苦しむ人はむしろ以前より増えているかもしれません。
●風邪は単一の原因による病気ではない 「症状」でまとめた呼称
2020/04/18:新型コロナウイルスが猛威を振るった後だとわけがわからなくて、「そんなの嘘だ!」と思うかもしれませんけど、コロナウイルスというのは実を言うと、普通の風邪の原因となる代表的なウイルスの一つなんです。
このことを理解するには、まず風邪とは何か?ということを理解する必要があります。風邪は単独の原因による病気ではなく、複数の原因によっておきる「症状」のことをまとめて呼んでいるもの。なので、「かぜ症候群」といった言い方をすることもあります。
かぜ症候群|一般社団法人日本呼吸器学会の場合は、鼻腔から喉頭までの気道である上気道で起きる、急性の炎症による症状を呈する疾患を「かぜ症候群」だと説明していました。
風邪 - Wikipediaの場合はよりシンプルですが、似たような説明で、<単に風邪と言えば急性上気道炎(普通感冒)を指し、西洋医学では「かぜ症候群」と呼んでいる>としています。
●実を言うとコロナウイルスは普通の風邪の原因 どういうこと?
そして、風邪と呼ばれる症状を引き起こす原因物質なのですが、これが複数あるんですね。ウイルスとは限らず、細菌によるものもあり、日本呼吸器学会では、「かぜ症状群の原因微生物は、80~90%がウイルスといわれています」と説明。
そして、主な原因ウイルスとしては、ライノウイルス、コロナウイルスがあるとされていました。コロナウイルスは2番目に出てくる風邪症候群の代表的な原因ウイルスだったのです。その他のウイルスとしては、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス(インフルエンザウイルスとは異なる)、アデノウイルス、細菌としては、一般細菌、肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミドフィラという名前が例示されていました。
インフルエンザウイルスによる症状は、風邪と区別することが多いですけど、Wikipediaの場合はインフルエンザウイルスも含めていますね。「かぜ症候群」の中で占める割合も諸説あり、ここらへんはバラバラ。とりあえず、Wikipediaでは以下のような数字を出していました。
ライノウイルス (30%–80%) 普通感冒といわれている。くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどが主症状で、年齢を選ばない。
コロナウイルス (15%) 冬に感染しやすい。SARSはコロナウイルスの新種と言われる。
インフルエンザウイルス (10%–15%) 英語では "flu" とされる。
アデノウイルス (5%) 夏に流行。プールで感染するプール熱として知られる。
●新型コロナウイルスの症状も「風邪症候群」なのか?法令では…
じゃあ新型コロナウイルスも風邪なの?と言うと、たぶん違うんじゃないかと思われます。「かぜ症候群」は症状でまとめたものですが、新型コロナウイルスの場合は症状が大きく違うためです。そして、この症状に対しての名前が、あまり定着していないものの、WHOが名付けた「COVID-19」なのだと思われます。
例えば、
新型コロナウイルス感染症の流行 (2019年-) - Wikipediaでは、新型コロナウイルスの感染による急性呼吸器疾患と「COVID-19」をイコールとしていました。
また、
2019新型コロナウイルスによる急性呼吸器疾患 - Wikipediaでも、 COVID-19〈コビッド19〉は、2019新型コロナウイルスがヒトに感染することによって発症するウイルス性呼吸器疾患だと説明。一方、日本の法令では「新型コロナウイルス感染症」と定められているとされていました。
ただ、実は以前にも「新型コロナウイルス」と呼ばれる別のコロナウイルスがありましたので、「新型コロナウイルス」という言葉を使ってしまうと、古い話なのか新しい話なのか、見分けがつかなくなりそうです。さらに、今後また特殊な新種のコロナウイルスが確認されたときにも混乱が起きるでしょう。
これが定着しているため私も使っているのですけど、本当であれば「新型コロナウイルス」という名前を用いない方が良いのかもしれません。さらには、「新型コロナウイルス」を単に「コロナウイルス」「コロナ」と略している例もありますので、これらはさらに誤解を招きそうなものになっていると言えそうでした。
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