人間が刺されるとアナフィラキシー・ショックを起こしてしまう日本のオオハリアリが、アメリカで増えて問題になっているそうです。このオオハリアリは日本だとそこまで大きな問題になっていないものの、アメリカに渡った彼らは食性などが変化したために、非常に厄介になっていると研究で判明しました。(2017/11/19)
●日本もヒアリのような迷惑者をアメリカに輸出
2017/11/19:
アメリカを侵略した日本からの外来種マメコガネ(ジャパニーズ・ビートル)というのもやっていますが、今回の場合、日本で騒ぎになっていたヒアリと同じアリの話。「オオハリアリ」という種類で、毒針を持つという点でもヒアリと同じです。
(米国で猛威をふるう日本原産のアリ ヒアリ同様毒針で刺すオオハリアリの正体 J-CAST ニュース - 11月17日 08時00分より)
http://ecnavi.jp/mainichi_news/article/d3809d543a3cd6ac489fc55e68510432/
記事では、獰猛なアリについて、ヒアリより先にアルゼンチンアリというアリの名前を挙げていました。「南極大陸以外は生息していないところは地球上にないといわれるほど」とのことで、世界的に最も問題となっているのは、こちらのアリなのかもしれません。
日本のオオハリアリは、このアルゼンチンアリのライバルとして、ともに在来種のアリを駆逐しているとのことでした。
●なぜオオハリアリは日本では問題になっていない?
「おもしろい」と言っちゃって良いかはわからないのですが、オオハリアリは日本ではあまり問題になっていません。なぜか?というと、食性などが変化したためです。
まず、日本のオオハリアリはシロアリ専門の捕食者。しかも、森の朽ち木の中などに巣を作っており、森の奥に生息しています。人間も刺されるとアナフィラキシー・ショックを起こすことがあり、実際に年に数例刺されるケースが報告されているものの、森の奥深くであるがために、あまり問題になっていません。
ところが、1930年代に進出したといわれるアメリカの場合、様子が異なります。森林地帯で勢力を拡大した後、近年はニューヨーク市内でも見られるようになり恐れられているそうです。
「Scientific Reports」(電子版)の2017年11月3日号に発表された、京都大学・岡山大学・琉球大学と米ノースカロライナ州立大学の日米共同研究では、このアメリカのオオハリアリについて調べていました。
それによると、米国に侵入したオオハリアリは、シロアリ以外の昆虫や節足動物を幅広く捕食するように食性を変化させていました。オオハリアリの巣の密度は、米国では原産地の日本の倍近くに増えているのに、エサとなるシロアリの巣の数は減っていません。シロアリをあまり食べていないことがわかります。
一方で、在来アリの巣が減っています。これは、在来のアリを直接食べているということではなく、在来のアリのエサになる小動物をオオハリアリが奪っているためだと考えられています。
●外来種は母国と違う食性などを示すことが多い
実を言うと、食性の変化は、以前やった
アメリカを侵略した日本からの外来種マメコガネ(ジャパニーズ・ビートル)でも起きていました。マメコガネは日本では大豆害虫として知られています。ところが、アメリカではトウモロコシも食べており、それを聞いた日本の研究者は驚いていました。
また、日本でも害虫として認識されているものの、アメリカの方が被害の規模が大きく、近年にも大発生して問題になっていました。このときには、侵入害虫が母国と違った食性を示すことは多々あると指摘されており、オオハリアリというのもそういった例の一つであったようです。
あと、「生態系を破壊して何が悪い!」みたいなことを言う方が結構いらっしゃいますので、これらは生態系破壊による人類への悪影響という観点からも見ることができることを付け足しておきます。
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